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長野県駅、リニアの「隣村」で住民は何を思う?新駅ができる飯田市の東、豊丘村の将来(各駅停車で客は増える?)
http://www.asyura2.com/19/hasan133/msg/796.html
投稿者 戦争とはこういう物 日時 2019 年 12 月 12 日 01:05:44: N0qgFY7SzZrIQ kO2RiILGgs2CsYKkgqKCpJWo
 

(回答先: 停滞するリニア工事、国交省「成田に学ぶ」…困惑する静岡県側 投稿者 戦争とはこういう物 日時 2019 年 12 月 11 日 22:00:04)

 アベノミックス失敗と、地方の過疎化の中で五輪やトンネル新幹線に縋って地域振興を、と夢みたい気は解らんでもないが。冷静に考えれば、1時間1本程度のリニア各駅停車のもたらすもの等たかがしれている。
それよりは、巨大トンネル工事などの環境悪影響を心配する声に耳を傾けるべきではなかろうか。

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長野県駅、リニアの「隣村」で住民は何を思う?新駅ができる飯田市の東、豊丘村の将来
https://toyokeizai.net/articles/-/317168

櫛引 素夫 : 青森大学教授、地域ジャーナリスト、専門地域調査士
2019/12/11 5:10

*長野県豊丘村の「福島てっぺん公園」から眺めた伊那谷。正面が飯田市=2019年6月(筆者撮影)https://tk.ismcdn.jp/mwimgs/9/4/1140/img_948e8a56ac24017d1828288ab927f79e321338.jpg

リニア中央新幹線は、静岡県・大井川の水源問題などをはらみながらも建設が進み、2027年の開業に向けて、沿線の開業準備が加速している。

長野県豊丘村は、「長野県駅」(仮称)が設置される飯田市の東隣にある。天竜川が刻んだ“日本一の河岸段丘”の上に位置する、人口6500人弱の村だ。

2017年秋、会員10人ほどの小さな研究会が発足した。観光や産業振興にとどまらず、「リニアのある暮らし」そのものを描こうと会合を重ねている。他方、村内にはトンネル工事がもたらす環境への影響を懸念する人々もいる。

リニアが将来に及ぼす正負の影響を探ろうと模索する、「河岸段丘の村」の横顔を追ってみた。

○村のキャラクターは「だんQくん」
豊丘村は南信州、伊那谷を流れる天竜川の東岸に位置する。近隣の中心都市・飯田は天竜川を挟んだ対岸に当たる。川の両岸には階段状の丘陵地形・河岸段丘が広がり、互いの市・村が段丘面に載っている様子がよく見える。飯田市役所と豊丘村役場の直線距離は約8Kmだ。

*豊丘村の河岸段丘。中央の橋を渡った向こう岸が、役場などが建つ村の中心部だ(写真:豊丘村役場)https://image.news.livedoor.com/newsimage/stf/7/2/72f13_1635_7a6c8cbea7329e758b204811925c5ade.jpg

長野県環境保全研究所の富樫均氏の論文によると、豊丘村付近の河岸段丘は約10万年前から形づくられた。大きく5段に分かれ、村役場などの主要施設は、天竜川に近い低位段丘上にある。

村のイメージキャラクターは「だんQくん」。村の南東端にそびえる伊那山地の最高峰・鬼面山(きめんざん、1890m)の妖精という設定だ。村のサイトによると、身長と体重は「マツタケ1本分」。全国有数のマツタケ産地という村の特徴をアピールする。かぶった“帽子”のつばは段丘を模し、マツタケのほか、特産のリンゴ、ナシ、市田柿が彩っている。「日本一とうたわれる河岸段丘」(村サイト)のシンボルでもある。

調べてみると、信濃川流域の新潟県津南町、利根川流域の群馬県沼田市などに、「日本一」をうたう河岸段丘があり、観光名所ともなっている。


*村のマスコットキャラクター「だんQくん」の人形=2019年6月(筆者撮影)https://tk.ismcdn.jp/mwimgs/c/4/640/img_c4c606c1850ff7378b0f8b2a638a1437209877.jpg

しかし、地元キャラクターのデザインや名前にも段丘を採用している例は、ほかには見つからない。

地元の人々に接していても、「うちの家の段丘は、君の家の段丘より……」といった会話がごく自然に語られる。「小学生なら誰でも、段丘という言葉を知っているはず」と証言した人もいた。豊丘村の「段丘愛」の強さが伝わってくる。

○研究会は古民家で
筆者は2019年6月、「豊丘村リニア活用戦略研究会」の招きで、初めて村を訪れた。研究会は下平喜隆村長の意向で2017年秋に発足し、村役場が事務局を務める。メンバーは村内の企業経営者や会社員、団体職員ら。約10人という少数精鋭だ。


*伊那谷の風土と歴史が染み込んだ建物と壬生紘彰さん=2019年6月(筆者撮影)https://tk.ismcdn.jp/mwimgs/3/8/640/img_383bd920242bf0e468e8f336738e989f326157.jpg

研究会の会場は、築100年を超える古民家をリノベした「農家民宿ひがし」だった。段丘から伊那山地を東に上がった丘陵地にある一軒家を、埼玉県出身の壬生紘彰さんが1人で切り盛りしている。会社員生活を経て、もともとは祖父が住んでいた家に「孫ターン」し、2012年に独立したという。狩猟免許を取得し、自ら仕留めたシカのジビエ料理なども提供する。夏休みは自然体験を兼ねた子どもたちの宿泊でにぎわう。

外観はごく普通の民家だが、室内は天井がなく、広く大きく見える。いろりや神棚のある、伊那谷の暮らしと歴史が染み込んだ家での議論からは、一般の会議室では決して生まれない奥行きと温もりが生まれたように感じられた。

筆者は、北陸新幹線や北海道新幹線の沿線で起きたこと、起きなかったことを紹介した。また、観光や産業の振興にとどまらず、医療・福祉や教育など、村の暮らし全体に関する検討やイメージづくりを提起した。そして質疑を通じて、その半ばについては、メンバーがすでに検討を進めていることがわかった。

とはいえ、まだ「リニアのある暮らし」のイメージは描き切れていない。最も大きな理由は、「リニアは豊丘村を通るけれど通らない」ことだ。

東京・品川を起点とするリニアは、神奈川、山梨、静岡の各県を経由し、南アルプスをトンネルで貫いて、伊那谷の長野県駅(仮称)に至る。豊丘村を東西約10kmにわたって横切るものの、その姿を見ることはできない。天竜川の手前、南隣・喬木村との境界付近でようやくトンネルから地表に出て、川を渡るともう飯田市、そして長野県駅だ。


*豊丘村一帯の地形とリニア中央新幹線のルート(地理院地図から筆者作成)https://tk.ismcdn.jp/mwimgs/7/4/1040/img_7428ab0a29be7aef2f87484555e7473a625411.jpg

つまり、村域からは、河岸段丘から天竜川を横断して駅に向かう車両を、遠目で見る状況になる。ただし、村内に2カ所のトンネル非常口と変電施設が設けられる計画だ。

少しもどかしい環境下、リニアや、これから整備される駅をどう活用するか、住民の暮らしや経済活動をどうつくり変えていくか――。


*役場に置かれた村のイメージキャラクター「だんQくん」と、伊那谷を見晴らす「福島てっぺん公園」のポスター=2019年6月(筆者撮影)https://portal.st-img.jp/detail/93f026bab57b5adeb9022e4cfad6cfb9_1576008773_8.jpg

例えば、村内には2018年春にオープンした「道の駅 南信州とよおかマルシェ」や、伊那谷を見渡せ、「ほうきに乗った魔女」に扮した写真の撮影名所となっている「福島(ふくじま)てっぺん公園」といったスポットがある。とはいえ、泊まりがけで訪れる観光名所はとっさに思い浮かばない。リニア開通が直接、活動を左右する大企業が所在しているわけでもない。

研究会が2017年秋に実施した村民アンケートでは、興味深い結果が得られた。リニア時代に備えて、「新たな村づくりが必要」、そして「今のままでよい」のどちらを選ぶべきか。二者択一で尋ねたところ、10代の回答は、「今のままでよい」が「新たな村づくりが必要」を上回ったという。地方を問わず、若い世代に「地域」への否定的な感覚が染みつく中で、豊丘村の若い世代は、村の今の姿に愛着を抱いている様子が浮かび上がる。

○飯田市のベッドタウン
長野県の「毎月人口異動調査」によれば、2019年10月1日現在の村の推計人口は6436人。県内の村では中位の人口規模だ。計算してみると、15歳未満の年少人口の割合は13.8%と、長野県平均の12.2%、飯田市の12.8%を上回り、若干ながら「子どもの多い村」であることがわかった。

現に、村内を走ると、子ども用自転車が玄関先にあるなど、子育て世代が入居しているらしい真新しい家が目立つ。税金の安さや村の移住促進策、子育て支援策によって、近隣の飯田市、さらには県外からも移住者がいるのだという。

村役場近くに喫茶店を構える黒田美佳さんも、移住者の1人だ。名古屋市に生まれ、レストラン関係の仕事を経て、2013年に地域おこし協力隊員として村に移り住んだ。退職後はそのまま定住し、起業したという。リニア研究会のメンバーでもある。

*黒田さんの店の看板メニュー「だんQオムライス」=2019年6月(筆者撮影)https://portal.st-img.jp/detail/93f026bab57b5adeb9022e4cfad6cfb9_1576008773_9.jpg

農家民宿ひがしと同様、やや古びた外観とは裏腹に、リノベされた店内はおしゃれな絵皿や切り絵が飾られ、若い女性が相次いで来店する。「村を盛り上げたい」という黒田さんの思いと営みが、若い世代の居場所づくりにつながっている。店の看板メニューは「だんQオムライス」。河岸段丘と川をイメージし、ふわとろのオムレツに特製ハヤシソースをかけた逸品だ。

○水源への影響を懸念する声も
豊丘村は第2次大戦中、多くの満州開拓団員を送り出したことでも知られる。村内の寺院・泉龍院には、故郷に帰ることなく命を落とした人々を悼む観音像が建っている。

*豊丘村・泉龍院に建つ満州開拓団慰霊の観音像=2019年6月(筆者撮影)https://portal.st-img.jp/detail/93f026bab57b5adeb9022e4cfad6cfb9_1576008773_10.jpg

多くの悲劇が生まれる一方、無事に帰国した人々は、ジンギスカン食など、多様な生活スタイルと価値観、そして進取の気性をもたらした、という。同時に、「国策」や「国家的事業」に対する、懐疑的な視線も生んだようだ。リニアのトンネル工事が、地元の暮らしに及ぼす影響を気に掛ける人は少なくない。

大都市圏の子どもたちの民泊を受け入れている年配の女性の1人は「水が涸れるのではないか」と気をもむ。豊丘村には、段丘からわき出す地下水に水源を依存している家もあり、工事によって地下の水脈が絶たれることを懸念する。一方で、トンネル工事でわき出す水を新たな水源にできないか、と思案している人もいる。

*豊丘村・坂島地区の作業ヤード=2019年6月(筆者撮影)https://portal.st-img.jp/detail/93f026bab57b5adeb9022e4cfad6cfb9_1576008773_11.jpg

村内に設置されるトンネルの非常口や変電施設、さらに工事で排出される土砂を置く「発生土置き場」の設置をめぐっても村が揺れている。

2016年には、JR東海が示した発生土置き場計画に住民から異論が起こり、結果的に計画が撤回された地区もあった。

壬生さんが経営する農家民宿ひがしにも波紋が及ぶ。目の前を通る村道を、やがて、発生土を積んだダンプが往来する見通しだ。静かな里山の環境が激変する。

*豊丘村・戸中地区のトンネル非常口建設予定地=2019年6月(筆者撮影)https://portal.st-img.jp/detail/93f026bab57b5adeb9022e4cfad6cfb9_1576008773_12.jpg

「自分もこれまで、誰かの犠牲のうえに造られてきた高速道路などを使ってきた。地元の皆さんが建設を望んでいるリニアに対し、反対運動を展開するつもりはありません。とはいえ、個人的にはリニアを造ってほしくはない。子どもたちを迎え入れ、自然を体験してもらう営みは、ダンプが行き交う環境下では続けられないから……。新しい生き方を探せ、という、神様の試練なのかもしれない。そう感じています」

壬生さんは、豊丘村で動植物と交わり、農作物を育てる暮らし、そして揺れる思いをめぐって、ブログをつづり続けている。

○どんな未来をつくれるか
リニアへのさまざまな思いが交錯する中で、工事はきょうも進む。異論や不安を抱く人々の思いも受け止めて、どんな将来像を描き、暮らしをつくり直していくのか。

村内には空き家も増えているといい、「昔ながらの暮らし」をそのまま維持するのが困難であることは、研究会のメンバーも身に染みている。同時に、安易に村外の人や組織の力を頼るリニア活用法は、長い目でみれば、持続可能な地域づくりにつながらないことも、何度となく語り合ってきたという。

これまで訪れてきた整備新幹線沿線でも、小規模ながらここまで地に足のついた取り組みは、あまり記憶にない。

その後、2019年11月にも、講演で飯田市を訪れる機会があった。来場した豊丘村の研究会の方々と5カ月ぶりに再会し、近況を報告し合うことができた。「私たちが目指しているのは、リニア開業対策を通じた、地域経営のバージョンアップそのものだ」。あるメンバーはそう語った。

筆者自身、整備新幹線沿線に生まれ育ち、マイナスの影響を受けながらも新幹線に向き合ってきた1人だ(2019年5月23日付記事「リニア開業『8年後』、長野・飯田の歓迎と戸惑い」参照)。豊丘村の模索は、細くても長く支援し、見届ける価値がある、と感じたひと言だった。

12/11 05:10 東洋経済オンライン

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