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紙幣の刷り過ぎでドルが暴落する
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/1039.html
投稿者 中川隆 日時 2020 年 9 月 22 日 08:39:42: 3bF/xW6Ehzs4I koaQ7Jey
 

(回答先: 信用貨幣論 投稿者 中川隆 日時 2020 年 5 月 05 日 21:21:32)

紙幣の刷り過ぎでドルが暴落する


世界最大のヘッジファンド: 紙幣の刷り過ぎでドルが暴落するとき
2020年9月22日
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/11685

世界最大のヘッジファンドBridgewaterを運用するファンドマネージャー、レイ・ダリオ氏が引き続き世界経済の歴史について書き続けている。

新型コロナウィルスの世界的流行とそれに伴う激しい景気後退に対抗するために日本や米国の政府はこぞって紙幣を印刷し国民に配っている。ダリオ氏はそれによって国の通貨が暴落する可能性を心配しているのである。

しかし以前からの読者には周知の通り、ドルは過去に何度も暴落しており、長期的に見れば今も暴落し続けている。今回はドル暴落相場の1つであるニクソンショックについてダリオ氏が経済的に解説している部分を取り上げたい。

戦後の世界経済とドル

1945年に日本の降伏によって第2時世界大戦が終わり、米国経済は一人勝ちの状態だった。戦勝国でもイギリスは実質的な破綻状態であり、敗戦国である日本とドイツの経済は壊滅的な状態にあった。本土への攻撃を免れたアメリカだけが経済的に繁栄していた。

しかしそれも1960年代には怪しくなってくる。ダリオ氏は次のように説明している。

1960年代にはアメリカは消費活動に大金を費やしたが、戦争のダメージから回復したドイツと日本は自動車産業などでアメリカの強力な競争相手となっていた。結果としてアメリカの貿易収支は悪化していった。

貿易収支の悪化とは国の収入がなくなるということである。しかし当時の米国政府は今の日本やアメリカと同じように、これを紙幣印刷で乗り切ろうとした。ダリオ氏はこう続けている。

米国政府はベトナム戦争や国内の社会保障などの支出を増やすため、中央銀行にゴールドと交換できる紙幣(訳注:金本位制)を印刷させた。人々がそれをゴールドと交換したため、中央銀行の金保有量は減り続けた。

以前からの読者は覚えているだろうが、これはかつて覇権国だった海洋帝国オランダの通貨についてダリオ氏が説明したことと全く同じである。

世界最大のヘッジファンド: 量的緩和で暴落した世界初の基軸通貨
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/10903


愉快な話だが、人類はそれを50年前にも現代にも繰り返し行っているのである。人間は学ばない生き物なのである。

ニクソンショック

そして現代の人々は誰も気付いていないが、紙幣印刷の臨界点は必ずやってくる。アメリカはついにドルと金の兌換を守れなくなり、1971年のニクソンショックにおいてこれを破棄することになる。「ゴールドと交換できる」という理由で人々が保有していた紙幣がゴールドと交換できなくなったのである。

ダリオ氏は当時学生でウォール街でインターンをしており、ダリオ氏の当時の生々しい経験は以下の記事で紹介した通りである。

レイ・ダリオ氏、「現金がゴミ」になったニクソンショックの経験を語る
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/9645


何が起こったかと言えば、金価格と株価が上がったのである。そしてドルは急落した。正確にはこれらは同じことだった。ドルの価値が下がったので、ドル建てで値段がついていたすべての価格が上昇したのである。

株式市場が上がっただけならばまだ良かったが、ドル建てで売買されていたのは株だけではなかった。日用品の価格も跳ね上がった。1970年代、アメリカのインフレ率は次のようになっている。


これが紙幣の刷り過ぎの結果である。ピークとなった1980年にはインフレ率が何と15%に達している。アメリカにおいて1970年代からインフレの収まる1980年代前半までは景気後退が4度も起こった苦痛の多い時代として記憶されている。

株価が上がったとしても日用品の価格が上がっては何の得にもならないということである。だからダリオ氏は繰り返し「現金はゴミ」だと主張し、紙幣を印刷する政府の対応を信じてはならないと言っている。

レイ・ダリオ氏、「現金がゴミ」になったニクソンショックの経験を語る
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/9645

世界最大のヘッジファンド: 政府が金融危機から守ってくれると思うな
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/10473


国の経済が窮乏しているにもかかわらず株価が上がっている現在のコロナ相場の状況はニクソンショック直後の現象によく似ている。注意しなければならないのは、金価格は1970年には既に上がり始めていたが、それが日用品に波及し始めたのは上のチャートの通り1972年と2年のタイムラグがあったということである。以下の金価格チャートと比較してみよう。


そしてドル円も暴落した。


ドル円が360円だった時代を覚えている読者はどれだけ居るだろうか。ご存知の通り、その後ドル円は坂道を転がり落ちるように下がり続けている。

株価上昇は経済を救うか

問題は一時は上昇した株式市場だが、それも実際にインフレ率が危機的な上がり方を始めるまで投資家が状況の深刻さに気付いていなかったというだけのことであり、インフレが急激に悪化した1972年にようやく気付いてから半値以下に暴落したのである。


しかしそれは気づけなかったことだろうか。賢明な投資家は事前に気付いていたいものである。紙幣を生み出すことで景気後退を乗り切ろうとする取り組みについてダリオ氏は以下の記事でこう言っている。

世界最大のヘッジファンド: 共産主義の悪夢が資本主義にのしかかる
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/10831


われわれが消費をできるかどうかはわれわれが生産できるかどうかに掛かっているのであり、政府から送られてくる紙幣の量に掛かっているではない。

紙幣は食べられない。

しかし誰もこの言葉を理解しない。

ダリオ氏は比較的礼儀正しい言葉で人々の無知蒙昧さ加減に警鐘を鳴らし続けている。

世界最大のヘッジファンド: 中国が覇権を握りドルは基軸通貨でなくなる
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/10592

世界最大のヘッジファンド: ドルは既に紙くずになっている
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/10645

人々は後になって「あれほどの経済危機は誰も予想していなかった」と言い始めるだろう。しかし事前に言っておこう。あなたがたが現実を見ようとしなかっただけである。現実は見ようと思えばすぐそこにある。ただ、誰もそれを見ないだけなのである。
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/11685  

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コメント
1. 2020年9月22日 09:00:29 : 2hqgblnG1E : b0xFZU54aklaajI=[9] 報告
レイ・ダリオ氏、「現金がゴミ」になったニクソンショックの経験を語る
2020年3月28日
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/9645


世界最大のヘッジファンドBridgewaterを運用するレイ・ダリオ氏が学生の頃にウォール街でインターンをしていた時のことをLinkedInのブログで話している。ダリオ氏はその頃にニクソンショックに遭遇したらしい。

1971年ニクソンショック

ダリオ氏は現在70歳なので、これは50年ほど前の話である。

当時アメリカはまだ金本位制を維持していた。つまり貨幣を金と交換することができた。紙幣とはそもそも金塊を持ち歩くのが大変だという理由で金の代わりに流通する目的で作られたものであり、いわば中央銀行に金を預けているという証明書のようなものだったので、紙幣を中央銀行に持っていけば当然金を返してもらうことができた。

ニクソンショックとはアメリカのニクソン大統領が急にこれを取りやめたという話である。その当時ダリオ氏はウォール街で夏のインターンをしていたらしい。彼は次のように語っている。

1971年8月15日の夜、ニクソン大統領はドル紙幣と金を交換するという約束を取り消すと発表した。これによってドルは急落した。ニクソン氏の話すのを聞いている内にアメリカ政府がデフォルトし、いわゆる「お金」としてわれわれが知っていたものが存在しなくなったのだと悟った。

当時、アメリカはベトナム戦争の戦費などがかさみ、財政赤字が拡大していた。戦後のアメリカは本土が戦地にならなかったこともありヨーロッパ諸国への経済支援なども行う立場だったが、1960年代後半にはアメリカ経済も疲弊し始めていた。当時のアメリカの経済成長率のチャートは次の通りである。


1970年には景気後退となっている。

アメリカ政府にはお金がなかった。それで預かっていたはずの金を返せなくなった。返せなくなったので、返さないということにしたわけである。ダリオ氏はこう続ける。

これは良いことであるはずがない、とわたしは思った。だから月曜の朝、株が暴落して地獄絵図になっていると予想しながらニューヨーク証券取引所のトレーディングフロアに入っていった。株は下落する代わりに4%上昇していた。わたしはショックを受けた。それは通貨の切り下げというものをそれまで見たことがなかったからだ。

学生だったダリオ氏が見逃していたのは、貨幣の価値が下がるということはものの値段が上がるということだということである。1,000円で買えていたものが2,000円出さなければ買えなくなる。1円の価値が下がったからである。

「現金はゴミ」発言の真意

ダリオ氏が何故この話を今持ち出したかと言えば、ここにはダリオ氏が年始に言った「現金はゴミ」発言の真意がある。

「現金はゴミ」発言のレイ・ダリオ氏、リスクオフできず新型コロナ株安で20%損失
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/9134


紙幣とはもともと金を預けている預かり証のようなものだった。だから紙幣には価値があり、人々はそれを使って買い物をすることができた。しかしニクソンショックによってドル紙幣は正真正銘の紙切れとなった。誰も気付いていないが、それには何の価値もない。政府側の人々は紙幣には「政府の保証」があると口々に言うが、「政府の保証」とは中央銀行が株価を上げるために紙幣を次々に印刷することだろうか。それは価値を下げているのであって上げているのではなく、何の保証にもなっていない。

もう少し分かりやすくするために現代風に言い換えて例え話をするとこういうことになる。

あなたはA君に100万円を貸し出した。A君は借用書を書いてあなたに渡し、将来100万円を返すと約束した。ところがある日突然A君がやってきて、100万円は返さないことにしたと言って去っていった。

借用書はまだ手元にあるが、これを持っていても100万円は返ってこないらしい。あなたはA君に対して憤るのも良いだろうし、裕福ならば100万円のことは忘れてしまうのも良いかもしれない。しかし無意味になった借用書を後生大事に持ち続けるという選択肢はない。それを持っていても何も返って来ないからである。しかし実際には世界中の大半の人がその無意味になった借用書を後生大事に持ち続けており、そのおかしさに誰も気付いていない。それが紙幣というものの現実なのである。

現金はゴミ

ビットコインを否定しながら財布に紙幣を入れている人がいるが、ビットコインよりも紙幣の方が信頼できるというのは完全なまやかしである。どちらも何の保証もないという点で一致している。どちらも同じものなのである。

ビットコインがバブルならば、紙幣は人類史上最大のバブルである。チューリップは鑑賞できるが紙幣は鑑賞できない。本当に何の価値もないのである。ただ、トイレットペーパーがなくなった時には役に立つかもしれない。

ダリオ氏が言いたいのは、この紙幣バブルの行方、つまり量的緩和バブルの行方はただでは済まないということである。政治家が支持率を上げるために紙幣を刷りまくったつけが全人類に降り掛かってくる。

しかし一部の経済学者が言うように、先進国の量的緩和の結果がインフレとは限らない。むしろデフレと経済恐慌がその結末であるのかもしれない。ドラッケンミラー氏の言っているのはそういうことである。

ドラッケンミラー氏: 金融緩和こそがデフレの元凶
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/7103


さて、この話の一番の落ちは市民は政府にいつの間にか金塊を盗み取られているということなのだが、それに気付いた読者はどれだけ居るだろうか?

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/9645

2. 中川隆[-11175] koaQ7Jey 2020年9月25日 08:05:36 : H7WhLicYp6 : YkMuUE1FaVhDeXM=[7] 報告
世界最大のヘッジファンド: インフレで株式市場が暴落する理由
2020年9月24日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/11715

世界最大のヘッジファンドBridgewaterを運用するレイ・ダリオ氏が引き続き1970年代のアメリカのインフレ時代について語っている。

前回の記事ではダリオ氏は、1960年代に経済の弱まったアメリカが紙幣を印刷した結果、1970年代が物価急騰の時代となった様子を説明していた。

世界最大のヘッジファンド: 紙幣の刷り過ぎでドルが暴落するとき
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/11685

アメリカの1970年代は先進国でもインフレになるということを証明する意味で経済学的には非常に興味深い。しかしインフレの時代とはどういうものだろうか。デフレに慣れて久しい現代人には遠い記憶ではないだろうか。

インフレの心理

インフレとは紙幣の価値が下がることであり、物価が上がることである。しかし当時の様子がどういうものだったのかは当時もアメリカに住んでウォール街で働いていたダリオ氏の経験を聞くのが良いだろう。ダリオ氏はこう書いている。

わたしはインフレの心理というものをよく覚えている。アメリカ人はこぞって借金をしたがり、給料日になるや否や「インフレに先回りする」ために物品を買い漁った。

1970年代のインフレの時代、人々は物品を買い漁った。しかし豊かにはならなかった。物が不足しているから人々は物を買い漁り、インフレになるからである。

紙幣の価値が暴落する時代には資産価値を保存できる別のものがブームになる。結果、金価格は暴騰した。もう一度当時の金価格チャートを掲載しておこう。


しかし株価はどうなっただろうか。インフレは1972年から急激に悪化しているが、株価はそれに呼応して下落している。


インフレとは紙幣の価値が下落することであり、すべてのものの値段が上がることである。しかし株価は下落した。

その理由はダリオ氏による上記の描写を読めばより分かりやすいだろう。当時のアメリカ国民は毎年高くなってゆく生活物資を買い集めることで必死になり、株式など買っている場合ではなくなったのである。インフレの時代にもすべての値段が上昇するわけではないというのは興味深い事実である。

価値が下落しているドル紙幣で換算して株価が半分にまで下落しているということは、実質ベースでは株式の価値はほとんど紙切れになったということである。インフレの第1波が収まり始めた1975年からは株価は一度持ち直した。当時のインフレ率も同じように掲載しておこう。


しかしインフレ第2波のピークとなる1980年の前後には株式市場は再び激しい値動きを見せることとなる。

ポール・ボルカー議長

1979年、カーター政権の元でポール・ボルカー氏が連邦準備制度の議長に選出された。ボルカー氏はインフレを抑えるために政策金利を20%まで引き上げた。現在では考えられない水準である。ダリオ氏はこう書いている。

金融政策によって引き起こされたインフレ危機に対抗するためにボルカー氏は金融引き締めを行なった。そのため金利はドイツのシュミット首相が「イエス・キリスト以来」と呼んだ水準まで高騰した。

実際、インフレ率は最高でも15%に満たなかったのだから、20%はインフレの時代でもかなりの高金利である。今の金融市場が低金利で支えられていることからも分かる通り、これほどの高金利が株式市場を崩壊させないはずはない。
結果、1980年前後の株式市場はボルカー氏の動きに翻弄されることになる。まずボルカー氏が政策金利をどう動かしたのかを見てみよう。


金利の波は2回来ている。1980年の初めと1981年である。そして株式市場はその2度の波に翻弄されるように2度下落相場を迎えている。


何とも激しい値動きである。しかもこの値動きは毎年10%ものインフレの最中に起こったことを思い出したい。

インフレの結果

このボルカー議長による強烈な金融引き締め政策によってインフレはこの時期にピークを迎えることとなった。しかし結果としてアメリカ経済は短期間に2度の景気後退を迎えており、そのような厳しい政策が政治的代償なしに行えるはずはない。ダリオ氏はこう書いている。

ボルカー氏は役目を果たした。しかしその代償としてカーター大統領は職を失うこととなった。

一方でボルカー氏の金融引き締めがなければドルはそのまま自由落下を続け、アメリカは既に覇権を失っていただろう。

世界最大のヘッジファンド: 中国が覇権を握りドルは基軸通貨でなくなる
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/10592


紙幣印刷がインフレに繋がるとき、国民はどちらかを選ばなければならないのである。

昨年亡くなったボルカー氏はダリオ氏とも個人的な繋がりがあり、ダリオ氏はボルカー氏のことを次のように評している。

幸いにもわたしはボルカー氏と個人的な交友を築くことができた。彼は偉大な人格者であり、素晴らしい能力と影響力があるにもかかわらず謙虚な人物で、ヒーローと呼べる人物が不足している今の経済界において古典的なヒーローの典型だと言えるだろう。

現代の政治が強烈な景気後退か通貨暴落のどちらかを選ばなければならなくなったとき、どちらを選ぶだろうか。それはそれで見てみたい光景ではあるのである。

世界最大のヘッジファンド: 政府が金融危機から守ってくれると思うな
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/10473


https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/11715

3. 中川隆[-11164] koaQ7Jey 2020年9月25日 11:48:48 : H7WhLicYp6 : YkMuUE1FaVhDeXM=[20] 報告
世界最大のヘッジファンド: 政府が金融危機から守ってくれると思うな
2020年4月29日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/10473


世界最大のヘッジファンドBridgewaterを運用するレイ・ダリオ氏がLinkedInのブログを引き続き更新している。

新型コロナウィルスの世界的流行で世界中の中央銀行が紙幣を印刷し国債を買い入れ、政府は国民に現金を配り始めているが、ダリオ氏は政府を信頼してはならないと主張する。

貨幣を印刷する特権

ダリオ氏は次のように始めている。

歴史を見れば明らかだが、政府が経済的に国民を守ってくれると信頼してはならない。実際は逆であり、ほとんどの政府はあなたが同じ立場だったらそうするであろう同じ理由で、貨幣と債務の創造者かつ使用者としての特権を乱用するだろう。それは政治家は国家の長い生涯の一部分だけを担当し、その時の状況に応じてやりたいことをやるからであり、誰も最後まで責任を持つ人間がいないからである。

政府は現在債務を増やすことによって国民に現金を配ろうとしている。しかし政府債務はもう何十年もの間増え続けてきた。ダリオ氏はこの現象、つまり債務の膨張サイクルの初期の頃の話から始める。

債務の膨張サイクルの初期の段階では政府はまだ信頼されており、誰よりも資金を必要としていると思われているため、政府は誰よりも大きな借り手である。

サイクルが進んで後任の指導者たちが債務が膨張した政府を運営することになるときには、政治家や中央銀行家たちはより限られた景気刺激策で債務を返済してゆく難題に取り組まなければならず、更に悪いことに政府は破綻すれば経済全体を傷つけるような債務者を救済しなければならないことになる(訳注:2008年の銀行救済など)。

結果として政府は他のどのような個人や企業よりも大きな負債を作り上げることになる。

この文章を読んで思うのは、政府が債務を膨張させない段階など存在するのかということである。ダリオ氏はこう続ける。

言い換えれば、基本的にすべての状況において政府は債務の膨張に貢献し、債務バブルが弾ける時には紙幣を印刷しその価値を薄めることで対応する。

しかし債務を増やし紙幣を印刷することですべての問題が解決し、しかも何の問題も起こらないならばそれで良いのではないか? その結末はどうなるのだろうか。ダリオ氏は次のように続ける。

政府が大量の紙幣を刷り債券を買い入れることで貨幣と債務の両方が膨張するとき、貨幣と債券の価値は薄まってゆき、それは債務者の負担を減らすと同時に債権者にとっては実質的な税金となるだろう。貨幣と債券の保有者がそれに気づいたとき、彼らはそれを売り始める。

彼らは同時に資産をゴールドや一部の株式、債務問題の少ない別の国などに移そうとするだろう。

この部分は筆者のユーロ下落予想(そしてスイスフラン買い)の本質が述べられている。もはやヨーロッパは自国通貨を毀損せずに成長を維持することができなくなっているからである。

新型コロナによる世界恐慌でユーロが下落する理由
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/10392

また、ゴールドへの資産逃避は既に起きている。以下は金相場のチャートである。


こうして貨幣の価値が薄まってゆく。ダリオ氏が年始から「現金はゴミだ」と言い続けている理由がここにある。

レイ・ダリオ氏、「現金がゴミ」になったニクソンショックの経験を語る
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/9645


そしてダリオ氏の話はここで終わらない。現金がゴミになった後の話まで今回は話している。

貨幣の価値減少が激しくなり債務のデフォルトや減価が横行するようになると、政府はやむを得ず金本位制のような何らかの保証ある通貨体制に戻ることを考え始める。そうすることで人々の通貨への信頼は戻り、人々はその通貨で再び資産を貯蔵し借金をやり取りするようになる。

これは現在われわれが財布に入れている通貨が完全にゴミになった後に新しい通貨が作られるという話である。

結論

ダリオ氏はこの状況について次のように感想を述べている。

これは望ましくない状況だが、何故そうなってしまうかは理解できる。貨幣を作り出してそれをばらまくことによって他人を幸せにできるとき、そうしたいという欲求に抗うことは容易ではない。

ばらまけば自分にも金銭的利益が返ってくる時には尚更だろう。しかしヘリコプターマネーを歓迎する善良な市民が気づいていないのは、それは実際には自分の財布から出ているということである。毎年数十万、数百万もの税金を取り上げてもそこから10万円返すだけで喜ぶ人々を喜ばせることは非常に容易である。彼らは容易に詐欺に遭うだろう。

これは古典的な金融行動である。歴史を通して政治家は自分の任期に返済期限の来ない負債を作り上げ、後のことは後任の人々に任せるのである。

個人的にはヨーロッパを「現金はゴミ」現象の先駆者であると見ている。イタリアなどの国の経済成長は既に債務で支えきれなくなっており、債務を増やし量的緩和を行なってもGDPが落ちるのであれば、もうGDPは落ちるしかない。

新型コロナによる世界恐慌でユーロが下落する理由
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/10392


そして日本人が考えなければならないのは、日銀が現在の政策を続けると日本もいずれイタリアのようになるということである。

これは1980年代から40年間金利を下げ続けた付けを払うときがいよいよ来ているということである。

最近よく感じるのは、われわれは1980年から2020年までをバブルにするために2020年から2060年を犠牲にしたということである。そしてそれを引き起こした低金利・量的緩和政策は老人よりも若者に支持されているという。一般化して若者が常に愚かだとは言いたくないが、量的緩和については事実のようである。そして何事においても愚かさの付けだけは他人が払ってくれることはないのである。

ドラッケンミラー氏: 金融緩和こそがデフレの元凶
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/7103


https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/10473

4. 中川隆[-11149] koaQ7Jey 2020年9月25日 17:25:16 : H7WhLicYp6 : YkMuUE1FaVhDeXM=[37] 報告

2020年09月25日
米公的債務が激増し2050年にGDP比400%になる可能性


2050年に米公的債務はGDP比400%

コロナ後のアメリカが悪い方向に進むのを示唆するような見通しを米政府が示している。

ロイターによると 米議会予算局(CBO)は、2050年に連邦債務がGDP比2倍になるというっ予想を発表した。

GDP比2倍は現在の日本と同じだが、アメリカの連邦債務は公的債務の一部に過ぎません。

他にも州や市など地方自治体の債務があり、「道路公団」のような民間を偽装した政府機関が非常に多い。

クリントン大統領は民間刑務所や民営有料道路など民営化を推進したので、民間の公的債務が見えなくなっている。

特に目に見えない年金とか福祉関係で、隠れ債務が非常に多いと言われています。(軍人恩給など)


アメリカ合衆国全体の公的債務は安全保障上の秘密なので公表が禁止されていて、実は誰も知りません。

だが推測では連邦債務の2倍とされているので、2050年に米公的債務はGDP比400%に達すると米議会予算局は言っているのです。

この数字を聞いたら日本の財務省はイスから転げ落ちて驚くでしょうが、中国はもっと先をいっています。


中国は2008年のリーマンショックで自律的経済成長が終わり、以降は公的投資によって経済成長しています。

GDP比2倍3倍は当たり前になる

中国は毎年日本1個分に相当する鉄道や高速道路や都市建設など公共事業を行い、公共事業でGDPを増やしました。

その結果公的債務は既にGDP比300%を超え、数年以内に400%に達してしまうでしょう。

公共事業でGDPを毎年6%も増やすには、毎年前年度より6%以上、公共投資予算を増やさねばならない。


2008年以降に建設した鉄道や公共施設は全て赤字なので、公共事業費は借金として積み重なっていきます。

話をアメリカに戻すと、アメリカや中国がこれほど公的債務を増やせた理由は連邦制にあります。

アメリカは合衆国だし中国は地方政府があり、ドイツも連邦政府なので「財布がいくつもある」状態です。


2020年はコロナによって税収が減少し支出が増え、単年度で16%の財政赤字が発生する。

米議会予算局(CBO)は米国の財政は持続不可能と言っているが、政治家や国民は気にしていない。

80年代の日本のような状況で、「そんな事を言ってもお金は無限にあるんだろ」とみんな思っています。
http://www.thutmosev.com/archives/83973797.html

5. 中川隆[-11123] koaQ7Jey 2020年9月27日 14:10:52 : FA4hCefJjA : djJ4akN3SVdGMjI=[13] 報告
世界最大のヘッジファンド: 紙幣印刷で経済成長率は救える
2020年9月27日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/11736


世界最大のヘッジファンドBridgewaterを運用するレイ・ダリオ氏が怒涛の勢いで論考をアップしているため、ここでは連日その内容を紹介している。

世界最大のヘッジファンド: 紙幣の刷り過ぎでドルが暴落するとき
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/11685


コロナ以後、紙幣印刷の悪影響を懸念する声は特にヘッジファンドマネージャーらの間で大きく、ダリオ氏もその例に漏れないが、ダリオ氏は出来る限り客観的に物事を見る論者であり、紙幣印刷の良い部分も説明しているので今回はそれを紹介しよう。

1970年代のインフレとその後

前回までの記事では戦後にあたる1960年代に日本とドイツの経済が台頭し、アメリカ経済が弱まったことから米国政府は紙幣を増刷、結果として1970年代が物価高騰と景気後退の時代となったことをダリオ氏が紹介していた。

世界最大のヘッジファンド: インフレで株式市場が暴落する理由
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/11715


このインフレはボルカー議長の断固たる金融引き締めによって収まり、中央銀行は次第に金利を低くしていった。しかし膨大な債務は残ったままであり、ダリオ氏はそれが更に深刻な景気後退を引き起こすと予想した。しかしその予想は外れることになる。

わたしはこれらの債務が大不況を引き起こすと予想したが、それは来なかった。しかもそのシナリオに大きく賭けたために膨大な損失を負った。

この時わたしは本当に一文無しになり、生活費を工面するために父親に4,000ドルを借りなければならなかった。

世界最大のヘッジファンド運用者にもそういう時代があったのだという。しかし何故この時債務は問題にならなかったのだろうか? ダリオ氏は次のように説明している。

わたしが見逃し、この経験から学んだことは、中央銀行が印刷できる通貨で負債が存在するとき、債務危機は管理可能であり、経済全体の脅威とはならないということだ。

中央銀行がローンを焦げ付かした銀行に資金を供給し、しかもアメリカの会計基準では焦げ付いたローンを損失として計上する必要がなかったため、これらのことは処理不可能な大問題とはならなかった。

表沙汰にならないものは当面の間は存在しないも同じだということである。この論理は一見無茶苦茶だが、金融市場にとっては重要である。金融市場は一度パニックになると問題を実態よりも大きくしてしまうからである。

問題はその当面の間に負債の問題を解決できるかどうかなのだが、ダリオ氏は膨大な負債は「美しい債務整理」によって解決されるべきだと口癖のように言っているので、時間を稼いでいる間に債務を何とかするという解決法もありだというのがダリオ氏の主張なのだろう。

金融緩和の対価

ボルカー議長による強烈な金融引き締め以後、金融緩和によってすべては救われたのだろうか? 結果から言うと経済成長率は救われたが、ドルは犠牲になった。以下が1980年代前半の利下げトレンド開始以降のドル円の推移である。


今思い返せばこの期間のドルの下落は先進国の通貨とは思えない急落である。ドルは半分以下になっているが、これはアメリカ国民の資産が実質的に半分以下になったということである。

一方で利下げ開始以降、株式市場とGDPは持ち直した。両方ともドルで計算しているのだから当たり前である。しかし本当はGDPが上がったのではなく、ドルが下がったのである。同じ期間のアメリカのGDPを円建てで表記すると以下のようになる。


15年間何も成長してなどいないのである。その後アメリカ経済が本当の意味で成長を始めるにはインターネットの隆盛を待たなければならなかった。1995年と言えばWindows 95の年であり、この頃からアメリカ経済はようやく本当に成長を始めることになる。

自国通貨建ての繁栄

ダリオ氏はこうした「自国通貨建ての繁栄」の時期における資産防衛について以下のように語っている。

通貨の価値が安ければ安いほど資産価格は高くなる。

よって中央銀行が大量の資金と信用を供給し、その価値を弱めているときには思い切って資産を保有するのが賢明だと言える。

しかし問題はどんな種類の資産を買えば良いかということである。個人投資家が一番最初に思いつくのは株式だろうが、こうした時期には株式も問題を抱えたのは前回説明した通りである。

世界最大のヘッジファンド: インフレで株式市場が暴落する理由
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/11715

ダリオ氏にとって株式は買いなのだろうか。事実は何かと言えば、ダリオ氏はコロナ後の株高でも米国株は買っていないということである。

世界最大のヘッジファンド、コロナ株高でも米国株買い増さず
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/11643

そしてダリオ氏は通貨の暴落を懸念している。

世界最大のヘッジファンド: 紙幣の刷り過ぎでドルが暴落するとき
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/11685

ここまで考えればダリオ氏の考えていることが分かってきそうなものである。

これまでに何度も言っているように、新型コロナによる未曾有の規模の景気後退で株式も債券も為替も無事だというシナリオは有り得ない。どれかは犠牲にならなければならない。

ではダリオ氏はどれが犠牲になると考えているのかと言えば、それは恐らく為替なのだろう。ダリオ氏は明らかにドル暴落によるアメリカの凋落を考えている。

世界最大のヘッジファンド: 中国が覇権を握りドルは基軸通貨でなくなる
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/10592

1980年以後のトレンドが15年のものだったことを考えれば、ダリオ氏の賭けはかなり長期のものとなりそうである。われわれも同じスパンで物事を考えるべきなのだろう。

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/11736

6. 2020年9月30日 10:04:30 : TizLKKbkrg : VmdVLnozMlAxYVU=[7] 報告
先進国で異例のマネー急増、 「インフレの芽」を恐れるべきか
唐鎌大輔:みずほ銀行 チーフマーケット・エコノミスト
2020.9.29
https://diamond.jp/articles/-/249815

各国のGDPが史上最悪の落ち込みを演じているにもかかわらず、マネーが急増しているのはなぜか

今、なぜ?
マネー急増の読み解き方

 コロナショックによって各国の実体経済が負ったダメージは甚大であり、あらゆる経済統計にその傷痕を見出すことができる。その中で、異様な動きを示している統計として、主要国のマネーサプライ(日本ではマネーストックと呼ぶ)の急増が耳目を集めている。

 マネーサプライは、端的には実体経済における貨幣量であるため、これが増えれば将来的に物価は上昇が見込まれるし、結果的に為替にも無視できない影響を与える。市場参加者にとって、考察しておく価値のある論点である。

 本格的な議論に入る前に、マネー関連統計の定義を整理しておこう。日本の統計を例として解説するが、欧米でも大きな差はない。

 日銀の公表するマネーストックは「金融部門から経済全体に供給されている通貨の総量」を示す統計だ(解説は日本銀行HPを参照している)。中央銀行から金融部門に供給された通貨の供給量であるベースマネーの増加が、マネーストックの増加へ繋がる(そして物価を押し上げる)という考え方がこの先にあるわけだが、黒田体制下で実施された大規模国債購入とその対価としてのベースマネーの急増をもってしても、マネーストックは相応に増えなかった(この点を掘り下げると本稿の趣旨とずれるので、割愛させていただきたい)。

 マネーストック(以下、単にマネーとする)の保有主体は、一般法人、個人、地方公共団体などが対象となる。「金融機関・中央政府以外の経済主体」という表現が分かりやすいかもしれない。

 この際、マネーの範囲をどう仕分けるかは国によって異なるが、一般的にM1、M2、M3、広義流動性と、対象範囲が拡がっていくように分類される。最もよく用いられるのはM2であり、日銀の展望レポートもM2の動きを評価の対象としている。


7. 2020年9月30日 10:10:32 : TizLKKbkrg : VmdVLnozMlAxYVU=[9] 報告
恐慌期の構造改革という狂気 2020-09-30
三橋貴明
https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12628416847.html


 4−6月期のデフレギャップ(GDPギャップのマイナス)が発表されないなまま、9月が終わろうとしています。
 現在のコロナ危機は、過去の「デフレ期のインフレ対策(物価下落策)」の異様さを、露骨なまでに明らかにしてくれました。あるいは、明らかにしてくれます。

 日本が「平均概念の潜在GDP」を使っている以上、2020年度の統計史上最悪のマイナス成長を受け、「過去平均」である潜在成長率は「ゼロ」が数年間続くことになります。


 政府がいかなる政策を採ろうとも、民間がどれだけ努力しようとも、ゼロのままです。何しろ、過去の結果の平均なので、改善はできません。


 その状況で、
「潜在成長率を引き上げるために、構造改革!」
 と、中小企業再編(という名の淘汰)が進められていくことになりますが、構造改革はインフレ対策です。デフレギャップを拡大することはあっても、縮小させることはできません(インフレギャップを縮小させる政策ですので)。

【インフレギャップとデフレギャップ】


http://mtdata.jp/data_46.html#Gap
※左側の「総需要」は、実際には「潜在的総需要」。右側は「現実の総需要」。


 デフレが継続すると、経済成長率は低迷し、「過去平均」である潜在成長率もゼロのママです。

 となると、
「潜在成長率を引き上げるために、構造改革!」
 となり、デフレ期にインフレ対策が延々と続けられ、供給能力を毀損していくことになります。この異様性を国民の多くが理解しない限り。

『玉木雄一郎(国民民主党代表)@tamakiyuichiro
 菅内閣は様々な「改革」を提案しているが、需要不足+供給過剰のデフレ経済下では、規制改革や構造改革がデフレを悪化させる可能性がある。改革を否定するものではないが経済が痛んでいる時の改革礼賛には注意が必要だ。今必要なのは需要の下支えで、そのためには財政支出の拡大や減税を優先すべきだ。』

 玉木代表の認識は正しいですが、どこまで浸透させることができるのか。

 選挙において、
「デフレ期の構造改革」
 を叫ぶ候補者を、国民が容赦なく落選させる状況にならなければ、なかなか事態は改善しないように思えます。まあ、他人事ではありませんので、
「デフレ期の構造改革は、デフレを悪化させ、国民を苦しめるだけ」
 という認識というか「事実」を、何とか広める必要があります。 

 もう一つ。「インフレ」に対する認識も変わるはず。

『先進国で異例のマネー急増、 「インフレの芽」を恐れるべきか 唐鎌大輔:みずほ銀行 チーフマーケット・エコノミスト
◆今、なぜ? マネー急増の読み解き方

 コロナショックによって各国の実体経済が負ったダメージは甚大であり、あらゆる経済統計にその傷痕を見出すことができる。その中で、異様な動きを示している統計として、主要国のマネーサプライ(日本ではマネーストックと呼ぶ)の急増が耳目を集めている。

 マネーサプライは、端的には実体経済における貨幣量であるため、これが増えれば将来的に物価は上昇が見込まれるし、結果的に為替にも無視できない影響を与える。市場参加者にとって、考察しておく価値のある論点である。
 本格的な議論に入る前に、マネー関連統計の定義を整理しておこう。日本の統計を例として解説するが、欧米でも大きな差はない。
 日銀の公表するマネーストックは「金融部門から経済全体に供給されている通貨の総量」を示す統計だ(解説は日本銀行HPを参照している)。中央銀行から金融部門に供給された通貨の供給量であるベースマネーの増加が、マネーストックの増加へ繋がる(そして物価を押し上げる)という考え方がこの先にあるわけだが、黒田体制下で実施された大規模国債購入とその対価としてのベースマネーの急増をもってしても、マネーストックは相応に増えなかった(この点を掘り下げると本稿の趣旨とずれるので、割愛させていただきたい)。(後略)』

 「割愛」しないで、是非とも掘り下げて欲しいものですが、「いわゆるリフレ派」がいかに間違っていたかは、本ブログなどでしつこく検証したので、やはり割愛しましょう。


 実は、後略部で、唐鎌氏は「貨幣」について正しい認識を示しているのです。

『(引用)現在確認されているM2の伸びは、財政措置を反映した動きとみられる。貸出が増加すると借り手の預金が増加するので、預金通貨は増える。この点、危機時に銀行貸出が増加して預金通貨がある程度膨らむことは珍しい話ではない。
 しかし、今回は異例の財政措置の影響が相当に大きいと考えるべきであろう。たとえば日本では、定額給付金(10万円)や事業者への持続化給付金が預金通貨を増やしたはずである。米国でも失業保険の上乗せ給付や現金給付など、政府による手厚い家計部門への支援が特殊要因として考えられる。ユーロ圏も、国ごとに金額や給付対象に差異はあっても、定額給付に類する政策は取られている。資金需要に対応した銀行貸出に加え、特殊な財政措置がM2を直接的に押し上げたのは明白である。』

 驚きました。銀行の貸出が、預金を増やすという「事実」について認識しているエコノミストもいるんですね(いや、嫌みではなく)。


 また、財政措置による預金増については、
「政府の借入(銀行の政府への貸出)が、回りまわって我々の銀行預金口座を増やしている(増やした)」
 ため、結局のところ「貸出=借入が、預金貨幣を増やす」のです。


 さらに、唐鎌氏は、貨幣流通速度(名目GDP=貨幣数量(マネーストック:M)×流通速度(V))の「V」が一定と考える主流派経済学の考え方に疑問を呈し(過去、Vが一定だったことは一度もありません)、

『(引用)現在目の当たりにしているマネー増加が将来のインフレを約束するものではなく、漠然と「マネーが増えたからインフレが怖い」という発想は決して思慮深いものではない』

 と結論付けていますが、というか「インフレ恐怖症も大概にしろ」と(恐らく)言いたいのでしょうが、現実の経済では、
「マネタリーベースが増えても、マネーストックが増えるとは限らない」(「いわゆるリフレ派」の間違い)
「マネーストックが増えても、インフレになるとは限らない」(貨幣数量説の間違い)
 なのですよ。理由は、マネーストックの増加=需要の拡大ではないためです。


 例えば、民間の借入によりマネーストックが増えたとしても、その多くが財やサービスではなく、土地・株式などの「資産」の購入に回ってしまうと、
「マネーストックは増えているにも関わらず、需要は伸びていない」
 ということは、普通に起きえます(というか、第二次安倍政権以降で起きていた)。


 さらに、政府の借入で家計の銀行預金が増えたとしても、それだけでは単なる所得移転に過ぎず、財やサービスが買われない。つまりは、需要が拡大しない。


 10万円の特別定額給付金を国民が「全額」預金口座の数字のままとして据え置いてしまうと、GDP(需要)は一円も増えません。


 別に、難しい話ではありません。図のインフレギャップ、つまりは(潜在的)総需要に対し、供給能力が不足する状況にならない限り、インフレ率は上昇しない。現在は、むしろデフレギャップが「史上最大」になっているのでございますよ。


 日本国民の異様な「インフレ恐怖症」もまた、構造改革主義者たちにパワーを与えてしまうのです。


 今回の危機、具体的には「コロナ恐慌下での、政権によるインフレ対策(構造改革)強行」という危機を切っ掛けに、インフレ、デフレ、貨幣、財政に関する国民の認識が改まらない場合、皮肉な話ですが、ひたすら供給能力が毀損していき、最終的には「真のインフレの危機」が訪れることになります。

 恐慌下での構造改革という狂気を、何としても食い止めましょう。
https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12628416847.html

8. 2020年10月03日 06:10:46 : 0CqcCgr45Q : cjNhL21rL3BsYkU=[1] 報告
世界最大のヘッジファンド: ドルが下落したらアメリカは終わり
2020年10月2日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/11762


引き続き世界最大のヘッジファンドを運用するレイ・ダリオ氏のブログ投稿をフォローしよう。

覇権国家と輸出の増加

ダリオ氏はコロナ以後、オランダ海洋帝国や大英帝国を含む覇権国家の勃興と凋落を分析してきた。

世界最大のヘッジファンド: オランダ海洋帝国が繁栄した理由
世界最大のヘッジファンド: 量的緩和で暴落した世界初の基軸通貨
世界最大のヘッジファンド: 大英帝国の繁栄と衰退
世界最大のヘッジファンド: 大英帝国の基軸通貨ポンドはいかに暴落したか
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/11762

そして今ダリオ氏の話は現在の覇権国家、アメリカへと移っている。イギリスの覇権がアメリカへと移ったのは世界大戦の頃である。ダリオ氏は次のように説明する。

2度の世界大戦を通じてイギリスの輸出は落ち込んだ一方、アメリカの輸出が増加した。(それがアメリカを豊かにした。)

覇権国家が覇権国家になる兆しがあるとすれば、先ず輸出でお金を稼ぎ始めることだろう。アメリカもそうやって大国となってきたのである。

しかし1970年代からアメリカの輸出が振るわなくなり、アメリカは金本位制を放棄して紙幣を印刷しなければならなくなったというのが前回の記事までの流れである。アメリカのGDP比純輸出(輸出から輸入を引いたもの)の長期チャートを掲載してみよう。


下落の長期トレンドがあったのが分かる。アメリカは貿易でお金を失っているのである。

戦前には大きな貿易黒字を誇っていたアメリカは徐々に黒字を縮小し、丁度アメリカが紙幣の印刷を始めた1971年のニクソンショックの辺りから貿易赤字に転落、その後赤字を大きく増やしていった。ニクソンショックによるドル暴落については以下の記事でダリオ氏が説明している。

世界最大のヘッジファンド: 紙幣の刷り過ぎでドルが暴落するとき
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/11685


貿易赤字の意味

貿易が赤字ということは国家は資産を失っていっているということである。それはアメリカの対外純資産(アメリカが持つ他国の資産から他国に負っている負債を引いたもの)のチャートを見れば分かる。


現代では誰もが紙幣印刷にはコストがないと思い込んでいるが、これこそが紙幣印刷のコストである。アメリカは物凄い勢いで資産を失い続けているのである。

基軸通貨ステータス

普通、国家がこういう状況に陥ればその国の通貨は暴落する。ドルはドル円が360円だった時代から考えれば50年間暴落し続けてはいるのだが、それでも先進国としてまともな物価を維持しておりジンバブエのようにはなっていない。

それはなぜか? アメリカの通貨ドルが基軸通貨で、世界中で使われているからである。世界中で使われる通貨には買い手が常に存在する。買い手が存在する通貨は暴落しないのである。

ダリオ氏は次のように言っている。

自国の通貨を印刷してそれを世界に認めさせる能力、世界の主要な準備通貨を持つ国(特にアメリカ)だけが持つ能力は国家が保有できるもっとも価値の高い経済力である。

同時に、十分な外貨準備を持っていない国(現在のアメリカの立場)が基軸通貨の立場を持たない場合、その国は経済的に非常に脆弱になる。

つまり、米国は「世界通貨」を印刷できるために非常に強力な立場にあるが、それはドルが基軸通貨のステータスを失えばアメリカは危機に立たされるということを意味する。

つまりはドルが基軸通貨であったお陰でアメリカは赤字を垂れ流しても大丈夫だったということである。

結論

しかし大半の人が忘れているのは、それは天井なしの拡大のできるものではないということである。負債が増えてきた状況は世界大戦時のイギリスに似ている。イギリスはそれでもまだ大国だった。しかし戦費もあり膨大な負債を抱え、徐々に凋落していった。

アメリカも今はまだこれまでに築いた国内資産のお陰で対外資産が目減りしても耐えているが、どんな大国でも資産は無限ではない。そして資産が豊富にあったとしても、資産が滝のように流れ落ちてゆくのは良いことではない。


したがってアメリカの凋落は徐々に来るだろう。この対外純資産のチャートはそのカウントダウンをしている。そうした長期的凋落がダリオ氏の危惧するシナリオなのである。

個人的にはダリオ氏のアメリカ凋落予想は長期的には妥当なものに思える。どの国も永遠には繁栄しないからである。

一方でダリオ氏はその代わりに中国の台頭を予想しているようだが、果たしてそれはどうだろうか。ダリオ氏の中国の見方もまた取り上げたいと思っている。

世界最大のヘッジファンド: 中国が覇権を握りドルは基軸通貨でなくなる
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/10592


https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/11762

9. 中川隆[-11047] koaQ7Jey 2020年10月03日 12:29:59 : 0CqcCgr45Q : cjNhL21rL3BsYkU=[16] 報告
世界最大のヘッジファンド: アメリカの覇権が中国に奪われる4つの道筋
2020年4月8日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/9934

世界最大のヘッジファンドBridgewaterを運用するレイ・ダリオ氏が非常に面白いエッセイを連日LinkedInのブログに投稿している。その内容は非常に多岐にわたるが、究極的には中央銀行が緩和する力を失った後に市場と経済はどうなるかを研究しようとしているようである。

今回はその中からオランダの海洋帝国から大英帝国、アメリカの覇権など、覇権国の勃興について扱った部分を取り上げたい。ダリオ氏は大英帝国が栄えて没落したようにアメリカも同じようになると考えており、その兆候は既に見られていると言う。

彼によれば覇権国がその覇権に挑戦する国に覇権を奪われるまでにはいくつかの道筋があり、ここではそれを順番に挙げていこう。

模倣者の出現

経済的、政治的に強者の立場を勝ち取った国はどのようにその立場を失ってゆくのだろうか。まず経済的に成功した国は他の国にそのモデルを盗まれるということである。ダリオ氏は次のように説明している。

成功した国はその成功モデルを他国に模倣され、競争力を失ってゆく。例えばオランダからイギリスに覇権が渡る前、イギリスの造船業者はオランダの造船業者よりも安い労働力を持っていた。その上で設計士だけオランダ人を雇いより安価な船を作り上げた。

日本が家電や自動車を作り、中国がスマートフォンを作ったことも同じだろう。挑戦国の製品は始めは出来が悪く先駆者に笑われるが(トヨタのカローラは欧米では白物家電と揶揄されていた)、安価でしっかり動く製品は次第に市場を支配してゆく。

現代においてはこれは既に起こっていると言える。日本も中国もある種の製品においてはアメリカの生産性を上回っている。

しかしそれでもアメリカだけが作れるものが完全になくなっているわけではない。Appleの生み出したiPhoneはここ10年ほどの産物であり、アメリカが覇権国となってから何十年経ってもアメリカは新しいものを生み出し続けている。しかしそれはすぐに挑戦国に真似をされ、覇権国は次のイノベーションを求められる。アメリカがそれをいつまで続けられるかということである。5Gの騒動は中国の技術力が一部アメリカに勝ちつつあることを示している。

勤勉さの減少

ダリオ氏は次により精神的な側面に焦点を当てている。個人的には先進国で経済成長率が低い一番の原因はこれではないかと考えている。ダリオ氏は次のように述べる。

裕福になった国民は働かないようになり、娯楽やより非生産的な活動、極端な例では退廃的な消費活動に従事するようになる。これは特に実際に力強く活発に働かなければならなかった世代からその遺産を相続した世代に世代交代が行われるときに顕著となる。

この若い世代は弱々しく闘争心がない。それは結果として覇権国を挑戦者に対して脆弱な存在にする。

これは日本で1945年以後の経済成長を支えた勤勉な世代のあとにその貯金で放蕩に耽ったバブルの世代がやってきたことを思わせる。あるいはヘッジファンドマネージャー、ジョージ・ソロス氏の息子は「ナチス支配下のハンガリーを生き延びてアメリカに渡り莫大な財産を築いた男の息子が父親ほどハングリーにやれるわけがない」と言っていた。裕福な環境は子供の世代にとって良し悪しなのである。

持続不可能な債務

次にダリオ氏は債務のサイクルを挙げている。投資家としてはこれが一番重要だろう。

もっとも裕福で強大な国の通貨は世界の準備通貨となり、そのことは覇権国に通貨を下落させずに莫大な借金をする特権を与える。(訳注:いくら借金をしても通貨の買い手が海外から現れるからである。)そして覇権国は債務を次第に大きくしてゆく。

覇権国の借り過ぎはかなり長期にわたって続き、しかも自己強化的なトレンドとなる。何故ならば、準備通貨が上昇することで海外の貸し手は収入が多くなり、それが更なる貸し手を呼ぶからである。そして富裕国が貧困国からお金を借りようとするとき、それが覇権交代の最初のサインなのである。

例えば1980年代、アメリカの1人当たりの収入が中国の40倍だったとき、アメリカはドルで預金したがった中国の人々からお金を借り始めた。ドルが世界の準備通貨だったからだ。これが変化の起こる初期の兆候であり、大英帝国も同じように莫大な資金をより貧しかった自分の植民地から借り受けている。

基本的に債権者というのは相手を経済的に好きに出来るのである。ドイツがイタリアやギリシャをEUという枠組みの下に従えているのも同じである。それはドイツが債権国だからである。

また、日本もドルと米国債を大量に買うことによって国力を上げてきた。結局はバブルの時代に退廃的な使い方をして日本のバブルは弾けたが、日本国民の対外資産からの金利収入は今なお日本全体の収入を支えている。それは高度経済成長期の遺産なのである。

アメリカに話を戻そう。このようにドルの買い手が多く現れるため、アメリカのような基軸通貨国は借金の許される特権を使いすぎるあまり債務超過に陥ってしまう。それは大英帝国の衰退においても同じだったとダリオ氏は言う。膨大な債務は長らく持続可能だが、大英帝国に終わりが来たようにアメリカの債務にも終わりが来るだろう。ダリオ氏はその終わりを次のように語っている。

負債が非常に大きくなり、負債増加と経済成長が中央銀行によって支えきれない状況で景気後退が起こると中央銀行は際限なく紙幣を印刷することになり、究極的には通貨が下落する。

投資家として一番面白いのは量的緩和によるドルの下落を予想するこの部分だろう。ダリオ氏が今年に入って「現金はゴミ」発言を繰り返していた理由はそこにあるのだろう。

レイ・ダリオ氏、「現金がゴミ」になったニクソンショックの経験を語る
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/9645


貧富の差と税収

更に、ダリオ氏が近年何度も強調しているのが貧富の差による社会的対立の激化である。

貧富の差が拡大し経済におけるストレス(それが何から来るにしても)が溜まるとき、高い確率で富裕層と貧困層の間で対立が生じ、それは過激化してゆく。

富裕層が金を取られると考えたとき、あるいは金を出せと脅されたとき、彼らは彼らの資産を安全と思う場所に隠そうとするだろう。そしてそれが続けば対立の生じている国では税収が減ってゆき、古典的な自己強化トレンドが生じる。減少する税収が対立を激化させて税率が上がり、富裕層は更に逃げてゆく。

この現象はアメリカでも起きている。そもそも税収とは不平等なものである。富裕層は貧困層に比べて大きな額の税金を払っているが、それでより良い公共サービスが受けられるわけでもない。富裕層にとって税金とは貧困層に対する寄付のようなものだが、それを貧困層が当たり前のように要求し始めると富裕層は身を引き始める。

ダリオ氏の長期の視点で見るとアメリカでもそれは起こり始めている。アメリカではIRS(アメリカの国税局)によるアメリカ国籍保有者の資産に対する締め付けが強く、それに嫌気が差したアメリカの富裕層はアメリカ国籍を捨てることも珍しくない。Facebookの共同創業者エドゥアルド・サベリン氏はアメリカ国籍を捨てシンガポールに住んでいるという。多重国籍の許されたアメリカで国籍をわざわざ捨てることの意味はIRSを知っている人間ならばすぐに理解できる。興味のある読者は調べてみると良い。

日本でも多くの富裕層が香港やシンガポールに資産を避難させており、その内いくつかが毎年国税局に捕まっている。税理士の腕が悪かったのだろう。余談だが香港やシンガポールを勧める税理士は腕が悪いので避けたほうが良い。投資信託を勧める窓口の銀行員のようなものである。

結論

基本的に筆者はこれをダリオ氏版の長期停滞論であると考えている。長期停滞論とは経済学者ラリー・サマーズ氏が先進国の低成長の理由を説明しようとした経済理論であり、ヘッジファンドマネージャーらは彼の長期停滞論を金利動向を予測するために使ってきた。

元米国財務長官ラリー・サマーズ氏が長期停滞論とは何かを語る
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/2489


ダリオ氏はダリオ氏の観点で同じようにアメリカやヨーロッパや日本の低成長の仕組みを解き明かそうとしたのである。

一番重要なのは債務に関するドル暴落の話だろう。ダリオ氏はそうしたことがすぐに起こると言っているのではない。一方でイギリスのポンドが大英帝国時代ほど強くないことも明らかだろう。ダリオ氏はこの超長期的な視野の上で今の世界経済が何処にあるのかを確認することを読者に促しているのである。

さて、現在アメリカの中央銀行は無制限の量的緩和を行なっており、ヨーロッパも日本も限界まで緩和している。緩和手段がなくなった結果、アメリカと日本で国民に直接現金を配るヘリコプターマネーが行われようとしている。

ヘリコプターマネーはインフレをもたらすか
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/9767

ガンドラック氏、新型コロナでの企業救済とヘリコプターマネーを痛烈批判
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/9681


この結果経済と市場はどうなるか? 筆者は新型コロナ相場では株価反発を予想しているが、それは今後相場に何の問題もないという意味ではない。問題は反発の先なのである。

新型コロナ株安動向予想: 流行減速で株式市場は上昇する
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/9386


ダリオ氏はそれを長期的視野から考えようとしているようである。ダリオ氏は毎週エッセイを更新してゆくとのことなので、引き続き紹介してゆきたい。
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/9934

10. 中川隆[-10849] koaQ7Jey 2020年10月15日 09:11:45 : O4DetySqsQ : ZG9KcVZaVUpyTEE=[3] 報告
中央銀行による金融緩和と政府による現金給付を紙幣印刷で無理矢理支えるために金融市場に膨大な資金を流し込めば、噴き上がるのは株式だけではない


金融市場にインフレの兆し: 金、原油、穀物価格が高騰
2020年10月14日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/11801


新型コロナウィルスへの対応のために日本やアメリカの政府は現金給付を行なっているが、金融の専門家たちはこの対応が物価の高騰を生むのではないかと心配している。

アメリカの実体経済にその気配が現れたことは先日記事にした通りである。

米国経済、個人消費が鈍化、インフレは止まらず
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/11782


しかし実体経済を先読みすることの多い金融市場では状況は更に進んでいる。今回の記事では世界の金融市場がインフレをどう考えているのかを見てゆきたい。

新型コロナで企業利益が落ち込んでいるにもかかわらず、株式市場は息を吹き返した。以下は米国株のチャートである。


その原因は中央銀行による金融緩和と政府による現金給付にある。しかしGDPが5%も落ち込むと推計されている大不況を紙幣印刷で無理矢理支えるために金融市場に膨大な資金を流し込めば、噴き上がるのは株式だけではないはずである。

コモディティ市場の高騰

まず上がったのはゴールドである。株式はようやくコロナ前の水準まで戻ったが、金相場はコロナ前の水準を大きく超えて上昇している。


金の値段が上がったために歯科治療に大きな支障が出ている。しかしここまではまだ良いだろう。金は実用されるケースが少なく、ほとんどは投資用として保有されるだけで、歯科治療など一部の例外を除けば社会の大半には影響を与えることはないと言える。

しかし仮に5%もの景気後退(リーマン・ショック時でさえその半分程度だった)を紙幣印刷で無理矢理支えられてしまうとすれば、その資金は株式と金を噴き上がらせるだけに留まることがない。

他のコモディティも上昇開始

原油価格も回復した。金ほどの噴き上がりではないが、いまだ飛行機もほとんど飛んでいない中でここまで回復したことが奇跡と言える。


しかしこれはまだ序章である。次は銅価格のチャートである。


ここまで来ると実体経済に影響を与え始める。銅は電線や建設資材に使われるからである。ホテル業などがまだ低迷しているため不動産市況は悪化しているが、建設費用が高くなることになる。他の金属も上がっており、建設業と住宅購入者はますます厳しくなるだろう。

更に日常生活に身近なコモディティを挙げてみよう。砂糖である。


次はコーンである。


次は大豆である。


ここまで来れば投資家ではない素人でも危機感を覚えるのではないか。米国政府と日本政府による現金給付が日用品の価格を上げ始めている。株式市場のバブルが金相場だけにとどまらず、普段人々が使うような品物の価格までも上げ始めているということである。

結論

最大の問題はバブルが日用品に波及してインフレになっても人々は困窮し、バブルが崩壊して株式と日用品の価格が暴落しても人々は困窮するということである。行くも地獄、帰るも地獄ということになる。

世界最大のヘッジファンド: 政府が金融危機から守ってくれると思うな
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/10473


ざっくりとした言い方になるが、2021年はかなり酷い年になるのではないか。投資家の読者のみならず、投資をしていない読者にも警戒することをお勧めしたいものである。浪費は禁物ということだろう。

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/11801  

11. 中川隆[-8155] koaQ7Jey 2021年1月19日 14:25:10 : cWliJiYr4o : Sy5qS3d1clo2aWM=[19] 報告
コロナ不況でデフレになる日本、インフレになるアメリカ
2021年1月18日 GLOBALMACRORESEARCH


2020年は新型コロナウィルスで大変な1年だったが、周知のとおり株式市場は一度の急落を経験したあと2021年に入っても好調が続いている。

一度は株価下落を予想した著名投資家ジェフリー・ガンドラック氏も今では株式に強気な相場観を表明している。

・ガンドラック氏: 米国株、アジア新興国株に強気


相場が上昇している理由はトランプ政権が行なった莫大な財政政策と中央銀行による金融緩和が金融市場に資金を流入させているからである。

資金流入の代償

資金さえ流入させてしまえば株式市場は上がり、すべてが解決するのだろうか? ガンドラック氏ら株式市場の上昇を予想するファンドマネージャーらがその代償として指摘するのが物価の高騰である。しかし先進国経済は長らくのデフレに慣れてしまっており、インフレが起こると指摘されても多くの人がピンとこないだろう。

ではアメリカや日本の物価はどうなっているのだろうか? チャートを並べてみよう。まずはアメリカの消費者物価指数(CPI)である。経緯が分かりやすいように上昇率ではなく物価指数そのものを載せている。


右肩上がりである。最新の数字である12月のデータを前月比年率で見ると4.5%のインフレとなる。

これは11月から12月の物価上昇のペースが12ヶ月続けば年間のインフレ率は4.5%になるということであり、実際にはそこまでのインフレにはならないだろうが、10月以降のインフレ加速は目を見張るものがある。

しかもロックダウンのあった4月に一度落ち込み、そこから上昇しているこのチャートはあるものに似ている。米国株のチャートである。


これは政府による資金注入が金融市場とともにインフレ率を押し上げていることを示している。

金融緩和と現金給付がついにインフレを押し上げた

先進国はこれまで量的緩和など未曾有の金融緩和を行なってきたが、インフレ率が危険な水準まで上がることはなかった。しかし金融緩和と現金給付という新型コロナによる今回のアメリカ政府の対応はついにインフレ率を有意な規模で引き上げてしまったようである。

これは株価の上昇や店舗の売上の回復などを文字どおりには喜べないということを意味する。100ドル余分に儲かったとしても100ドルの価値そのものが減っている可能性があるからである。以前は100ドルで買えたものが200ドル出さなければ買えなくなる。

長らくデフレに慣れてしまった先進国の国民にはこの考え方は馴染みにくいかもしれないが、インフレがこのまま続くのであればそれは誰にとっても対処しなければならない現実となる。レイ・ダリオ氏は政府による資金注入が根本的な解決策にはならないと主張し、国民には自分の身は自分で守るように早くから警鐘を鳴らしてきた。

・世界最大のヘッジファンド: 政府が金融危機から守ってくれると思うな


インフレが今後どの程度のものになるのかはまだ分からない。しかし紙幣をばら撒きすぎた国が警戒しなければならないのは物価高騰と為替レートの暴落である。物価高騰については去年からここでも警鐘を鳴らしておいた。

・金融市場にインフレの兆し: 金、原油、穀物価格が高騰


まだ警戒するべきレベルの物価高騰ではないと思った読者もあっただろうが、既に兆候は見受けられていた。金融市場は実体経済に先行するからである。

そしてドル暴落の可能性についてはガンドラック氏、ダリオ氏の両氏が警戒している。

・世界最大のヘッジファンド: 紙幣の刷り過ぎでドルが暴落するとき


日本はインフレに成るか

では日本はどうだろうか? 日本の消費者物価指数は次のようになっている。


下落トレンドである。注入された資金がアメリカほどではなかったということなのだろう。チャートは10月までのデータだが、続く11月でも更に下落となっており、アメリカのように上昇トレンドとはなっていない。

それを喜ぶべきなのかどうかは読者の判断次第だろう。貧富の差の激しいアメリカで物価の高騰と株価の上昇が起こった場合、すでに暴動が起こっているアメリカの政治的混乱が更に激しいものとなることが予想される。

日本はまだそこまで行っていない。しかし、まだそこまで行っていないだけである。

・世界最大のヘッジファンド: ドルが下落したらアメリカは終わり


https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/11939

12. 2021年1月21日 17:16:57 : FFyjixcZEl : dms1QVQ2TU1PRVU=[1] 報告
紙幣印刷が起こしたアメリカのインフレはドルを暴落させるか
2021年1月20日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/11948

2020年の新型コロナウィルスの世界的流行によって世界経済は大きな景気後退に見舞われており、結果としてアメリカや日本などの先進国政府は未曾有の景気刺激を行うこととなった。

そして前回報じた通り、現金給付などの政府による資金注入がアメリカにおいては物価上昇をもたらしている。

・コロナ不況でデフレになる日本、インフレになるアメリカ

資金注入によって株式市場が上がっていることは周知の通りだが、アメリカではそれだけに留まらず副作用が出てきているということである。アメリカの物価指数のチャートをもう一度掲載しよう。


なかなかの上昇ぶりである。

インフレの為替相場への影響は

こうした状況で投資家が当然懸念するのはドルの下落である。物価上昇とは貨幣の価値が下落することであるため、理論的には為替レートも下落することが考えられる。他の通貨に対してドルの価値が下がるということである。

世界最大のヘッジファンドを運用するレイ・ダリオ氏は早くから資金流入によるインフレとドル暴落に警鐘を鳴らしている。

・世界最大のヘッジファンド: 紙幣の刷り過ぎでドルが暴落するとき


ではドル円はどうなるだろうか。

ドル円のチャートは現在のところ次のようになっている。


ドル円は長らく変わっていないような印象があるが実は長期でゆるやかな下落トレンドを形成している。

ドルを押し上げるもの

しかしそれでもコロナによりアメリカで金利が下がった割にはあまりドル円は下落していないように見える。アメリカでインフレ、日本でデフレという状況はドル円の下落を後押ししそうだが、為替市場ではインフレになった分だけ通貨が下落するわけでもないということは理解しておく必要があるだろう。

何故か。例えばここ20年で日本とアメリカの物価がどうなったかを見てみたい。以下は2000年の物価を1として両国の物価指数を並べたものである。


アメリカの物価が50%になったのに対して、日本の物価は2%の上昇とほぼ変わっていない。インフレだけを考えれば円が相対的に50%程度強くなっても良いはずなのだが、ドル円のチャートは同じ期間で次のようになっている。


20年でほぼ横ばいとなっている。

インフレはドルを押し下げないのか?

これはどういうことだろうか。

原因は主に2つあると考えられる。1つはここ20年のアメリカの経済発展が本物だったということである。

ジンバブエがインフレになれば通貨も暴落するが、経済成長の著しい国で経済成長によってインフレが起これば通貨はむしろ上昇する。

直近20年はアメリカでAmazonやFacebookなどのテック企業が栄えた期間である。アメリカで物価が上がったにもかかわらず為替レートに調整が起きなかったのは、日本が東南アジアよりも物価の高い国であるように、単にアメリカが日本よりも物価の高い国になったということである。

もう1つはドルが基軸通貨であるということである。基軸通貨とは通貨の発行国に限らず世界中で決済や貯蓄などに使われる通貨のことであり、ドルが基軸通貨である限りアメリカで中央銀行がドルを刷り続けてもある程度はドルは買われ続ける。

ドルの天下は続くのか

しかし問題はこの2つの条件がコロナで揺らぎ始めている可能性があるということである。まず今回のインフレは経済成長によるものではなく金融緩和と現金給付によるものである。その意味では為替レートはこのインフレをここ20年のようには見逃さないだろう。一定の影響を与えるはずである。

そして基軸通貨としてのドルだが、アメリカ経済は今後も世界の中心であり続けるだろうか。アメリカはいまや世界一の新型コロナ感染者数を誇る国であり、新規感染者数は1日20万人に迫る勢いとなっており、日本などのアジア諸国に比べて感染の度合いが酷い。

こうした状況を鑑みてか、最近ではダリオ氏に続いて債券投資家のガンドラック氏もアメリカよりアジアに目を向け始めている。

・世界最大のヘッジファンド: 中国が覇権を握りドルは基軸通貨でなくなる
・ガンドラック氏: 米国株、アジア新興国株に強気

これがダリオ氏の言うようなアメリカの覇権交代という大きなトレンドなのかどうかは分からない。しかしどれだけ紙幣を印刷してもインフレにならなかった先進国経済についにインフレが訪れたのは1つの大きなターニングポイントである。


ダリオ氏が歴史を振り返って考察したように、ドルの凋落は急激に起こるのではなく何十年もかけてゆっくり進むだろう。コロナは本当にその転換点になるのかもしれない。

・世界最大のヘッジファンド: 量的緩和で暴落した世界初の基軸通貨
・世界最大のヘッジファンド: 大英帝国の基軸通貨ポンドはいかに暴落したか


https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/11948

13. 中川隆[-7880] koaQ7Jey 2021年1月23日 18:29:22 : C262U7JCBk : TFpjbTFDOE1tbGs=[34] 報告
インフレが制御不能になれば政府は価格統制を始める
2021年1月22日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/11964


これまでの記事で論じてきたとおり、アメリカで物価の高騰が始まっている。

新型コロナ対策として日本やアメリカで政府による未曾有の資金注入が行われた。アベノミクスにおける量的緩和など、これまではどれほど紙幣を印刷してもインフレにはならないように思われていたが、コロナ禍における現金給付でアメリカではついに許容量を超えたようである。物価指数の上がり具合をもう一度引用しておこう。

コロナ不況でデフレになる日本、インフレになるアメリカ

新型コロナ不況による先進国政府の未曾有の紙幣印刷に警鐘を鳴らしてきた著名投資家は多いが、特にレイ・ダリオ氏はこの危険性を早くから的確に指摘し続けてきたと言える。

・世界最大のヘッジファンド: 政府が金融危機から守ってくれると思うな (2020/4/29)

ダリオ氏の先見の明にはいつも驚かされるが、ではインフレの後にはどうなるのだろうか。今回はダリオ氏よりも更に先を見据えている別の人物の見解を引用してみたい。

政府は紙幣印刷を止められない

この人物の名はあとで挙げるが、この人物は現在のような不況において紙幣印刷は状況を長期的に悪化させるにもかかわらず、政府が紙幣印刷という手段に頼り続けることは避けられないと主張する。彼はこのように述べている。

あらゆる世代の経済学者は政府が貨幣の量を素早く増加させることによって短期的には政府は失業のような経済的害悪から人々を救済する力を持っていると主張し続けてきた。残念ながらこれは短期的に正しいに過ぎない。

貨幣の量を増やすことは短期的には有効に見えるかもしれないが、長期的にはさらに大きな失業を引き起こす原因となる。これが事実である。しかし短期的に支持を獲得することが出来るならば、長期的な効果を気にかける政治家が果たして存在するだろうか。

今の日本政府や米国政府に対する痛烈な皮肉ではないか。紙幣印刷は不況の直接的な原因である。ここの読者であればそれがどのように不況の原因であるのかはお分かりだろうが、分かりやすく解説した以下の記事をもう一度挙げておこう。
新型コロナで借金が実体経済に影響を与える仕組みを分かりやすく説明する
コロナでGDPが大幅に下落した原因は過去の紙幣印刷による債務の拡大なのである。それがなければここまでの不況にはならなかった。しかし麻薬中毒者が麻薬を止められないように、すべての政府と短期的な視野しかない有権者は紙幣印刷を選好し続ける。

それはいずれ不可避的な物価高騰に繋がってゆく。インフレは緩やかにしか起こらないので人々は安心して何十年も紙幣を刷り続けるが、起こった時にはもう止めることができない。それがインフレである。

アメリカでは遂にそれが起こりつつあるということである。では止められない物価高騰が起こったとき、政府はそれをどのようにしてお茶を濁すだろうか。彼は次のように説明している。

周知の通り、インフレは経済や市場の秩序が破壊されるまで続く。しかしわたしにはより悪い可能性のほうがありうるように思われる。

政府は物価高騰を止めることができない。しかしこれまでもそうだったように、物価高騰の目に見える効果だけは抑えたいと考える。物価高騰が続き、価格のコントロールが行われるようになり、それは究極的には経済制度全体を管理するところにまでいたる。

インフレが市場と経済を破壊するところまではもうその兆候が観測されている。金融市場で取引される種類の日用品の価格高騰は去年から始まっており、あとはその価格上昇がスーパーに並ぶ品物の価格にまで及ぶのを待つだけである。

・金融市場にインフレの兆し: 金、原油、穀物価格が高騰


経済の混乱は既に始まっている。そして彼は追い詰められた政府が行うのは価格統制だと主張している。正規の店舗に並ぶ品物の価格は見た目上抑えられ、ブラックマーケットでは品物が高値で取引させる世界が来るのである。

それでも正規の店舗では安値で日用品が買えるなら良いのではないか? しかし現実はそう甘くない。誰も安値で売りたがらないので、すべての品物はブラックマーケットに流れて高値で売られ、単に正規の店舗でものが買えなくなるだけである。それが経済である。ダリオ氏も言っていた。

われわれが消費をできるかどうかはわれわれが生産できるかどうかに掛かっているのであり、政府から送られてくる紙幣の量に掛かっているではない。

紙幣は食べられない。

しかし誰も彼の警鐘を聞かなかった。

そして価格統制が上手くいかなくなると、政府は経済全体を管理しようとするだろう。それがこの人物の主張である。

結論

このような世界が来るとコロナ前には誰が予想していただろうか? しかしインフレ率や金融市場などの現実はダリオ氏やこの人物の予想通りに推移している。そして興味深いのはダリオ氏も彼もともに政府のこうした近視的行動が共産主義的な計画経済にいたるリスクを指摘していることである。

世界最大のヘッジファンド: 共産主義の悪夢が資本主義にのしかかる
コロナ後の経済についてダリオ氏よりも更に先を読むこの人物は誰か? 経済学に明るいここの読者ならば分かる人もいるだろうか。今回の記事で引用した主張を述べた人物はフリードリヒ・フォン・ハイエク(1899-1992)である。19世紀に生まれ、ジョン・メイナード・ケインズと論陣を張り合い、コロナよりもはるか昔に亡くなったオーストリアの経済学者である。

引用した文章も何十年も前に書かれたものだ。しかしその主張はまるで今の経済状況と政府の対応を批評するために誂えたような文章ではないか。

今回の文章は日本語版では彼の『貨幣論集』などに収録されているが、ハイエク氏の著作にはコロナ禍に適用できる更に面白い知見が含まれているので続けて紹介したいと思っている。ダリオ氏の記事も再読しながら楽しみにしてもらいたい。

・世界最大のヘッジファンド: 紙幣印刷で経済成長率は救える


https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/11964

14. 中川隆[-7764] koaQ7Jey 2021年1月26日 00:20:24 : 2ydmNr8Rvw : SDJnQ0RJbmZzTkk=[32] 報告
【ゆっくり解説】目からウロコが落ちる「中央銀行」について〜お金の歴史から読み解く通貨の信認とは〜
2020/07/21




現在の制度では中央銀行が通貨の信用を担っています。その辺があまり世間に知られていないようなので解説しました。
お金の歴史から中央銀行の役割までを解説しています。
15. 中川隆[-7810] koaQ7Jey 2021年1月30日 23:31:51 : WsTabVtPIQ : ZW1xLlovZzh6WWM=[35] 報告
ハイエク: 政府から通貨発行の独占権を剥奪せよ
2021年1月30日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/12051


ここのところ続けて19世紀生まれの経済学者フリードリヒ・フォン・ハイエク氏の論考を紹介しているが、ようやく本題である。

新型コロナとハイエク経済学

2020年の新型コロナウィルスの世界的流行によって世界経済は未曾有の景気後退にさいなまれ、日本やアメリカなどの先進国政府は紙幣印刷や現金給付を行なって多数派の有権者の支持を取り付けた。

政府は中央銀行にいくらでも紙幣を刷らせることが出来るので、新型コロナで店舗や企業が儲からなくても人々は生活に困らないというわけである。

実際には先進国政府はコロナ前にも紙幣印刷を大量に行なってきた。その紙幣で中央銀行が国債を買い上げたために政府はいくらでも借金ができたのである。

その借金で政府は長らく有権者の支持を購入してきた。新型コロナで多くの人が亡くなっているにもかかわらず、政府の関心はオリンピックの開催とGO TOトラベルによって建設業界や広告業界、宿泊産業の政治的支持を取り付けることにある。これはどの国の政府も行なってきたことである。しかしアメリカではそうした慣習にも限界が来ている。インフレの到来である。

・コロナ不況でデフレになる日本、インフレになるアメリカ
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/11939


そして日本はその背中を追っている。

政府に借金をさせないために

政府が借金をこれほどまでに増やせなかったなら、政府がここまで好き放題にすることもなかっただろう。そして中央銀行が紙幣を印刷できなかったならば、政府が借金をここまで増やすことも不可能だっただろう。

通貨は政府が発行するものだというここ100年くらいの間に生まれた特異な考え方に慣れた者でなければ、これは当然の考え方である。そしてその当然の考え方を主流派経済学者の間違った意見に左右されずに主張し続けた経済学者がいる。ハイエク氏である。

戦前、戦後の時代にケインズ氏とやりあったハイエク氏は様々な経済学上の功績で有名だが、その中でも異彩を放つのが通貨発行自由化論である。ハイエク氏は政府のみならず民間企業や個人も通貨を発行すべきであり、政府の通貨と競争させることで政府の浪費を牽制できるという考え方の持ち主なのである。

ハイエク氏は彼の

『貨幣論集』
https://www.amazon.co.jp/%E8%B2%A8%E5%B9%A3%E8%AB%96%E9%9B%86-%E3%83%8F%E3%82%A4%E3%82%A8%E3%82%AF%E5%85%A8%E9%9B%86-%E7%AC%AC2%E6%9C%9F-%E3%83%8F%E3%82%A4%E3%82%A8%E3%82%AF/dp/4393621921?__mk_ja_JP=%E3%82%AB%E3%82%BF%E3%82%AB%E3%83%8A&dchild=1&keywords=%E3%83%8F%E3%82%A4%E3%82%A8%E3%82%AF+%E8%B2%A8%E5%B9%A3%E8%AB%96%E9%9B%86&qid=1611295460&sr=8-1&linkCode=sl1&tag=asyuracom-22&linkId=eb7e92ebe3988e41f171092f0fdf438f&language=ja_JP&ref_=as_li_ss_tl


においてむしろ控えめに次のように述べている。

こうした提案は法定通貨という概念のもとで育ったすべての人にとって最初は馬鹿げたものに映るかもしれない。

しかしかつて紙幣を中央銀行に持っていけば金(ゴールド)と交換できた金本位制の時代の人々は、何と交換することもできない何の保証もない紙切れを大事に財布に持っている人々の方を不思議に思うだろう。

現代の通貨は本当に暴落しないのか

繰り返しになるが日本円もかつては金と交換できたのであり、金を中央銀行に預ける代わりに紙幣を受け取って、中央銀行に紙幣を持ち込めば預けた金が返ってきたのである。しかしいつの間にか金は返ってこなくなった。政府がそう決めたからである。では預けられていたはずの金は何処へ行ったのだろう。政府がすべて使ってしまったのである。

このようなあからさまな詐欺に多くの人々がまったく気付いていない。ハイエク氏は次のように述べる。

200年間の金本位制の時代だけを例外として、実際には歴史上ほとんどの政府が人々を騙し搾取するために通貨発行の独占権を行使してきた。

大英帝国のポンドやオランダ海洋帝国のギルダーが政府による紙幣印刷で暴落していったことは以前解説した通りである。

・世界最大のヘッジファンド: 量的緩和で暴落した世界初の基軸通貨
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/10903

・世界最大のヘッジファンド: 大英帝国の基軸通貨ポンドはいかに暴落したか
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/10953


そしてその犠牲者はその通貨を持っていた一般市民であり、政府ではなかった。通貨が暴落したときには既に政府は多額の借金をしてその資金を使い果たしてしまっていた。

根拠はないはずなのだが、現代のわれわれはこれを過去のことであり、今の円やドルには起こらないと無根拠に信じている。しかし実際にはメジャーな通貨の減価はゆるやかにしか起きないので、そのトレンドのただ中にいると気付かないだけなのである。

事実、1970年のドルの価値を100とし、その価値をゴールド本位で計算すると今のドルの価値は次のチャートのようになる。


https://www.globalmacroresearch.org/jp/wp-content/uploads/2021/01/since-1970-value-of-usd-in-gold-chart.png

ほぼ皆無である。そして2021年、コロナで大量の紙幣印刷と現金給付を行なったことにより、死に体のドルにはとどめが差されようとしている。

・世界最大のヘッジファンド: ドルが下落したらアメリカは終わり
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/11762


そしてアメリカに起こることは日本にも起こるのである。

ハイエク氏の通貨発行自由化論

こうした状況を打開するためにハイエク氏は政府から通貨発行の独占権を剥奪すべきだという。ハイエク氏は言う。

人々が使いたい通貨を自由に選択させてはなぜいけないのだろうか。

ハイエク氏が想定するのは政府だけではなく民間企業や個人が通貨を発行する世界である。そこでは人々は自分の好きな通貨で貯金をし、好きな通貨で買い物をする。好きな通貨で会計報告をして好きな通貨で納税をする。

彼は次のように続ける。

店主が現行のレートで望む通貨に即座に両替できると分かれば、すぐにどのような通貨に対しても適切な価格で商品を売るだろう。しかし政府の通貨で表示される物価だけが上昇していることが分かれば、政府の悪行はもっと早く察知されることになる。

そして人々はより安定した通貨を主に利用するようになるだろう。そうすれば通貨発行者は自分の通貨の価値をより安定させ、より多くの人に使われるように努力するようになる。ハイエク氏の主眼は通貨をこのような競争にさらさせることになるのである。彼は次のように続けている。

人々が信用できない通貨を拒否し、信用できる通貨を選んで使うことができるとすればどうか。政府が通貨を乱用するのを避けるためにはこれ以上に有力な抑止力は有り得ない。そうすれば通貨の供給を需要より低く抑えるかぎり、その通貨の需要は増大してゆくだろう。そしてそれは政府が通貨の安定性を維持させるための何よりも強い要因となる。

つまり、政府が無思慮に紙幣を膨大に印刷しようとすれば政府発行の通貨が使われなくなるという状況に直面させることで政府を律しようというわけである。

これは同様に民間の通貨発行者にも適用されるだろう。通貨発行者は手数料のような利益を(政府と同じように)得るだろうが、ハイエク氏の言う世界ではこれが今のように通貨発行権の独占の対価として与えられるのではなく、価値の安定した通貨を発行していることに対する対価として与えられるならば、通貨発行者に対して国民が払うコストは合理的なものになってゆくだろう。

少なくとも、金塊がいつの間にか盗まれているとか、数十年の間に価値がほぼゼロになっているとか、そういうことはなくなるはずである。有り得ないような話が日本円や米ドルで実際に起きているのである。

・ハイエク: インフレ主義は非科学的迷信
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/11992


https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/12051

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