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『竹中平蔵 市場と権力』 著・佐々木実
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投稿者 中川隆 日時 2020 年 10 月 23 日 10:36:28: 3bF/xW6Ehzs4I koaQ7Jey
 

(回答先: 私達は洗脳されていました。不良債権の処理こそが構造改革だと。。。 投稿者 中川隆 日時 2020 年 10 月 22 日 18:24:11)

『竹中平蔵 市場と権力』 著・佐々木実
 竹中平蔵は小泉政府で構造改革の司令塔の役割を担い、郵政民営化や金融改革をおし進めた。そして第二次安倍政府の産業競争力会議・民間委員として復活し、規制改革会議と連携して労働の規制緩和やTPP推進の旗を振り、未来投資会議や国家戦略特区諮問会議でもその中枢にいた。今の菅政府では未来投資会議にかわる経済財政諮問会議のメンバーだ。また、日本維新の会の橋下徹のブレーンとなり、衆院選候補者選定委員会委員長も務めたことがある。

 竹中平蔵とは何者なのか? フリージャーナリストの著者が、生い立ちからはじめてその実像に迫っている。

 和歌山市の履物店の次男として1951年に生まれた竹中は、桐蔭高校、一橋大学、日本開発銀行と進むが、転機となったのはアメリカ留学だ。1981年、開銀に籍を置きつつハーバード大学国際問題研究所の客員研究員になった。それがレーガン政府が新自由主義に舵を切ったのと同時期であり、彼は元駐日大使エドウィン・ライシャワーの弟子であるケント・カルダーら「小さな政府」「すべてを市場に委ねよ」と主張する、レーガノミックスを支えた学者たちから洗礼を受けた。著者はこの国際問題研究所が、貿易黒字を拡大する日本への反転攻勢のための情報収集と、親米派人脈を世界に広げる役割を担っていたと指摘する。

 竹中がそこで刷り込まれたのが全米経済研究所(NBER)のやり方で、経済学の若手研究者たちに潤沢な資金を与え、「過度な福祉政策が社会の活力をそいだ」などレーガン政府や財界のための研究をおこなわせ、それをメディアを通じて浸透させるというシステムだ。つまり「学問の自由」をみずから投げ捨て、企業と癒着した「政策プロモーター」になる道である。

 ちょうどそのときに起こったのが日米構造協議(1989年)だ。それは双子の赤字に苦しむアメリカが、見えない貿易障壁となっていた日本の商習慣や制度を改めさせるために仕掛けた貿易戦争で、「大規模小売店舗法の廃止」「10年間で総額430兆円の公共投資の実施」を日本政府に約束させた。

 日米構造協議が終わった後、竹中は「スーパーSII(日米構造協議)を始動させよ」という文章を発表し、引き続き「外圧」の必要性を説いた。実際にその後の1994年から「年次改革要望書」が始まる。著名なシンクタンク「外交問題評議会(CFR)」は2000年、ブッシュ新政府への提言のなかで「日本国内の改革派が力を増すことで、従来の米国政府の外圧にとってかわる役目を果たすようになる」と指摘したが、竹中は早い時期からアメリカ中枢の意を体現して動いていたことになる。

米国の意受け政権中枢操る

 その竹中が初めて首相のブレーンになるのは小渕政府のときだが、小泉政府のときにはその誕生から深く関与していたことが、本書から読みとれる。

 竹中は小泉のために政策を本にして出版するだけでなく、米大使館近くのオフィスビルで政策に関する集中講義までおこない、小泉内閣誕生後は経済財政策担当大臣におさまった。この竹中を支えたのがアメリカ留学時代の「親友」ケント・カルダーで、当時は特別補佐官として在日アメリカ大使館に勤務していた。竹中は小泉の初の所信表明演説の内容を先取りしてブッシュ政府高官に伝え、訪米前にはカルダーからレクチャーを受けた。さながら首相の振り付け師である。

 そして小泉と、野党の民主党党首・鳩山とに、別々にシンクタンクの設立をもちかけ、事務所は同じ東京財団(笹川グループが資金源)に置いた。与野党の政治家を操るためと、巨額な報酬を得るためだ。

 竹中は2002年に金融担当大臣になると、大蔵省やメガバンクの「守旧派」を抑えて、不良債権処理のための「竹中プラン」を決定した。「2年間で不良債権を半減せよ」というもので、それで破綻の危機に直面したメガバンクは大規模増資に動いた。そのとき三井住友銀行はゴールドマン・サックスが主導した増資計画に乗ったが、そのスキームには増資と引き替えに業務提携が忍ばせてあった。ゴールドマン・サックスは投資銀行なので企業に融資できないため、三井住友に代わりに融資させるようにし(損失は三井住友が穴埋め)、同時に日本国内に活動拠点を築くことに成功した。

 アメリカの金融機関は日本の不良債権問題を千載一遇のビジネスチャンスとみなしていた。竹中はその代弁者となり、ウォール街を日本に導き入れたといえる。

 このとき竹中が破綻に追い込んだのがりそな銀行だ。小泉政府はりそなに2兆円の公的資金を投入したが、りそなの株主責任は問わない処理方法をとった。株主からすれば丸もうけで、これを契機に海外投資家が一斉に東京マーケットに投資を始めたという。あまりにも強引なやり方に、監査法人の公認会計士に自殺者まで出している。

 そして350兆円にものぼる郵貯マネーを外資に売り飛ばそうとした郵政民営化である。監督官庁は総務省だが、小泉は首相直轄で経済財政諮問会議の竹中にやらせると発表した。重視したのがメディアで、郵政民営化の政策的意味を理解できない「IQの低い層」をターゲットに「民営化賛成」を刷り込む広報活動を、電通を使って大規模に展開したことが暴露されている。

ウォール街を日本に導く
 こうした規制緩和・構造改革の行き着いた結果が、非正規雇用と貧富の格差の拡大であり、若者にとっても高齢者にとっても生きづらい社会であることは、今や誰の目にも明らかだ。

 小泉が「自民党をぶっ壊す」といった頃からメディアは「改革派」「守旧派」という言葉を好んで使い、「改革派」を応援するキャンペーンをやってきたが、その正体が親米売国派であり、国益売り飛ばしに奔走する集団であることが、本書から浮き彫りになる。その典型が竹中平蔵である。

 彼は政府の諮問機関の中枢に座り、入管法改正やコンセッション方式導入の旗を振ることで、パソナのビジネスチャンスを拡大したり、オリックスの社外取締役として関西空港など三空港の運営に参画したりしている。彼はアメリカから送り込まれたエージェントの役割を忠実に果たすことで、自分自身も濡れ手に粟の利益を手にしてきた。彼一人の問題ではなく、そこには戦後日本社会の構造にかかわる問題がある。  

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