★阿修羅♪ > 戦争b22 > 381.html
 ★阿修羅♪
▲コメTop ▼コメBtm 次へ 前へ
米INF離脱、欧州を分断 ターゲットは露と真の敵「中国」米INF離脱で変わる世界勢力 INF条約破棄で中国に対抗は可能か
http://www.asyura2.com/18/warb22/msg/381.html
投稿者 うまき 日時 2018 年 10 月 25 日 00:31:02: ufjzQf6660gRM gqSC3IKr
 

米INF離脱、欧州を分断
2018/10/24 23:00
日本経済新聞 電子版
 【ベルリン=石川潤】トランプ米政権が中距離核戦力(INF)廃棄条約の破棄を表明したことを巡り、欧州内の溝が深まっている。ドイツやフランスが核開発競争を加速しかねないと反発する一方、ロシアの脅威に敏感な英国やポーランドは米国支持の姿勢を鮮明にしている。

https://www.nikkei.com/content/pic/20181024/96958A9F889DE1E4EAE5E3E1E5E2E0E6E3E2E0E2E3EA9494E0E2E2E2-DSXMZO3689023024102018FF2001-PB1-1.jpg

 「チャンスがある限り、あらゆる外交手段を使って戦う」。ドイツのマース外相は独メディアのインタビューで、北大西洋条約機構(NATO)加盟国による協議などで米国に翻意を促していく考えを示した。フランスのマクロン大統領もトランプ米大統領との電話協議で「条約は欧州の安全保障に必要」と訴えた。
 欧州にとって、射程500〜5500キロメートルの地上発射型の巡航ミサイルの開発や配備を禁じるINF条約は安保の柱の一つだ。ロシアが開発したとされる地上発射型巡航ミサイル「SSC8」の射程は2600キロメートル程度といわれ、独仏などの欧州主要部がすっぽり収まる。ロシアを条約の枠組みにどう引き戻すかがNATOの課題だったはずなのに、条約破棄を唐突に打ち出した米国への戸惑いを隠せない。
 一方、英国のウィリアムソン国防相は支持をいち早く表明した。米国との「特別な関係」に加え、3月には元ロシア情報機関員らへの暗殺未遂事件が英国内で起きており、対ロ強硬論に傾きやすい。ポーランドのドゥダ大統領も米国の決断は「理解できる」と語った。バルト海沿岸や東欧の諸国にとってロシアの脅威は切実で、安保で頼れるのは独仏ではなく米国という現実がある。
 欧州連合(EU)のモゲリーニ外交安全保障上級代表(外相)は「(米国が)同盟国、世界全体の安全保障へ及ぼす影響を考慮するよう期待している」と煮え切らない。メルケル独首相とマクロン仏大統領は独仏を軸にした欧州統合の絵を描くが、安全保障をめぐる足並みの乱れは死角になりかねない。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO36871370U8A021C1FF2000/

 

 


ターゲットは露と真の敵「中国」米INF離脱で変わる世界勢力図
国際2018.10.24 13 by 北野幸伯『ロシア政治経済ジャーナル』
kitano20181023
 

シェア
4
ツイート
9
はてブ
0
Pocket
関連記事/PR記事
川口春奈が部屋着、眼鏡姿などで応援してくれる動画公開
その自作スムージー、効果ないかも。「組み合わせNG」の野菜は?
イボを切る時代は終わり?皮膚科医が明かしたイボケアが凄すぎ![PR] kireidiary
コンブチャを超えたコンブチャが存在。あっという間に脂肪の塊が[PR] kombucha
TVが今の育毛を全否定!育毛の盲点を学会が大発表し話題殺到[PR] ソーシャルテック
10月21日、米が露との核廃棄条約(INF)離脱を示唆、その理由を巡り米露で主張が対立しています。これを受け、国際関係ジャーナリストの北野幸伯さんは自身の無料メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』で、冷戦当時、世界で繰り広げられた米ソ軍拡競争がINF締結により軍縮された経緯を解説し、今や「INFに無関係の中国は制限なしで独自軍拡が可能」という新たな脅威の浮上を指摘しています。

アメリカ「INF条約から脱退へ」てなんですか〜?
トランプさんが「INF条約脱退の意向を示した」ことが、大きく報じられています。今回は、これについて学んでみましょう。

まず、基本から理解しましょう。INF条約って何でしょうか?「中距離核戦力全廃条約」(Intermediate-range Nuclear Forces、INF)のこと。1987年にアメリカとソ連の間で締結されました。背景は?FNN PRIME10月21日に、フジテレビ解説委員・能勢伸之さんの解説が載っています。

1976年、旧ソビエト連邦は、米ソ戦略核制限条約(SALT II)で、三段式SS-16大陸間弾道ミサイルと共通コンポーネントを使った二段式の中距離弾道ミサイルSS-20を就役させた。最大射程は約5000kmとされ、5,500km以上とされる大陸間弾道ミサイルの範疇には入らない。従って、戦略核兵器には当たらず、当時の戦略核制限条約の範疇外であり、同条約で生産や配備に制限を掛けることができない兵器だった。

なんかよくわかりませんね。射程距離5,500km以上は、「大陸間弾道ミサイル」(ICBM)に分類されます。米ソ冷戦時代、ICBMは、両国を完全破壊することができる。それで、第一次戦略兵器制限交渉が行われ、1972年に締結されました(SALT1)。ところが、ICBMつまり5,500kmよりも短い射程のものは制限がない。つまり中距離核ミサイルは、いくらでもつくれる。そうなると、たとえば、アメリカの同盟国であるNATO諸国、日本などが危険にさらされます。で、どうしたか?

米本土には届かないが、米の同盟国・NATO諸国や日本には優に届く。これは、米国が同盟国に約束してきた拡大抑止「核の傘」の信頼性を損なうものだった。そこで、NATOは1979年、米本土ではなく、NATO欧州諸国に配備すれば、ソ連に届くパーシングII準中距離弾道ミサイルとトマホーク巡航ミサイルの地上発射型グリフォン巡航ミサイル・システムの開発と配備、そして、ソ連と交渉を行うという「二重決定」を1979年に行った。
(同上)

一方で、「俺たちも中距離弾道ミサイルを配備するぞ!」と脅しつつ、交渉のテーブルに引き出したと。結果は?

米ソがINF条約に署名したのが、1987年11月8日。結果は、中曽根首相の主張通り欧州に限定せず、米ソ(後にロシア)は、射程500kmから5500kmの地上発射弾道ミサイルと巡航ミサイルを全廃することで合意。
(同上)

めでたく「中距離核戦力全廃条約」(=INF条約)締結となったのであります。

米露それぞれの食い違う主張

なぜアメリカは、IMF条約から離脱する?(アメリカの主張)
ところが、トランプは、「INFから離脱する」と宣言した。なぜ?

トランプ氏、核廃棄条約離脱の計画認める ロシアが違反と主張

10/21(日)6:49配信

【AFP=時事】ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領は20日、米国はロシアと結んだ歴史的な核廃棄条約からの離脱を計画していることを確認した。ロシアが同条約に違反しているとの主張に基づく動き。トランプ大統領は米ネバダ州エルコ(Elko)で記者らに対し、「ロシアは合意を順守していない。そのため、われわれは合意を破棄する」と発言。

アメリカがINFから離脱するのは、「ロシアが条約に違反しているからだ」と。どういうことでしょうか?去年2月のAFPを見てみましょう。

ロシア、巡航ミサイルを新配備か 米「軍縮条約に違反」と警告

2017年2月15日 9:01 発信地:ワシントンD.C./米国

【2月15日 AFP】米紙ニューヨーク・タイムズ(New York Times)は14日、ロシアが新たに地上発射型巡航ミサイルを実戦配備したと報じた。1987年に米国とソ連が軍縮に向けて調印した中距離核戦力(INF)全廃条約に違反する可能性があり、米国はロシアに対して同条約を順守するよう警告した。ニューヨーク・タイムズによると、ロシアはこのミサイルを運用する複数の部隊を秘密裏に配備。部隊の1つは南部アストラハン(Astrakhan)地方カプスチンヤル(Kapustin Yar)のミサイル実験施設に置かれているという。INF全廃条約は当時のロナルド・レーガン(Ronald Reagan)米大統領とソ連のミハイル・ゴルバチョフ(Mikhail Gorbachev)大統領が調印したもので、射程500〜5,500キロの弾道ミサイルを禁止している。

ロシアの主張
一方、ロシアにはロシアの言い分があります。「先に条約に違反したのは、アメリカの方だ!」というのです。どういうことでしょうか?10月20日AFPを見てみましょう。

米国は、ロシアが2012年から条約に違反する新型の核巡航ミサイルの開発に着手、17年に配備したと非難している。ロシアはこれに反発、米国が弾道ミサイル防衛(BMD)システムの整備を続けている点を「攻撃用に変更可能で条約違反だ」と指摘するなど、双方が非難合戦を続けている。

アメリカの「弾道ミサイルシステム」(BMD)も「攻撃用に変更可能」で「条約違反」だそうです。ロシアからみるとそうなるのでしょう。もちろんアメリカは、「MDは防衛用で、条約違反ではない」と主張しています。

真のライバル・中国の動き

中国=もう1つのファクター
アメリカがINFから離脱するもう1つの理由があります。それが、中国。INFは、アメリカとソ連(現ロシア)の条約です。中国は、なんの制限も受けず、好きなだけ中距離核戦力を増やすことができる。トランプは「米ロがおとなしくしている間に真のライバル中国がどんどん強くなってしまう」と危機感をもっている。

FNN PRIME10月21日。

米露が持てないカテゴリーのミサイルを中国が保有

だが、その後の中国軍の拡大が、情勢を大きく変えてしまう。中国は、INF条約の当事者ではない。そして、国連安全保障理事会の常任理事国であり、いわば国際条約上、合法的核兵器保有国だ。従って、INF条約当事者である米露が保有できない、射程500kmから5,500kmの地上発射弾道ミサイル及び巡航ミサイルも開発・生産・配備が条約に拘束されずに行うことができるし、実際に行っている。

こう見ると、アメリカがINF条約を離脱するのは、ロシアと中国に対抗するためなのですね。もちろん、米ロ、米中関係は、さらに悪化することになるでしょう。

image by: Flickr

北野幸伯この著者の記事一覧
日本のエリートがこっそり読んでいる秘伝のメルマガ。驚愕の予測的中率に、問合わせが殺到中。わけのわからない世界情勢を、世界一わかりやすく解説しています。まぐまぐ殿堂入り!まぐまぐ大賞2015年・総合大賞一位の実力!
https://www.mag2.com/p/news/373856


 


安保激変

「INF条約破棄で中国に対抗」は可能か?日本への様々な影響

中距離核戦力全廃条約の経緯とその問題、アジア太平洋地域への影響は?(後編)
2018/10/24

村野 将 (岡崎研究所研究員)


ロシアを訪れているボルトン米大統領補佐官(写真:AP/アフロ)
 前回(http://wedge.ismedia.jp/articles/-/14297)は、 INF条約が締結された背景や、ロシアによる条約違反、米国における対抗措置の検討と条約離脱派・維持派それぞれの主張を説明した。そこで述べたとおり、INF条約自体は米露二国間で締結されている条約であり、ともすれば核大国同士が議論すべき第三者的問題として扱われがちである。また条約が締結された歴史的経緯に関連して、ロシア(ソ連)と地続きになっている欧州の軍事情勢と異なり、地理的に離れている日本は蚊帳の外に置かれてしまいかねない側面もある。

INF条約交渉時、日本が果たした重要な役割
 しかし、INF条約はその交渉時に日本が重要な役割を果たした当事者性の高い問題であるということは、どれだけ知られているだろうか。この経緯は、ロシアのINFが今日のアジアに与える影響を考える際にも若干関係するので、そのさわりを紹介しておきたい。

 1980年代の米ソ軍備管理交渉は、最終的に両者のINFを全廃する、いわゆる「ゼロオプション」で決着したが、全廃合意に至るまでには複数のオプションが議論されており、その中には双方が欧州に配備されたINFだけを撤去する=ソ連はSS-20を欧州に届かないウラル山脈以東に移動させる、といった「欧州限定ゼロオプション」などが提案されていた。

 当初から米国は、配備地域にかかわらず双方がINFを全廃することを追求していたものの、ソ連は現状維持を主張して交渉を中断するなどしたため、米側では欧州限定ゼロオプションや、SS-20の大幅削減とパーシングUの配備中止を引き替えとする妥協案に一定の支持が集まりかけたが、レーガン大統領自身がゼロオプションにこだわり続けた。

 レーガン大統領の懸念は、「たとえソ連のSS-20をウラル以西(欧州正面)から撤去できても、ウラル山脈以東(極東正面)に残されたSS-20は、日本や韓国、中国に脅威を与え続け、なおかつSS-20の射程(5000km超)と輸送可能力をもってすれば、ウラル山脈以東に配備されていても、すぐに欧州の脅威に変わりうる」というものであった。こうしたレーガン大統領のこだわりは、中曽根総理との良好な「ロン・ヤス関係」を軸に、当時の外務省幹部らが日本側の懸念を米国と欧州双方に対して打ち込むことに尽力した成果であった(この経緯は、佐藤行雄元国連大使の著書『差し掛けられた傘』[時事通信出版局、2017]で詳述されている)。

 こうした条約交渉時の経緯だけでなく、現在の北東アジアではロシア以外に、中国や北朝鮮、韓国までもが多くの中距離ミサイルを保有しており、INF条約をめぐる問題は、日本を取り巻く安全保障環境を議論する上で無視できない複雑な問題となっている。ここでは、INF条約の破棄が日本の安全保障にいかなる波及的影響を与えるかを様々な論点から検討する。

条約違反対象に含めるか議論になった
ミサイルシステムの存在
 第一に重要な点は、INF条約を米露両国が遵守しているかどうかという制度上の問題と、条約が禁止している射程500〜5500kmの地上発射型ミサイルが両国および周辺国に与える戦略的・戦術的影響は分けて考える必要があるということだ。

 2014年以来、米政府が条約違反対象と指摘しているのは、「SSC-8」と呼ばれる地上発射型巡航ミサイル(GLCM)であることは前回述べた。技術的に見て、このミサイルの射程が2000kmを超えることはほぼ確実であり、地上での飛翔試験や実戦配備も確認されているから、状況証拠からして条約違反であることは疑いの余地がない。

 しかし2014年の時点で、条約違反対象に含めるか議論になったミサイルシステムがこれ以外に2つ存在する。1つは、「イスカンデルM」と呼ばれる移動式の短距離弾道ミサイル(SRBM)である。イスカンデルMは、潜在的に500km以上の射程延伸が可能と見られるが、500kmを超える距離での飛翔試験などを確認できていない等の理由で、条約違反対象にはカテゴライズされていない。とはいえ、イスカンデルMは核搭載可能な即応性の高い戦術弾道ミサイルであり、既にカリーニングラードにも一個旅団が配備されている。

 これはポーランドの首都ワルシャワや、陸上部隊をバルト諸国に向け増派する際の要衝である「スヴァウキ回廊(*カリーニングラードとベラルーシを隔てるポーランド=リトアニア国境地帯)」などを即座に打撃しうる距離にある。このことから、米国やNATO、東欧諸国は、イスカンデルMが条約違反対象でないとしても非常に厄介な戦術核ミサイルとして警戒しており、それが2月の「核態勢見直し(NPR2018)」で決定された潜水艦発射型弾道ミサイル(SLBM)=「トライデントD5」への低出力核弾頭の搭載や、ポーランドにおけるミサイル防衛の強化などに繋がっているのである。

 米国内で条約違反対象に認定するか議論になったもう1つのミサイルが、「RS-26」と呼ばれる開発中の移動式ICBMである。RS-26は2012年5月の飛翔試験こそ5800kmの距離で行われたものの、同年10月以降の飛翔試験はすべて2000km前後で行われている。元々米国は、ソ連がINF条約をなし崩しにするとすれば、重い弾頭を搭載するなどしてICBMを短射程で運用する可能性があることを警戒していた。2015年11月には、RS-26が条約違反対象ではないことを証明するため、米当局による査察が計画されていたものの、翌年査察はキャンセルされてしまった。このためRS-26が実質的なINFである疑いは拭えないが、米側も同ミサイルが実戦配備段階にないことを踏まえて、違反対象として正式にカテゴライズすることを躊躇したのではないかと思われる。

 このことから、特定の兵器システムが条約違反に該当するか否かの問題とは別に、INF水準に近いロシアのミサイルシステムが、欧州・アジア地域にもたらす軍事的な影響を考える必要がある。以下では実戦配備されていないRS-26は脇に置き、SSC-8とイスカンデルMがもたらす影響についても検討対象とする。

日本の安全保障に与える直接的な脅威は限定的か
 第二の論点は、条約違反の疑いのあるロシアのINFが極東に配備された場合に、それが日本の安全保障にどのような影響を与えるかである。これは80年代のINF条約交渉の過程で、日本側がSS-20が極東正面にスイングされて配備される危険性を主張したことを想起させるが、冷戦時代の教訓は今日の安全保障を考える上でどの程度有効だろうか。

 まずはSSC-8による日本への影響であるが、現在のところ、SSC-8が日本を射程に入れる軍事拠点に配備されているかはよくわかっていない。SSC-8の射程を2000kmと仮定し、それがウラジオストクに程近いウスリースクに配備された場合を想定すると、宮古島や与那国島などの一部を除けば日本のほぼ全域が射程に収まる。当然、秋田県と山口県を配備候補地としている日本のイージス・アショアや、三沢、横須賀、岩国、嘉手納といった米軍の重要拠点もその射程に含まれる。だがここで留意しておくべきなのは、ロシアは「AS-15(Kh-55)」と呼ばれる射程3000km近い、核・非核両用の空中発射型巡航ミサイル(ALCM)を搭載可能なTu-95爆撃機を、以前から東部軍管区の航空基地に配備しているということだ(*更に言えば、オホーツク海にはSLBMを搭載した戦略ミサイル原潜が潜んでいると見られる)。

 加えて冷戦期と異なるのは、ロシアによる対日軍事攻撃の蓋然性である。SS-20の極東へのスイング可能性が懸念されていた80年代は、ソ連による大規模着上陸侵攻への対処が日本の防衛政策上の最重要課題となっており、ソ連の核戦力はそうした通常戦力のエスカレーション・ラダーの延長線上に位置付けられる現実の脅威と見なされていた。しかし、北方領土問題を抱えながらも、現在の日本政府がロシアを冷戦期のような切迫した軍事的脅威と認識しているとは考えられない。これは2013年の「国家安全保障戦略」の中で、ロシアに関する記述がわずか一箇所、それも日露協力の文脈でしか言及されていないことからも明らかである。もちろん、ロシアが2014年以降にクリミアやシリアで軍事作戦を行ったり、他国への妨害工作や政治干渉を行っていることは問題視されてしかるべきだが、それを日本の防衛政策上の主要な脅威とみなすべきかは別問題であろう。

 これらを総合すると、仮にSSC-8が日本を射程に収める地域に配備されたとしても、それはイージス・アショア配備に対する政治的ハラスメント以上の意味を持たず、日本の安全保障に与える直接的な脅威は限定的であろう。これは射程が短いイスカンデルMの場合も同様である。もっとも、これらのミサイルが北方領土、例えば択捉島などに機動展開してくる場合には、その政治的意図について別途考える必要があるだろう。


写真を拡大
中国の脅威認識と戦力配備態勢への影響は?
 第三の論点は、ロシアのINFが極東正面に配備された場合に、それらが中国の脅威認識と戦力配備態勢にいかなる影響を与えるかという問題である。米国の安全保障コミュニティの一部には、ロシアのINF条約違反を意図的に放置することで、それが中国の戦略計算に影響を与え、トータルな戦略バランスにおいて米国・同盟国側に有利に働くとの見方が存在する。つまり、ロシアのINFが中露国境に近いザバイカルやビロビジャン付近に増強されてくれば、中国もそれらを意識せざるをえず、中距離ミサイルや防空システムをロシア対処に振り向ける必要が出てくるため、その分、西太平洋正面=日米に向けられるミサイル戦力を相対的に分散させることができるという、ある種の対中コスト賦課戦略として利用できると捉えているのである。

 しかしながら、こうした中露分断策が上手くいくかどうかは未知数である。そもそも、中国のミサイル旅団の大半は、中露国境から900〜1300km近く離れた中朝国境付近や山西省、河北省など黄海沿岸から内陸部に配備されており、イスカンデルMでこれらを攻撃することは不可能である。射程の長いSSC-8であれば、一部のミサイル旅団を射程に収めることはできるものの、飛翔速度の遅い巡航ミサイルは中国の移動式ミサイルを即座に攻撃するには不向きであり、通常弾頭であればその破壊力も限られている。したがって、中露国境付近からロシアが中国のミサイル旅団を本気で牽制しようと思えば、SSC-8に核弾頭を搭載して運用するしかない。しかしその場合、中国はミサイル戦力の残存性とSSC-8に対する迅速なカウンターフォース能力(=敵ミサイルに対する直接的な攻撃能力)を向上させるため、DF-21やDF-26等の中距離核ミサイルを増産し、配備を強化する可能性が出てくる。

 これは中露を核軍拡競争という消耗戦に陥れる策と言えないこともないが、増産された中国の中距離ミサイルは、情勢変化次第で西太平洋正面にスイングされてくる可能性も否定できない。そうしたリスクを考慮すれば、日米側が大量の中距離ミサイルに対処するコストを支払わされ、結果的に逆効果になる恐れもある(*このように互いが軍拡競争の誘因に駆られている状況を専門用語で「軍備管理における安定(arms race stability)」の低下と言う)。

 これらを踏まえると、中国に対して不用意に中距離ミサイルを増産させるインセンティブを与えるのは必ずしも得策とは言い切れないため、ロシアのINFを対中牽制に利用しようという発想には慎重であるべきだろう。

条約破棄から中距離ミサイル開発・配備までに
どれだけの時間がかかるか
 第四の論点は、米露以外の国が保有するINF水準の地上発射型ミサイルをどのように位置づけるかである。INF問題が交渉されていた80年代と異なり、現在はミサイル技術の拡散が進み、多くの国がこの種のミサイルを保有している。特に日本周辺で影響があるのは、中国のDF-15系列(600〜850km)、DF-16(700km)、DF-21系列(1500〜1750km)、DF-26(3000km)、CJ-10(1000〜2000km:*巡航ミサイル)、北朝鮮のスカッドC(500km)、スカッドER(1000km)、ノドン(1300km)、北極星2(2000km)、そして韓国の玄武2系列(500〜800km)、玄武3系列(500〜1000km:*巡航ミサイル)などだ。

 2000年代の一時期にINF条約の多角化論が提起されたように、米国が新たにINFを開発・配備することで、それを条約拡大のレバレッジとして使うことができれば、INF条約の破棄は、21世紀版の「二重決定」を狙ったものと言えなくもない。しかし現実問題として、他国が米国の中距離ミサイル配備に従って、自分たちが保有する中距離ミサイルを手放すインセンティブはほとんど生まれないだろう。残念ながら、北朝鮮の非核化交渉においても、北朝鮮側がノドンや北極星2等の中距離ミサイルを取引材料としている様子は今のところ窺えない。また中国は、中距離の弾道・巡航ミサイル戦力を、広大な地理的縦深性を利用しながら、西太平洋において米軍の介入を妨げる接近阻止/領域拒否(A2/AD)能力の中核に据えている。これだけを見ても、INF条約が見直され、多国間の軍備管理条約に発展させるのは困難と言わざるをえない。

 だが中国や北朝鮮の中距離ミサイルは、日本の安全保障にとって重大な懸念事項であり、防衛政策上の対抗措置をとる必要はある。となれば、第五の論点となるのは、米国の中距離ミサイルを西太平洋地域に配備することが、周辺国の中距離ミサイル脅威を相殺し、抑止するのに資するかどうかである。

 そもそも、米国が新たにINFに相当する地上配備の中距離ミサイルを開発・配備するとすれば、どのようなオプションがあるのか。既に統合参謀本部と戦略軍は、ロシアの条約違反が疑われ始めた2013年頃から、INFが必要になる場合のフィージビリティ・スタディを複数行ってきた(具体的内容は非公表)。またFY2018国防授権法は、国防長官に「通常(非核)の移動式・地上発射型巡航ミサイル」の開発プログラムを立ち上げるマンデートを与えるとともに、INF水準の地上発射型ミサイルに対抗するための(1)積極防御手段、(2)カウンターフォース能力、(3)米国の能力を拡張するための相殺攻撃能力の開発に対し、5800万ドルを授権することを決めている。ただし、NPR2018における記述は「通常(非核)の地上発射型中距離ミサイル」と若干表現が異なり、検討対象を巡航ミサイルに限定していない=弾道ミサイルの可能性を残している。

 既存の兵器システムを改修する場合の候補となるのは、(1)トマホーク(*BlockWで射程1600km)の地上配備型、(2)空軍で開発中の空中発射型核巡航ミサイル=LRSO(推定射程2500km超)の地上配備型、(3)陸軍で開発中の新型ロケットシステム=Long Range Precision Fires(LRPF:射程300〜499km)の射程延伸=戦術弾道ミサイル化などであろう。変わり種としては、(4)日米共同開発の弾道ミサイル防衛用迎撃ミサイル=SM-3BlockUAのエアフレームを流用し、シーカーを交換することで対地攻撃用に転用できるとの見方もある(*これはSM-3自体に攻撃ミサイルとしての汎用性があるという意味ではない)。

 これらのオプションはいずれも10年以内で開発が可能とされるが、完全新規の巡航ミサイルないし弾道ミサイルを開発する場合には、より多くの時間とコストがかかる。ロシアや中国は既にINF水準のミサイルを開発・配備していることを踏まえると、いずれのオプションをとるにしても、米国が条約破棄から中距離ミサイルを開発、配備するまでにどれだけの時間がかかるかは非常に重要な問題である。

西太平洋地域に米国の中距離ミサイル配備、5つの役割
 その上で、米国の中距離ミサイルを西太平洋地域のどこかに配備することの主な狙いと課題を整理してみよう。まず、想定される役割としては以下の5つが挙げられる。

(1)戦力投射能力の最適混合化

 現在、西太平洋地域における米軍の主な戦力投射能力には、航空基地を基盤とする戦術航空機、戦略爆撃機、空母とその艦載機、水上艦、潜水艦などがあるが、対地攻撃に用いる長距離ミサイルの搭載量は(オハイオ級巡航ミサイル原潜を除けば)限定的である。例えば、アーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦でさえ、トマホークを1隻あたりおよそ30〜40発程度しか搭載することができない。またこれらのミサイルは空中はもとより、洋上での再装填ができないため、一度ミサイルを撃ちきった航空機や艦艇は基地や母港に戻って補給しなければならなくなる。その点、通常弾頭の中距離ミサイルをグアムや日本、豪州北部に配備して他のアセットが担っていた攻撃任務を担うことができれば、航空機や艦艇を対水上戦や対潜水艦戦、ミサイル防衛といった他の任務に割り当てられるという利点がある。

(2)中国内陸部へのコスト賦課

 地上配備の中距離ミサイルを中国の内陸部を攻撃できる地点に予め配備しておけば、B-2ステルス爆撃機などの高額なアセットを防空網に侵入させるといったリスクを冒さなくとも、恒常的に中国を牽制でき、更にそれらに対処するために防空システム等への追加的投資を強いることができるかもしれない。

(3)分散化された航空基地に対する制圧能力の補完

 相手が日本やグアムなどに数カ所しかない我が方の航空基地を中距離ミサイルで脅かしうるのに対抗して、こちら側からも遠距離から中国の航空基地や関連インフラを攻撃しうる手段を多様化することで、有事における相手の航空戦力を弱体化させるということも考えられる。

(4)海上封鎖能力の補完

 米軍の陸上部隊と中距離地対艦ミサイルを組み合わせ、軍事的緊張が高まった場合に島嶼部などへの迅速な機動展開を行い、バシー海峡等のチョークポイントを封鎖できる状況を作り出し、中国海軍の艦艇を牽制するという使い方もある。

(5)同盟国・パートナー国への安心供与

 かつて80年代に米=NATO間で行われたように、米国の中距離ミサイルを日本などの同盟国に配備することによって、米国の防衛・拡大抑止コミットメントを保証する安心供与としての役割が考えられる。これは中国を対象とする場合のみならず、北朝鮮を対象にする場合にも同様のことが言えるだろう。

課題・デメリットは?
 以上が、西太平洋地域に前方配備される米国の中距離ミサイルに見出しうる主な役割・メリットである。いずれも納得できるものではあるが、課題やデメリットについても精査する必要がある。それらをまとめると以下のような懸念が考えられる。

(1)地上発射型ミサイルである必然性

 最も根本的な主張は、これらの狙いの殆どは、条約に抵触しない空中発射型ないし海洋発射型ミサイルで代替できるというものだ。実際上記の狙いは、すべて既存の能力を補完することを念頭においており、地上発射型ミサイルでなければ達成できないわけではない。

(2)地上発射型ミサイルであるがゆえの脆弱性

 地上に配備されるミサイルは、航空機や艦艇に搭載されるミサイルよりも、敵の攻撃に対して脆弱である。米国が新たに開発する中距離ミサイルはいずれも路上移動式を前提としているが、広大な戦略的縦深を有するロシアや中国、あるいは欧州の戦略環境と異なり、グアムや日本、東南アジアの島嶼国はいずれも縦深性に乏しく、移動式による恩恵を受けにくい。また地上配備の場合、弾薬庫を併設すれば、航空機や艦艇よりも容易に補給が可能との見方もあるが、攻撃を避けるために予めミサイルの移動発射台を分散・秘匿しようとすれば、その分、兵站上の制約が生じて弾薬庫や補給車両を近くに置く恩恵は受けられない。逆に、補給の利便性を考慮して、移動発射台を弾薬庫近くに展開しようとすると、今度は固定式ミサイルと大して変わらなくなり、配備基地ごと先制攻撃によって撃破される恐れがある。

(3)巡航ミサイルか、弾道ミサイルか/核か、非核か

 相手に対してコスト賦課を強いたり、抑止を成立させる場合、配備された兵器システムが実際に使用された場合の軍事的効果、すなわち作戦遂行においてこちらに優位があり、相手が劣勢になることがある程度はっきりしている必要がある。となれば、配備する中距離ミサイルが巡航ミサイルであるか、弾道ミサイルであるか、それに搭載する弾頭が核弾頭であるか、通常弾頭であるかの差はかなり大きい。

 まず航空基地を機能不全に陥れることを目的とする場合、通常弾頭の巡航ミサイルであれば、その効果はかなり限定される。2017年4月6日に米軍がシリアのシャイラート航空基地に対して行った攻撃では59発のトマホークが使用されたが、シャイラート基地はわずか2日後には運用を再開している。したがって、通常弾頭で航空基地機能をある程度低減させることを試みる場合、弾道ミサイルを用いて滑走路などを攻撃する方が効果的である。

 これは中国がDF-21等を用いて嘉手納基地などを想定した攻撃訓練を実施していることからも読み取れる。ただし、中国の分散化された航空基地ネットワークは40箇所以上に及び、これらに有効な打撃を与えるためには600発以上の弾道ミサイルが必要になると見積もられている。これだけの大量の弾道ミサイルと、ある程度の同時発射を可能とする移動発射台を予め前方展開させておくのは、政治的にも運用コスト上も難しい。となれば、航空基地を効率的に打撃する方法は低出力核を用いることだが、これは政治的に正当化しにくい上、非核三原則を有する日本でなくとも配備先の反発を招くだろう。なおかつ、そうした運用方法はNPR2018で言及された低出力トライデントや核SLCM、LRSOなどで達成できるから、地上配備の中距離核である必然性はない。

 相手の移動式ミサイルを標的とする場合にも似たような問題が生じる。滑走路やレーダーサイトのような固定目標と異なり、配備基地から展開してしまった移動式ミサイルを発見して効率的に撃破することは相当難しい。日本やグアムから発射する亜音速の巡航ミサイルでは、標的に到達するまでに時間がかかり過ぎ、その間にシェルターなどに退避してしまう余地がある。弾道ミサイルであれば、発射から弾着までの時間は短縮されるが、通常弾頭では移動式ミサイルを正確に攻撃できるほどの精度を出すことは難しくなる。

 そうなると、ここでも分散展開した移動式ミサイルを迅速かつ確実に撃破する方法は、低出力核攻撃ということになる。戦略軍では移動式ミサイルに対するカウンターフォース攻撃の一手法として、核弾頭を空中で起爆させ、その過圧効果により一定範囲の地表に出ている標的を一掃することを想定しているが、やはりそれは地上配備の中距離ミサイルでなくとも、低出力トライデントや核SLCM、あるいはLRSOで達成できる(*トライデントやLRSOに搭載が予定されている低出力核のイールドを5キロトンと見積もった場合、それを上空530mで起爆させた際の防護措置のとられていない攻撃目標に対する有効半径はおよそ1.2km[4.54 km²]、致死量の放射線降下物の拡散範囲は風向きに関係なく1km圏内に収まると見積もられる)。

 とりわけ、潜水艦発射型のミサイルは、カウンターフォース攻撃による強制武装解除に使用する場合、相手に探知されることなく、目標付近の海域まで接近して発射から弾着までの時間を短縮できる他、発射地点を変更したり、長期間一定の水域に留まることもできるメリットがある。これこそが、NPR2018で潜水艦を基盤とする低出力核戦力の増強が決定された理由であることを踏まえると、地上配備の中距離ミサイルに見出せる軍事的なアドバンテージはそれほど多くはない。

 中距離ミサイルの活用方法のうち、低リスクで軍事的効果が高そうなのは、陸上部隊による長射程対艦ミサイルの機動的運用であろう。森林や山岳地帯と異なり、遮蔽物やバンカーなどを作りようがない洋上であれば、それが巡航ミサイルであれ、弾道ミサイルであれ、通常弾頭でも精密攻撃を行う難易度はある程度低下する。米国がこの種の中距離ミサイルを本気で開発するつもりであれば、小型の固体燃料ロケット技術を持つ日本が技術協力を行うというオプションも視野に入ってくるかもしれない。それを元にして、現在防衛省で研究開発が進められている島嶼防衛用高速滑空弾に、米国の極超音速兵器開発で培ったノウハウを組み合わせて、戦術レベルの極超音速滑空ミサイルに発展させるのも一案である。事実、統合参謀本部と戦略軍が行なったレビューでは、中距離ミサイルの再開発過程で、その技術がブースト型滑空弾頭の開発に資する可能性を示唆している。

日本がすべきことは?
 最後に、拡大抑止との関連についてであるが、日本を含めた同盟国に米国の中距離ミサイルを配備すれば、80年代にNATO諸国がとったのと同様、米国の防衛コミットメントを確実に出来るとの考え方には一理ある。ただし、当時米国のパーシングUやGLCMを受け入れた西ドイツや英国などの国々は、ソ連がそれらのINFを目掛けて核攻撃を仕掛けてくるリスクを受け入れた上で、米国との政治的連帯という安心を得ることを優先した覚悟を見落とすべきではないだろう。言い換えれば、脆弱な地上配備核の前方配備を受け入れるということは、それらの戦力が相手の攻撃に晒されることで、米国の核報復を発動させる「仕掛け線(トリップワイヤー)」としての役割を果たしていたということになる。

 もっとも、米国による報復可能性を重視する抑止戦略は、相手が「米国は再反撃を恐れて、同盟国を守らないだろう」と誤算した場合には破綻してしまう。この点は、中国がDF-41を含む一定程度の非脆弱なICBM=対米第二撃能力を100基近くまで増強していること、あるいは北朝鮮が火星15のような強力な移動式ICBMの開発に成功し、自信を強めているという事実を真剣に考慮する必要があるだろう。その場合、日本の安全保障にとってより重要となるのは、報復ベースの抑止戦略のみならず、非脆弱な低出力核戦力を含めた米軍の損害限定能力が、危機時において確実に機能するよう作戦計画の共有・確認などの緊密な協議を平素から行うとともに、米軍の潜水艦や航空戦力の展開を支える対潜水艦戦・統合ミサイル防衛など、我が国自身の防衛力整備を着実に行っておくことではないだろうか。

 このようにINF問題が日本の安全保障にもたらす影響は、メリットとデメリットの双方が絡み合って極めて複雑であり、簡単に答えを出すことはできない。それは冷戦期からこの問題に向き合ってきた、米国の安全保障専門家や核戦略家の間でも同様であり、その見解も一致していない。したがって、米国の条約破棄を「トランプの暴走」という単純な構図で切り取ってしまうのは不適当である。日本としては、メリットとデメリットの両面をしっかりと認識しながら、運用の現場で国民の安全にとって総合的にプラスとなる方策を地道に形作っていく必要がある。
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/14328

 


米国に「INF条約」破棄を決断させた中国の脅威
大量の中距離ミサイルを配備、日本側の対中抑止力は「ゼロ」
2018.10.24(水) 古森 義久
トランプ氏、核戦力「人々が目を覚ますまで増強」 中国への対抗に言及
モスクワでロシアのセルゲイ・ラブロフ外相(右)と話すジョン・ボルトン米大統領補佐官。ロシア外務省提供(2018年10月22日撮影)。(c)AFP PHOTO / Russian Foreign Ministry〔AFPBB News〕

 米国政府が、旧ソ連との間で結んだ中距離核戦力(INF)全廃条約の破棄を表明した。日本では、この動きが核廃絶に逆行するとして反対する声も強い。だがこの条約は、中国が中距離ミサイルを大増強することを許し、米国にその抑止の対抗手段をとることを禁じてきた。中国の中距離ミサイルは日本を射程に入れている。この現実からみれば、米国の同条約離脱は、日本の安全保障にとって対中抑止力を高める効果を生む側面もある。

核兵器の削減や破棄の条約ではない
 米国のトランプ大統領は10月20日、米ソ中距離核戦力全廃条約の破棄を表明した。東西冷戦の終盤の1987年に、当時の米国のレーガン大統領とソ連のゴルバチョフ書記長とが調印した条約である。

 その内容は、米ソ両国に、核弾頭および非核の通常弾頭を搭載できる地上配備の「中距離ミサイル」を全廃することを課していた。水上や空中から発射する中距離ミサイルは除外されていた。

 中距離ミサイルとは、射程500キロから5500キロまでの弾道、巡航両方のミサイルを指す。この「中距離」の定義は、従来のミサイル区分の「短距離」(射程1000キロまで)、「準中距離」(1000から3000キロまで)、「中距離」(3000から5500キロまで)のすべてを含んでいた。だから米国もソ連、そしてその後継国家とされたロシアも、この条約を守ることによって、これらの幅広いカテゴリーのミサイルは一切開発も保有も配備もできないことになっていた。

 ただし、INF条約はあくまで中距離ミサイルの禁止であり、核兵器自体の禁止や削減ではない。このあたりについても、いまの日本の一部の反応は的外れと言うことができよう。核兵器の削減や破棄の条約ではなく、単に特定の種類のミサイルの全廃条約だったのだ。

INF条約が禁止するミサイルを大量に保有する中国
 米国側は今回のこの条約破棄の理由として、まず「ロシア側の条約違反」を挙げた。ロシアが2014年ごろから条約に違反して新型の地上発射巡航ミサイルを製造し、配備しているという非難である。

 さらにトランプ政権は条約破棄の理由として中国のミサイル大増強も挙げていた。複数の米軍高官は今回の米国の動きに関連して、「もし中国がINF条約に加盟していたとすれば、いま中国が保有する全ミサイル約2000基のうち95%相当が条約違反となる」と言明した。つまり中国は、INF条約が禁止する1900基もの中距離ミサイルを保有・配備しているというわけだ。

 米国議会で安全保障問題に精通するトム・コットン上院議員(共和党)は10月21日、次のような声明を出した。

「米国のINF条約破棄の真の理由は、ロシアよりも中国の行動だといえる。中国は中距離ミサイルに関して制限は皆無である。そのため多数の中距離ミサイルを配備して、米国やその同盟諸国への大きな脅威となってきた。一方、米国は地上配備の中距離ミサイルはゼロであることを強いられてきたのだ」

 米軍当局も東アジア、西太平洋の安全保障に関して中国のミサイルの脅威への警告を発し続けてきた。今年(2018年)3月の上院軍事委員会の公聴会では、ハリー・ハリス太平洋統合軍司令官(現在は韓国駐在大使)が以下の骨子を証言している。

・中国人民解放軍は、弾道ミサイルの分野で最も劇的な進歩を示し、あらゆる種類の基数、型式、精密度などを高めている。とくに最も技術の進歩が顕著なのが、準中距離弾道ミサイル(IRBM)だ。中国軍のミサイル戦力全体のなかでIRBMは90%以上を占める。

・中国のメディアは定期的にミサイル開発を大々的に宣伝するが、その際は、それらミサイルが特定の国を標的にはしていないことを強調している。しかし各種ミサイルの飛行距離を実際の地理に置き換えてみると、どのミサイルがどの地域を標的としているかが明らかとなる。

・短距離弾道ミサイル(SRBM)は台湾と米海軍空母機動部隊の海上活動を標的とし、IRBMは日本国内の米軍基地とグアム島を主要な標的としている。この脅威を抑止するには米軍も中国本土に届く同類のミサイルを配備することが必要である。だが、INF条約のために地上配備の中距離ミサイルはまったく持てず、中国との均衡を大きく欠いている。

 ハリス司令官はこのように証言し、INF条約が東アジアでの米国対中国の中距離ミサイル戦力の極端な不均衡をもたらし、米側の対中抑止力をなくしたことに対して警鐘を鳴らした。

 東アジアでの対中抑止力といえば、まさに日本の国家安全保障への直接的な意味を持つ。つまり中国は日本を攻撃できる中距離ミサイルを、弾道と巡航の両種類を備え、核弾頭も含む弾頭を少なくとも数百基の単位で持っているのに、日本はゼロである。その日本を防衛するはずの米国も、地上配備の中距離ミサイルとなるとゼロに等しいという不均衡なのだ。

以前からあったINF条約「破棄」論
 他国からの軍事攻撃や威嚇を防ぐには、その相手を同じ水準で攻撃し、威嚇できる軍事能力を持つことが効果的な抑止とされる。米国の歴代政権はそうした抑止を安全保障の最大の基軸としてきた。だが現実には、INF条約が米国の中距離ミサイルによる抑止力を奪う結果となってきた。

 ロシアが相手であれば、互いに中距離ミサイルは持たないことで均衡となる。ロシアは公式には条約を守ることになっているからだ。そこには安定した相互抑止の状態が生まれるというわけだ。

 だが東アジアの状況は異なる。中距離ミサイルを多数、保有する中国はもちろん、北朝鮮までが米国に対して圧倒的な優位に立ってきたのである。

 米国では、この東アジアでの不均衡が危険だと懸念して、INF条約を破棄して均衡を取り戻すべきだという意見が以前から表明されてきた。そのなかには日本への直接的な提言もあった。民間研究機関の「プロジェクト2049研究所」は2011年に「21世紀のアジアの同盟」と題する政策提言の報告書を発表した。プロジェクト2049研究所の所長は、現在、トランプ政権の国防総省で東アジア、太平洋問題を担当する次官補のランディ・シュライバー氏が務めていた。

 同報告書の中には、日本への言及として以下のような提言があった。

・中国は日本を攻撃できる中距離ミサイル多数を配備して、脅威を高めている。だが、日本側には抑止能力はない。もし日本が中国からミサイルによる攻撃や威嚇を受けた場合、同種のミサイルで即時に中国の要衝を攻撃できる能力を保持すれば、中国への効果的な抑止力となる。

・日本が独自の中距離ミサイルを開発も配備もしない場合、日米同盟による米国の中距離ミサイルの存在が日本の安全保障にとって有効な抑止力となる。だが米国の中距離ミサイルの配備は米ソ間の中距離核戦力全廃条約によって禁止されている。このため、「中国抑止のために同条約を破棄する」という選択肢も検討されるべきだ。

 このように、日本の安全保障のためにもINF条約は破棄されるべきだとする意見が、米国内部にはなんと7年前から存在したのである。その大胆な意見を公表した研究所の所長が今やトランプ政権の東アジア太平洋担当の国防総省高官となっている点は、日本としては大いに目を向けるべきだろう。

 今後、米国は中距離ミサイルを自由に保有し配備できるようになる。日本周辺の東アジアでも中距離ミサイル戦力を備えることが可能になる。だから、対中抑止力の復活ともいえる。米国がINF条約を破棄することは、日本にとってこんな前向きな意義も考えられるのである。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/54461
 

  拍手はせず、拍手一覧を見る

コメント
1. 中川隆[-13344] koaQ7Jey 2018年10月25日 16:29:04 : b5JdkWvGxs : DbsSfawrpEw[-19507] 報告
中国と関わると日本人はこの手口で浄化される
1. 沖縄や北海道で中国系住民が過半数になったら独立宣言して中国小日本省になる

2. 中国軍が自国民保護という名目で沖縄や北海道を占領

3. 日本人浄化にとりかかる

4. 日本政府は遺憾の意を表するが、これは中国の内政問題だとして相手にされない


ウイグルへの弾圧は何度か書いてきましたが、いま中国が行っているのは民族浄化で、ただ浄化するのではなく、ウイグル人を殺して臓器売買のドル箱としているのです。


参考ページのURL
http://uyghur-j.org/japan/
http://uyghur-j.org/20180908/uyghur_japan_report_20180908.pdf


2018 年 9月 8 日
中国のウイグル人への弾圧状況についてレポート
在日ウイグル人有識者会議
http://uyghur-j.org/20180908/uyghur_japan_report_20180908.pdf


第一章 概要

古代より東トルキスタン(“現新疆ウイグル自治区”)は、ヨーロッパと東アジアをつなぐ要衝
であるだけでなく、石炭、石油、天然ガス等地下資源の豊富な地域だ。1949 年に中国人民解放軍
が東トルキスタンに侵攻し、「新疆ウイグル自治区」として共産党の支配下に組み込んだ。それ以
来、中国当局によるウイグル人への差別的、抑圧的政策がずっと続いてきた。
だが、2 年前から事態が急変し、ウイグル情勢は著しく悪化した。2016 年に元中国共産党チベ
ット自治区委員会の書記で、チベット人の弾圧で手腕を発揮した陳全国が“新疆ウイグル自治区”
の書記に就任してから、独裁的な長期政権を築いた習近平中国共産党総書記をバックにし、東ト
ルキスタン歴史の中で最も酷く露骨な人権弾圧、同化・民族浄化政策を展開し始めた。習近平政
権が推進する現代版シルクロード経済圏構想「一帯一路」の戦略的要衝とみられる東トルキスタ
ンに、完全な監視・封じ込めた社会を作り上げ、ウイグル人の言語、文化、宗教を完全に絶滅さ
せるような民族浄化政策を実施している。
陳全国が就任して以来、前任の張春賢が推進した「双語教育」(事実上の漢語教育)をさらに露
骨化し、小学校から大学まで全ての教育機関でウイグル語の使用を禁止した。ウイグル語で出版
された教科書、小説、歴史を反映する本、イスラム教に関連する書籍を焼却した。
陳は、1 年も経たない間に、9 万人を越す治安関係ポストを募集し、ウイグル自治区の警察の人
員を2015 年の6 倍に増員し、ウイグル地域において「監視社会」の完成を手掛けた。2017 年第
1 四半期(1〜3 月)のみで、ウイグル自治区で10 億ドル(約1130 億円)以上に相当するセキュ
リティー関連の投資をし(カシュガル市だけで今年3 月、5100 万ドル(約55 億円)以上を投じ
た)、ウイグル全地域に人工知能(AI)の顔認証技術が搭載された監視カメラを設置した。中国政
府はウイグル自治区を最先端の監視技術を試行する実験場にした。
至る所に500m間隔で監視塔付きの交番(検問所)を設け、24 時間体制で検問・監視を始めた。
全てのウイグル人から旅券が没収された。スマートフォンにスパイウェア・アプリのインストー
ルを強要した。GPS の車両搭載が義務付けられた。ウイグル、カザフなど現地住民の政治信頼度
を評価するため、「個人情報採集表、点数表」を配布し、全住民に点数をつけ、身分証明書ID と
連結させた。この点数で拘束対象者を決め、「再教育センター」に収監した。12 歳から65 歳まで
の住民を対象にDNA や血液のサンプル、指紋、虹彩、血液型などの生体データを集めた。
最も酷いのは、2017 年初頭から、「再教育センター」、「教育転化学校」、「技能研修センター」
という名前の「強制収容所」の建設を急ピッチで進め、何も罪のない100 万人以上のウイグル人
(ウイグル人口の約10%)をこれらの収容所に監禁し、共産党の政治思想、宗教転化(非イスラ
ム化)、民族アイデンティティを破壊するための「洗脳教育」を行っている。ウイグル人社会に何
らかの影響を持つ著名人、教育界のエリートたち、著名なイスラム学者、人気のスポーツ選手、
音楽家、経済界で成功した経営者(銀行に100 万円以上貯金のある人)らも続々と強制収容所に
入れられた。両親が拘束され家に残された子供たちが孤児園に送られた。
そして、各収容所から続々死者が出始めた。遺体は家族に返さずに内密に「処分」された。カ
シュガル空港では「人体器官運送通路」、「移植器官航空運送保障プロセス」標識の専用通路やス
ペースが用意され、臓器売買のため国家ぐるみで「臓器狩り」していることが明らかになった。
21 世紀の今この瞬間も、中国政府が行っている「ナチス強制収容所の再現」(ジェノサイド)
とも言える人権弾圧、民族浄化に対し、日本を含む多くの国・政府の沈黙が続いている。納税者
である我々在日のウイグル人は、良心を持つ、正義を求める日本国民・政府に対し以下を呼びか
けたい。沈黙しないでほしい。中国政府を非難し、収容所の閉鎖、全収監者の即時釈放に働きかけ
てほしい。これは単に人権弾圧の問題ではなく、「人道に対する罪」、世界平和への挑発であり、ウ
イグル民族存亡の危機とみてほしい。


第二章 「強制収容所(再教育センター)」の現実

2016 年に元中国共産党チベット自治区委員会の書記で、チベット人の弾圧で手腕を発揮した陳
全国が新疆ウイグル自治区の書記に就任してから、独裁的な長期政権を築いた習近平中国共産党
総書記をバックにし、露骨な人権弾圧・民族浄化政策を展開し始めた。
1.【ウイグル人100 万人以上が強制収容所に】
東トルキスタン(“新疆ウイグル自治区”)において、2017 年初頭以来、「再教育センター」、「教
育転化学校」、「技能研修センター」という名前の「強制収容所」の建設が急ピッチで進められる
と同時に、100 万人以上のウイグル人(ウイグル人口の約10%)がこの収容所に収監されている
ことが最近続々と明らかになった。中国の人権を監視する国際NGO 組織・中国人権擁護(Chinese
Human Rights Defenders)が今年8 月3 日発表した最新の調査報告によると、上記の「再教育セ
ンター」と呼ばれる閉鎖式キャンプ(強制収容所)に110 万人が収監されているほか、開放式キャ
ンプ(食事や寝泊まりに自宅に帰れる)で約220 万人が再教育(洗脳教育)されているという。
合わせると330 万人が「再教育」の対象となっている。東トルキスタンの人口は2300 万人(2014
年統計)で、ウイグル人口は48.5%、約1130 万人だとすると、ウイグル人口の約30%の人が「再
教育」されているのだ『参考資料1-2』。報道によると、2017 年春以来強制収容所に収監された人
で釈放された人がいないという『参考資料3』。
何も罪がなく、「要注意人物点数表(第四章を参照)」でマイナス点数が高い人が収容所送りの
対象者となっている。例えば、(1)ウイグル人である(2)イスラムの礼拝をしている(3)宗
教知識がある(4)(当局が要注意とする中東など)26 カ国に行ったことがある(5)外国に留
学した子供がいる……といった項目に該当すれば要注意人物として対象者となる『参考資料4』。
また、ウイグル人社会に何らかの影響を持つ著名人、教育界のエリートたち、イスラム学者、人
気スポーツ選手、音楽家、経済界で成功した裕福な経営者らも「民族情绪(民族的気持ち)があ
る」、「両面人(裏表がある人物)」として収監対象者となっているのである(第三章を参照)。収
容所の状況は海外メディア、研究者らによって次々と報道されるようになった『参考資料5-10』。


2.【強制収容所の位置・規模が明らかに】

第二章 「強制収容所(再教育センター)」の現実


東トルキスタン(89県あり)の各県に少なくても5つの再教育センターがあるとされ、科学
者の衛星写真やグーグルマップからの調査で既に29 件の収容所位置、その規模が明らかになった
『参考資料11-13』。それぞれ一か所に1000 人から1 万人が収監されている。例えば、2017 年4
月にカシュガル疏附県(コナ・シェヘル)で当時建設予定の収容所(新疆疏附县法制教育转化学
校、位置座標39°21'33.1"N 75°51'50.0"E)の入札募集によると、収容所は3.5万平方メート
ル広さで、政府出資1.4 億元(約29 億円)であった『参考資料14』。同様にカシュガル・疏勒県
巴仁郷(イェニシェヘル・バリン郷、1990 年に有名な「バリン郷事件」発生した場所)座標
39°21'29.2"N 76°03'04.1"E に位置する収容所《疏勒县法制教育转化学校》(上・写真1)は一
年前に何もなかった畑に新しく建てられた収容所で、1 号館〜5 号館の4階建「教学棟」(70.5m
×17.5m)と管理棟があり、それぞれ面積4943.11 uである『参考資料15』。グーグルマップから
も上記座標コードから確認できる。
また、アルトゥシュ(クズルス・キルギス自治州)政府ホームページで、2018 年3 月21 日掲示
された、「アルトゥシュ市職業技能教育研修サービスセンター建設項目の環境への影響報告表に対
する審査意見」(关于《阿图什市职业技能教育培训服务中心建设项目环境影响报告表》的审批意见)
『参考資料16』によると、39°38'28.0"N 75°59'46.0"E に位置する該当教育センターは、9.6 万
u規模(東京ドーム2個分の広さ)、政府投資3 億5000 万元(約60 億円)で、収監者部屋(7.6
万u)、管理用部屋(1.1 万u)、武装警察用部屋(8.5 千u)、有刺鉄線のフェンス付き障壁1292m、
医療室1200 u、8460 人分の食事を作る厨房などから構成されている。名前は技能教育研修セン
ターだが、武装警察、監視塔完備した、8000 人が収容できる強制収容所である『参考資料17』(写
真2)。
最近、さらに規模が大きい収容施設の実態が明らかになった。ウルムチ市達坂城区に位置する
「ウルムチ職業技能教育研修センター」(座標:43°23'01.8"N 88°17'18.2"E)は占用面積52 万
u、建築面積13 万u(東京ドームの約3 倍)であった。この収容施設には収容ビル(監獄)が8
棟あるほか、居留センタービル1 棟、警察備勤ビルが8 棟、警察総合ビル1棟、病院棟、レスト
ラン棟、物資倉庫棟、武装警察宿舎2 棟、監視塔などがある。推測では約1 万人の収監者を収容
できるという『参考資料18』(写真3)。そのほか、カラマイ市に地上5 メートル、地下40 メート
ルの地下収容所が建設されたことが明らかになった。この秘密の地下収容所には少なくとも1 万
人を収容する予定だという『参考資料19』。
これらの収容施設は、新たな政府投資で建設され、調査で分かったものだが、収監者数があま
りにも多いため、入りきれない人たちは、臨時収容所して使っている学校(廃止されたウイグル


小中学校)、党校(共産党学校)、専門学校、病院、体育館、倉庫、まだ特定できていない様々な
施設に収監され、すし詰め状態にあるという。また、ベッドが足りないため、昼班/夜班交代制で、
教育される人と寝る人を入れ替えているという。


3.【収監者及び関係者の証言】
収容所で8 か月収監された経験があり、カザフスタン政府の働きかけで釈放されたカザフスタ
ン国籍のウメル氏の証言『参考資料20-22』によれば、彼はピチャンにある両親を訪ねて行ったと
き、身柄を拘束され、危険分子として「カラマイ市技術研修センター」という収容所に送られた。
この収容所には当時約1000 人が収容され、8 割がウイグル人、2 割がカザフ人だった。環境条件
が大変悪く、狭い一室に20 人以上がすし詰め状態で寝泊まりしていた。食事も、トイレも同室で
済ませたという。毎日早朝から夜遅くまで中国語でプロパガンダ歌謡を歌わせ、共産党の政治思
想、宗教転化(非イスラム化)、民族としてのアイデンティティを破壊するための「洗脳教育」が
行われ、その日のテストで不合格なった者や少しでも不満を表した人は厳しく罰せられる(食事
与えず、手足が絞られた状態でヘッドホンより大音量を流し睡眠できないようにする)という。
イスラム教徒の禁物である酒や豚肉を強要されているとの証言もある『参考資料23』。
また、中国の強制収容所で働いていて、カザフスタンへ不法入国した罪で逮捕されたサイラグ
ル・サウットバイ(Sayragul Sauytbay, 41 歳)が法廷で、中国が存在を否定してきた「再教育キ
ャンプ」について証言した『参考資料24』。証言によると、彼女が働いた「キャンプには2500 人
ほどの収監者がいて、そこは一般に政治キャンプと呼ばれるが、実際は山区の刑務所だった」と
いう。カザフスタン政府は中国からの送還要求を押し切って、サイラグルを無罪釈放し、カザフ
スタンにいる家族の元に返した『参考資料25』。
2018 年7 月19 日NHK-BS1 テレビチャンネルで放送した国際報道番組「中国でウイグル族大
量拘束 今何が?」でも、在日留学生4 名が「家族が収容所に送られ、全く連絡がつかず、安否
状況がわからない」と証言した『参考資料26』(在日ウイグル人の被害状況の詳細は第四章を参照)。


4.【収容所で不明の病気が蔓延】

ウイグル自治区政府衛生局の業績とした記事(ホームページで発表されその後削除された)に
よると、ホータン地区1 市、7 県の収容所で不明の「伝染病が蔓延」したため、2017 年7 月9 日
から8 月3 日の間に自治区の調査チームを派遣し調査に行った結果、「肺結核」だったということ
で、558 人を病院に搬送・隔離したという。しかし、これらの患者が本当に肺結核なのか、その
後どうなったのかは一切明らかにされておらず、政府のよる隠ぺい・情報封鎖が行われたことが
明らかである『参考資料27』。
5.【収容所から死者が続出】
これまでの報道で各収容所から続々死者が出ていて『参考資料28-29、第三章死者リスト参照』、
一部の老人遺体以外は家族に返されず、家族に合わせることもなく、新しく設けられた一般人が
入ることのできない遺体処理・安置所『参考資料30』で焼却処分されていると思われる(ウイグ
ル人の民族習慣では亡くなった人に葬儀を行い、故人を専用墓地に埋葬する)。
臓器売買のため、臓器が抜き取られた痕跡のある遺体もあったという噂がある。そして、それ
を裏付ける写真もあった。
上の写真3は、観光でウイグルに行った日本人により今年1 月にカシュガル空港で撮られた写
真であり、空港では「人体器官運送通路」、「人体寄付、移植器官航空運送保障プロセス」標識の
専用通路やスペースが用意され、国家ぐるみで人の臓器を強盗していることを示す徹底的証拠で
ある。この内容はThe Epoch Times でも報じられた『参考資料31』。
在日ウイグル人一人の証言によると、彼女の弟(24 歳)が今年5月に収容所で亡くなり、遺体
を家族に返さずに当局の監視下で直接処理されたそうだ。死因は何なのか、遺体はどこに、どう
いう方法で処理されたかなどの情報は一切聞かされていない。電話に答えた親族は「党のケアの
元で葬送した、さようなら」と言い他に何も言えなかったという。
6.【ウイグル人口密集地に火葬場】
そして、もっとも不思議なことは、中国当局はイスラム教を信仰するウイグル人が95%以上を
占める県、町、村に急ピッチで数多くの火葬場建設を進めている『参考資料32』。そして、一般人
月給の数倍の賃金で人員(もちろん漢民族)を募集している『参考資料33』。


今後ウイグル人の死体を火葬するつもりなのかと 思うだけでも鳥肌が立つほど恐ろしい!中
国政府は一体何をしようとしているのか! これらの事象は「ナチス強制収容所の再現」(ジェノ
サイド)の予兆とも言えるだろう。
7.【家に残された子供は孤児園に】
また、深刻な問題になっているのは、両親が拘束され、家に残された大勢の幼い子供たちが孤
児園に入れられ、ウイグルアイデンティティーを無くす漢化教育が行われている。「両親は政治的
な問題を抱えているため、子供は通常の子供と一緒に学校に通うことが禁じられている」という
『参考資料34』。若い妻のみ残された家には、漢民族の男性が世話役で寝泊まりするケースもある。


8.【アメリカ政府の見解】
アメリカのペンス副大統領は7 月26 日、首都ワシントンで講演し「中国政府は、数十万人、も
しくは数百万人の規模でイスラム教徒のウイグル族を再教育施設という場所に収容している。宗
教の信仰と文化的な帰属意識を失わせようとしている」と述べて非難したことを、NHK が7 月
27 日朝のTV 番組で伝えた『参考資料35』。
さらに、7月26日ウイグルにおける収容所問題に関して、アメリカ議会で初めてとなる公聴
会が開かれた。昨年に大統領選に候補者となった上院議員・議長のルビオ(Marco Rubio)氏が
この公聴会を招集した。家族20人以上が拘束され、行方不明となったことをアメリカ ラジオ・
フリー・アジアのアナウンサー・記者であるグリチェヒラ・ホジャ(Gulchehre Hoja, アメリカ
国籍のウイグル人)が証言した。また、アメリカ駐国連経済社会理事会大使のケリー・カリー
(Kelley Currie)氏が、「2017 年4月から、習近平指導下の中国当局がウイグル人に対する弾圧程
度は「人を驚かす、ショッキングなものだ」、文化大革命がエスカレートした時期とも比べること
ができないほど酷いのだ。男子髭の禁止、女性の公衆場でのベール着用禁止、そして短いズボン
を着ること、喫煙、お酒を飲むこと、豚肉を食べることを拒むことを犯罪と見なし、政府系公式
テレビを見ることを拒むことさえ罪に問われている」と述べた『参考資料36』。
ナチス式経験しているとも言える「強制収容所」は、ウイグル民族数千年の歴史の中で経験し
ている最も酷く、ウイグル人の言語、文化のみならず、民族が絶滅する危機に直面している重大
な事件である。


『参考資料』

1. China: Massive Numbers of Uyghurs & Other Ethnic Minorities Forced into Re-education
Programs, Chinese Human Rights Defenders, August 3, 2018
https://www.nchrd.org/2018/08/china-massive-numbers-of-uyghurs-other-ethnic-minorities-forc
ed-into-re-education-programs/

2. Survey: Three Million, Mostly Uyghurs, in Some Form of Political ‘Re-Education’ in Xinjiang
https://www.rfa.org/english/news/uyghur/millions-08032018142025.html

3. ‘No Releases’ of Thousands Held For Years in Xinjiang Township Political ‘Re-education Camps’
https://www.rfa.org/english/news/uyghur/township-08062018145657.html

4. 水谷尚子,「ウイグル絶望収容所の収監者数は89 万人以上」, Newsweeks 日本版 2018.03.13
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2018/03/89-3.php

5. What Really Happens in China’s ‘Re-education’ Camps, The New York Times, May 15, 2018
https://www.nytimes.com/2018/05/15/opinion/china-re-education-camps.html

6. Simon Denyer, Former inmates of China’s Muslim ‘reeducation’ camps tell of brainwashing, torture,
The Washington Post, May. 17, 2018
https://www.washingtonpost.com/world/asia_pacific/former-inmates-of-chinas-muslim-re-educat
ion-camps-tell-of-brainwashing-torture/2018/05/16/32b330e8-5850-11e8-8b92-45fdd7aaef3c_sto
ry.html?utm_term=.95541c3fd6ad

7. Adrian Zenz, New Evidence for China’s Political Re-Education Campaign in Xinjiang, May 15,

https://jamestown.org/program/evidence-for-chinas-political-re-education-campaign-in-xinjiang/


8. Adrian Zenz, "Thoroughly Reforming them Toward a Healthy Heart Attitude" - China's Political
Re-Education Campaign in Xinjiang, May 15, 2018
https://www.academia.edu/36638456/_Thoroughly_Reforming_them_Toward_a_Healthy_Heart_
Attitude_-_Chinas_Political_Re-Education_Campaign_in_Xinjiang

9. Tara Francis Chan, China is secretly imprisoning close to 1 million people — but they've left 2 big
pieces of evidence behind, May. 30, 2018
http://www.businessinsider.com/how-many-people-are-imprisoned-in-xinjiang-china-government
-documents-2018-5

10. Xinjiang Political ‘Re-Education Camps’ Treat Uyghurs ‘Infected by Religious Extremism’: CCP
Youth League, RFA, Aug 8, 2018.
https://www.rfa.org/english/news/uyghur/infected-08082018173807.html

11. Shawn Zhang, List of Re-education Camps in Xinjiang 新疆再教育集中营列表, May 20, 2018.
https://medium.com/@shawnwzhang/list-of-re-education-camps-in-xinjiang-%E6%96%B0%E7
%96%86%E5%86%8D%E6%95%99%E8%82%B2%E9%9B%86%E4%B8%AD%E8%90%A5%E
5%88%97%E8%A1%A8-99720372419c

12. Shawn Zhang, Detention Camp Construction is Booming in Xinjiang, Jun 19, 2018.
https://medium.com/@shawnwzhang/detention-camp-construction-is-booming-in-xinjiang-a2525
044c6b1

13. Shawn Zhang, Xinjiang’s re-education system is a hybrid of Gulag and Indian Residential School,
Jun 13, 2018
https://medium.com/@shawnwzhang/latest-re-education-campaign-in-karshgar-xinjiang-167668a
d5729

14. Shawn Zhang, Satellite Imagery of Xinjiang “Re-education Camp” 3 新疆再教育集中营卫星图3,
May 20, 2018.
https://medium.com/@shawnwzhang/satellite-imagery-of-xinjiang-re-education-camp-%E6%96
%B0%E7%96%86%E5%86%8D%E6%95%99%E8%82%B2%E9%9B%86%E4%B8%AD%E8%9
0%A5%E5%8D%AB%E6%98%9F%E5%9B%BE-96691b1a0d62

15. Shawn Zhang, Satellite Imagery of Xinjiang “Re-education Camp” 1 新疆再教育集中营卫星图1,
May 20, 2018.
https://medium.com/@shawnwzhang/satellite-imagery-of-xinjiang-re-education-camp-3-%E6%9
6%B0%E7%96%86%E5%86%8D%E6%95%99%E8%82%B2%E9%9B%86%E4%B8%AD%E8%
90%A5%E5%8D%AB%E6%98%9F%E5%9B%BE-3-bae61bef8028

16. 阿图什市人民政府http://www.xjats.gov.cn/ のweb.archive.org バックアップサイト
https://web.archive.org/web/20180706221430/http://www.xjats.gov.cn/P/C/1736.htm

17. Shawn Zhang, Satellite Imagery of Xinjiang “Re-education Camp” 23 新疆再教育集中营卫星图
23, May 20, 2018.
https://medium.com/@shawnwzhang/satellite-imagery-of-xinjiang-re-education-camp-1-%E6%9
6%B0%E7%96%86%E5%86%8D%E6%95%99%E8%82%B2%E9%9B%86%E4%B8%AD%E8%
90%A5%E5%8D%AB%E6%98%9F%E5%9B%BE-1-eea378e8ed8b

18. Shawn Zhang, Satellite Imagery of Xinjiang “Re-education Camp” 29 新疆再教育集中营卫星图
29 (Largest Re-education Camp?). 26 Jul, 2018.
https://medium.com/@shawnwzhang/largest-re-education-camp-d7d6ce15e273

19. XINJIANG AUTHORITIES BUILD MASSIVE UNDERGROUND PRISON, Aug 20, 2018
https://bitterwinter.org/massive-underground-prison/

20. Omir Bekali talks about the psychological stress he endured in a Chinese internment camp
http://www.abc.net.au/news/2018-05-18/omir-bekali/9773366
http://www.businessinsider.com/what-is-life-like-in-xinjiang-reeducation-camps-china-2018-5

21. 水谷尚子, 「ウイグル「絶望」収容所──中国共産党のウイグル人大量収監が始まった」Newsweeks
日本版2018.02.18; https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2018/02/post-9547.php

22. 水谷尚子「, イスラーム教徒に豚とアルコールを強要する中国・ウイグル「絶望」収容所」、Newsweeks
日本版2018.05.18; https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2018/05/post-10194.php

23. Video: ‘This person will simply disappear’: Chinese secretive ‘reeducation camps’ in spotlight at

Kazakh trial
https://www.hongkongfp.com/2018/07/17/person-will-simply-disappear-chinese-secretive-reedu
cation-camps-spotlight-kazakh-trial/

24. Kazakh court frees woman who fled Chinese re-education camp
https://www.theguardian.com/world/2018/aug/01/kazakh-court-frees-woman-who-fled-chinese-r
e-education-camp

25. NHK-BS1 国際報道「中国でウイグル族大量拘束 今何が?」2018.07.19
http://www6.nhk.or.jp/kokusaihoudou/bs22/feature/index.html?i=180719

26. Radio Free Asia, 「ホータンの収容所で558 人が肺の伝染病が明らかになった」
https://www.rfa.org/uyghur/xewerler/siyaset/uyghurda-lager-05282018133938.html?encoding=la
tin

27. Uyghur Teenager Dies in Custody at Political Re-Education Camp, Radio Free Asia news,
2018.03.14
https://www.rfa.org/english/news/uyghur/teenager-03142018154926.html

28. Uyghur Father of Two Dies After Falling Ill in Xinjiang Re-Education Camp, Radio Free Asia news,
2018.04.11
https://www.rfa.org/english/news/uyghur/father-04122018153525.html

29. 遺体安置所Radio Free Asia news, 2018.06.25
https://www.rfa.org/uyghur/xewerler/medeniyet-tarix/jeset-bir-terep-qilish-06252018164051.ht
ml?searchterm%3Autf8%3Austring=depne&encoding=latin

30. 「中国では人命はとても安い、臓器のほうが高値だ」元医師の告白
http://www.epochtimes.jp/2017/10/28953.html

31. 中国当局がウイグル地域各地に急ピーチで火葬場建設
https://www.rfa.org/uyghur/xewerler/kishilik-hoquq/jeset-koydurush-06122018145148.html?enc
oding=latin

32. ウルムチ沙依巴克区 火葬场保安員の公募
https://m.wlmq.com/0010155185.html

33. 「ニューズウィーク日本版」ウェブ編集部, 中国共産党、ウイグル「絶望収容所」の実態
https://toyokeizai.net/articles/-/212978?page=4

34. 「トランプ政権 中国がウイグル族を不当に収容と非難」, NHK New Web, 2018 年7 月27 日
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180727/k10011551041000.html?utm_int=all_side_rankingsocial_
002

35. Hearing on Surveillance, Suppression, and Mass Detention: Xinjiang’s Human Rights Crisis
https://www.youtube.com/watch?v=rE8Ve2nxPds&feature=youtu.be&t=1623

36. 米政権「ウイグル、数十万人を拘束」中国当局を批判、毎日新聞, 2018 年7 月28 日
https://mainichi.jp/articles/20180729/k00/00m/030/079000c


第三章 ウイグル人社会各界のエリートも収容所に

2017 年から大々的に大に行われるようになった思想改造目的の強制収容施設での不当な拘束
が今も続いている。そしてウイグル人社会に何らかの影響を持つ著名人、教育界のエリートたち、
著名なイスラム学者、人気のスポーツ選手、音楽家、経済界で成功した経営者が続々と強制収容
所に入れられている。以下には、代表的な例を挙げる。(ここで挙げた例はメディアなどで公開さ
れた情報のみであって、氷山の一角にすぎない。)


1.【教育界】
1. 自治区教育庁の庁長長 サッタル・サウット (Sattar Sawut)
2017 年、「重大大な規律違反」で拘束され、強制収容施設に送ら
れた。サッタル氏が任期中に編纂したウイグル語教材は、自治区
自治区内で教科書として使われていた。『参考資料』
http://www.sohu.com/a/144868168_260616
http://www.xinhuanet.com/politics/2017-02/09/c_129473389.ht
m

2. 自治区政府党委員会元秘書官、教育庁副長官長、新疆新聞社 社
長長を務めたアリムジャン・メメットイミン (Alimjan
Memtimin)(59)『参考資料』
http://www.xinhuanet.com/politics/2017-02/09/c_129473389.ht
m

3. ウイグル自治区社会科学院副院長長や新疆教育出版社 社長長
アブドゥラザク・サイム(Aburazaq Siyim) (61)
『参考資料』
http://www.xinhuanet.com/politics/2017-02/09/c_129473389.ht
m

上記三名の方はウイグル語の教科書の編集、出版にかかわる人物であった。そのウイグル語
教材は、自治区内で教科書として使われていたが、それらが「文文学、歴史、道徳分野には、
民族分離を煽る内容が含まれており、それを12 年間も現場で使ったため大勢大の若者が深刻
な洗脳を受けた」と糾弾され、ほぼ同時期に収容施設に送られたのである。『参考資料』
http://www.xinhuanet.com/politics/2017-02/09/c_129473389.htm
http://news.sohu.com/20170209/n480334060.shtml


第三章 ウイグル人社会各界のエリートも収容所に

4. 新疆大学大学 学長長 タシポラット・ティップ (Tashpulat Tiyip, 塔
西甫拉提·特依拜)
自治区最大大の教育機関である新疆大学大学 学長長を2010 年から務
めていたタシポラット・ティップ教授(60)は昨年3 月月に解任され、
それ以降は当局に拘束されていると、今年2 月月にRFA の取材に答え
た大学大学関係者が明かした。新疆大学大学を卒業後、東京理科大学
大学で理学博士号を取得。研究プロジェクトの成果から中国教育省に
賞を与えられたことも多数あり、新疆では著名な学者だった。タシポ
ラット氏は, 1996 年から新疆大学大学の副学長、2010 年から2017 年
まで同大学学長、党副書記と務めていた。
『参考資料』
https://www.rfa.org/english/news/uyghur/university-president-02202018173959.html


5. 新疆医科大学の元長学長 ハリムラット・グプル (Halmurat Ghopur,
哈木拉提·吾甫尔)
新疆医科大学の元長学長・教授で昨年からは自治区⾷品医薬品監督庁
長だったハリムラット・グプル氏(58)も、今年になってから消息不
明だ。ハリムラットは収容施設で死亡したとの説もある。彼は中国伝
統医療を学ぶ上海中医薬大学を卒業し、ロシアのサンクトペテルブル
ク医科大学で博⼠号を取得。中国全国最優秀研究者の1 人に選ばれる
など、中国全⼟でも名を知られる有名教授だった。医科大学で彼はウ
イグル伝統医学の継承にも力を注ぎ、民族医学教育ではウイグル語に
よる授業をずっと続けてきた。ハリムラット氏は, 1998 年から新疆医
科大学の副学長、2008 年から2017 年まで同大学学長、党副書記と務めていた。


『参考資料』
https://www.rfa.org/english/news/uyghur/arrest-01122018152937.html

不思議なことに、上記両大学ホームページの歴任学長リスト『参考リンク』から、新疆大学
元長学長タシポラット氏と新疆医科大学の元長学長 ハリムラット氏の名前が消されている。
これは中国が歴史・事実を平気で消すまたは変えてしまうことの証拠でもある。
新疆大学歴任学長 http://www.xju.edu.cn/xxgk/lrxz.htm
新疆医科大学歴任学長http://www.xjmu.org/xqzl/lrld.htm

6. 新疆師範大学教授 アブドゥカディリ・ジャラリディン (Abduqadir
Jalalidin)
知名度の高いウイグル文学者で新疆師範大学教授でもあるアブドゥ
カディリ・ジャラリディン(54)は今年1 月にウルムチ市国家安全
局に拘束された。アブドゥカディリはカシュガル師範学院を卒業後、
ウイグル文学者の道を歩んだ。彼は00 年代初頭、石川県に数カ月滞
在したことがあり、その体験を記した本の一部がウイグル語教科書
に引用された。ウルムチ市の中で最大級と言われている収容施設に
収監されているとされる。『参考資料』
https://www.rfa.org/english/news/uyghur/scholar-04252018140407.html


7. 新疆大学教授 ラヒレ・ダウット (Rahile Dawut)
ウイグル文化研究の先駆者で新疆大学人類学研究所教授、博士であ
るラヒレ・ダウット(52 歳)が、2017 年12 月北京で消息不明とな
ったとニューヨークタイムズ電子版が8 月10 日に報道した。ダウ
ット氏の家族は、黙っていることで再教育施設、拘留施設から解放
されないことが分かったため、ダウット氏が消えてから8 か月後の
今、これを話すことを決めたと語ったという。ダウット教授は、日
本人研究者の菅原 純と共著で中央ユーラシアにおけるイスラム聖
堂に関する研究をテーマにした、「マザール、MAZAR」という本を
出版していた。『参考資料』
Star Scholar Disappears as Crackdown Engulfs Western China, The New York Times
https://www.nytimes.com/2018/08/10/world/asia/china-xinjiang-rahile-dawut.html
Mazar: Studies on Islamic Sacred Sites in Central Eurasia, Sugawara Jun, Rahile Dawut, 2016
https://www.amazon.co.jp/Mazar-Studies-Islamic-Central-Eurasia/dp/4904575512


2.【宗教界】

8. 著名なウイグル人イスラム学者 ムハンマド・サリヒ (Muhammad
Salih)
著名なウイグル人イスラム学者で、『クルアーン』のウイグル語訳者
として名を知られる82 歳のムハンマド・サリヒ師が17 年12 月中旬、
中国新疆ウイグル自治区の区都ウルムチの自宅から突然何者かに連
行された。サリヒ師は中国共産党の強制収容施設に収監され、約40
日後の18 年1 月24 日に死亡した。『参考資料』
https://www.rfa.org/english/news/uyghur/scholar-death-012920181
80427.html

9. 全国イスラム協会副主席、ウイグル自治区政協の副主席、ホータンイ
スラム協会主席、ホータンモスクのイマム アブドレティプ・アブド
レヒム・ダモッラ(Abdulletip Abdurehim Damollam)
2017 年に3 年刑で刑務所に入れられた。『参考資料』
https://www.rfa.org/uyghur/xewerler/din/abduletip-abdurehim-dam
olla-tutqun-05102017142750.html?encoding=latin

10. カシュガル・トックズタシモスクのイマム アブリミット・ダモッラ
(Ablimit Damollam)
アブリミット・ダモッラは自宅から突然連行され、収容所に収監され
た2 カ月後の昨年6 月に死亡した。
アブリミット・ダモッラ(81)は、80 年代に新疆ウイグル自治区で
初めて寄宿舎付きの私立学校「カシュガル語学・技術専門学校」を開
校したベテラン教育家でもある。
アブリミットは学校にウイグル語で英語、中国語、アラビア語、トル
コ語を教えるクラスと、看護師・歯科医師を育成するコースを設置。
全日制だけでなく夜間制の学生も受け入れ、経済的に恵まれない人も教育を受けられるよう


にした。付属病院も開設し貧しい者への医療費免除など慈善事業を行って人々の支持を集め
たが、2000 年頃に中国当局が施設を強制的に封鎖していた。アメリカの短波ラジオ放送「ラ
ジオ・フリー・アジア(RFA)」の報道によると、アブリミットは身柄拘束から2 カ月後の昨
年6 月に死亡した。死因は知らされず、葬儀は当局の厳重な監視のもと、弟子たち、周りの
住民の参加が許されず家族だけで行われたという。『参考資料』
https://www.rfa.org/uyghur/xewerler/kishilik-hoquq/ablimit-damollam-wapat-boldi-0616201
7193458.html?encoding=latin

11. ケリヤ県政協副主席、県メインモスクのイマム イミン・ダモッラ
(Imin Damollam)
2017 年5 月に18 年の実刑判決で刑務所に監禁さられた。罪は2016
のメッカーへのハッジ(大巡礼)で「ウイグル分裂意識のある」人
にハッジ代行費を渡したことであった。『参考資料』
https://www.rfa.org/uyghur/xewerler/qanun/uyghur-kadir-052120
18160053.html?encoding=latin
12. ニルカ(Nilqa)県 イスラム学者 アブドレシット・ハジム
(Abdureshit Hajim)(65)
アブドレシット氏は強制収容所に監禁されてから9 か月間たった今
年の6 月5 日に、収容所内で死亡し、頭部分が白い布で覆われた遺
体が家族に返された。しかし、家族が遺体の頭・体部分を見ること
も許されず、死因が不明のまま、警察の厳重な監視下で埋葬されて
いたことがRFA の取材で明らかになった。
参考資料:
https://www.rfa.org/uyghur/xewerler/kishilik-hoquq/abdureshit-seley-hajining-olumi-060820182
34941.html?encoding=latin

13. ホータン スラーム学者 アブドルエヘッド・メフスム (Abdulehet
Mexsum)(87)
2017 年11 月拘束され、収容施設で死亡していたことが今年5 月に
イスタンブルに住んでいる親戚の調べで分かった。アブドルエヘッ
ド・ハジムは7 人の弟子にイスラム知識を教授したことが拘束の原
因だったという。


『参考資料』:

https://www.rfa.org/uyghur/xewerler/kishilik-hoquq/abdulehed-m
exsum-ghayibane-namaz-06012018225457.html?encoding=latin


3.【スポーツ界】

14. 人気のサッカー選手エリパン・ヘズムジャン (Erpan Hezimjan)
人気のあったウイグル人サッカー選手エリパン・ヘズムジャンの失
踪は、漢人の熱烈なファンたちがソーシャルメディア上で告発して
発覚した。今年19 歳の彼は15 歳から中国のサッカーチームでプレ
ーをし、失踪前は中国スーパーリーグの江蘇省チームに所属してい
た。
今年2 月末頃に里帰りしたが、3 月に南京で行われた試合に姿がな
かったことを心配する書き込みが相次いだ。RFA は4 月、彼の地
元ドルビリジン県へ電話取材をし、同県警察署職員の証言で2 月頃
に強制収容所に送られたことが判明した。
所属チームの主戦力として1〜2 月にかけて、スペインやアラブ首長国連邦で試合に出ていた
が、「外国に行ったこと」を理由に、県中心部から約10 キロ離れたトゥルグン村の強制収容
施設に送られたという。そこにはウイグル人約1000 人が収容されている。
『参考資料』:
https://www.rfa.org/uyghur/xewerler/kishilik-hoquq/erpan-hezimjan-terbiyeleshte-04162018153
838.html?encoding=latin
https://www.rfa.org/english/news/uyghur/footballer-04132018162312.html
https://www.hongkongfp.com/2018/07/07/rising-star-footballer-among-million-uyghurs-sent-ch
inese-re-education-camps/


4.【芸能界】
15. 民謡歌手 アブドゥレヒム・ヘイット (Abdurehim Heyit)
ウイグル人の幅広い年齢層に愛されている民謡歌手でドゥッ
タル奏者(ドゥッタル王)のアブドゥレヒム・ヘイット(56)は、
昨年4 月に公安警察に連行されてから行方不明になった。アブ
ドゥレヒムは北京の中央民族歌舞団や新疆ウイグル自治区歌
舞団で活躍し、数多くのアルバムも発表した。ウイグルの民族
文化に誇りを持ち、前を向いて生きていこうと呼びかけるメッ
セージ性の高い曲が多いこと、特にウイグル人に広く知られる
歌謡「お父さんたち」の歌詞が問題視されたという。『参考資料』
https://www.rfa.org/english/news/uyghur/musician-11022017162302.html
https://freemuse.org/news/uyghur-dutar-king-detained-in-china/


16. ポップス歌手 アブラジャン・アユップ (Ablajan Ayup)
若くハンサムなポップス歌手も収監されている。若い女性を中心に
熱狂的人気を誇るアブラジャン・アユップ(34)は、「ウイグルの
ジャスティン・ビーバー」と欧米誌に紹介されたこともある。ウイ
グル語のみならず英語や中国語でも歌っていたから漢人にも人気
だった。今年2 月に上海でコンサートを行った2 日後、ウルムチで
拘束された。昨年マレーシアを訪問したことや、民族や故郷への愛
を歌っていたことなどが原因とささやかれている。『参考資料』
https://www.rfa.org/english/news/uyghur/singer-05182018131924.html
https://freemuse.org/news/uyghur-pop-star-detained-in-china/


5.【メディア関連】
17. ミスラニン・ドットコム(misranim.com)の創設者 アバベキ
リ・ムフタル (Ababekri Muxtar)
インターネットのウイグル語サイトも一昨年から昨年にかけて
続々と閉鎖され、運営者がことごとく拘束された。また、同サ
イト管理人トゥルスンジャン・メメット(Tursunjan Memet)
も行方不明になっている。トゥルスンジャンの父親はRFA の取
材に応えて、「自宅から6 人の公安に連れ去られ、どこに居る
かさえ分からない」と証言した。『参考資料』
https://www.rfa.org/english/news/uyghur/authorities-detain-uyghuer-web-masters-and-writ
ers-in-chinas-xinjiang-06132016153910.html


18. 「バクダシ(bagdax.cn)」創設者 アクバル・エゼッド (Akbar Eset)、


19. 「ボズキル(bozqir.net)」の創設者で自治区教育庁職員のアデル・リシット (Adil Rishat)、


20. テレビ番組の脚本家として知られるオマルジャン・ヘセン (Omarjan Hesen)


21. 新疆人民ラジオ局記者で新疆教育出版社の教科書編集者でもあったジャ
ーナリストのヤルクン・ルーズ (Yalqun Ruzi)(52)も行方不明になっ
ている『参考資料』。最近の情報では、17年刑で刑務所に入れられたと
いう。
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2018/06/post-10388.php

ウイグル語書籍は粛清のため書店や一般家庭から没収された。新疆ウイグル
自治区文学芸術連合の元会長で、詩人のイミン・アフメディ (Imin Ahmidi)は昨年6 月、RFA の
取材に対し「過去に出版されたウイグル人作家の著作が再検査されている」と語った。ウイグル
人に愛読され、現代ウイグル文学を代表する小説であるアブドゥレヒム・オトキュル (Abdurehim
Otkur)『目覚めた大地』や『足跡』、ゾルドゥン・サビリ (Zordon Sabir)『母なる故郷』なども
規制の対象になった。『参考資料』
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2018/06/post-10388.php


6.【経済界】

22. イリ・カザフ自治州 慈善家・不動産開発商 ヌルタイ・アジ(Nurtay Haji、努尔塔依・阿吉)
ChinaAid がイリ・カザフ自治州及びカザフスタン人の商人から得た情報によると、有名な慈善
事業、不動産開発商のヌルタイ・アジが昨年、20 年刑で刑務所に送られたという。ヌルタイ氏は
ヌルタイ氏個人の全額寄付で孤児、貧しい子供たちのための、全寮制の寄宿学校「努尔塔依阿吉
学校」を建設し、これまでに多くの学生を支援していた。
ChinaAid の情報では、ヌルタイ氏と一緒に10 数名のウイグル、カザフ商人が逮捕されたとい
う。ウイグルの他の地域でも銀行に一定額(100 万〜数100 万元)以上の貯金がある人たちも次々
と拘束されている。
http://www.chinaaid.net/2018/07/blog-post_11.html

2017 年5 月に、カシュガル地区で最も成功した経営者ウイグル人の以下4 名が「宗教的過激主義」
という罪で投獄された:


23. カシュガル貿易協会会長 物質運送会社経営者 アブドジェリル・ハジム(Abdujelil Hajim)

24. カシュガル Emin 貿易市場のオーナー ゲニ・ハジ(Gheni Hajim),

25. カシュガルEziz Diyar 市場のオーナー メメット・トルソン・ハジム(Memet Tursun Hajim),

26. カシュガルIbnsina 歯科病院 オーナー イミン・ハジム(Imin Hajim)
以上の4 人いずれにも「ハジム」という名称がついているのは、イスラム聖地のメッカーにハッ
ジに行って来たことを意味する。RFA の電話インタビューに答えた現地の保安員の情報によると、
罪は「承認されていない民間の巡礼に行った」、「宗教的過激派の兆しがあった」という。4 人は8
年から18 年の懲役刑を言い渡された。
https://www.rfa.org/english/news/uyghur/wealthiest-01052018144327.html


27. カシュガルKasir ホテルのオーナー レストラン経
営者 オブルカスム・ハージ (Obulkasim Haji)
RFA のインタビュー情報によると、67 歳のオブル
カスムは2017 年12 月5 日入院していたウルムチ
市の病院から公安に連行され、再教育キャンプ(強
制収容施設)に送られたそうだが、拘束理由や監禁
場所がいまだに不明。
https://www.rfa.org/english/news/uyghur/hotelier-05072018130431.html
努尔塔依阿吉学校


7.【官僚・公安関係者】

28. ウイグル自治区林業庁庁長 エズズ・ケユム (Ezir Qeyum)
29. ホータン地区公安局副局長 ニジャティ・アウドン (Nijat Awudon)
30. ホータン地区公安局元副局長 エリ・イミン (Eli Imin)
31. ウイグル自治区特捜部ホータン支部隊長 アブドカデル・アブラ (Abduqadir Abla)
32. ホータン市公安局副書記 政委 ヤリクン・アブドラザク (Yalqun Abdurazaq)
33. カシュガル カラカシ県(Qaraqash)公安局元副書記 政委 アバベキリ・イリ(Ababekri Eli)
34. ホータン地区公安局国保支部課長級捜査員 モハタル・トスン(Muxtar Tursun)
らが「重大な規律違反」で拘束され、最近の状況は不明である。
参考資料:
http://www.xinhuanet.com/politics/2017-02/09/c_129473389.htm
http://news.sohu.com/20170209/n480334060.shtml


35. ウイグル自治区チャルチャン県公安局政
治委員 アリフ・トルソン(Ghalip Tursun)
8 月18 日の現地新聞が、アリフ氏が「テ
ロリスト、3 種勢力と協力し、庇った」と
し、拘束されたことを報じた。参考資料:
(右写真)
https://www.rfa.org/uyghur/xewerler/qan
un/cherchen-uyghur-08202018153604.ht
ml?encoding=latin


8.【地方の党・政府責任者】

2016 年に元中国共産党チベット自治区委員会の書記で、チベット人の弾圧で手腕を発揮した陳
全国が新疆ウイグル自治区の書記に就任してから、権力を誇示する最初の威圧的行動は、ホータ
ン地区基層の97 名幹部への問責・免職処分を実行することだった。陳の指示で組織された共産党
幹部らの査察グループが2017 年3 月12 日からホータン地区の各町、村に入り、たった一週間ほ
どの調べを行ったあと、3 月26 日各種の理由で97 名幹部(ほとんどウイグル人)に一気に免職
処分を下した。処分内容から人権侵害の典型的な例であることがわかる。例えば、ホータン県の
ブザク郷(布札克乡(郷))党支部書記のジェリリ・マイティニヤズ(Jelil Memetniyaz)は「宗
教師の前でタバコを吸うことに躊躇した」理由で懲戒免職された。97 人の懲戒免職理由には、そ
のほかに、「毎朝の国旗揚げの怠慢、揚げ回数の誤報、住民宅へ走訪・個人情報データの収集を徹
底していない」など様々なレッテルがあった。
参考資料:
http://www.china.com.cn/news/2017-04/10/content_40588424_2.htm
https://www.boxun.com/news/gb/china/2018/01/201801301321.shtml
http://news.sina.com.cn/c/nd/2017-04-09/doc-ifyeceza1781280.shtml


9.【収容所内死亡者リスト】

ここに挙げたリストはメディアに知られた名前のみである。
1.ムハンマド・サリヒ (Muhammad Salih)、82 歳、18 年1 月死亡
https://www.rfa.org/english/news/uyghur/scholar-death-01292018180427.html

2.アブリミット・ダモッラ (Ablimit Damollam) 、81 歳、18 年6 月死亡
https://www.rfa.org/uyghur/xewerler/kishilik-hoquq/ablimit-damollam-wapat-boldi-0616
2017193458.html?encoding=latin

3.アブドレシット・ハジム (Abdureshit Hajim)、65 歳、18 年5 月死亡
https://www.rfa.org/uyghur/xewerler/kishilik-hoquq/abdureshit-seley-hajining-olumi-060
82018234941.html?encoding=latin

4.アブドルエヘッド・メフスム (Abdulehet Mexsum)、87 歳、18 年6 月死亡
https://www.rfa.org/uyghur/xewerler/kishilik-hoquq/abdulehed-mexsum-ghayibane-nama
z-06012018225457.html?encoding=latin

5.アイハン・メメット(Ayxan Memet)、78 歳、Dolqun Eysa の母、18 年5 月死亡
https://www.rfa.org/english/news/uyghur/mother-07022018164214.html

6.ヌリマングル・メメット(Nurimangul Memet)、24 歳、18 年6月死亡
https://www.rfa.org/uyghur/xewerler/qanun/yepiq-terbiyelesh-06042018154152.html?enc
oding=latin

7.アブドジャッパル(Abdujappar)、グルジャGhulja Bayandaz

8.アブドガッパル (Abdughappar)、34 歳、グルジャGhulja Bayandaz 18 年6 月死亡
https://www.rfa.org/english/news/uyghur/father-04122018153525.html

9.ホータン・チンバグ卿 アブドルエヘット・バッカル(37 歳)ら26 名
https://www.rfa.org/uyghur/xewerler/qanun/yepiq-terbiyelesh-06142018181109.html?enc
oding=latin

10. ヤクプジャン・ナマン(17 歳)、カシュガル・ヨプルガ県、18 年3 月死亡
https://www.rfa.org/english/news/uyghur/teenager-03142018154926.html

11. 在日ウイグル人弟(24 歳)、ウルムチ、18 年5 月死亡

第四章 “新疆のウイグル自治区”:中国高度な監視下の野外刑務所

1.中国当局はウイグル地域を「野外刑務所」化
東トルキスタン(現“新疆ウイグル自治区”)は、古代からヨーロッパと東アジアをつなぐ要衝
であるだけでなく、石炭、石油、天然ガス等地下資源の豊富な地域でもある。1949 年に中国人民
解放軍が東トルキスタンに侵攻し、「新疆ウイグル自治区」として共産党の支配下に組み込んだ。
それ以来、中国当局によるウイグル人への差別的、抑圧的政策がずっと続いている。


1.1【漢民族の大量移住】

中国内陸から漢民族をウイグル地域に大量移住させるのと同時に、多くの若いウイグル人・未
婚女性を労働力として中国内陸の工場などに移送し、ウイグル自治区におけるウイグル人口比率
の減少を図っている。他に少数民族までに適用された“計画生育”制度も功を奏して、1949 年に6%
だった漢民族人口が、2010 年には40.1%に達している(新疆维吾尔自治区2010 年第六次全国人
口普查主要数据公报)『参考資料1』。「新疆軍区」数十万軍人とその家族、300 万人以上とされる
「新疆生産建設兵団」の人口はこれに含まれない。
漢民族がこの地に大挙進出してきて、経
済発展の恩恵を独占した結果でウイグル
族との格差が広がる一方である。中国当局
によりウイグル人に対して差別的政策が
実施され、憲法で定めたウイグル人固有の
言語、文化的・宗教的権利も侵害されてき
た。

1.2【7・5 ウルムチ虐殺】
そんな中、2009 年6 月に中国広東省の
第四章 “新疆ウイグル自治区”:
中国高度な監視下の野外刑務所


玩具工場で労働者として勤務しているウイグル人が中国人に襲撃され多数が殺傷された事件に対
する中国政府の対応への不満がきっかけに、ウイグル人の怒りがさらに高まった。同年7 月5 日
にウルムチ市でウイグル学生らによる大規模なデモが発生した。平和的な抗議行動は、中国当局
の軍、武装警察によって、過剰な武力行使を通して残虐に制圧され、数千人がウルムチの町で殺
害され(中国当局の発表では197 人死亡)、殆どのデモ参加者が逮捕された。これは「7・5 ウル
ムチ騒乱」「7.5 ウルムチ虐殺」と呼ばれる。『参考資料2』


1.3【悪漢・陳全国】
2009 年以降、中国共産党当局によるウイグル人の監視はさらに強まった。特に、元中国共産党
チベット自治区委員会の書記で、チベット人の弾圧で手腕を発揮した陳全国が、2016 年に新疆ウ
イグル自治区の書記に就任してから、ウイグル人への監視・弾圧が特段に強まった。新疆ウイグ
ル自治区は、習近平政権が推進する現代版シルクロード経済圏構想「一帯一路」の戦略的要衝で
もあり、そこに完全に監視され・封じ込められた社会を作り上げることが習近平政権の謀略と言
えるだろう。
陳は、1 年も経たない間に、9 万人を越す治安関係ポストを募集し、ウイグル地域における「監
視社会」の完成を手掛け、2017 年一年間でウイグル自治区の警察の人員が2015 年の6 倍にまで
膨れあがった『参考資料3』。
ウイグル自治区全地域で、500m間隔で交番(便民警務站)が設置され、一つに8−30 名の武
装警察が配備された。アクト県だけで2017 年10 月以降、68 個の交番を新たに設置したことを現
地で当番中の警察がRFA のインタビューで明らかにした『参考資料4』。
陳全国は、ウイグル全地域で上述した「再教育センター」というナチス式強制収容所や以下で
述べる監視社会を作り上げた首謀者・真犯人である。
1.4【最先端の監視技術の実験場】
中国国内には昨年秋の時点で監視カメラが1 億7000 万台設置されており、今後3 年間でさら
に4 億台が追加されると推定されている。監視カメラの多くには人工知能(AI)が搭載され、顔
認証技術などを備えている。その「最先端の監視技術を試行する実験場」となったのは新疆ウイ
グル自治区である。中国政府は2017 年第1 四半期(1〜3 月)にウイグル自治区で10 億ドル(約
1130 億円)以上に相当するセキュリティー関連の投資計画を発表したとウォール・ストリート・
ジャーナル紙が明らかにした『参考資料5』。
国際人権組織ヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)は明らかにした情報によると、中国当局
は、問題を起こす危険のある人物を特定し、先んじて拘束するため、新疆ウイグル自治区に大量
のデータを駆使した監視プラットフォームを配備している。この「予測による治安維持」プラッ
トフォームについて、当局が監視カメラの映像や、通話・旅行記録、宗教的志向などの個人情報
を統合・分析し、危険人物を特定するためのものだと説明する。カシュガル市だけで今年3 月、
5100 万ドル(約55 億円)以上を投じて、統合データプラットフォームを含む監視システムを購
入・設置した。この監視カメラシステムは、瞬時にして人の顔と歩き方を識別して個人を特定し、
データベースと照合して年齢、性別、身長、民族アイデンティティを判定。その上、親族や知人
といった人的ネットワークまで割り出すことができるという『参考資料6』。
1.5【政治的信頼度点数表】
ウイグル人の研究者で記者のタヒール・イミン(Tahir Imin)氏は昨年2 月、新疆から米国に
亡命した。同氏はウルムチに住む友人が6 月、当局に拘束されたと話す。定期的な礼拝、パスポ
ートの所持、トルコへの渡航記録が減点の対象となったという。そして「マイナスポイントが70
を上回ると、危険人物と見なされ、警察に通報される。警察はこれを受け、拘束した人物を再教育センターに送る」と明かした『参考資料7』。
以下の「人口個人情報採集表(表1、『参考資料5』)」は、ウイグル自治区全地域で「危険人物」
を割り出すために使われているものである。表の右側に「重要情報」とされた内容は、年齢が(15
〜55 歳)、ウイグル人か、失業者か、パスポート保持者か、毎日礼拝するか、宗教知識があるか、
26 の“センシティブな”国に行ったことがあるか、海外とのつながりがあるかなどである。
また、ウルムチ市の各社区で実際の
登記に使われている「常住戸民族語系
点数表(下表2)『参考資料7』」による
と、各住民一人一人に10 カテゴリーで
10 点ずつ点数付け、ウイグル人の政治
的信頼度を評価している。
例えば、この表の1 番目のイブライ
ム・イスマイル氏(83 歳)には50 点付
けられ、「一般注意人物」とされている。
ウイグル人であれば10 点、パスポート保持者であれば10 点、礼拝していれば10 点、宗教知
識があれば10 点、対象の26 か国のどれかに行ったことがあれば10 点それぞれ引かれ、合計点
数は50 点となっている。この点数が低いほど「危険人物」とされる。もし、この方が55 歳以下
で、海外とのつながりがある人だった場合は、点数が30 点(マイナス70 点)で、即拘束対象と
なり、収容所(再教育センター)に送られることになる。
亡命者の証言によると、誰が礼拝しているか、誰が断食しているか(イスラム・ラマダンの時
期にどの家の人が夜中に起きて明かりをつけているか、職場、学校でお昼ご飯を食べていないか
など)を常にチェックするため、町、村、学校で10 人を1グループにし、相互監視体制を作って
いる。知っている情報を隠した人も罰せられるようになっている。また、政府幹部に住民と「親
戚(双親)」を作らせ、住民の宗教意識、共産党への忠誠心を調べ、人ひとりに点数をつける任務
を与えている。その中で、収容所に入れられた若いウイグル女性がいる家に「親戚」となった漢
族男性が寝泊まりするケースもあるという。


表 1. 人口個人情報採集表 表 2. 常住戸・民族語系

1.6【一般家庭に政府幹部が宿泊】
国際人権組織ヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)が「ウイグル人家族の家に中国共産党政
府職員がホームステイしている」と5 月13 日に報告を発表した『参考資料8-9』。報告によると、
ウイグル人密集地域の一般家庭が近年、政府幹部による定期的な「ホームステイ」の受け入れを
強いられている。中国政府による「民族団結」を名目とした厳しい監視が目的とみられ、官製メ
ディアの情報として、当局は2017 年に職員100 万人を同地農村へ派遣したと伝えている。職員
をウイグル人家族と「共に食べ、共に住み、共に労働し、共に学習」させるという。
1.7【スマートフォンにスパイウェアを強制装着】
中国にいるウイグル人はまた、2017 年4 月からスマートフォンにスパイウェア・アプリをイン
ストールすることを強制されている。「ラジオ・フリー・アジア」の報道によれば、「百姓安全」、
「Jinwang」と呼ばれるこのアプリは、政府が市民の携帯デバイスをスキャンし、「テロリストや
違法な宗教に関する映像・写真・ファイル類を所持していないか確認する」ためのものだという。
これらのアプリをインストールすると微信(Wechat)やSNS「微博(Weibo)」のログ、SIMカード
情報、Wi-Fi のログイン情報などがサーバーに送信される。インストールを拒否したり、一度イ
ンストールしたアプリを削除したりすると、10 日間拘束されることがあるとのこと『参考資
料10-13』。
今はすべてのウイグル人が24 時間監視され、Wechat などを通して海外にいる親戚と連絡する
ことも一切できなくなっている。我々海外にいる人たちはウイグルにいる親戚から「連絡しない
で」と言われている。公安警察からハラスメントや脅迫を受けていると思われる。
1.8【全車両にGPS を強制装着】
中国当局また、ウイグル地域にあるすべて自動車に対し、中国版全地球測位システム(GPS)
「北斗」の端末の設置を義務付けたと米政府系放送局ラジオ・フリー・アジア(RFA)が伝え
た『参考資料14』。昨年の6 月30 日までに全車両への「北斗」の端末設置を終える計画となって
いた。重機や工事用の車両なども対象となり、端末を設置していない車両は、ガソリンスタンド
で給油が拒否されるほか、中古車市場で取引ができない。
1.9【ウイグル人のパスポートを没収】
中国国内でパスポートを持っている全てのウイグル人からパスポートが没収され、観光や留学
のため海外に行くことは非常に難しくなった『参考資料15』。海外留学のため、新しくパスポート
を作ることはできなくなった。両親のことが心配で海外から一時帰国した学生のパスポートも没
収されるほか、再教育センターに入れられたケースもある『参考資料16』
1.10【ウイグル人逮捕者数が全国の21%】
中国の人権を監視する国際NGO 組織・中国人権擁護(Chinese Human Rights Defenders)は、
7月25日にウイグル人逮捕者数を発表した『参考資料17』。中国政府が発表した数字によると、
2017 年に新疆ウイグル自治区で、刑事的罪で逮捕された人数は全国の同じ罪で逮捕された総数の
21%を占めたという。新疆人口は中国全国人口のわずか1.5%を占めているにもかかわらずだ。
中国人権擁護は、2008〜2017 年間にウイグル自治区で逮捕された人数の比較調査を行い、2017
年一年で227,882 人が逮捕されたこと、これは2016 年の逮捕者数27,404 人の8.3 倍だったこと
を明らかにした。報告では、これは中国当局が「三股勢力」(暴力恐怖主義、民族分裂主義、宗教
極端主義)名目の厳打(厳しく取り締まり)運動の結果との認識を示した『参考資料18』。


2.中国当局はウイグル住民からDNA など生体データを採集

2.1【検診名目でDNA 採集】
中国国営の新華社通信は2017 年11 月、衛生当局の統計として、新疆の総人口の9 割に相当す
る約1900 万人がこの「検診」を受けたと伝えた。また、中国最大手インターネットポータルサイ
ト「新浪(Sina)」が2017 年11 月1 日、新疆ウイグル自治区衛生計画生育委員会から入手した情
報として、ウイグル自治区は昨年15.85 億元投資し、全自治区で1884.48 万人、その中、南疆4
地区・州(ウイグル密集地域)で912.71 万人(100%)の検診を終えたと伝えた

『参考資料19』。
国際NGO 人権組織の「ヒューマン・ライツ・ウォッチ(Human Rights Watch)」は、このよ
うな大規模な強制収集は国際人権規約を踏みにじるものだと批判した。
当局に「全民検診」と呼ばれたこの無料のプロジェクトは、12 歳から65 歳までの住民を対象
にDNA や血液のサンプル、指紋、虹彩、血液型などの生体データを集めている『参考資20-23』。


2.2【臓器狩り】

中国新疆出身の在英の元外科医エンヴァー・トフティ(Enver Tohti)氏は、こうした不合理な
新疆地区住民のDNA 採取について、中国移植権威で富裕層や外国人移植希望者のための移植用
臓器となる「生きた臓器バンク」とし、住民を秘密裏に「ドナー登録」しているのではないかと
の推測を述べた『参考資料19』。

中国衛生部(厚生省)の前副部長・黄潔夫氏は7 月26 日、AP 通信のインタビューで、国内ド
ナー登録者は21 万人を数え、2020 年には、中国は米国を抜いて世界一の移植大国になると主張
した『参考資料24』。

第一章でも述べたが、これまでの報道で各収容所から続々死者が出ていて、家族に返す・見せ
ることなく、新しく設けられた一般人が入ることのできない遺体処理・安置所で処理されている。
臓器売買のため、臓器が抜き取られた痕跡のある遺体もあったという噂がある。
以下の写真1,2 はその証拠である。これは観光でウイグルに行った日本人により今年1 月にカ
シュガル空港で撮られた写真であり、空港では「人体器官運送通路」、「人体寄付、移植器官航空


運送保障プロセス」標識の専用通路やスペースが用意され、国家ぐるみで監禁されている人から
強制的に臓器を摘出していることを示す徹底的証拠である。


3.海外在住のウイグル人(留学生、永住者、帰化者)も監視対象に

3.1【在日ウイグル人の被害】

新疆ウイグル自治区で100 万人を超えるウイグル人が「再教育センター」と呼ばれる収容所に
収監され、著しく人権被害を受けていることをアメリカ、ヨーロッパ各国のメディア、政府機関、
国連などが続々報道し、厳しく非難し始めた(下画:アメリカ政府報道)。しかし、日本ではほと
んど報道されていなかった。
2018 年7 月19 日ついに、NHK-BS1 テレビチャンネルの国際報道番組「中国でウイグル族大
量拘束 今何が?」で、中国のウイグル人への弾圧、収容所の実態を報道した『参考資料25』。こ
れは日本において、主要メディアとして初めての報道であった。在日のウイグル人として、まず
NHKの勇気に感謝したい。本当にありがとうございます!

当番組で在日のウイグル人4 名が「家族が収容所に送られ、全く連絡がつかず、生きているか
死んでいるかもわからない」と証言した。8人がインタビューを受け、証言していたようですが
が、時間の制限により全部伝えきれなかったと思われる。この8 名がいずれも、家族が収容所に
収監され、現在どうなっているか全くわからない状況だという。日本にそれ以外にも多くのウイ
グル人の家族が中国で被害を受けている。しかし、その多くはウイグルにいる家族、親戚がさら
なる被害・弾圧を受けることを恐れて、沈黙しているのが実情である。だが、「今こそ、国で沈黙
せざるを得ない同胞に代わって、国外に住む私たちが声を上げるべきときだ」という在日ウイグ
ル人も増えている。
当NHK 番組でも紹介されたが、在日ウイグル人人権団体である「日本ウイグル協会」の呼び
かけで、7 月1 日東京の中心繁華街である新宿で大規模なデモが行われた。これまでに沈黙して
きたウイグル人100 人以上が参加した。デモでは、「不当な拘束をやめろ」、「強制収容所を閉鎖し
ろ」、「家族を返せ」、「お父さんを返せ」、「ウイグルに自由を」、「日本人は我々を助けてください」
と訴えた。7 月7 日また六本木、中国大使館前で150 人以上のウイグル人によるデモがあった。
これほど多くの在日ウイグル人が中国のウイグル人弾圧を訴え、このようなデモに参加したのは
初めてであった。
私たち有識者会が把握した情報では、例えば、一年前に娘を連れて一時帰国したお母さん(M
さん)は、パスポートが没収され、母子とも日本に戻れていない;在日ウイグル人Gさんの弟(24
歳)が今年5月に収容所で亡くなり、遺体を家族に返してくれなかったという。死因は何なのか、
遺体はどこに、どういう方法で処理されたかなどの情報は一切聞かされていない。電話に答えた
親族は「党のケアの元で葬送した、さようなら」といっただけで、他に何も言えなかったという。
その他、在日ウイグル人で中国パスポートの有効期限が近づき、中国大使館に更新手続きに行
ったところ、中国新疆に帰って現地で更新してくるように言われ、更新できなかった人が何人も
いる。その中にパスポートの有効期限が既に切れ、中国に帰ることもできず(中国に帰ると収容
所に送られることが明白であるため)、困っているウイグル人がいる。また、日本の大学院を卒業
したらウイグルに帰るつもりで、日本で就職活動をやっていなかった人で、中国に帰ることを恐
れて、日本に残らざるを得ない人や日本滞在ビザの心配をしている学生も多数いる。
在日ウイグル人(帰化者を含む)の被害状況をまとめると以下になる。


・日本(海外)にいるウイグル人は中国にいるご家族と連絡が取れなくなっている。
・在日ウイグル人でもご家族が収容所に収監された人が多数いる。
・在日中国大使館がウイグル人のパスポート更新申請を受け付けなくなっている。
・一時帰国者が収容所に入れられたりして日本に戻ってこられなくなっている。
・中国にいる家族が人質に取られて、留学生ら自身は帰国やスパイ活動が強要され、「従わないと
家族を再教育センターに送る」と脅迫されるケースが増えている。
・帰化やビザ申請に必要な書類の中国からの取り寄せができなくなっている。


3.2【海外にいるウイグル人の被害】

中国政府はウイグル弾圧の手を海外まで伸ばしている。例えば、以下のような報道がある。

・エジプトで中国のウイグル族の拘束・強制送還相次ぐ
http://www.nhk.or.jp/kokusaihoudou/archive/2017/09/0901.html
Uyghur Students in Egypt Detained, Sent Back to China
https://www.rfa.org/english/news/uyghur/students-07072017155035.html
・海外にいるウイグル人にスパイ活動を強要
Spy for Us — Or Never Speak to Your Family Again
https://www.buzzfeed.com/meghara/china-uighur-spies-surveillance?utm_term=.ndzvJGJgbG
#.aaplb9bgm9
・親族訪問・一時帰国者のパスポート没収、「再教育センター」へ収監
“Uighur graduate student goes missing upon returning to China”
https://www.amnesty.org/en/latest/news/2018/07/uighur-graduate-student-goes-missing-uponreturning-
to-china/


『参考資料』

1. 《新疆维吾尔自治区2010 年第六次全国人口普查主要数据公报》
http://www.stats.gov.cn/tjsj/tjgb/rkpcgb/dfrkpcgb/201202/t20120228_30407.html
2. 2009 年「7・5 ウイグル騒乱」
https://ja.wikipedia.org/wiki/2009%E5%B9%B4%E3%82%A6%E3%82%A4%E3%82%B0%E3
%83%AB%E9%A8%92%E4%B9%B1
3. 「AI に顔認証……中国がウイグルで実験し始めた監視社会の実態」
https://the-liberty.com/article.php?item_id=13986
4. 500m 間隔で武装警察交番設置, RFA 2017.08.17
https://www.rfa.org/uyghur/xewerler/kishilik-hoquq/aqtuda-68-saqchi-ponkiti-08172017213200.
html?encoding=latin
5. 中国「完全監視社会」の実験場、新疆を行く, Josh Chin and Clément Bürge, The Wall Street Journal,
2017.12.22

https://jp.wsj.com/articles/SB11070217722261694869804583589052841366988


6. ビッグデータで危険人物「予測」 中国の治安対策, The Wall Street Journal, 2018.02.28
https://jp.wsj.com/articles/SB12343497592033114173304584071460854064956
7. ウイグル人の信頼度を決める点数表があった、RFA, 2017.12.20
https://www.rfa.org/uyghur/xewerler/siyaset/uyghur-jedwel-07122017141518.html?encoding=la
tin
8. China: Visiting Officials Occupy Homes in Muslim Region, HRW
https://www.hrw.org/news/2018/05/13/china-visiting-officials-occupy-homes-muslim-region
9. Chinese Uyghurs forced to welcome Communist Party into their homes
https://edition.cnn.com/2018/05/14/asia/china-xinjiang-home-stays-intl/index.html
10. 中国、ウイグル族にスパイウェアのインストールを強制, ベンジャミン・フィアナウ, NewsWeek
Japan, 2017.7.26
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2017/07/post-8062.php
11. RFA 独家:新疆强迫居民安装手机监控软件 10 哈族妇女微信发言被拘, 2017.07.13
https://www.rfa.org/mandarin/yataibaodao/shaoshuminzu/ql2-07132017112039.html
12. Report: Xinjiang Residents Forced to Download Spyware App, Chinese Regime Can Track and
Censor Users
https://www.ntd.tv/2018/04/13/report-xinjiang-residents-forced-to-download-spyware-app-chin
ese-regime-can-track-and-censor-users/
13. China forces Xinjiang Uyghurs to install mobile spyware, enforces with stop-and-frisk
https://boingboing.net/2017/07/26/jingwang.html
14. Vehicles to Get Compulsory GPS Tracking in Xinjiang, RFA 2017.02.20
https://www.rfa.org/english/news/uyghur/xinjiang-gps-02202017145155.html
http://www.alertchina.com/archives/2265113.html
15. China confiscates passports of Xinjiang people
https://www.bbc.co.uk/news/world-asia-china-38093370
16. Uighur graduate student goes missing upon returning to China
https://www.amnesty.org/en/latest/news/2018/07/uighur-graduate-student-goes-missing-uponreturning-
to-china/
17. Criminal Arrests in Xinjiang Account for 21% of China’s Total in 2017. NCHRD, Jul 25, 2018
https://www.nchrd.org/2018/07/criminal-arrests-in-xinjiang-account-for-21-of-chinas-total-in-2
017/
18. 人权组织指中国当局2017 年以刑事罪逮捕的穆斯林人数是上一年的7 倍多, RFA, 2018.07.25
https://www.rfa.org/mandarin/Xinwen/d-07252018162042.html
19. 新疆投入15 亿多元完成新一轮全民健康体检工程, 新浪(Sina), 2017.11.01
http://news.sina.com.cn/o/2017-11-01/doc-ifynmnae1006240.shtml
20. 中国当局、新疆で1900 万人のDNA 採集 「無料の全民検診」実施, The Epoch Times, 2017.12.15,
http://www.epochtimes.jp/2017/12/30173.html
21. 中国:少数民族からDNA サンプルを数百万人規模で採取
https://www.hrw.org/ja/news/2017/12/13/312755
22. China collecting DNA, biometrics from millions in Xinjiang: report
https://edition.cnn.com/2017/12/12/asia/china-xinjiang-dna/index.html
23. China Is Vacuuming Up DNA Samples from Xinjiang's Muslims
https://www.buzzfeed.com/meghara/china-is-quietly-collecting-dna-samples-from-millions-of?ut
m_term=.reOnBXBjGX#.mabNxJxZqJ
24. 中国衛生部の前副部長・黄潔夫氏「中国は3 年後世界一の移植大国になると主張」
http://www.epochtimes.jp/2017/08/28097.html
25. NHK-BS1 国際報道「中国でウイグル族大量拘束 今何が?」2018.07.19


http://www6.nhk.or.jp/kokusaihoudou/bs22/feature/index.html?i=180719
その他:
ウイグル人の政治的迫害 - 個別事件の簡単な説明概要
Political Persecution of the Uyghurs—Brief Description of Some Individual Cases
https://freedomsherald.wordpress.com/2018/01/19/political-persecution-of-the-uyghurs-brief-descrip
tion-of-some-individual-cases/


第五章 中国のウイグル言語への侵害状況

1949 年に中国人民解放軍の侵攻により共産党支配下に置かれ、1955 年に設置された新疆ウイ
グル自治区(東トルキスタン)の当初は、東トルキスタン・イリ政府と中国共産党の交渉、平和
条約の約束通り、それまでに展開されてきたウイグル言語など独自の民族言語による教育が継続
された。1950 年初頭からは漢語が選択科目として導入されていた。
しかし、1960 年代に入ると次第に漢語教育が重要視されるようになり、漢語が民族学校におい
て必須科目となる一方、漢語学校に設置されていたウイグル語の選択科目は廃止された(リズワ
ン, 2009)。
1977 年から新疆ウイグル自治区政府は少数民族への漢語教育の強化を政策課題としてさらに
強調するようになった(リズワン, 2009;Mamtimyn 他, 2015)。
1982 年制定の中華人民共和国憲法では、少数民族言語による教育が保護されることになった
(Grose, 2010)が、実際には教育現場における漢語への一元化が推進されていった。
1990 年代末からは少数民族の漢語習得、主流文化の吸収が強く促されるようになる(王, 2006)。
2004 年に交付された「全面的に双語教育を推進することに関する決定(関与大力推進双語教学
的決定)」により、ウイグル語の授業のみをウイグル語で行い、その他の科目はすべて漢語で教え
る「双語教育」に取って代わられることとなった(アナトラ,2013;リズワン他, 2014)。
2010 年からウイグル全地域において幼稚園、小学校一年から「双語教育」が実施されるように
なり、中国内陸からウイグル語が知らない漢族教師が大量に投入された(例えば、2017 年4 月
26 ホータン地区・チラ県政府ウェブサイトでの募集(参考資料8)によると、人口13 万人のこの
県だけで1093 人の教師を中国内陸から募集している;またホータン地区政府からも中国内陸向け
の同様な募集(参考資料9)があり、現地一般教師給与の2 倍以上の賃金が提示されている。これ
により、学校ではウイグル語の授業がほとんど行われなくなり、漢語を習い始めたばかりの子ど
もたちに、すべての授業を漢語で行うようになった。一方、これまでに長年ウイグル語による授
業をやって来たベテランの優秀な教師たちが、漢語水準が満たない理由で「下放」された(教育
現場から追い出された)。教育レベル、学生の知力が著しく落ちていった。
この時、ウイグル言語に対する危機を感じた有志の教育者が私立のウイグル語幼稚園、小学校
の設立を試みた。現在トルコ在住のアブドワリ・アユップ(Abduweli Ayup)氏(参考10)がウ
イグル語学校設立を仕掛けた一人である。アブドワリは2011 年アメリカ留学から帰国したあと、
カシュガルでウイグル語学校を立ち上げた。しかし、2013 年にアブドワリ氏を含む学校設立に関
わった3 人(他Dilyar Obul, Muhemmet Sidik Abdurshit)が、寄付で集まった支援金の「横領罪」
で投獄され(明らかに冤罪である)、ウイグル語学校計画が滅ぼされたのである。(その後、アブ
ドワリ氏は治病のためトルクに渡り、現在もウイグル語保護活動を続けている)。
また、中国でウイグル族が直面している現実への理解と問題解決を訴え、当局の政策に批判的
な声を上げた知識人、中央民族大学(北京)の著名なウイグル族経済学者、イリハム・トフティ
ウイグル語教育 → 「双語」教育 → 漢語のみの教育への転化
→ 幼稚園、小・中・高校、大学でのウイグル語使用全面禁止へ


第五章 中国のウイグル言語への侵害状況

准教授(Ilham Tohti, 伊力哈木·土赫提)が「国家分裂罪」に問われ、2014 年9 月23 日、無期懲
役判決で投獄された(参考資料11)。
2016 年に元中国共産党チベット自治区委員会の書記で、チベット人の弾圧で手腕を発揮した陳
全国が新疆ウイグル自治区の書記に就任してから、ウイグル語の使用禁止、漢語教育のみを実施と
いう重大な人権侵害、同化・民族浄化政策を露骨に展開してきた。これは陳の指示で設置した洗脳
のための「再教育センター、強制収容所」や監視社会体制以外のもう一つ謀略である。
ウイグル語禁止政策は以下の各地区政府の通知・通達の内容から見取れる。
2017 年7 月5 日、ホータン地区政府のホームページに、「ホータン地区双語教育規定5 カ条、
小中学校双語教育強化」(《和田地区制定双语教育五条规定,加强中小学双语教育》(参考資料12))
という規定を発表した。内容は(1)国家通用言語文字(漢語)を全面普及し、民族言語を付加
した双語教育原則を堅持すること、(2)2017 年秋学期から小学校入学前の3 年で国家通用言語
文字教育を徹底し、小学校1 年、中
学校1 年から国家通用言語文字教
学を全面実施、2020 年には国家通
用言語文字教学を全体的に実現す
ること、(3)漢語教師がウイグル
語で研修受けるという間違ったや
り方を止めること、(4)教育系統
内、学校内でウイグル語文字、スロ
ーガン、図画などの使用を断固禁止
すること、(5)教育系統の集団活
動、公共活動、管理ワークの中でウ
イグル語の使用を断固禁止するこ
と。以上の双語教育政策に対しての
怠慢、不履行、小細工などをした人
は、「両面派」、「両面人」として厳
重に懲罰される、であった。
そのほか、「ホータン地区学前(入
学前)教師8 カ条ルール」、「ホータ
ン地区国語教育5 カ条規定」などが
ある(参考資料13)。
2017 年10 月10 日、イリ・カザフ自治州イニン県教育局が、自治区教育庁の「少数民族文字教
材補選使用に関する通知」(《关于少数民族文字教材教辅选用有关工作的通知》)を通達し、当県に
おいて、(1)全てのウイグル語とカザフ語の「国語」教材の使用を停止すること、学校にすでに
ある教材は封存すること、(2)国家統編の教材「道徳と法治」、「歴史」教材の少数民族文字に翻
訳が終わっていないものを含め、使用を停止すること、(3)関連学科少数民族文字の教材・補助
資料の使用を停止すること、(4)この「通知」要求により、各学校が教材・補助教材選択・使用
規定に違反してはいけない、問題発覚時はすぐ報告すること、という内容を発表した(参考資料14)。


ウイグル語使用禁止と同時にウイグル語教科書、文学・歴史に関係する出版物の焼却が各地で
行われた(参考資料15-16)。


『参考資料』

1. 新井 凜子, 大谷 順子, 2016, 「新疆ウイグル自治区の漢語教育に見る言語とアイデンティティの
関係」. 21 世紀東アジア社会学2016-第8 号, 1-18.
2. リズワン・アブリミティ, 2009, 「中華人民共和国成立後の新疆における「民族学校」の漢語教育
をめぐる一考察」『アジア・アフリカ言語文化研究』78, 東京外国語大学アジア・アフリカ言語文
化研究所, 43-77
3. Mamtimyn S., Feng A. and Adamson, B., 2015, “Trilingualism and Uyghur Identity in the People’s
Republic of China” in Evans, D. Eds., Language and Identity Discourse in the World. Bloomsbury.
4. Grose, T.A., 2010, “The Xinjiang Class: Education, Integration, and the Uyghurs” Journal of
Muslim Minority Affairs Vol.30 No.1, The Institute of Muslim Minority Affairs, 97-109.
5. 王柯, 2006, 『20 世紀中国の国家建設と「民族」』東京大学出版社
6. アナトラ・グリジャナティ, 2013, 「中国新疆ウイグル自治区における少数民族双語教育に関する
研究」富士ゼロックス株式会社小林節太郎記念基金
7. リズワン・アブリミティ, 大谷順子, 2014, 「中国新疆におけるウイグル族の学校選択」『21 世紀
東アジア社会学』第6 号, 日中社会学会, 156-171
8. 策勒县人民政府《2017 新疆和田地区策勒县双语教师招聘1093 人公告》,2017 年4 月26 日
http://www.offcn.com/jiaoshi/2017/0426/153572.html
9. 《和田地区于田县面向内地招聘教师简章》2017.08.18
http://www.gzsjyzx.com/client/article/1384
10. ウイグル学校設立者 アブドワリ・アユップ https://en.wikipedia.org/wiki/Abduweli_Ayup
11. ウイグル族経済学者、イリハム・トフティ准教授が「国家分裂罪」で投獄
https://ja.wikipedia.org/wiki/イリハム・トフティ
12. 《和田地区制定双语教育五条规定,加强中小学双语教育》, ホータン地区ウェブサイトより
https://archive.is/nybWu
13. 《新疆禁止幼教信教 教育系统内禁维语》, Radio Free Asia ウェブサイトより
https://www.rfa.org/mandarin/yataibaodao/shaoshuminzu/xl1-09252017102937.html
14. 《RFA 独家:新疆全面停用维、哈文字辅选教材》
https://www.rfa.org/mandarin/yataibaodao/shaoshuminzu/ql1-10132017100200.html
15. 《新疆伊犁、和田等地收缴民族语言教科书》ChinaAid, 2018.04.02
http://www.chinaaid.net/2018/04/blog-post_2.html?m=1
16. Thousands of Uighur Books burned by Chinese Authorities
http://unpo.org/article/101


第六章 中国のウイグル文化・宗教への侵害状況

ウイグル人は、ユーラシア大陸のほぼ中央に位置し、シルクロードとも言われてきた東トルキ
スタン(現“新疆ウイグル自治区”)を中心に暮らす、独自の歴史と文化を持つイスラム教を信仰
する人々である。
ウイグル人は、8-9世紀に約100 年継続した「ウイグル可汗国」(Oghuz Orkhon Khanate)、
9〜13 世紀に約300 年繁栄した「天山ウイグル王国(Uyghur Kingdom of Qocho, 天山山脈北
麓)」と「カラ・ハン朝 (Kara-Khanids Dynasty, タリム盆地)」、16−17 世紀に165 年繁栄した
「セイディア汗国」(Saidia Khanate, ヤルカンド)などを建国していた。
こうした独立のウイグル国家は18 世紀から清朝の支配下におかれ、1884 年に「新しい領土」
を意味する「新疆」という名前が付けられた。それでも、ウイグルの反抗が途絶えず1933 年と
1944 年に「東トルキスタン共和国」として独立国家を設立していた。しかし、1949 年に再び中
国人民解放軍の侵略により、共産党支配下に置かれた。
ウイグルは、かつて仏教やマニ教も信仰した歴史もあったが、8 世紀からはずっとイスラム教
を信仰してきた平和を愛する農耕民・遊牧民である。
ウイグルは、長い歴史の中でアジア、ヨーロッパ文化も吸収しながら、独自の言語(ウイグル
語)や文化・習慣を培って、守ってきたのである。
ウイグルは、古代から音楽・踊りを生活の一部として、それを発展させながら、非常に明るく
平和に暮らしていた。ウイグルの古典音楽「12ムカム」は歌、ダンス、音楽が一体となったも
ので、その素晴らしさが認められ、「世界無形文化遺産」に登録されたほどである。ウイグル人
は中国で「能歌善舞」(歌も踊りも上手な)民族と呼ばれてきた。
ウイグルは、何千年もの歴史の中で、男性はヒゲを生やすのと伝統的な帽子をかぶり、女性は
ベールをかぶるのと肌脚を露出しないようにロングスカートを着るという習慣を作ってきた。
しかし、今現在、中国共産党の支配下にある、実際に全く「自治」のないこの「新疆ウイグル
自治区」で何が起こっているだろうか。
中国でいま、ウイグルアイデンティティーを破壊する重大な人権侵害、同化・民族浄化が行わ
れているのだ!


1.【ウイグル文化への侵害】

1)ウイグルの男性(老人以外)は髭を生やすことが禁止されている。
https://www.bbc.com/news/world-asia-china-39460538

2)ウイグルの女性はベールやロングスカートを着用することが禁止されている。
新疆ウイグル自治区当局は昨年4月1日から、ひげや公共の場所での顔などを覆うベールの着
用を禁じる新たな法律を発効した。
「新疆ウイグル自治区でひげやベール禁止、過激思想対策」(2017.04.01)
https://www.cnn.co.jp/world/35099111.html


第六章 中国のウイグル文化・宗教への侵害状況

China Uighurs: Xinjiang ban on long beards and veils
https://www.bbc.com/news/world-asia-china-39460538

3)街の中で民族衣装、ワンピースや長めのシャツが強制的にカットされる。
これらの写真は、2018 年7 月13 日ウルムチ市内で撮影され、WeChat に投稿されたもの

4)ウイグル学生に中華漢族衣装を着させ、孔子・漢族思想教育を強要されている。

・ウイグルアイデンティティーの破壊・同化
http://freedomsherald.org/ET/cmp/


5)伝統的ウイグル歌舞の代わりに中国漢族文化の戏剧を強要されている。
ウイグル音楽「十二ムカム」が世界無形文化遺産に登録されているなど、ウイグル音楽・
舞踊が有名であり、ウイグル人は「能歌善舞」(歌も踊りも上手な)民族と呼ばれることがあ
るが、このような文化を漢族文化に置き換えようとしている。


6)ウイグル女性を漢民族の男性と強制結婚させられている。
https://news.so-net.ne.jp/article/detail/1582964/
http://www.atimes.com/article/beijing-accused-of-forcing-uyghur-han-intermarriages/

漢族の男性がウイグル族女性の親族を監禁して強要結婚……涙に濡れる花嫁の姿
http://www.cyzo.com/2018/06/post_164302_entry.html
Beijing accused of forcing Uyghur-Han intermarriages
http://www.atimes.com/article/beijing-accused-of-forcing-uyghur-han-intermarriages/
31


2.【宗教への侵害】

1)モスクの閉鎖、モスクへ中国旗と監視カメラを設置
https://www.rfa.org/english/news/uyghur/mosques-08032017153002.html
http://america.aljazeera.com/articles/2013/9/18/uighurs-bow-downtochineseflagatxinjiang
mosque.html
https://www.rfa.org/english/news/uyghur/urumqi-07072010084824.html
https://www.engadget.com/2018/02/22/china-xinjiang-surveillance-tech-spread/
2)モスクに政府系監視係の職員を配置
Xinjiang Authorities Convert Uyghur Mosques Into Propaganda Centers
https://www.rfa.org/english/news/uyghur/mosques-08032017153002.html
3)18 歳以下の全員、学生、教師、職員の礼拝、断食など禁止
https://www.telegraph.co.uk/news/worldnews/asia/china/5794696/Chinese-authorities-ban
-Uighurs-from-mosques.html
https://www.theepochtimes.com/communist-regime-bans-people-under-18-from-attendingmosques-
in-xinjiang-china_1730829.html
4)モスクで行われて来たウイグル伝統的葬式に家族以外の人々の参加禁止
5)ウイグル人ボランティアの遺体清浄禁止
https://www.rfa.org/uyghur/xewerler/din/meyit-yuyghuchi-ayal-02192018135741.html?enc
oding=latin
6)当局管理下の遺体処理・葬儀場(葬儀サービスセンター)を設立
https://www.rfa.org/uyghur/xewerler/kishilik-hoquq/xitay-uyghur-miyit-ishlirigha-qol-tiqti-
04062018235849.html?encoding=latin
7)ウイグル人密集地に火葬場建設
ウルムチ沙依巴克区 火葬场保安員の公募
33
中国のウイグル人への弾圧状況についてレポート
在日ウイグル人有識者会議
https://m.wlmq.com/0010155185.html
https://www.rfa.org/uyghur/xewerler/kishilik-hoquq/jeset-koydurush-06122018145148.html
?encoding=latin
https://www.rfa.org/uyghur/xewerler/kishilik-hoquq/jeset-koydurush-06132018153137.html
?encoding=latin
https://www.rfa.org/uyghur/xewerler/kishilik-hoquq/jeset-koydurush-06142018151310.html
?encoding=latin
8)新生児にイスラム系の名前を付けることを禁止するほか、一部大人の名前の改名を強要
https://www.voanews.com/a/china-issues-ban-on-many-muslim-names-in-xinjiang/3826118
.html
https://www.telegraph.co.uk/news/2017/04/25/china-bans-islamic-baby-names-muslim-maj
ority-xinjiang-province/
9)収容所でウイグル人に豚肉とアルコールを強要
イスラム教徒に豚とアルコールを強要する中国・ウイグル「絶望」収容所
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2018/05/post-10194.php


▲△▽▼


いま中国が行っているのは民族浄化で、ただ浄化するのではなく、ウイグル人を殺して臓器売買のドル箱としているのです。

【ウイグル人収容所から死者が続出】
http://uyghur-j.org/20180908/uyghur_japan_report_20180908.pdf


これまでの報道で各収容所から続々死者が出ていて『参考資料28-29、第三章死者リスト参照』、

一部の老人遺体以外は家族に返されず、家族に合わせることもなく、新しく設けられた一般人が
入ることのできない遺体処理・安置所『参考資料30』で焼却処分されていると思われる
(ウイグル人の民族習慣では亡くなった人に葬儀を行い、故人を専用墓地に埋葬する)。


臓器売買のため、臓器が抜き取られた痕跡のある遺体もあったという噂がある。
そして、それを裏付ける写真もあった。

上の写真3は、観光でウイグルに行った日本人により今年1月にカシュガル空港で撮られた写真であり、空港では「人体器官運送通路」、「人体寄付、移植器官航空運送保障プロセス」標識の専用通路やスペースが用意され、国家ぐるみで人の臓器を強盗していることを示す徹底的証拠である。


在日ウイグル人一人の証言によると、彼女の弟(24 歳)が今年5月に収容所で亡くなり、遺体を家族に返さずに当局の監視下で直接処理されたそうだ。死因は何なのか、遺体はどこに、どういう方法で処理されたかなどの情報は一切聞かされていない。電話に答えた親族は「党のケアの元で葬送した、さようなら」と言い他に何も言えなかったという。


▲△▽▼


「麻酔掛けずに直接摘出」 中国の臓器奪取、凄惨な実態が明らかに  


李荘弁護士の書き込み。中国の臓器奪取の実態をさらした(スクリーンショット)

【大紀元日本10月24日】重慶市元トップの薄煕来氏の暴力団一掃運動に立ち向かったことで1年半の懲役刑に服した北京の弁護士・李荘氏がこのほど、ミニブログ(微博)で、中国の臓器奪取の実態をさらした。

「ある著名な病院の著名な心臓外科の著名な医師らが僕ににこやかに教えたんだ。『重要患者に臓器移植を行う場合、臓器の鮮度を保つために、われわれは麻酔を掛けずに直接摘出するのだ』。僕は、死刑囚に対しても人道的でなければと忠告した」

この書き込みに多くの注目が集まった。ユーザー「虎甲胡威」は、「死刑執行の前に、死刑囚から臓器を摘出し死亡させることは、もはや人道のうんぬんではなく、計画殺人だ」と指摘。また、「中国で臓器売買のピークが法輪功を弾圧した時期だ。アメリカが証拠を持っているようだ」「李弁護士はもっと情報を提供すべきだ」などとさらなる真相の解明を望む声が飛び交った。

中国の臓器移植問題について、米国務省は5月24日に発表した2011年度人権状況報告書の中国関連部分で、メディアや人権団体から法輪功学習者の臓器が奪取され売買された報告が絶えないことに初めて言及した。また、9月12日に米議会で中国の臓器狩りについて公聴会が行われ、中国の囚人から生体臓器奪取の状況が証言された。

さらに、中国国内では9月、これまで最大規模の不法臓器売買事件の訴訟が始まっている。解放軍病院が仲介者を通じて闇の臓器売買を行ったことが明らかになり、死刑囚の臓器提供意思書、親族臓器提供意思書など、すべて偽造されていたことも浮き彫りになった。

闇から少しずつ、その凄惨な実態が浮かび上がっている中国の臓器狩り問題。2006年にすでにこの問題に注目し、調査報告書『戦慄の臓器狩り』を発表した著者の一人、カナダ元外務省アジア太平洋外務担当大臣のデービッド・キルガー氏は10月25日から27日の日程で来日し、会見やシンポジウムを開く予定だ。(翻訳編集・余靜、張凛音)
http://www.epochtimes.jp/jp/2012/10/html/d68771.html


詳細は


中国人のウイグルでの民族浄化の手口
http://www.asyura2.com/17/lunchbreak54/msg/280.html

中国企業が欧米や日本の最先端技術を手に入れる手口
http://www.asyura2.com/17/lunchbreak54/msg/283.html

高利貸 中国が低開発国の資産を乗っ取る手口
http://www.asyura2.com/17/lunchbreak54/msg/281.html

中国は世界史上最悪の階級社会
http://www.asyura2.com/17/lunchbreak54/msg/269.html

日本は近い将来、中国小日本省になる
http://www.asyura2.com/13/lunchbreak53/msg/888.html


因みに、僕が最近 阿修羅掲示板で中国関連スレにすべてウイグルでの民族浄化の話をコメントしていたら、
中国関連のスレが滅多に投稿されなくなった。

つまり、阿修羅で中国関連のスレを投稿していたのは殆どが中国の工作員だった訳だ。

阿修羅掲示板の全投稿の 7割以上を投稿している自称 赤かぶ 氏も中国の工作員グループだろうね。
阿修羅掲示板で反安倍とか護憲とか反原発の投稿をしているのも殆どが中国の工作員だね。
だから、阿修羅では僕みたいな反中の人間が嫌われて迫害・投稿妨害されるんだ。

IQ が低いアホは 平和、友愛、多民族共生とかいう言葉に弱いから、すぐに中国の工作員に騙されて洗脳されてしまう。


[18初期非表示理由]:担当:混乱したコメント多数により全部処理

2. 2018年10月29日 00:31:16 : dMKITnqWzo : ci0msVl0ZeQ[3] 報告
>バルト海沿岸や東欧の諸国にとってロシアの脅威は切実で、安保で頼れるのは独仏ではなく米国という現実がある。

そういう国々をEUに入れたのは時期尚早だったな。

▲上へ      ★阿修羅♪ > 戦争b22掲示板 次へ  前へ


  拍手はせず、拍手一覧を見る

フォローアップ:


★登録無しでコメント可能。今すぐ反映 通常 |動画・ツイッター等 |htmltag可(熟練者向)
タグCheck |タグに'だけを使っている場合のcheck |checkしない)(各説明

←ペンネーム新規登録ならチェック)
↓ペンネーム(2023/11/26から必須)

↓パスワード(ペンネームに必須)

(ペンネームとパスワードは初回使用で記録、次回以降にチェック。パスワードはメモすべし。)
↓画像認証
( 上画像文字を入力)
ルール確認&失敗対策
画像の URL (任意):
投稿コメント全ログ  コメント即時配信  スレ建て依頼  削除コメント確認方法

▲上へ      ★阿修羅♪ > 戦争b22掲示板 次へ  前へ

★阿修羅♪ http://www.asyura2.com/ since 1995
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。
 
▲上へ       
★阿修羅♪  
戦争b22掲示板  
次へ