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アメリカの富裕層の税負担が貧困層より低い理由
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/1093.html
投稿者 中川隆 日時 2020 年 10 月 09 日 11:10:19: 3bF/xW6Ehzs4I koaQ7Jey
 

(回答先: アメリカの闇 政治を金で買う超富裕層 投稿者 中川隆 日時 2020 年 3 月 23 日 17:37:11)

アメリカの富裕層の税負担が貧困層より低い理由
2020-10-09 三橋貴明
https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12630366045.html

 三橋TVなどで何回も取り上げていますが、上場企業の株式からの配当金の税率は、分離課税を選択すると住民税を合わせて20.315%です。


 ということは、上場企業の経営者が所得を配当金で受け取る形にすると、税率は20%強。非上場企業の経営者であるわたくしは、ガチ最高税率(55%)でございます。

 これは、いくら何でも酷いだろ!と、個人的な怨恨(ルサンチマン?と言っていいのかな?)を込めて批判しているわけです。


 あ、ちなみに、給与所得の最高税率を引き下げろと言いたいわけではなく、「配当金で所得をもらう」経営者に対して、そりゃないだろ、と言っているのです。実際には、配当金は法人税を支払った後の純利益が原資なので、「会社」として税金を払っていることは分かっています。(様々な控除を利用し、事実上、法人税を支払っていない企業の問題は、とりあえず脇に置きます)

 第二次グローバリズムというか、グローバリズムの特徴の一つは、様々な「政策」により、税負担が「富裕層ほど軽くなる」という点です。


 日本も酷いですが、第二次グローバリズム本家本元のアメリカでも、相当に酷いというのが、本日のテーマ。

『アメリカの貧困層が苦しむ理由は「給与税」と「消費税」

 アメリカでは、現在、ほとんどの社会階層が、所得の25〜30%を税金として国庫に納めている。ただし超富裕層だけは例外的に、20%ほどしか納めていない。アメリカの税制はほぼ均等税と言えるが、最富裕層だけ逆進的なのである。

 もう少し詳しく見ていこう。年間平均所得が1万8500ドルの労働者階級(所得階層の下位50%)は、所得の25%前後を税金として支払っている。この税率は、中流階級(その上の40%)になるとやや上がり、上位中流階級では28%前後に落ち着く。
 富裕層になるとまた税率は少し上がるが、平均値の28%を大幅に上まわるようなことはない。

 ところが最上位400人になると、その税率が23%まで落ち込む。この400人がみなまったく同じ状況にあるわけではないにせよ、グループとして見るかぎり、トランプ大統領やフェイスブックのザッカーバーグ、投資家バフェットらの税率は、教師や事務員の税率よりも低い。多くの人が累進的だと考えている税制が、なぜ実際にはこれほど逆進的なのか?』

 アメリカの売上税は、付加価値税ではなく、本当の意味での消費税です。つまりは、最終消費者に販売する企業が税率分、価格を引き上げ、政府に納税します。


 また、サービスには売上税がありません。さらに、高級ワインなど酒類は価格ではなく「量」に課税される。

 富裕層が購入したゴルフ会員権には売上税がかからず、1リットルの超高級ワインと、巷のビールが「同じ税額」。


 所得税の最高税率も、日本に比較すると低く、28%前後。


 所得下位層(50%)、年間平均所得が1万8500ドルの労働者階級も、所得税は25%と、殆ど変わらない。


 給与所得税がさほど変わらず、売上税が「物品に対する消費性向が高い低所得者層」ほど重くなる結果、税負担が高所得者層の方が軽い「逆累進社会」になっているわけです。


 元々(第二次世界大戦後の)アメリカは所得税の累進性が強く、81年までは最高税率が70%でした。
 その後、最高税率が引き下げられると共に、低所得者層の税率が引き上げられた。


 年間で1万5千ドルしか稼いでいない最低賃金労働者の税率は、1950年には3%だったのが、現在は15%。


 同時に、消費税(物品税)が次々に導入され、消費性向が高い階層ほど、税負担が重い構造になっていったわけですね。


 日本も他国のことを言えませんが、アメリカではまさに「格差を拡大する」形で税制が変えられていったのです。

 税制により国民の不公平感を高めていくと、最終的には国民が分裂し、いがみ合うようになり、国民国家は維持不可能になります。まさに、アメリカも日本も「その道」を歩んでいるようにしか思えないわけです。

 それにしても、記事中にありますが、
「2019年、連邦政府が定める最低賃金で働く常勤労働者は、1年間に1万5000ドルしか稼いでいない。成人1人あたりの平均国民所得のわずか5分の1である。」
 にはショックを受けました。


 つまりは、成人一人当たりの平均国民所得が、7万5千ドル!(約788万円) もちろん、富裕層の所得が凄まじいため、「平均」でそうなるという話でしょうが、2019年における日本人の平均年収は約436万円でした。


 アメリカが良いなあ、という話ではなく(良くないし)、とりあえず日本は、
「中間層が分厚く、国民の消費性向が極端に高い人(低所得者)も、極端に低い人(高所得者)も、あまりいない」
 国を目指しましょう。中間層が厚い国ほど「経済成長」することは、行動成長期からバブル崩壊にかけた日本国で証明されているのです。
 
https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12630366045.html  

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コメント
1. 中川隆[-9904] koaQ7Jey 2020年11月16日 19:51:52 : BLz0NHzvgM : YkJpTDl1aDM1Uy4=[24] 報告
日米に格差拡大をもたらしたトリクルダウンという「貨幣のプール論」[三橋TV第315回] 三橋貴明・高家望愛
2020/11/16





2. 中川隆[-9903] koaQ7Jey 2020年11月16日 19:56:53 : BLz0NHzvgM : YkJpTDl1aDM1Uy4=[25] 報告
イラク戦争の背景
東北学院大学講師・世界キリスト協議会前中央委員
川端 純四郎

 ご紹介いたします。
 先生は1934年のお生まれです。東北大学文学部に学ばれ、博士課程を終えられてから、ドイツのマールブルグ大学に入学されました。帰国後、東北学院大学教員として35年間お勤めになりました。その後ひきつづき講師として、現在も勤務されています。一貫して平和、人権、政治改革の活動に積極的に関わっておいでになりました。
 「9条の会」の講師団メンバーとしても、全国を股にかけて講演なさっており、昨年は1年間で80回以上の講演会を開いておられます。
 先生は今朝8時前に仙台を発ち、はるばる鋸南町においで下さいました。今日の講師としてほんとうにふさわしく、よいお話をうかがえると思います。早速、先生からお話をうかがいたいと思います。 先生、どうぞよろしくお願いいいたします。
                                        安藤

 みなさん、こんにちは。 安房郡の水清き鋸南町に伺って、こうしてお話できることをありがたいと思っています。初めておうかがいしました。木更津まで来たことはあるのですが、今日、電車で君津を過ぎたらとたんに山が美しくなり、あそこまでは東京郊外のなんとまあみっともない風景でしたけれど、あそこから南に来ると一気にほんとうに昔のよき日本の風景がよみがえってくるようでした。ほんとうに嬉しく思いました。

 いま、「さとうきび畑」の朗読と、合唱団のコーラスをお聞きしたのですが、どちらも聞いていて涙が出ました。
 私は、戦争に負けた時小学校6年生でした。仙台で敗戦を迎えましたが、仙台も空襲で全滅いたしました。街の真ん中にいましたから、もちろんわが家も丸焼けでした。忘れられない思い出があります。街の真ん中の小学校でしたから、同級生が一晩で8人焼け死にました。隣の家の、6年間毎日いっしょに学校へ適っていた一番仲の良かった友達も、直撃弾で死にました。今でも時々思い出します。
 今このような歌を聞くと、どうしてもその人のことを思い出します。思い出す私の方はもう70になりますが、記憶に出てくるその三浦君という友達は、小学校6年生のまま出てきます。どうして小学校6年で人生を終わらなければいけなかったのか、生きていてくれたらいろんな事があったのに、と思います。戦争なんて二度としてはいけない、というのが一貫した私の願いです。
 私は牧師の家に生まれました。父はキリスト教の牧師で、教会で生まれ教会で育って、讃美歌が子守歌でした。牧師の中には戦争に反対した立派な牧師さんもおられたのですが、私の父のような多くの普通の牧師は、政治や社会に無関心で魂の救いということしか考えていませんでした。で、私もその親父に育てられましたから、大学を出、大学院に入って博士課程までいって、ずっとキルケゴールや実存哲学という、魂だけ見つめているような学問をやっていて、政治とか経済、社会とかは25歳までいっさい関心がありませんでした。

 25歳の時チャンスがあって、ドイツ政府の招待留学生となってドイツヘ勉強に行くことになりました。1960年のことでした。1960年にドイツへ行ったというだけで、どんなにノンポリだったか分かります。安保改訂問題で日本中が大騒ぎの時、それを尻目に悠々とドイツ留学に行ったのです。幸か不幸かまだ世界は貧しくて、飛行機などというものは贅沢な乗り物で、まだジェット旅客機機はありませんでした。プロペラ機でヨーロッパヘ行くには途中で何遍も何遍も着地し、給油して、今のようにノンストップでシベリヤを越えて、などというのは夢のような話でした。しかもベラ棒に高いのです。船の方があの頃はずっと安かったのです。特に貨物船に乗せてもらうと飛行機よりずっと安いのです。そこで一番安いのを探して、5人だけ客を乗せるという貨物船をみつけました。

 その船で神戸を出航し、インド洋からスエズ運河をぬけ、地中海を渡ってイタリアのジェノバに上陸。そこから煙を吐く蒸気機関車でアルプスを越えて、ドイツのマールブルクという町に着きました。
 実は、飛行機をやめて船で行ったということが、私の人生を大きく変えることになりました。あの時もし飛行機で行ったなら、私は一生、世間知らずの大学に閉じこもって勉強だけしている人間で終わった、と思います。

 ところが船で行ったおかげで、しかも貨物船に乗ったおかげで、私は途中のアジア・インド・アラブの国々をくわしく見ることができました。まっすぐ行けば船でも二週間で行くそうですが、何しろ貨物船ですから、途中港、港に寄って荷物を下ろし、また積んで、一つの港に4日から5日泊まっているのです。おかげでその間、昼間は上陸してそのあたりを見て歩き、夜は船に帰って寝ればいいのですから、東南アジアからアラブ諸国をくまなく見て歩きました。
 1ヵ月かかりました。神戸からジェノバまでのこの船旅。その時見たものが、私の人生を変えたのです。何を見たかはお解りですね。アジアの飢えと貧困という厳しい現実にぶつかったのです。

 降りる港、港で、ほんとうに骨と皮とに痩せせこけた、裸足でボロボロの服を着た子供達が、行く港も行く港、集まって来るのです。船の事務長さんに、「可哀想だが、何もやっては駄目だよ。1人にやると収拾がつかなくなるよ」と言われていました。だから心を鬼にして払いのけて通り過ぎるのですが、その払いのけて通り抜ける時に触った子供の肩、肉などなんにもない、ただ骨と皮だけのあの肩、あの感触が、今でも時々蘇ってきます。
 船に帰って、眠れないのです。明日も、あの子供たちに会う。どうするか。私が考えたことは、「神様を信じなさい。そうすれば救われます」と言えるか、ということでした。
どんなに考えたって、言えるわけがありません。飢えて捨てられた孤児たちに、こちらは着るものを看て、食うものを食っておいて、「神様を信じなさい、そうすれば救われます」などとは、口が裂けても言えないと思いました。牧師館で生まれて、キリスト教しか知らずに育って、キリスト教の学問をして来て、それではお前キリスト教って何なのか、25年お前が信じてきたキリスト教とは、飢えた子供たちに言えないようなキリスト教なのか。とれが私の考えたことでした。
 もし言えるとしたら、ただ一つしかない。そこで船を降りて、服を脱いで、子供たちに分けてやって、食っているものを分けてやって、そこで一緒に暮らす、それなら言える。言えるとしたら、それしかありません。言えるじゃないか、と自分に言い聞かせました。

 それなら、船を降りるか──。くやしいけど、降りる勇気がありませんでした。折角これからドイツヘ勉強に行くという時、ここで降りて、一生インドで暮らすのか、一生アジアで暮らすのか、どうしてもその気にならないのです。
 ですから理屈をこねました。
 「降りたって無駄だ。お前が降りて背広一着脱いだって、何百人人もいる乞食の子に、ほんの布切れ一切れしかゆきわたらないではないか。自分の食うものを分けてやったって、何百人もの子供が1秒だって、ひもじさを満たされる訳がないじゃないか。お前が降りたって無駄だ。それは降りたという自己満足だけで、客観的にはあの子らはなんにも救われない。」
 「だから降りない、勇気がないのではなく、無駄だから降りない。」と自分に言い聞かせるのです。でも、降りなければ「神様を信じなさい」とは言えません。言えるためには降りなければならない、しかし降りても無駄なのだ。
 堂々巡りです。寄る港、寄る港でこの間題に直面しました。毎晩毎晩同じ問題を考え続けて、結局、答えが見つからないまま、閑々として港を後にしました。、出港の時、あの子たちを見捨て自分だけドイツへ行くことに、強い痛みを感じました。これは永く私の心の傷になって残りました。
 このようにして初めて、世の中には飢えた仲間がいるという、当然分かっていなくてはいけない事実に、何ということでしょう、25にもなってやっと気づいたのです。飢えた子供たちがいる、それを知らんぷりしてドイツに行くのか、お前が降りてあの子たちと一緒に暮らすことはあまり意味ないかも知れない、しかしやっぱり船を降りないのだとしたら、せめて世の中に飢えた子供なんか生まれないような社会を作るために、自分で何かしなければいけないのではないか。ただ魂の中だけに閉じこもっていていいのか。
 これが、私がヨーロッパヘ行く1ヵ月の旅で考えたことでした。

 ドイツヘ行って、宗教の勉強をしました。ブルトマンというドイツの大変偉い先生の所に1年いて、いろいろ教わりましたが、結局、私の結論としては、実存哲学だけではだめだということでした。自分が自分に誠実に生きる──これが実存的、ということですが、それだけでは駄目だ。自分が生きるだけでなく、みんなが人間らしく生ることができるような世の中になるために、自分にできる何か小さなことでもしなければいけない。
 こう思うようになって、日本に帰ってきたのです。

 それじゃあ、世の中で、そのように飢えて死ぬような子がいなくなるような社会とは、どうすれば出来るのか。これはやっぱり、飢え、貧困、戦争、差別、そういうものが生まれる原因が分からなければ、除きようがありません。原因を勉強しなければいけない。そのためには社会科学を勉強しなければいけない。特に経済学を勉強しなければいけない──。
 ドイツヘの留学は、大学院の途中で行きましたので、帰国して大学院に復学しました。幸い東北大学は総合大学ですから、中庭をへだてて向こう側が経済学部でした。帰ってきた次の日から、私は、経済学部の講義を経済原論から、授業料を払わずにもぐりで、後ろの方にそっと隠れてずっと聞きました。

 それからもう45年になりますが、ずっと宗教哲学と経済学と2股かけて勉強してきています。今日も、多少経済の話を申し上げるわけですが、やっぱり自分がクリスチャンとして、今もクリスチャンであり続けていますが、同時に、自分の救いということだけ考えていたのでは申し訳ないと思うのです。現実に飢えて死ぬ子がいるのです。ユネスコの統計によると、毎日2万人の子が栄養不足で死んでいるそういう世の中、このままにしておくわけにはいかない、自分でできることは本当に小さいけど、その小さなことをやらなかったら、生きていることにならない──。そう思って45年過ごしてきたわけです。

 キリスト教の中でずっと生きていますので、一般の日本の人よりは外国に出る機会が多いと思います。特に世界キリスト教協議会という全世界のキリスト教の集まりがあります。その中央委員をしていましたので、毎年1回中央委員会に出かけて、1週間か2週間会議に参加しました。世界中のキリスト教の代表者と一つのホテルに缶詰になり、朝から晩までいろいろと情報交換したり論議したりします。そのようなことを7年間やりましたので、世界のことを知るチャンスが多かったと思います。それを辞めてからも、自分の仕事や勉強の都合で、今でも毎年二週間ぐらいはドイツで暮らしています。そうしていると、日本ってほんとうに不思議な国だということが分かってきました。

 日本にいるとなかなか分からないのです。島国ですし、おまけに日本語という特別な言葉を使っています。他の国との共通性がない言葉です。ヨーロッパの言葉はみんな親戚のようなものですから、ちょっと勉強するとすぐ分かります。一つの言葉の、ドイツ弁とフランス弁、ベルギー弁、オランダ弁というようなものです。日本で言えば津軽弁と薩摩弁の違い程度のものです。津軽と薩摩では、お互いに全然通じないとは思いますが、それでも同じ日本語なのです。ヨーロッパの言葉とはそういうものです。ですからお互いに何と無く外国語が理解できるというのは、別に不思議なことではないのですね。ですから、自分の国のことしか知らないという人は、非常に少ないのです。
 新聞も、駅に行けばどんな町でも、ヨーロッパ中の新聞が置いてあります。ドイツのどんな田舎町へ行っても、駅にいけばフランスの新聞もイタリアの新聞も売っていますし、それを読める人がたくさんいるのです。そういう社会ですから、日本人とはずいぶん違います。自分の国を客観的に見られる。他の国と比べて見ることができるのです。

 日本にいると比べられません。そのうえ、日本はマスコミが異常です。ワンパターンのニュースしか流しません。ヨーロッパではいろんなテレビがあって、テレビごとに自由な報道をやっています。バラエティー番組のようなものがなくて、ニューハ番組が充実しています。きちんとした議論をテレビでやっています。ですから日本にいるよりは、比較的自分の国の様子を客観的に見られることになります。ドイツに行く度に、日本とは不思議な国だなあと思うのです。

 例えば、もうだいぶ前、バブルの頃です。日本のある有名なモード会社がミラノに支店を出しました。そしてマーケティング調査をしました。どんな柄が流行っているか、アンケートを集めそれを整理するために、イタリア人女性3人雇ったそうです。アンケートの整理をしていたら5時になりました。あと少ししか残っていなかったので、日本ならの常識ですから、「あと少しだからやってしまおう」と日本人支店長は声をかけました。ところがイタリア人女性3人は、すっと立って「5時ですから帰ります」と言って出て行こうとしました。思わず日本人支店長は怒鳴ったのだそうです。「たったこれだけだからやってしまえ」と。途端にこの日本人支店長は訴えられました。そして「労働者の意志に反する労働を強制した」ということで、即決裁判で数万円の罰金をとられました。

 これがヨーロッパの常識です。つまり9時から5時までしか契約していないからです。5時以後は命令する権利はないのです。9時から5時までの時間を労働者は売ったんであって、5時以降は売っていないのですから、自分のものなんです。会社が使う権利はありません。当たり前の話です。
 その当たり前の話が日本では当たり前ではないのです。残業、課長に言われたので黙ってやる。しかもこの頃は「タダ残業」ですからネ。本当にひどい話です。常識がまるで違うのです。あるいは有給休暇。ドイツのサラリーマンは年間3週間とらねば「ならない」のです。3週間休まなければ罰せられます。日本は有給休暇など殆どとれません。ドイツでは取らないと罰せられます。ですからどんな労働者でも3週間、夏はちゃんと休んで、家族ぐるみイタリアへ行ってゆっくり過ごしてきます。有給になっているからです。或いは日本では1週間40時間労働です。ドイツはもう随分前から36時間です。土日出勤などありえない話で、日本のように表向き40時間労働でも、毎日毎日残業で、その上休日出勤、日曜日には接待ゴルフなど馬鹿なことをやっています。接待ゴルフなど、ドイツには絶対ありません。日曜日は各自が自由に使う時間で、会社が使う権利はないのです。
 そういうところもまるで常識が違います。或いは、50人以上だったと思うのですが、50人以上従業員がいる会社、工場は必ず、労働組合代表が経営会議に参加しなければいけないことになっています。そんなことも、日本では考えられないことです。ですから配置転換とかもとても難しいし、労働者の代表が入っているから、簡単に首は切れません。

 そういういろんな面で、日本の外に出てみるとびっくりするようなことが山ほどあります。日本という国は、高度に発達した資本主義国の中で例外的な国なのです。資本主義が発達した点では、アメリカにもフランスにもドイツにも負けないのですが、資本主義が発達したにしては、労働者が守られていない。或いは市民の権利が守られていない。会社の権利ばかりドンドンドンドン大きくなっているのです。それが日本にいると当たり前のように思われています。外国で暮らしていると、日本は不思議な国だと分かります。特にこの数年それがひどくなってきているのではないでしょうか。
 私たちの暮らしは、戦後50何年かけて、少しずつよくなってきました。例えば年金なんかも少しずつ整備されてきた。健康保険制度も整備されてきた。介護保険も生まれてきた。或いは、労働者も土曜日チャンと休めるようになってきた。ところがこの数年、それが逆に悪くなつてきています。年金は削られる一方、介護保険料は値上がりする、労働者は首切り自由でいくらでも解雇できる。労働者を減らすと政府から奨励金が出る。タダ残業はもう当たり前・・・。

 特にこの数年、構造改革という名前で、日本の仕組みが変わってきています。いま申し上げたように、戦後50年かけてみんなで、少しずつ少しずつ作ってきた、いわば生活の安心と安全を守る仕組み、そういうものが今はっきり壊されかかっているのではないでしょうか。
 小泉首相という人は「自民党をぶっ壊す」といって当選したのですが、この4年間を見ていると、あの人は自民党を壊したのではなく「日本を壊した」のではないかと思われます。これまで日本が戦後50年かけて作ってきた社会の仕組みが、バラバラにされているのです。フリーターとかニートがもう30%でしょう。そうなると当然、この人たちは生きる希望がありません。お先真っ暗。いまさえよければ、ということになる。ですから若者が当然刹那的になる。人生の計画なんて立たない。今さえよければということになっていきます。
 昔なら10年に1回あるかないかのような犯罪が、いま毎日のように起きています。私は仙台にいますが、この正月には赤ん坊の誘拐事件で一躍有名になってしまいました。あんなことが日常茶飯事として起こっています。栃木県で女の子が山の中で殺された事件は、まだ解決されていませんが、こんな事件が今は「当たり前」なのです。世の中がすさんできて、何が善で何が悪なのか、みんなに共通な物差しというものがなくなったというふうに思われます。
 そのような世の中の変化、私は多分、「構造改革」というものがその犯人なのだ、と思っています。

《逆戻りの原因はアメリカの変化》

 その構造改革というのは、どこから来たのか。もちろんアメリカから来たのです。アメリカが変化した、日本はそのアメリカに右ならえをした、それが構造改革です。

 それでは何が変わったのか、これが一番の問題です。この変化の行き着くところが、憲法改悪です。
 社会の仕組み全体がいま変わろうとしているのです。憲法も含めて。いったい何がどう変わるのか。いったいどういう構造をどういう構造に変えるということが構造改革なのか。そこのところがアメリカを見ればよく分かってきます。アメリカがお手本なのですから。

 アメリカはソ連崩壊後変わりました。ソ連とか東ドイツは自由のないいやな国でした。昔1960年に西ドイツヘ留学した折、東ドイツへ何回か行く機会がありました。ふつうはなかなか行けないのですが、幸いキリスト教国なので、ドイツのキリスト教はしっかりしていまして、東ドイツと西ドイツに分裂しても、教会は分裂しなかったのです。東西教会一つのまんまです。ですから、教会の年1回の大会には、西で開く時は東の代表がちゃんと来たし、東で開く時は西の代表が行けたのです。ですから一般の人の東西の往来が難しかった時でも、キリスト教の人だけはかなり自由に行き来ができました。
 私も連れていってもらって、何回か東ドイツへ行って見ました。ご存じのように自由のないいやな国でした。ですからソ連や東ドイツが崩壊したのは当然だし、いいことだと思います。しかしソ連や東ドイツが100%悪かったかというとそんなことはありません。良い部分もありました。何から何まで全部ひっくるめて悪だったというのも間違いです。基本的に自由がない。ですから、ああいう国は長くは続かない。これは当然そうだと思います。滅びたのは当然だと私は思います。

 しかし同時に、良い面はなくしては困るのです。良い面は受け継がなければいけません。最も目につくのは女性の地位でした。これは立派なものでした。いまの日本なんかより遥かに進んでいました。男女の平等が徹底的に保障されていました。専業主婦などほとんど見たことがありません。だれでも自由に外に出て、能力に応じて働いていました。それができるような保障が社会にあるのです。文字通りポストの数ほど保育所があって、子供を預け安心して働きに出られるようになっていました。同一労働同一貸金の原則はきちんと守られていて、女性だから賃金が低い、女性だからお茶汲みだけなどというようなことは一切ありませんでした。これは凄いなと思いました。あれは、日本はまだまだ見習わなければいけないことです。
 もう一つ私がびっくりしたのは、社会保障です。私が初めて東の世界を見たのは、何しろ1960年の頃のことです。日本はまだ社会保障がない時代でした。いま若い方は、社会保障はあるのが当たり前と思っておられる方も多いと思いますが、そんなことはないのです。日本は1972年が「福祉元年」といわれた年です。それまでは、福祉はなかったのです。大企業とか公務員だけは恩給がありましたが、商店の経営者とか家庭の主婦なんか何もありませんでした。健康保険も年金も何もありませんでした。72年からようやく国民皆年金、国民皆保険という仕組みが育ってきたのです。

 もともと資本主義という仕組みには、社会保障という考えは無いのです。自由競争が原則ですから、自己責任が原則です。老後が心配なら、自分で貯めておきなさい。能力がなくて貯められなかったら自業自得でしょうがない。こういうのが資本主義の考え方です。労働者が、そんなことはない、我々だって人間だ、人間らしく生きていく権利がある。だから我々の老後をちゃんと保障しろと闘って、社会保障というものが生まれてくるのです。自然に生まれたのではありません。
 労働者が団結して闘って、止むを得ず譲歩して社会保障が生まれてくるのです。資本主義の世界で最初の社会保障を行ったのはビスマルクという人です。ドイツの傑物の大首相といわれた人です。ドイツの土台を作った人ですが、この首相の頃、何しろマルクス、エンゲルスの生まれた故郷ですから、強大な共産党があり、国会で100議席くらいもっていました。そこで、ビスマルクが大弾圧をやるのです。社会主義取り締まり法という法律を作って共産党の大弾圧をし、片方では飴として労働者保険法という法律で、労働者に年金を作ります。世界で初めてです。辞めた後年金がもらえる仕組み、病気になったら安く治してもらえる仕組みを作った。こうやって鞭と飴で労働運動を抑えこんでいったのです。

 社会保障というのは、そうやって労働者の力に押されてやむを得ず、譲歩として生まれてくるのです。放っておいて自然に生まれてくるものではありません。
 そこへ拍車をかけたのが、ソ連や東ドイツです。ソ連や東ドイツヘいってみて、1960年の時点なのですから、日本にまだ社会保障などなかった時、そう豊かではなかったのですけれども、老後みながきちんと年金をだれでも貰える、そして、病気になればだれでも、医者に行って診察を受けて治療を受けられる。これにはほんとうに驚きました。これが社会主義というものかと、その時は思いました。ただ自由がないのです。例えば、牧師さんの家に泊めてもらうと、こちらがキリスト教徒ということが分かっていますから、牧師さんも信用して内緒話をしてくれるわけです。外国から来る手紙はみな開封されていると言っていました。政府が検閲して開封されてくる。だから、「日本へ帰って手紙をくれる時は、気をつけて書いてください。政府の悪口など書かれると私の立場が悪くなるから。手紙書くときは開封されることを頭に入れて書いてくれ。」というふうに言われました。こんな国には住みたくないなと思いましたけれど、同時に社会保障という点では驚きました。こういうことが可能な社会の仕組みというのがあるんだなあ、とこう思ったのです。

 その後、スターリン主義というものによって目茶苦茶にされていくのですが、私の行った頃はまだ、東側の社会保障がある程度きちっと生きていた時代です。こうして、ソ連や東ドイツが社会保障というものを始めると、資本主義の国もやらざるをえなくなってきます。そうでないと労働者が、あっちの方がいいと逃げ出してしまいます。ですから西ドイツが一番困りました。地続きですから、何しろ。ですから、東に負けないだけの社会保障をしなければならなかったのです。そうすると、自由があって社会保障があるのですから、こっちの方がいいということになります。いくら向こうは社会保障があっても自由がないのです。こうして西ドイツは大変な犠牲を払って、社会保障先進国になってきました。そのことによって、東ドイツに勝ったのです。
 実際西ドイツの労働者は、別に強制されたわけではありません。自主的に西ドイツを選んだのです。ですからあのような東西ドイツの統一も生まれてきたのです。

 つまり資本主義の国は、ひとつは自分の国の労働者の闘いに押されて。そこへもってきて、ソ連、東ドイツの社会保障という仕組みの外圧で、それに負けるわけにいかないものですから、そういう力があって、社会保障というものを造り出していくのです。しかし社会保障というものは莫大な財源がかかります。

《社会保障をやめて小さな政府へ──構造改革の中身(1)》

 いま日本政府は社会保障をどんどん削っていますけど、それでも国家予算の中で一番多い費目は社会保障です。大変な財源が必要なのです。そこで資本主義の国は、新しい財源を見つける必要ができてきます。
 そこで見つけたのが2つ。1つは累進課税です。それまでの資本主義にはなかった、累進課税という新しい仕組みです。つまり収入の多い人ほど税率が高くなるという仕組みです。日本でも1番高い時は1980年代、1番大金持ちはの税率75%でした。ですから、年収10億あれば7億絵5千万円税金にとられたのです。今から考えれば良く取ったものです。今は35%です。大金持ちは今ほんとうに楽なのです。35%ですむのですから。年収10億の人は3億5千万払えばいいのです。昔なら7億5千万取られたのです、税金で。「あんまり取りすぎではないか、これは俺の甲斐性で俺が稼いだ金。それを取り上げて怠け者のために配るのか。」と彼らはいいました。
 そうすると政府は、「いやそういわないでくれ。そうしないと、資本主義という仕組みがもたない。だから体制維持費だと思って出してくれ。そうでないと社会主義に負けてしまう」と言って、大金持ちからたくさん取ったのです。大企業も儲かっている会社からたくさん税金取った。法人税もずっと高かったのです、以前は。こうやって大金持ち、大企業からたくさん取る累進課税で一つ財源を作ったのです。

 もうひとつは、企業負担です。サラリーマンの方はすぐお分かりですが、給料から社会保障で差し引かれますね。そうすると、差し引かれた分と同額だけ会社が上乗せするわけです。自分が積み立てたものが戻ってくるだけなら、貯金したのと同じです。労働者の負担する社会保障費と同額だけ会社も負担しているのです。倍になって戻ってくるから、社会保障が成り立つわけです。
 これも資本主義の原則からいえば、おかしいことです。いまいる労働者の面倒を見るのは当たり前です。会社は労働者がいるから成り立っているのですから。だけど、辞めてからは関係ないはずです。契約関係がないのですから。辞めた人が飢え死にしようがのたれ死にしょうが、会社の責任ではないはずです。
 だけども一歩ふみこんで、それでは資本主義の仕組みがもたないから、労働者が辞めた後まで面倒みてくれ、そこまで企業負担してくれ、そうしないと資本主義がもたないから、ということになります。

 こうやって、社会保障というものが資本主義の国で成り立っているのです。これは、ただの資本主義ではありません。資本主義の原則に反するような累進課税とか、企業負担というものを持ち込んで、社会主義のよいところを取り入れた資本主義です。これを「修正資本主義」と呼びました。
 資本主義の欠点を修正して、社会主義に負けないようないい仕組みに造り直した資本主義ということです。学者によっては、資本主義の経済の仕組みと社会主義経済を混ぜ合わせた「混合経済」と呼ぶ人もいます。所得再配分機能を政府が果たすということです。もちろん修正資本主義というものは、このような良い面だけではなくて、公共事業という名前で国民の税金を大企業の利益のために大々的に流用するというようなマイナスの面もあることも忘れてはなりません。
 しかし、ともかくこうやって、西側の世界は、自由があって社会保障がある、そういう社会に変わっていくのです。そのことで東に勝ったのです。ところが、そのソ連と東ドイツが居なくなったのです。

 その前にもうひとつ。先進資本主義国というのは或る一種の傾向として、労働者が闘わなくなってきます。これは先進資本主義国の宿命のようなものです。つまり資本主義国というのはご存じのように、地球上の大部分を占めている低開発諸国、貧しい第3世界といわれた世界から、安い原料を買ってきてそれを製品にして高く売っています。そして差額、莫大な差額を儲けている。超過利潤と呼ばれています。だから遅れた国は働けば働くはど貧しくなるのです。一生懸命働いてコーヒー豆作っても、それを安く買われてチョコレートやインスタントコーヒーなどの製品を高く買わされるのですから、結局差額だけ損をすることになります。
 この20年、先進国と遅れた国の格差は開く一方、全然縮まらない。地球上の富を先進国が全部集めちゃって、とびきりぜいたくな生活をやっています。ですから先進国の労働者にも、当然そのおこぼれの分け前に預かるので、低開発国の労働者にくらべれば、ずっと豊かになります。豊かにれば闘わなくなってしまいます。その上、それを推し進めるようなありとあらゆる謀策が講じられているのです。

 資本主義というのは、物を売り続けなければなりたたちません。売ったものをいつまでも使われていたのでは、資本主義は成り立たないのです。早く買い換えてもらわなければなりません。いま、日本の車はよく出来ているので、30年は楽に乗れるのに、30年乗られたら日本の自動車会社はみな潰れます。3年か5年で買換えてもらわなれりばいけません。買い替えてもらうには、自分の車は古いと思ってもらう必要があります。ですからコマーシャルで、朝から晩まで何回も、「あんたは古い、あんたは古い。こんないい車ができてます。こんな新しい車が出ましたよ。もっといいのが出ましたよ」と宣伝して洗脳しいるのです。だから3年も乗ると、どうしても買換えざるをえない心境に引き込まれてしまいます。全てのものがそうです。まだまだ使えるのに新しいものに換えてしまう。そういう仕組みができているのです。
 そうしないと、資本主義はもちません。ですから労働者はどうなるかというと、「次、この車に買換えよう、次、パソコンこっちに買換えよう、次、今度はデジタルテレビに買換えよう、じゃあセカンドハウス、つぎは海外旅行・・・」。無限に欲望を刺激され、自分の欲望を満たす方に夢中になって、社会正義とか人権とか考えている暇がなくなっていくのです。

 いま日本の大部分がそうですね。「もっといい生活を」ということだけ考えています。ほかの人の人権だの社会正義なんて見向きもしない。見事に資本の誘惑にひっかかってしまいます。
 もちろん、欲しいからって、お金がなければ買えません。家がほしい、車がほしい、パソコンほしい・・・。それが、実はお金がなくても買える、なんとも不思議な世の中です。ローンというものがあるのですね。

 フォードという人が見つけたのです。それまでは、「つけ」で何か買うなどということは、労働者にはありませんでした。労働者が「つけ」で買ったのはお酒だけです。酒飲みはお金がなくても飲みたいのです。だから酒屋だけは「つけ」がありました。大晦日に払うか払わないかで夜逃げするかどうかもあったでしょうが、今は家を「つけ」で買う、車を「つけ」で買う、なんとも奇妙な世界になってきました。これをフォードが始めたのです。それまでは、自動車というのは大金持ちのものでした。フォードが、あのベルトコンベアーというのも発明して、大量生産を始めたのです。そうなれば、大量に売らなれりばなりません。大量に売るためには労働者に買ってもらわなくてはなりません。でも労働者にはお金がないのです。そこで、ローンという、とんでもないものを考え出したのです。ローンなら金がなくても買えるんですから、みんな買う。当然な話です。

 そりゃあ豊かなのに越したことはありません。マイホームが欲しくなる。ですからみんなローンで買う。そして「マイホーム」という感じになるのです。でも本当はマイホームではありません。あれは銀行のものです。払い終わるまでは、所有権は銀行のものです。銀行から借りてローン組んだだけなんです。こうして次々と新しいものを買わされていく。そのローンは多くの場合退職金を担保に組みます。一度退職金を担保にローンを組んでしまったら、ストライキはできなくなります。会社と闘って退職金がすっとんだら終わりなのです。家も途中でおしまいになってしまいます。ですから、ローンでマイホームが変えるようになってから労働運動は一気に駄目になりました。みんな闘わない、会社と喧嘩したくない、というふうになります。これはもちろん、向こうは計算済みのことです。
 ですから、高度に発達した資本主義社会というのは、労働者が、ある程度ですが、豊かになり、そして、このような消費社会に組み込まれてしまって、身動きができなくなるのです。

 こうして、いま日本では労働組合も、労働運動もストライキもほとんど力を失いました。そうなれば、政府は社会保障なんて、何も譲歩する必要がはありません。労働者が必死になって運動するから、止むを得ず健康保険とか年金制度とかやってきたのであって、労働者が闘わなければ、その必要はないのです。いま、どんどん社会保障が悪くなってきています。次から次から悪くなる。20年前だったら、いまのように社会保障が悪くなったらたちまち、大ストライキが起こりました。しかし今は何も起きません。労働組合が弱体化している、労働運動が骨抜きという状態です。
 そこへもってきて、ソ連や東ドイツがいなくなったのです。こうなればもう社会保障をやる必要はありません。社会保障は止めます、修正資本主義は止めます、ということになるわけです。修正資本主義にはいろいろな意味があるのですけど、一つの特徴は、大金持ちや大企業からお金を取って、弱い立場の人たちに配るところにあります。所得再分配と言われる働きです。だから政府は大きな政府になります。こういう仕組みが修正資本主義で、いろんなマイナス面もあるのですが、プラスの面も大いにあります。

 この仕組みをやめる、というのが今のアメリカです。もう政府は面倒みません、自分でやりなさい、と自由競争に戻る。自由競争一筋。これが、ソ連が崩壊した後に新しくなったアメリカの仕組みなのです。そして、それに日本が「右へならえ」ということなのです。

 それに対してヨーロッパは、アメリカのいうことを聞かず、「われわれはこれからも、社会保障のある資本主義でいきます。むき出しの裸の自由競争には戻りません」。これがヨーロッパなのです。なぜヨーロッパがそういえるかというと、労働運動が強いからです。先進資本主義国なのになぜ労働運動が弱くならないのか。これはこれで時間をかけて考えなければならない問題なのですが──。

 現実の問題として強い。ヨーロッパだって大企業は社会保障を止めたいにきまっています。しかし止めると大騒ぎになります。労働者が絶対に言うことを聞きません。だからやむを得ず守っているのです。企業負担もうんと高いです。日本の会社の倍以上払っています。ですからトヨタ自動車もフランスに、フランス・トヨタを作っていますけど、日本トヨタの倍以上払っています。それでも儲かっているのです。
 ですから、ヨーロッパでも、社会保障は少しずつ悪くなってきてはいますが、日本に比べれば遥かに違います。このようにして、ヨーロッパはアメリカと別の道を進み始めました。アメリカは剥き出しの資本主義に戻りますが、ヨーロッパは修正資本主義のままでいこうとしています。
 しかし、それでは競争で負けます。アメリカや日本は企業の社会保障負担がうんと減っていますから、利潤が増えています。ヨーロッパは高い社会保障負担でやっていますから、儲けが少ないのです。そこで競争しなくてすむようにEUいうものを作って、枠を閉ざしちゃいました。アメリカや日本の会社がヨーロッパに来るときは、ヨーロッパ並みの負担をしなければ、EUには入れません。だからEUの中でやっている時には、日本にもアメリカにも負ける心配はないのです。
 そういう仕組みを作って、アメリカとは別の道を進み始めました。そのためにユーロという別のお金も作りました。イラク戦争で表面に出てきたのですが、イラク戦争がなくても、ヨーロッパはアメリカとは別の道を進み出していました。もう2度とアメリカとは一緒にならないでしょう。

《規制緩和とグローバリゼーション − 構造改革の中身(2)》

 もう一つ、ソ連、東ドイツ崩壊の結果、アメリカが大きく変化したことがあります。それは何かというと、大企業・大資本を野放しにしたことです。
 ソ連がいる間は、大企業や大資本に、「あなた達は資本主義なんだから儲けたい放題儲けたいだろうけど、それをがまんしてください。あなたたちがやりたい放題にやったら、他の資本主義国はみんな負けてつぶれてしまう。アメリカの資本と競争できるような資本などどこにもありませんから。そうなれば、ソ連の方がましだということになる。だから、やりたい放題は抑えてほしい」と言ってその活動を制限してきました。
 具体的に何を抑えたかというと、為替取引を規制したのです。これが一番大きな規制です。いまではもう、中央郵便局へ行って「ドル下さい」といえば、すぐドルをくれます。「100ドル下さい」といえば「ハイこれ1万2千円」。ユーロでも、「下さい」といえば「100ユーロ・ハイ1万4千円」とすぐくれます。でもこれはごく最近のことです。それまでは、外貨・外国のお金は、日本では勝手に手に入りませんでした。お金を外国のお金と取り替える、つまり為替取引は厳重に規制されていて、個人が勝手にはできなませんでした。外国旅行に行くとか、何か特別な理由が認められた時しか、外国のお金は手に入りません。いまは何も制限ありません。自由にだれでもいつでもできます。理由など聞きませんから、100ユーロとか千ドルくださいと言えば、そのままくれます。これが為替取引の自由化というものです。これがなかったのです。ソ連が崩壊するまでは、アメリカも厳重に規制していました。それをとっぱらったのです。理屈っぽく言えば、資本の国際移動が自由にできるようになったということです。こうして、アメリカの巨大な金融資本が、世界中を我が物顔にのし歩く時代が来るのです。

 もうソ連も東ドイツもなくなったのですから、「いや永いことお待たせしました。今日からもう儲けたい放題儲けていいですよ。やりたい放題やっていいですよ」ということになったのです。これが規制緩和とことです。規制緩和ということは要するに、大資本が野放しになったということです。そうなったらどうなるか、世界第2の経済大国といわれる日本でさえ、全然太刀打ちできません。アメリカの巨大資本、金融資本・銀行ですね。日本の銀行とは勝負になりません。ボブサップと私が裸で殴り合ぅようなもので、一コロで殺されてしまいます。
 それでもやれというなら、ボブサプは手と足を縛ってもらって、目隠ししてもらって、こちらは金槌でも持たしてもらって、それでやっと勝負になるのです。今まではそうだったのです。それを全部外して自由にする、無条件で自由競争にするというのです。負けないためには、相手に負けない位大きくなるしかないですから、合併、合併、合併。あっという間に30ほどあった都市銀行が3つになってしまったのです。UFJとか「みずほ」とか、元何銀行だったか覚えておられる方おられますか。すぐ言えたら賞金をさし上げてもよろしいのですが、まず、言える方おられないでしょう。合併、合併であっという間に3つになりました。3つにになってやっとなんとか対抗できるというくらいにアメリカの巨大銀行というのは大きいものなのです。それでもダメで、長銀はのっとられてしまいました。北海道拓殖銀行も山一証券ものっとられてしまいました。次々とのっとられています。
 ついこの間は青森県の古牧という温泉がのっとられまし。広くていい温泉なんですけど、驚いたことにゴールドマンサックスでした。世界最大のアメリカの金融投資会社、ハゲタカファンドの代表のようなものです。これがどうして古牧温泉なのかと思ったのですが、テレビで放送していました。古牧だけではありません。他に28ケ所、超有名温泉みんな買い占めちゃったのです、ゴールドマンサックスが。どうするかというと、従業員みんな首切っちゃってパートにして、腕利きのマネージャーを送り込み、部屋をヨーロッパ、アメリカ向きに整備しなおして、欧米からの観光客をワーツと呼ぼうという作戦なんですね。儲かるようにして高く売るのです。ゴールドマンサックスが経営するのではありません。いま赤字の会社を買い取って、儲かるように造り直してすぐに売っちゃうのです。これが投資銀行のやっていることです。確かに、いわれてみればそのとおりで、日本の温泉ほどいいものはありません。知らないだけで、こんないいものは世界中どこにもありません。だから日本の温泉の良さが分かったら、おそらくヨーロッパ、アメリカからごっそり観光客が来ると思います。そこにゴールドマンサックスが目をつけたのですね。そして近代経営やって外国人が来て楽しめるような設備に変えて、世界中にジャパニーズスパーなんていって売り出す気なのですね。ですから、そのうち皆さんも温泉にいらっしやるとみんな英語で案内され、アメリカのお湯の中に入ることになってしまいます。

 アッという間に日本はアメリカ資本に乗っ取られようとしています。去年のホリエモン合併もそうです。今年から商法改正(改悪)して、乗っ取りを認めるということになったのです。株の等価交換、面倒な仕組みですから詳しいことは申し上げませんが、アメリカ株1億ドル分と日本の株1億ドル分を、等価父換していい、こういっているんです。ところが、アメリカの株の値段が高いのです。ですから1億ドルといっても、株の数からすると、例えば千株位しかない。日本は株が安いですから、同じ1億ドルで1万株位あるのですね。そうすると、千株と1万株で取り替えますから、あっという間にアメリカは大株主になってしまう。この等価父換を認めると、日本の大企業全部乗っ取られてしまう。
 そこで、日本の優良企業が狙われています。超優良企業を株式等価交換で、簡単にアメリカが乗っ取ることができる。今年からそれが可能になるはずだったです。それで去年、実験をやったのですね。ホリエモンにやらせてみたのです。ホリエモンはアメリカのリーマン・ブラザースから借りてやったのです。で、出来そうだなと分かったので、アメリカはお金を引き上げてしまいました。ホリエモンに乗っ取られては困る、いずれ自分が乗っ取るのですからネ。最後の段階で資金引き上げましたたから、ホリエモン降りる外なかった、多分そういう仕組みだったのではないかと思います。
 今年から自由に、日本中の会社をアメリカが乗っ取れるはずだったのですが、あのホリエモン騒動のおかげで日本の大企業が震え上がり、政府に泣きついて、「なんとか商法改正を見送ってくれ」と。それで見送りになりました。ですから、ちょっと一息ついているのです。今年すぐ、乗っ取られるというわけではありません。でも、いつまでも見送りというわけにはいかないでしょう。2・3年後には解禁。そうなれば、日本はほぼアメリカ資本に支配される、ということになるでしょう。

 日本ですらそうなのですから、まして、フィリピンとかタイとかいう国はたまったものではありません。あっという間に乗っ取られてしまいます。アメリカに勝手に経済的属国にされてしまう。それに対して、いやそんなの困るから、アメリカ資本が自分の国の株を買うことを法律で禁止する、というようなことをやろうとすると、アメリカはそれを認めないのです。グローバリゼーションだから地球はは「一つ」だというのです。いくら規制緩和しても相手国が法律で規制してしまったら終わりです。ですから、自分の国だけ勝手に現制することは認めません、地球はひとつですよ、グローバリゼーションですよ、ときます。フメリカの大資本が地球上のどこの国でもアメリカ国内と同じ条件で商売できるようにする、これがグローバリゼーションです。いやだと断ると制裁を加えられます。
 クリントン大統領の時は経済的制裁だけですんだのですが、ブッシュになってから、軍事的制裁になりました。いうことを聞かないと軍事制裁だぞという、これがネオコンという人たちの主張です。イラクを見ればみな震え上がるでしょう。ですから、アメリカの言いなりにグローバリゼーションで国内マーケットを開放して、アメリカ資本に全部乗っ取られてしまう、というのがいま着々と進行しているのです。

《アメリカの孤立》

 そこでどうなったかというと、ヨーロッパと同じように、「そんなの困る。自分の国の経済の独立は自分たちで守りたい」という人たちが手を繋いで、「アメリカに支配され引きずり回されないように、防波堤を作ろう」という動きが始まりました。だいたい5・6年前からです。アセアン(ASEAN東南アジア諸国連合)の動きが始まりました。5つの国です。インドネシア、タイ、マレーシア、シンガポール、フィリピン。元来はアメリカが造らせた組織だったのですが、いつのまにか自主独立を目指す組織に成長しました。
 手を繋ぎ、アメリカに引きずり回されないように、アメリカの資本が勝手に入ってこないように、自分たちの経済は自分たちでやりましょう、と。ところが、ASEANが束になったってアメリカにはとてもかないません。そこで、知恵者がいました。アセアンだけではかなわないので、中国と手を繋いだのです。「アセアン、プラス中国で、アジアマーケットを作り、アメリカにかき回されないようにしよう」しようというのです。確かに、中国が入ったらアメリカはうかつに手が出せません。しかし中国だけ入れると、反米色があまりにも露骨ですから、「アセアン、プラス・スリーでいきましょう。アセアン+日本+韓国+中国、でいきましょう」ということになります。日本はアメリカの51番目の州だといわれているのですから、日本が入れば、アメリカも安心します。

 EUのように、アセアン+スリーで、自分たちの経済は自分たちでやれるように、アメリカに引きずり回されないような自立したアジアマーケットを形成することが目標です
 ただひとつ、日本が具合が悪いのです。日本はそのスリーに入っているのですが、(アセアンの会議に)行く度に「アメリカも入れろ、アメリカも入れろ」というのです。アセアン諸国はアメリカから自立するために作っているのですから、「アメリカを入れろ」といわれたんじゃあ困るので、結局日本は棚上げになってしまいます。実際にはアセアン+中国で、経済交流が進んでいます。いずれ2010年には、東アジア共同体・EACというものを立ち上げる、という動きになっています。
 そうなってくると韓国が困りました。日本・アメリカ側につくのか、中国・アセアン側につくのかで、2・3年前から中国側に大きく傾いています。留学生の数を見ると分かります。中国の北京大学には世界中の留学生が集まります。21世紀は中国と商売しなければメシが食えなくなることが分かっていますから、将釆、中国語がしゃべれる人が自国のリーダーになり、中国の指導者に友達がいないと困ります。それには北京大学に留学するのが一番いいのです。あそこはエリート養成学校です。この前行った時聞いてみたのですが、入学試験競争率5千倍だそうです。超難関です。大学の構内を歩いて見たのですが、広い敷地に6階建てのアパートが36棟ぐらい建っていて、みな学生寮です。全寮制。そばに教職員住宅があって、朝から晩まで共に暮らしながら勉強しています。授業は朝7時からです。ものすごく勤勉に勉強しています。35年間私は大学の教員でしたが、愛すべき怠け者の学生諸君を教えてきたわが身としては、「あ、これはかなわないなァ、20年もしたら──」と思いました。向こうは国の総力を上げて次の時代の指導者を養成しているのです。日本はもう全然、ニートとかフリーターとかいって、若者の気迫がまるでレベルが違います。これは置いていかれるな、という気持ちになりました。このように世界中の国が、いま一流の学生を北京大学に送り込んでいるのですが、去年、北京大学留学生の中で一番数が多いのが韓国なのです。
 おととしまで韓国の学生は殆どアメリカヘ行っていました。去年あたりから中国へ変わったようです。つまり韓国は、21世紀の自国は、アメリカ・日本ではなく、中国・アセアンと組むことで繁栄を図りたい、と向きを変えたということです。
 それに拍車をかけたのが小泉首相の靖国参拝。これで韓国は怒っちゃってあちらを向いた。そうなると、アセアン、中国、韓国と繋がって、日本だけはずされてしまった、という状況がいま生まれつつあります。

 さらに中国は、数年前からいま、「ふりん政策」を国の方針としています。フリンといっても男女の不倫ではありません。富、隣。隣の国を富ます、隣の国を豊かにする──富隣政策です。隣の国と仲良くする。中国だけ儲けたのでは相手に恨まれてしまいます。英語では「ウィン、ウィン」(win-win)というようです。どっちも勝つ、中国も儲けるけど相手も儲けるような関係を必ず作っておく、ということが基本政策です。
 つまりアメリカは、やっとソ連を倒したと思ったら、今度は中国が出てきたのですから、中国を目の敵にしているのは当然です。中国にすれば、アメリカにやられないためには、単独では対抗できませんから、周りの国と手をつなぐ、ということです。

 アメリカは修正資本主義を止めて自由競争の資本主義に戻りました。その結果大企業・大資本は野放しになりました。そのためにアジアにそっぽを向かれることになりました。アメリカにはついていけない。アメリカに勝手にされては困る。もちろんアメリカと喧嘩をしては駄目ですが、自分の国は自分の国でやれるようにしなければならない──、というふうに変わったのです。

 そして最後に、3年前から南米が変わりました。ようやく日本でも報道されるようになりましたからご存じと思います。ただ日本のマスコミはちょっとしか書きませんから、気づいておられない方もおありかと思います。南米がものすごい勢いでアメリカ離れを始めたのです。

 今まで200年、南米はアメリカの裏庭といわれていました。アメリカはやりたい放題やっていました。チリは世界一の銅の産出国ですが、このチリの銅はすべて、アナコンダというアメリカの銅会社が一手で採掘していました。だからいくら掘ってもチリは豊かにならない。アメリカのアナコンダだけが儲かるのです。
 ブラジルは世界一の鉄の産地です。これもみな掘っているのは欧米の会社で、いくら掘ってもブラジルは豊かにならない。ベネズエラは世界第五位の産油国です。これもみなアメリカの石油資本が持っていく。
 こういう国はこれまで軍事独裁政権でした。政治家は、自分の国の資源をアメリカに売り渡し、自国の国民の反発は力で抑えつけ、莫大なリベートを貰って自分たちだけベラボウな贅沢をしてきました。これがアメリカと南米のパターンだったのです。

 それが、3年ほど前から、「おかしいではないか。やっぱりベネズエラの石油はベネズエラ人のものだ。石油を掘ったら、ベネズエラが豊かにならないとおかしいではないか。いくら掘ってもアメリカだけ儲けるのはおかしい。石油をアメリカの石油会社から取り上げて、ベネズエラで掘ることにしよう。国有化しよう」というような政策を訴える大統領が、当選するようになりまし。この3年間で、南アメリカは80%が、このような自主独立派の大統領になりました。アメリカ資本に任せず、自国の経済は自分でやろうという政策を掲げた大統領が、次々と当選したのです。
 いまでは、南アメリカでアリカの言いなりというのは、多分コロンビアしかないと思います。あとは殆どみな、自分の国は自分でやりましょというふうに変わってきました。ベネズエラのウゴ・チャベスという人がそのチャンピオンです。ご存じですね、時の人です。アメリカはそのチャベスの当選を必死になって妨害したのですが、結局ダメでした。チャベスが圧倒的多数で選出されました。その彼の言い分がふるっているのです。
 「失礼にならないようにアメリカから遠ざかりましょう」というのです。いきなり遠ざかったのではゴツンとやられますから、アメリカを怒らせないように、喧嘩しないように、少しずつ「小笠原流」で遠ざかって自主独立に向かいましょうというのです。
 これがいま世界の合言葉です。「失礼にならないようにアメリカから遠ざかる。」日本もそうしなければいけない、と私は思っているのですが。絶対にやりません。

 こうやってアメリカは、ソ連や東ドイツがなくなってから、修正資本主義をやめて、いまの言葉でいえば「新自由主義」という仕組みに代わりました。日本はそれに右ならえしたのです。いま申し上げたように、このアメリカの新自由主義経済に無条件で追随しているのは、日本しかありません。あとはみな、「失礼にならないように」距離をおきました。日本だけが無条件でついていきました。だから「ポチ」だといわれるのですネ、確かにポチと言われてもしょうがないほど、無条件でついていきます。それは恥ずかしいことですが、日本が追随していく。これが構造改革なのです。修正資本主義経済から新自由主義経済に変わるということです。簡単にいえば、弱い人の面倒を政府が見るような仕組みから、もう弱い人の面倒は見ませんという仕組みに、変わっていく──。これが構造改革です。

 だから、社会保障はどんどん悪くなる。自由競争で勝ち組と負け組がある。中には1千万ぐらいのマンション買って落ち着いているのもいる。片方には、国民健康保険料さえ払えなくて医者にも行けない。そういう人がもう全国で膨大な人数出てきている。まさに格差社会です。
 どんどんその格差が広がっています。金持ちからお金を取って弱い人の面倒を見る、というのが修正資本主義なのですが、それを止めてしまいました。野放しなのです。強い人はますます強くなり、弱いものは負けたら自己責任なんですよ。こういう仕組みにいま変わったのですね。
 それがいいか悪いか、止むを得ないのかどうかは、いろいろな立場によって考えが違うのですが、事実はそうなったのです。
 しかしヨーロッパは別の道をとっています。このように別の道もありうるというのも事実なのです。ヨーロッパのように社会保障を止めない資本主義もあり得るのです。
 日本の場合、アメリカほど徹底していませんが、流れとしては「政府はもう弱い人の面倒は見ません」、という方向に大きく動いています。

《憲法改悪の要求》

 こうして、アメリカは新自由主義経済で自国の企業を野放しにして、それを世界中に押しつけようとしたのですが、意外に抵抗が大きかった。ヨーロッパはいうことを聞かない。アジアも聞かない、南米も聞かない。これでは困るので力づくで押しつける。こういうことになるのですね。力づくで押しつける時に、最大の目標・ターゲットはもちろん中国です。やっとソ連を倒して、21世紀はアメリカが王様になれると思ったら、中国が巨大な国になってきて、アレリカの前に立ふさがっいます。このままではアメリカは王様ではいられません。中国を抑え込むことが21世紀へ向けてのアメリカの最大の長期的課題になっています。しかし戦争はできません。中国と戦争したのでは共倒れになります。唯一の道はエネルギーを抑えることです。

 ネオコンという人たちの書いた文章を読むと、非常にはっきり書いてあります。21世紀にアメリカが世界の支配権を握るには、中近東の石油を抑えなければならないというのです。中国は石油の自給ができません。どんどん石油を輸入していますが、殆どいま中近東から輸入しています。アメリカが中近東の石油を抑えれば、中国はアメリカのいうことを聞かざるをえなくなる。当然でしょうね。
 世界一の産油国サウジ・アラビアはすでにアメリカ側の国です。そこで第二の産油国であるイラクをアメリカは分捕りたいのですが、その理由がありません。そこでアメリカは「大量破壊兵器、テロ応援」という嘘をつきました。プッシュ大統領も、ついにウソであったことを認めました。
 ではなぜイラク戦争をやったのか。本当の理由はまだ公表されていません。しかしネオコンという人たちの文章を読むと、明らかに「石油を抑える。抑えてしまえば中国は言うことを聞かざるをえない」。ここに本当の理由があったことは明白です。そうだとすれば、恐ろしい話ですが、(次に)絶対にイランが狙われます。
 世界第1の産油国サウジアラビアは、昔からアメリカの同盟国です。第2位のイラクは抑えてしまいました。そしてイランは第3位の産油国です。ここを放っておいたのでは意味がないのです。中国はいくらでもイランから石油の輸入ができます。どうしてもイランまで抑えなければならないというのは、アメリカでは、いわば常識です。どんな新聞雑誌でも次はイランだということが堂々と語られています。
 ライス国務長官も3日前、「今イランに対するは軍事力行使の予定はない」と言っていました。「今は」です。イランは核開発やっているというのが理由です。たしかに妙な国ですが、しかし別に悪い国ではありません。あのあたりでは1番民主的な国です。曲がりなりにも選挙で大統領を選んでいますから。女性はみな顔を出していますし、大学へもいっています。イランは近代化した国なのです。サウジアラビアなどの国に比べたら、ずっと民主的な近代国家です。イスラム教のお妨さんが、選挙で選ばれた大統領より偉い、というのだけが変ですが、全員がイスラムですから、他国がとやかく言うことではないです。
 ですから、イランが悪魔の国というのは嘘なのです。イラクがそういわれたのも同じで、要するに悪魔の国と誤解させて、戦争しかけてもやむを得ないと思わせるための宣伝が行われているのです。

 イランはイランで、自分で自分他ちの国を近代化していけばいいのであって、核兵器持つなといっても、隣のパキスタンもインドも持っているのです。こちらのイスラエルもです。イランだけ持つなといっても、聞くわけありません。イランに持たせたくないのなら、「俺も止めるからあんたも」と言わなければなりません。「俺は持っている。お前だけ止めろ」と言ったってイランが聞くわけありません。そんな理屈が通るはずがないのです。実に馬鹿な理屈です。本当にイラクに核開発をやめさせたいのなら、イギリスもフランスもアメリカも 「先ず自分が止める、だからお前も止めろ」と言うしかありません。お前だけ持つなと言って、聞くと思う方がどうかしています。核開発は現在の大国の論理では抑えられません。イランに言わせれば、「イラクがなぜあんなに簡単に戦争しかけられたかといえば、核兵器を持っていなかったからだ。持っていたら恐ろしくてとても戦争なんか仕掛けられない」ということになります。だからイランはいま核開発を急いでいるのです。核兵器を持たないとアメリカに攻められるから。そう思い込んでいるのです。

 そう思わせるようなことをアメリカはやってきたのですから、イランに核兵器開発を止めさせるためには、イラクから撤収して、中東の平和は中東に任せる、という姿勢を示すしかありません。自分がイラクを分捕って居座ったままで、イスラエルやパキスタンやインドの核兵器には文句をいわずイランにだけ、というのは通じない理屈です。実にゆがんだ国際常識というものが罷り通っている、と思います。

 もしアメリカがイランまで分捕ってしまえば、サウジアラビア、イラン、イラクと合わせて、世界の石油の70%ぐらいになるはずですから、中国はアメリカのいうことを聞かざるをえなくなります。だからつぎはイランだというのが、ネオコンの論理です。
 ただ問題は、イランに戦争を仕掛けるとしても単独ではできなません。兵隊がたりない。徴兵制ではなく志願兵制度ですから。いま、ありったけの兵隊さんがイラクに行っています。あれ以上いないのです。だからハリケーンが来ても出せなかったのですね。そうすると、イランに出す兵隊なんていないのです。そこで、アメリカの右翼新聞の社説など、堂々と書いています。「イラクにいるアメリカ軍でイランを乗っ取れ。カラッポになったイラクの治安維持は、日本にやらせろ」と。
 アメリカの論理から言えばそうなるのでしょう。自衛隊にイラクの治安維持をといいますが、実際は内乱状態ですから、今も毎日アメリカ兵は毎日5人位殺されています。そんなこと引き受けたら、自衛隊員何人死ぬか分かりません。第一そんなことは、憲法9条があるかぎりできないのです、絶対に。憲法があるおかげで、自衛隊はイラクにいますけれども、ピストル1発撃つことができないのです。憲法9条第2項というのがあるのです。自衛隊は戦力ではない・交戦権はないとなっていますから、不可能なのです。だから給水設備備を作るとか、学校修理とか、そういうことしか出来ません。これじゃあアメリカから見れば役に立たないのです。

《平和憲法こそ 日本生存の大前提》

 そこで、「9条2項を変えて、戦争ができる自衛隊になってくれ」というのがアメリカの強い要求なのです。みんな分かっています。言わないだけです。日本の新聞記者も知っています。しかし、「9条変えろ」がアメリカからの圧力、と書くと首になるから書かないだけです。でも誰も知っています。アメリカのに戦争に参加しなさい、という強い圧力がかかっているのです。
 ここのところをよく見極めておくことが必要です、「9条を守る」ということは、「アメリカの言いなりにならぬ」ということと一つ、なのです。
 アメリカと喧嘩しては駄目ですから、「失礼にならないようにアメリカから遠ざかる」のが何よりも大切です。仲良くするけれども言いなりにはならない、ということです。ところが、憲法が危ないという、この危機的な状況にもかかわらず、国内で労働運動が弱体化していますから、ストライキも起きない。大きなデモも起きない。大反対運動も起きない──。という状況です。

 ではもう駄目なのでしょうか。そうではないと思います。それには日本の国内だけではなく、世界に目を向ける、アジアに目を向けるこちとが必要のです。ご存じのように、これからの日本は、中国と商売せずには、生きていけなくなりま。いま、大企業だけですけど、多少景気がよくなってきています。全部中国への輸出で持ち直したのです。中国マーケットがなくなったら日本経済はおしまいだ、ということは誰も分かってきています。
 お手元の資料の中の(貿易額の)丸い円グラフは、2003年のもので少し古いのですが、アメリカ20.5%、アジア全体で44.7%、つまり日本にとって一番大事な商売の相手は、アメリカではなくてアジアなのです。
 アジアと仲良くしなかったら、経済が成り立たないところへ、いま既にさしかかっているのです。左隣の棒グラフは2004年ですが、左上から右に折れ線がずうっと下がってくる。これが日本とアメリカの貿易です。点線で右へずうっと上がっていくのが中国との貿易。遂に去年(2つの折れ線が)交差し、中国との貿易の方がアメリカとの貿易額より多くなりました。しかも鋏状に交差していますから、今後この2つは開く一方になってきています。
 つまり、あと2・3年もすれば、日本は中国との商売なしには生きていけない、ということが国民の常識になるということです。いま既に、中国を含めたアジアが、日本の一番大事なお客さんなんです。仲良くしなければいけません。一番大切なお客さんの横っ面ひっぱたいたんじゃ商売は成り立ちません。
 靖国参拝などというものは、一番大事なお客さんの横面ひっぱたくと同じことなのですから、個人の信念とは別の問題です。小泉首相は総理大臣なのですから、個人の心情とは別に日本の国全体の利益を考えて行動しなければいけません。それは総理大臣の責任だと思います。その意味でアジアと仲良ぐできるような振舞いをしてもらわなければ困るのです。

 もう一つ。アメリカとの商売はこれからどんどん縮小していきます。それは、ドルというものの値打ちがどんどん下がっていくからです。これはもう避けられません。
 昔はドルは純金だったのです。1971年まで、35ドルで純金1オンスと取り換えてくれました。だからドルは紙屑ではありませんでした。本当の金だったのです。
 われわれのお札はみな紙屑です。1万円なんて新しくて随分きれいになりましたけど、綺麗にしただけちょっとお金がかかって、印刷費に1枚27円とかかかると聞きました。27円の紙がなぜ1万円なのか。これは手品みたいなものです。あれが5枚もあるとなかなか気が大きくなるのですが、本当は135円しかないのです。それが5万円になるのは、法律で決めているのです。日銀法という法律で、こういう模様のこういう紙質のこういう紙切れは1万円、と決められている。だから、あれを1万円で受け取らないと刑務所に入れられます。法律で決まっているからです。ですから日本の法律の及ぶ範囲でだけ、あれは1万円なのです。その外へ出ると27円に戻ってしまいます。
 金と取り換わらないお札というのは、簡単にいえばその国の中でしか通用しません。他の国へ行ったら、その国の紙屑と取り換えなければ通用しません。ところが、ドルだけは世界で通用しました。純金だからです。

 ところが、1971年にアメリカはドルを金と取り換える能力を失いました。ベトナム戦争という馬鹿な戦争をやって莫大な軍事費を使ったのです。背に腹は代えられなくてお札を印刷し、航空母艦を造ったりミサイル、ジェット機を作ったりしたのです。そのために、手持ちの金より沢山のお札を印刷しちゃったのです。
 その結果、アメリカは、ドルを金と取り換える能力を失ったのです。そこで、71年8月15日、ニクソン声明が出されました。「金、ドル交換停止声明」です。あの瞬間にドルも紙屑になったのです。ドルが紙屑になったということは、ドルがアメリカの国内通貨になったということです。
 ところが、問題はそれ以後なのです。世界で相変わらずドルが適用したのです。皆さんも海外旅行へ行かれる時は、大体ドルを持って行かれますね。どこの国へ行っても大丈夫なのです。金と取り換えられないお札が何故世界で適用するかは本当に不思議で、経済学者にとって最大の難問なのです。いろんな人がいろんな答を言っていますけど、あらゆる答に共通しているのは、ひとつは「アメリカの力の反映」だから、ということです。

 つまり、日本が自動車を作ってアメリカヘ売ります、ドルを貰いますネ。日本は損をしているのです。自動車という貴重なな物質がアメリカへ行って、紙屑が返ってくるのですから。物が減ってお札だけ増えると必ずバブルになります。
 バブルの犯人はそこにあるのです。日本が輸出し過ぎて貿易黒字を作り過ぎているのです。だから日本は、アメリカに自動車を売ったら、「純金で払ってください」と言わなければなりません。ところがそう言うと、ジロッと睨まれてお預けになってしまいます。日本には米軍が5万人います。「アメリカのドルを受け取らないとは、そんな失礼なこと言うなら、在日米軍クーデター起こしますよ」、これで終わりなのです。黙って受け取ってしまう。だから日本は無限に物を提供し、無限に紙屑をもらう。こうしていくら働いても日本人の生活はよくならないのです。しかもその紙屑でアメリカの国債を買っています。アメリカに物を売って、払ってもらった代金をアメリカに貸している。言ってみればツケで輸出しているようなものです、現実に。アメリカにいくら輸出しても日本は豊かにならない仕組みになつています。

 2週間前に『黒字貿易亡国論』という本が出ました。有名な格付け会社の社長さんですが、「貿易黒字を作るから日本は駄目なのだ」、ということを詳しく論じたたいへん面白い(文芸春秋社の)本です。確かにそうだと思います。だからドルは、本当は受取りたくないのです。みんな紙屑なんです。だけど受け取らないと睨まれる。アメリカの軍事力が背景にあるのです。
 その力をバックにして、紙切れのお札を世界に通用させている。例えていえば──餓鬼大将が画用紙に絵をかき1万円と書いて鋏で切り、これ1万円だからお前のファミコンよこせ、とこれを取り上げる──のと同じです。いやだと言ったらぶん殴るのです。怖いから黙って渡して紙屑もらうことになります。その紙屑で、他の人から取り上げればよいのです。「お前のバイクよこせ、よこさなかったらいいつける」。「あの人、あんたの紙屑受け取らない」、するとガキ大将が釆て、ゴツンとやってくれる──。餓鬼大将の力の及ぶ範囲ではそれが通用するのです。露骨にいえば、ドルがいま世界に適用しているのは、そういう仕組みが一つあります。
 もう一つは、ソ連の存在です。もし紙屑だからアメリカのドルを受け取らないといったら、アメリカ経済は潰れます。アメリカが潰れたらソ連が喜ぶ。だから紙屑と分かっていても受け取ってきた。ソ連に勝たれては困るから──。
 これも確かに一理あります。ということは、ソ連がいなくなって、紙屑は紙屑だということがはっきりしてきたのです。今まではソ連がいるために、紙屑なのに金のように適用したが、今や「王様は裸だ」というのと同じで、「ドルは紙屑だ」といっても構わない時代です。

 ともかくドルが危ないのです。私が言ってもなかなか信用してもらえませんが、経済誌『エコノミスト』、一流企業のサラリーマンなら必ず読んでいる雑誌すが、これの去年9月号が中国“元”の特集でした。その真ん中へんに「プラザ合意20年」という対談がありました。その中で、榊原英資さんは「5年以内にドル暴落」と言っています。
 榊原さんは大蔵省の元高級官僚で日米為替交渉の責任者を10年やりました。円・ドル問題の最高責任者だった人です。「ミスター円」といわれていました。通貨問題に最も詳しい現場の責任者です。停年で大蔵省をやめて今は慶應大学の先生になっています。この人が「5年以内にドルが暴落する」、つまりドルが紙屑だということが明らかになる日が近いと言っているのです。

 ソ連がいる間は隠されていたのですが、いまはもう、ドルは紙屑だから受取りたくないという人たちが増えてきています。これまでは世界通貨はドルしかなかったので、受け取らなければ商売ができなかったのですが、今ではユーロという代わりが出来てしまいました。ドルでなくてユーロで取引する国が増えてきています。そしてユーロの方が下がりにくい仕組みになっています。ドルは下がるのです。
 なにしろアメリカは、永いことドルが世界通貨ということに慣れてきました。だから自動車が欲しければ日本から自動車買って、アメリカは輪転機を回せばよいのです。紙とインクがあればいいのですから。ほかの国はこんなことできません。自動車が欲しければ、一生懸命働いて何か輸出し、その代金で輸入しなければならないのです。アメリカ以外の国は全部そうやっているのです。

 輸入は輸出と一緒です。輸入するためには輸出しなければなりません。ところがアメリカだけは輸出しないで輸入ができるのです。ドルという紙切れが世界通貨ですから。極端に言えば、欲しい自動車や石油を日本やアフリカなどから買って、紙とインクで支払う。実際そうして世界の富がアメリカに集まったわけです。
 71年以降の30年間、この仕組みのために、世界中にドルが溢れ出ました。ドルがどんどん増えますから、当然値打が下がります。こうしてドル下落傾向。(資料の一番下のグラフがそうです。円が上がっていく様子、為替取引だから短期的には上下しますが、長期的には間違いなく円高。ドルがドンドン下がるのは確かです。)これがあるところまでいくと、ガクッと下がります。
 あるところまでいくと、「ドルは信用できない、下がる通貨は持っていたくない」となります。ですからドルを受け取らない、ユーロか何か、別な、下落しない通貨でなければ受け取らないということが出てくる。そうなるとドルは暴落します──。榊原氏がそういっているのです。

 ヨーロッパはユーロでいくでしょう。アジア経済圏はなんといったって元です、中国の。中国は賢いですから、元を押しつけないで、何かアジアの新しい通貨を作るかもしれません。しかし元が中心になることは間違いないでしょう。ドルはアメリカでしか使われなくなる。そうすると、今まで全世界で使われていたドルが、みんなアメリカに集まって来るわけですから、アジア、ヨーロッパで使われいていたドルがみな戻ってきて、簡単にいえばドルの値打が3分の1に下がることになります。
 アメリカの生活は大きく収縮します。一家で3台自動車持っていた家は1台に。1台持っていた家は止めなくればならなくなる、ということです。
 アメリカ経済の収縮。これは大変恐ろしい話なのです。世界経済が大きく収縮し、日本経済は大きな打撃を受けます。しかし避けられない動きなのです。いつのことか分からないが、そう遠くない将来にドルの信用がドンと落ちていく。結果として日本がアメリカにだけ頼っていたら、大変なことになります。
 いまのうちに、アメリカに輸出してドルをもらったらユーロに代えておいた方がいい。ユーロの方は下がらないからです。EUという所は、国家財政が赤字だと加盟できないことになっています。赤字だと穴埋めにお札を出すので乱発ということになって下がるのです。だからユーロは一応下がらない仕組みになっています。乱発できないようになっているのです。ドルは短期的に持つのはかまわないが、3年、4年と長期的に持っていると下がってしまいます。それならユーロにしておいた方がいいとか、これから生まれるかもしれないアジア通貨にしておいた方がよいとかいうことになります。世界の大企業や国家が、決済のために多額のドルを持っていますが、これがユーロに切り替えられるとなると、ドルはもう世界通貨ではなくなります。

 そうなると、アメリカだけに依存している国は、大変苦しくなります。21世紀の日本を考えた時、アメリカと仲良くするのは大切ですが、しかしアメリカ一辺倒では駄目な時代になっているのです。アジアと仲良くしなければいけません。
 しかしアジアと仲良くするのには、無条件ではできません。なぜなら、60年前、アジアに戦争を仕掛けて大変な迷惑をかけた。その後始末がちゃんとできていないのです。仲良くするするためには、60年前のマイナスを埋めるところから始めなければいけません。別に難しいことではないのです。「あの時はごめんなさい。2度とやりませんから、勘弁してください」。これで済むわけです。
 問題は、「2度とやりません」が、信用してもらえるかどうかです。信用してもらうための最大の決め手が「憲法第9条」です。憲法9条第1項、第2項がある限り、日本は2度と戦争はできません。イラクの状態を見ても、自衛隊は鉄砲一発撃てない。(世界中)みんなが見ています。この憲法9条第1、第2項がある限り、日本は戦争はできません。だから安心して日本と付き合うのです。
 もし日本が憲法9条を変えて、もう1回戦争やりますということになったら、アジアの国々は日本を警戒して、日本との付き合いが薄くなってしまいます。いま既にそうなりつつあります。小泉首相は靖国に何度も行く。自民党は憲法9条を変えることを決め、改憲構想まで発表した。アジアの国々は用心します。「そういう国とは、あまり深入りしたくない」。

 小泉首相は「政冷、経熱」でいいじゃないか、といいます。政治は冷たくても経済では熱い関係というのでしょうが、そんなことはできません。中国と日本の経済関係はじわっと縮小しています。統計でもそれははっきり出ている。
 おととしまで中国の貿易のトップはアメリカでした。次が日本、3位はEU。これがひっくり返ってしまいました。去年はトップはEU、2位アメリカ、3位日本です。明らかに中国は日本との商売を少しずつ縮小させている。その分EUに振り替えています。

 去年5月、ショッキングなことがありました。北京・上海新幹線という大計画をEUに取られました。北京〜上海って何キロあるのでしょう。日本の本州より長いのではないでしょうか。このとてつもない計画があって、去年、まだ予備調査の段階すが、日本は負けました。ドイツ、フランスの連合に取られました。予備調査で取られたということは、本工事は駄目ということです。中国にすれば、日本にやらせるのが一番便利なのです。近いですし、新幹線技術も進んでいます。まだ1度も大事故を起こしたことがありません。ドイツもフランスも、1回ずつ大事故を起こしたことがあります。技術からいっても資本からいっても、日本にやらせれば一番いいのに、日本が負けました。明らかに政治的意図が働いたと思われます。日本との関係を深くしたくない。いざという時、いつでも切れるようにしておく。いざというとき、切れないようでは困る。そういうことではないでしょうか。

 いまのままアメリカ一辺倒でいいのでしょうか。私は長島さんをよく思い出します。後楽園での引退試合の時、最後に「読売ジャイアンツは永久に不滅です」といったのです。永久に不滅どころか、去年のジャイアンツのサマといったらもう、見ていられない。アメリカもそうなるのではないでしょうか。小泉首相は「アメリカは永久に不滅です」と、いまもいっているのですが、そうではないのではないでしょうか。
 アメリカにさえ付いていれば、絶対大丈夫という時代は終わったのです。アメリカとも仲良くしなければいけませんが、しかしアジアとも仲良くしなければいけない、そういう時代がいま来ているのです。仲良くするのには、憲法9条を守ることが大前提です。これを止めてしまったら、アジアとは仲良くできません。

 憲法9条は、日本にとって“命綱”です。いままでは、憲法9条というと、「理想に過ぎない。現実は9条で飯食えないよ」という人が多く、中には鼻で笑う人もいました。しかしいまは逆です。9条でこそ食える。9条を変えたら、21世紀日本の経済は危ないのです。
 憲法9条を守ってこそ、この世紀の日本とアジアとの友好関係を守り、日本も安心して生きていけるのです。こういう世の中をつくる大前提が憲法9条です。憲法9条は美しいだけではなく、現実に儲かるものでもあります。そのことがやっと分かってきました。

 奥田経団連会長は、去年までは小泉首相を応援して靖国参拝も賛成だったのですが、そんなこといってたらトヨタは中国で売れなくなります。そこで今年の正月の挨拶でついに、「中国との関係を大事にしてほしい」と、向きが変わりました。
 財界が、中国と仲良くしなければ自分たちは商売ができない、となってくれば、日本の政治の向きも変わるだろうと思います。あと3年たてば多分、これは日本の国民の常識になってきます。中国と仲良くしないと経済が駄目になる。それは中国のいいなりになることではないのです。良くないことはきちんという。だけど敵にするのではなく、仲良くする。でなければ、日本の経済は成り立たない。これがみんなの常識になってくるでしょう。

 これまで60年、アメリカベったりだったから、アメリカから離れたら生きていけないと皆思ってきました。しかし現実の数字はそうでなくなっています。一番大事な経済の相手は、もうアメリカではなくアジアなのです。これに気づくのにあと2・3年かかるでしょう。これが世論になれば、もう、憲法を変えるなどということは、絶対にできません。
 しかし、この3年の間に、国民の世論がそのように変わる前に、憲法が変えられてしまったら、どうにもなりません。
 あと3年、必死の思いでがんばって、子供たちに平和な日本を残してやるのが、私たちの務めだと思います。そう思って、私も必死になってかけ回っています。あと3年ぐらいはまだ生きていけるだろうから、なんとしても3年間は9条を守るために全力をつくしたいと決心しています。

 ありがたいことに、9条を変えるには国民投票が必要です。国会で決めただけでは変えられません。国民投票で過半数をとらないと、憲9条は変えられないのです。逆にいえば、これによってこちらが憲法9条を守る署名を国民の過半数集めてしまえばいいことになります。住民の過半数の「9条を守る」署名を3年間で集めてしまう。そうすればもう、変えることは不可能になります。
 そうすれば、子供たちに憲法9条のある日本を残してやれます。2度とアジアと戦争する国にならないようにして、そしてもし長生きできれば、新自由主義という方向、つまりアメリカ言いなりではなく、もっと自主的な経済ができるように、せめてヨーロッパのような修正資本主義、ルールのある資本主義の仕組みにもう一度戻すこともできるでしょう。

 日本中で、飢えている人、因っている人、貧しい人が、それでも人間らしく生きていけるような、最低限の保障ができる、生きる希望が出る──。そういう社会にすることが大切なのだ、と思います。これは長期的展望です。簡単にはできません。一度、新自由主義になってしまったので、10年位かかるでしょう。国民が賢くなって、正しい要求を政府につきつけていかなければいけません。その中心になる労働運動の再建が必要です。
 結局国民が主権者なんですから、国民の願いがかなうような、そういう日本に作り替えていきたいなと、そういう道を進んでいきたいなと思います。

 鋸南町は合併を拒否なさったというので、日本でも有数な自覚的な町といえます。合併するとまず住民自治がダメになります。大きくなるということは、住民自治が駄目になることでもあります。住民が主人公になる町こそ大切。ぜひこの美しい山と海と禄のある町で、1人1人が主人公であるような地域共同体というものを、みんなが助け合える町になることを私も希望して、講演を終わらせていただきます。

http://kyonannet.awa.or.jp/mikuni/siryo/2006/kawabata-kouen060114.htm

3. 中川隆[-9902] koaQ7Jey 2020年11月16日 20:01:46 : BLz0NHzvgM : YkJpTDl1aDM1Uy4=[26] 報告
2019年12月26日
金持ちの嘘くさい寄付 バフェットとゲイツは無税で子供に相続

良くこんな白々しいセリフが喋れると感心するビルゲイツ
全資産を非課税で子供に相続させる。

アメリカ1位と2位の大資産家、バフェットとゲイツがともに、全資産を慈善団体に寄付すると言っている。

ところがその実体は「脱税」そのものなのです。

慈善事業という脱税


数年前、全米一の資産家のウォーレン・バフェットが全資産を慈善事業に寄付すると発表し話題になった。


バフェットの友人のビルゲイツもまた、資産の95%を慈善団体に寄付すると発表し、献身的行為として賞賛された。

またアラブの某王様が全資産20兆円以上を、やはり慈善団体に寄付すると発表した。

彼らは一様に「子供を金持ちにするほど愚かではない」「お金を持っていても意味は無い。」などと仙人のような事を言っている。


急に世界の金持ち達は自己犠牲や弱者への愛に目覚めたようです。


だが本当の目的は他にあるという先例もある。

T型フォードで有名なフォードは莫大な遺産を子供達に残したが、80年代には日本車に押されてフォードの経営は悪化していた。

金持ちにとって相続税などで子孫が代替わりするたびに資産が目減りするのは悩みの種だった。


そこでフォード一族は親族会議を開き、一族の資産を慈善団体に寄付する事にしました。

フォード財団は初代フォードが存命中に設立したが、目的は最初から脱税と相続税の免除だった。


時代を経るごとに一族は本業よりも慈善活動に力を入れるようになり、今では慈善事業が本業です。

カーネギー財団とかフォード財団などアメリカには慈善団体が多いが、目的はすべて金儲けと脱税です。


「慈善事業」という言葉の響きには誤解があり、多くの人は金持ちが自分の金を貧しい人に寄付すると思っている。

そうではなく、慈善団体は営利事業として投資を行い、利益の一部を寄付して、出資者に配当金を支払うのです。


事業そのものには税金が掛からないうえ、出資者への配当金も、ほぼ無税でしかも世襲です。

資産を相続せず、役員の役職を継ぐので代替わりしても相続税は一切掛からない。


バフェットやゲイツの「お金に興味が無くなった」という言葉は、興味が無ければドブにでも捨てたらどうなのかと思える。


バフェットの資産数兆円を慈善団体に寄付し、子供を役員にする事で非課税で全資産を相続させることができる。

役員は出資金の金額で決まり、世襲で相続されるので多くの金持ちがそうしている。

財団の利益は寄付事業をした残りが、出資比率に応じて分配される事になっている。


アメリカの大金持ちの生き方


アメリカには○○財団がやたらと多く、トンチンカンな日本の知識人は「アメリカの金持ちは募金をするが日本人はしない」と言っています。

日本人には社会に貢献する気持ちが無くて恥ずかしい、アメリカ人はキリスト教徒なので寄付で社会貢献している、などと言っていました。


アメリカ人が寄付するのは慈悲の心からではなく、金儲けの手段の一つなのです。


財団を設立して脱税する手口を始めたのは、ロックフェラーだったとも言われている。

アメリカでは大統領選の選挙資金の80%をこうした金持ちが出しているので、決して金持ちの脱税を止めたりはしません。


州議会議員や市議会議員でも、もちろんこうしたお金の恩恵を受けているので、金持ちから税金を取ることは無いのです。


例えばバフェットが全資産5兆円を財団に寄付したとします。

アメリカの法律では財団が解散すれば5兆円はそっくりバフェットに返還される事になっています。


実際にはその時には84歳のバフェットはなくなっていて、子供か孫の世代になっていますが、同じように非課税で返還されます。


解散するしないは、最大出資者のバフェット一族が、役員として決定権を握ります。

寄付したお金は自分の資産ではないので一切非課税になり、相続税や財団の資金運用にも掛かりません。

バフェットがやっているバークシャー・ハサウェイより有利な条件で資金運用できるのです。


ビルゲイツの7兆円も同じように、彼が生きているうちに「永遠の預金」に預け、子孫は配当金をずっと受け取れます。

例えば5兆円の5%が毎年分配されたとしても、毎年2500億円を受け取れる訳です。

しかもこうした財団はインフレにもデフレにも強く、元本が目減りする事はまず無い。


これは寄付ではなく日本語では「永久非課税の定期預金」に過ぎません。


因みに日本の慈善団体はこれほど優遇されておらず、世襲は上手く行かないので、日本の金持ちは寄付しません。


その代わり日本では政治団体を非課税で相続できるので、資産を寄付して息子に相続させる政治家が多い。
http://www.thutmosev.com/archives/36362336.html

4. 2020年11月19日 15:02:03 : SLEgGoMUOc : YU1tY1pGWlVUTTY=[6] 報告
『つくられた格差』 著・エマニュエル・サエズ、ガブリエル・ズックマン
書評・テレビ評2020年11月19日


https://www.amazon.co.jp/%E3%81%A4%E3%81%8F%E3%82%89%E3%82%8C%E3%81%9F%E6%A0%BC%E5%B7%AE-%E4%B8%8D%E5%85%AC%E5%B9%B3%E7%A8%8E%E5%88%B6%E3%81%8C%E7%94%9F%E3%82%93%E3%81%A0%E6%89%80%E5%BE%97%E3%81%AE%E4%B8%8D%E5%B9%B3%E7%AD%89-%E3%82%A8%E3%83%9E%E3%83%8B%E3%83%A5%E3%82%A8%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%82%B5%E3%82%A8%E3%82%BA/dp/4334962432


 4年前の大統領選の最中、大統領候補テレビ討論会でドナルド・トランプは、連邦所得税を一銭も払っていないと指摘されると、誇らしげにそれを認め、「それは私が賢いからだ」とのべた。トランプだけでなく、米国有数の富豪は税金を払っていない。

 カリフォルニア大学バークレー校の2人の教授は、アメリカ社会の各階層が1913年以来どれだけの税金を払っているかを推計し、税制全体の累進制がどのように逆進性に転じてきたのかをまとめた。

 1970年に米国の最富裕層は、あらゆる税を合算すると、所得の50%以上を税金として支払っていた。これは当時の所得階層下位9割の3倍に相当する。ところが2018年には、所得階層最上位0・1%の超富裕層が支払った税金は所得の20%程度であり、他方で年間平均所得が1万8500j(約194万円)の労働者層(所得階層の下位50%)は所得の25%前後を税金として支払っている。こうした逆転現象は、過去100年で初めてのことだという。税制民主化の歴史が否定され、100年前に戻ってしまった。

 なぜ貧困層の税率が高くなったのか? 第一は給与税である。米国のすべての労働者はいかに賃金が少なかろうと、賃金を受けとった段階で15・3%の給与税が差し引かれる。内訳は社会保障料の12・4%とメディケア税の2・9%だ。給与税は1950年には3%だったから、5倍以上に跳ね上がっている。

 第二は消費税だ。米国には付加価値税はないが、売上税(車や衣服、電化製品など)や物品税(燃料やアルコール、たばこなど)が氾濫しており、それが物価を押し上げている。そして、きわめて逆進的な効果を生み出しているという。

 一方、富裕層の税率が低い最大の理由は、その所得の大半を占める株式保有が非課税になっているからだ。フェイスブックの創設者ザッカーバーグは、同社の株の2割を所有している。同社は2018年に200億jの利益を上げ、ザッカーバーグの所得は40億j増えたが、この40億jは個人所得税の課税対象にならない。ザッカーバーグが持ち株を売らない限り、彼の個人所得税の実効税率はゼロである。

 ザッカーバーグにかかる唯一の税金が、自分の持ち分に相当するフェイスブックの法人税だ。企業が配当の支払を制限していても、法人税は再投資や配当支出前の利益に課税することができる。しかし、2018年にトランプが法人税を35%から21%に引き下げた。それによって連邦政府の法人税収は前年の半分に落ち込んだが、富裕層はその分、課税をのがれることができた。

 超富裕層はますます肥え太り、労働者層はますます貧乏になっているが、税制がこの傾向を抑制するどころか助長している。

租税回避に政府がお墨付き “税金は窃盗”と

 米国で連邦所得税が法制化されたのが1913年。世界大恐慌下で社会主義に対抗してニューディール政策をおし進めた1930年代から、米国政府は所得税の最高限界税率(最上位の税率区分にかける税率)を80〜90%に設定し、それを1970年代まで続けた。当時、あらゆる税を含めた富裕層の実効税率は50%をこえていた。

 ところが1986年、共和党の大統領レーガンは所得税の最高限界税率を28%まで一気に引き下げた。このときアル・ゴアやジョー・バイデンなど民主党議員もみな歓喜して賛成票を投じた。「小さな政府」を掲げるレーガンのもと、「社会などというものは存在しない」「税金は合法的な窃盗だ」という新自由主義が大手を振るった。租税回避に政府がお墨付きを与えたことで、租税回避産業が急成長したのである。

 ちなみに日本政府も、1980年の75%を45%に引き下げている。

 さらに2018年、トランプが法人税率を35%から21%に引き下げた。米連邦法人税の税率は1995年から2017年までずっと35%で、企業利益は経済成長を上回るペースで拡大していたのに、法人税収は3割も減った。莫大な額の企業利益がタックスヘイブン(租税回避地)に移転されていたからだ。しかもトランプはそれを理由に、法人税収をさらに引き下げた。この時期、フランスも日本もこれに同調した。

 現在、世界の多国籍企業の海外利益の4割が、ケイマン諸島やルクセンブルクやシンガポールなどのタックスヘイブンに計上され、わずか5〜10%の税金を課されるのみとなっている。それを主におこなっているのはIT企業だ。今ではタックスヘイブンの政府は、税率やさまざまな規制、法的な義務を決める権限を多国籍企業に売り渡しているという。国家主権まで商品化される時代になっている。

 著者は、アメリカ社会の再生のために、公的資金で幼少時から大学までの教育、高齢者への生活支援、万人への医療を提供することを提起し、それは富裕層への課税を強化すれば可能だとのべている。すべての富の源泉はあらゆる分野の生産労働だが、グローバル企業が海外でボロもうけをしながら税金の支払を拒否する一方、残された労働者からの課税は強化し、教育も福祉も医療も公的なインフラ整備も削減して源泉を枯らす社会に、未来はないからだ。日本にも共通する問題である。 

https://www.chosyu-journal.jp/review/19193

5. 2020年12月18日 21:12:28 : dXlYweNl5Q : dXV3Uzk5ZVI1dlE=[9] 報告
富裕層への減税は社会のため? いいえ、富むのはお金持ちだけでした。最新研究が「トリクルダウン」を否定
ハフポスト日本版 2020/12/18
https://www.msn.com/ja-jp/money/other/%E5%AF%8C%E8%A3%95%E5%B1%A4%E3%81%B8%E3%81%AE%E6%B8%9B%E7%A8%8E%E3%81%AF%E7%A4%BE%E4%BC%9A%E3%81%AE%E3%81%9F%E3%82%81-%E3%81%84%E3%81%84%E3%81%88-%E5%AF%8C%E3%82%80%E3%81%AE%E3%81%AF%E3%81%8A%E9%87%91%E6%8C%81%E3%81%A1%E3%81%A0%E3%81%91%E3%81%A7%E3%81%97%E3%81%9F-%E6%9C%80%E6%96%B0%E7%A0%94%E7%A9%B6%E3%81%8C-%E3%83%88%E3%83%AA%E3%82%AF%E3%83%AB%E3%83%80%E3%82%A6%E3%83%B3-%E3%82%92%E5%90%A6%E5%AE%9A/ar-BB1c1WRv?ocid=msedgntp


お金持ちに減税すると、豊かになるのは結局お金持ちだけ――。

過去50年の間に、様々な国で導入された富裕層への減税。

その背後にあるのが「富裕層が富むことで経済が活発になり、貧しい人も含む社会全体に富が行き渡る」とする経済理論・トリクルダウンだ。

しかしイギリスの経済学者たちによる最新研究から、富裕層の減税に社会全体を豊かにする効果はなく、むしろ富裕層だけが豊かになってきたことが明らかになった。

豊かになるのは富裕層だけ

研究を発表したのは、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスのデヴィッド・ホープ氏と、キングス・カレッジ・ロンドンのジュリアン・リンバーグ氏だ。

研究者たちは1965〜2015年の50年間に、日本やアメリカ、イギリスなど18の先進国で実施された富裕層への大幅減税を調査した。そして、それぞれの減税が所得不平等や、経済成長、失業率にどんな影響を与えるかを調べた。

その結果、大幅減税の後、上位1%の人たちがシェアする税引前の国民所得が0.8%増加していた。この効果は、短期間と中期間続いた。

一方で、国民1人あたりのGDPや失業率に変化はなく、トリクルダウンによる社会全体への経済効果は見られなかった。

研究者たちは「富裕層への大幅減税は、所得の不平等を引き起こしていた」「それと比較して、減税は経済成長や失業率には大きな効果はなかった」と指摘する。

様々な研究が問題視する、富裕層への減税

富裕層への減税は、特に1980年代以降に、様々な国で何度も実施されてきた。

アメリカのレーガン政権やイギリスのサッチャー政権が導入した減税がよく知られているが、日本でも安倍政権下で法人税率が引き下げられ、大企業や富裕層を優遇する政策が取られてきた。

https://www.msn.com/ja-jp/money/other/%E5%AF%8C%E8%A3%95%E5%B1%A4%E3%81%B8%E3%81%AE%E6%B8%9B%E7%A8%8E%E3%81%AF%E7%A4%BE%E4%BC%9A%E3%81%AE%E3%81%9F%E3%82%81-%E3%81%84%E3%81%84%E3%81%88-%E5%AF%8C%E3%82%80%E3%81%AE%E3%81%AF%E3%81%8A%E9%87%91%E6%8C%81%E3%81%A1%E3%81%A0%E3%81%91%E3%81%A7%E3%81%97%E3%81%9F-%E6%9C%80%E6%96%B0%E7%A0%94%E7%A9%B6%E3%81%8C-%E3%83%88%E3%83%AA%E3%82%AF%E3%83%AB%E3%83%80%E3%82%A6%E3%83%B3-%E3%82%92%E5%90%A6%E5%AE%9A/ar-BB1c1WRv?ocid=msedgntp&fullscreen=true#image=2


しかし近年、様々な研究が「富裕層への減税は富裕層の収入を増やすものの経済発展にはほとんど効果がない」と指摘している。研究者たちは「今回の研究もそれらの関連する研究結果と合致する」と述べる。

研究者の1人、リンバーグ氏はCBSのインタビューで「研究から、富裕層の税率を低くする経済的に正当な理由はないと言えます。実際に歴史を振り返ってみると、戦後の富裕層への税率が高かった時代の方が、経済成長率は高く、失業率は低かった」と語っている。
https://www.msn.com/ja-jp/money/other/%E5%AF%8C%E8%A3%95%E5%B1%A4%E3%81%B8%E3%81%AE%E6%B8%9B%E7%A8%8E%E3%81%AF%E7%A4%BE%E4%BC%9A%E3%81%AE%E3%81%9F%E3%82%81-%E3%81%84%E3%81%84%E3%81%88-%E5%AF%8C%E3%82%80%E3%81%AE%E3%81%AF%E3%81%8A%E9%87%91%E6%8C%81%E3%81%A1%E3%81%A0%E3%81%91%E3%81%A7%E3%81%97%E3%81%9F-%E6%9C%80%E6%96%B0%E7%A0%94%E7%A9%B6%E3%81%8C-%E3%83%88%E3%83%AA%E3%82%AF%E3%83%AB%E3%83%80%E3%82%A6%E3%83%B3-%E3%82%92%E5%90%A6%E5%AE%9A/ar-BB1c1WRv?ocid=msedgntp

6. 2021年3月31日 16:03:35 : BLypVMkkxE : b0Q4TnRZV05jQlk=[1] 報告
ついに明るみに出た、超富裕層の脱税実態
堀田 佳男 2021/03/31


オフショアを使った税金逃れの手口がますます巧妙化している© JBpress 提供 オフショアを使った税金逃れの手口がますます巧妙化している
 読者の方は漠然と気づいているはずである。多くの国民が脱税をしていることを――。

 ただその不正行為が暴かれない限り、実態は表には出てこない。

高額所得者の脱税手口
 米東部マサチューセッツ州ケンブリッジ市にある全米最大の経済研究組織「全米経済研究所(NBER)」はこのほど、「高額所得者の脱税:手口と証拠」という長文(77ページ)の論文を発表し、内外から注目を集めている。

 全米経済研究所は1920年に創設された経済問題に特化したシンクタンクで、ノーベル経済学賞の受賞者35人のうち20人が同研究所の関係者であり影響力は大きい。

 最初に、論文の結論から端的に述べさせていただききたい。

 内国歳入庁(IRS:日本の国税庁)のエコノミストと大学教授が複数年に及ぶ調査を行った結果、米富裕層は所得の20%以上を申告していないことが判明した。

 そればかりか、超富裕層と言われるトップ1%の人たちが脱税している額は、米国政府が被った脱税被害総額の3分の1に及ぶことも分かった。

 より多くの稼ぎがあれば税額も大きくなり、「そんなに払いたくない」という人間の心理は容易に想像がつくが、脱税額は巨大である。

 連邦政府が「取り逃がした」金額は、同論文によると年間1750億ドル(約19兆円)に達している。

 これまでも米国の富裕層による脱税事件はたびたびメディアに取り上げられてきた。だが多くは単発の事件として扱われ、今回のように複数年にわたって全体を俯瞰できる論文はこれまでほとんどなかった。

 論文を執筆したのはIRSのエコノミストであるジョン・ガイトン氏とパトリック・ランジェティーグ氏、さらに英ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスのダニエル・レック助教授、米カーネギー・メロン大学のマックス・リーシュ助教授、そしてカリフォルニア大学バークレー校のダニエル・ザックマン准教授の5人。

泣く子も黙るIRSは昔話に
 IRSはかつて、米国では「泣く子も黙るIRS」と言われ、国税庁の職務の徹底ぶりは容赦ないとの評判があった。

 しかし、近年は取り逃がしが多く、多くの抜け穴ができてしまっているのが現実だ。

 IRSは司法省とともに長年、億万長者を対象にした脱税の捜査・取締りを行ってきてはいる。

 だが納税者側は、脱税をしていても明白に犯罪と定義できないような手法を会得してきており、監査が入っても脱税となる証拠がほとんど示されないことも多くなっている。

 同論文では、億万長者たちは専門の弁護士と会計士を雇用して徹底的な税金対策を施しているため、「合法的な租税回避と違法な脱税の区別が非常に曖昧になってきている」と記している。

 それが租税回避の代表例といわれるオフショア(国外)での資産運用であり、不動産投資で利益を最大限に得られるパススルー課税、さらに「保全地役権」といった日本ではあまり馴染みのない権利を行為するなどの手法である。

 ある億万長者は専門家からの指南を受けて、より高度な会計手法を駆使するようになったことで、2017年には数億円の所得があったにもかかわらず、支払った連邦税はわずか750ドル(約8万円)だったという例さえある。

 さらに驚くべきことは、IRSの監査人が企業に調査に入っても、オフショア・ビジネスの全体像を捉えることは極めて困難になっているため、ある企業のオフショア資産の93%が見過ごされていたという事実もある。

 IRSが適切な業務を行えなくなってきた理由がある。

 それはIRSにかつてのような十分な予算と人的資源がなくなってきていることである。IRSのチャールズ・レティッグ長官は連邦議会での証言でこう述べている。

削減されてきたIRSの予算と人員
「2010年以降、IRSの予算と人員はそれぞれ20%ずつ削減されている」

 同長官はこうした状況を踏まえて、「我々は『15分の名声』に生きている」という比喩的表現を議会の公聴会で使った。

 つまり、内国歳入庁という役所は税金を徴取しはするが、短期間だけの名声であり、他の時間は批判され、苦難の道を歩んでいるというのだ。

 さらに昨年からは新型コロナウイルスの蔓延によって、米政府の多額の予算がコロナ対策に回されたことで、今まで以上に脱税の取締りが困難を極めるようになってきた現実がある。

 確かにIRSは2000年以降、オフショアの銀行口座を凍結するなど、積極的な対策を施してきてはいる。

 だが論文の執筆者の一人、ダニエル・レック助教授は効果的と呼べるまでには至っていないと記す。

「IRSが取締りを強化したからといって、それで脱税がなくなる理由はありません。いま脱税に目を光らせる人たちは、メガバンクが富裕層の所得隠しを手助けしているとも指摘しており、脱税がなくなる方向にはありません」

 ひと昔のように、単にスイスに資産を隠すといった時代は終わり、それ以外の国で複雑なネットワークを築き、積極的な税務体制を築き上げることで資産の確保をするようになってきている。

 同論文ではさらに、脱税の実態だけでなく、IRSという米政府機関が高度なテクニックを駆使する脱税者に対抗するため、脱税を見抜き、首謀者を発見して起訴する「新たな道具」を獲得する必要があると提案している。

 多くの事例が示すように、米政府機関は後手に回りがちになる。

 というのも、億万長者たちは正規なルートでの納税を逃れるために新種の手口を絶えず案出してきており、それを取締まるための法令や規範が犯罪よりも先に来ることはないからだ。

 司法省は捜査・取締りを強化することで、「脱税は犯罪」といった罪の意識を脱税者に抱かせると同時に、脱税者を監視・取締まる「新たな道具」を持って積極的に動いていかなくてはいけない。

https://www.msn.com/ja-jp/money/other/%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%AB%E6%98%8E%E3%82%8B%E3%81%BF%E3%81%AB%E5%87%BA%E3%81%9F-%E8%B6%85%E5%AF%8C%E8%A3%95%E5%B1%A4%E3%81%AE%E8%84%B1%E7%A8%8E%E5%AE%9F%E6%85%8B/ar-BB1f8lZd?ocid=msedgntp

7. 中川隆[-4294] koaQ7Jey 2021年6月11日 16:17:31 : Jwyj3SDWP2 : ZjhpTGpkYlpySTI=[17] 報告
2021年06月11日
アメリカはタックスヘイブン 富裕層は税金払わず
http://www.thutmosev.com/archives/86026373.html


富裕層の税率は1%から3%で中間層は10%以上
しかも富裕層に相続税は無い


アメリカはタックスヘイブンだった

資産10兆円のwバフェットは以前、「私より使用人のほうが納税額が多い」と言っていました。

それだけアメリカの富裕層は納税しておらず、富裕層に増税するべきだという趣旨でした。

その後も富裕層増税は行われずバフェットだけが自主的に納税した話も聞かないので、相変わらず特権を甘受している。

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バフェットは2016年にトランプとの論争で納税額を公表しているので、その時の数字を書いてみたい。

バフェットの2015年の総所得は1156万ドルで547万ドルの税控除を受け、184万ドル(約1.9億円)の連邦所得税を支払った。

この時トランプは過去の事業損失を利用し最大18年間連邦所得税を支払っていなかったと報じられていた。


バフェットは真面目に払っているようだがおかしな点があり、年収11億円で資産10兆円になるには1000年もかかる。

バフェットの資産の多くは株や土地や権利に化けていて、それらの増加にはおそらく所得税がかかっていない。

2015年はチャイナショックがあったがアメリカは好景気だったので、バフェットの年収はこの10倍以上ないとおかしい。


アメリカの富裕層は相続税も払っておらず、資産数兆円ともなると相続税を払わなくてもいい仕組みがある。

ビルゲイツは資産13兆円で、2017年頃に「資産全額を寄付する。もうお金に興味が無い」と言って世界を驚かせた。

これには裏がありビルゲイツはゲイツ財団をつくり資産を寄付したが、財団は営利事業をして出資者に配当金を出す。

富裕層ならアメリカが断然有利

ゲイツが100%出して財団が年1000億円の利益を上げたとすると、1000億円がゲイツに支払われる。

娘や息子を財団役員にすると配当は子供に支払われ、事実上相続税なしで13兆円を子供に渡すことが出来る。

つまりアメリカの富裕層は年収の1%も税金を払っておらず、相続税は1ドルも払っていない(払おうとすれば払える)


アメリカの資産家は事実上非課税なので、政府に邪魔されずいくらでも資産を増やし事実上のタックスヘイブンになっている。

パナマ諸島は非課税のタックスヘイブンで知られているが、実は世界最大のタックスヘイブンはアメリカでした。

アメリカは1980年代からGDPが数倍になったが、豊かになったのは富裕層だけで中間層以下は貧しくなった。


先日アメリカの非営利報道機関がアマゾン創業者ベゾスら富裕層のの納税額を調査し発表していました。

上位25人の合計資産価値は2014年から18年に約4010億ドル(約43兆円)増えたが、払った所得税は136億ドルだった。

つまり資産にかけられた税率は3.3%で、消費した金額もある筈なので税率はもっと低い。


結論として非営利の米報道機関プロパブリカは「米国の富裕層は税金を払っていない」としている。

アメリカでは大統領選や議会選挙の寄付のほとんどを富裕層が出しているので、富裕層優遇を改める政治家はいない。

わたしも富裕層だったらアメリカに住みたいと思います

http://www.thutmosev.com/archives/86026373.html  

8. 中川隆[-4259] koaQ7Jey 2021年6月14日 07:55:22 : knap5NOqi6 : NjFLWTFoSHNTekU=[2] 報告
納税しない米富裕層 調査報道「プロパブリカ」が納税記録を分析
2021年6月13日
https://www.chosyu-journal.jp/kokusai/21183


 米国の調査報道機関「プロパブリカ」は8日、公式サイトで米国最富裕層の租税回避の実態を暴露する記事を掲載した。主に寄付金で運営している同サイトは、米国の内国歳入庁(IRS)の内部資料を独自に入手し、富裕層数千人の15年以上にわたる納税状況をチェック。アマゾン創始者のジェフ・ベゾスなど著名な資産家がほとんど納税義務を果たしていない実態を暴露した。

 報道によると、2007年には世界で最も裕福な資産家だったジェフ・ベゾスは2007年、2011年には一銭も納税しておらず、2018年には世界で2番目に裕福だったテスラ創設者のイーロン・マスクも所得税をまったく払わなかった。

 さらに総合情報サービス大手ブルームバーグCEOのマイケル・ブルームバーグ、莫大な資産を持つ投資家カール・アイカーンも納税を複数回免れ、同じくジョージ・ソロスも3年連続で納税をしていなかった。

 米国民の年間所得の中央値は7万j(約770万円)で、そのうち14%を納税している。ところが最富裕層の多くは、資産を株や不動産として所得しており、これらの価格が高騰して資産が増えても、米国の法律では、売却するまで課税所得として定義されない。

 調査分析の結果、最も裕福な25人の米国人は、2014〜2018年にかけて合計4010億j(約44兆1100億円)の資産を増加させたが、納めた連邦所得税は、その3・4%に過ぎない136億j(約1兆4960億円)だけだった【表参照】。

 なかでも世界最大の投資持株会社バークシャー・ハサウェイの筆頭株主であり、会長兼CEOのウォーレン・バフェットは、5年間で資産を243億j(約2兆6730億円)増やしながら、支払った税金は2370万j(約26億700万円)。「真の税率」は0・1%だった。

 アマゾンのジェフ・ベゾスも990億j(約10兆8900億円)の資産を増やしながら、報告した総所得はその4・26%の42億2000万j(約4642億円)であり、納税額は増加資産の0・98%に過ぎない9億7300万j(約107億300万円)だった。アマゾンの収益が倍増した2007年にベゾスの資産は38億j(約4180億円)にはね上がったが、借金の活用や投資損失の計上などで所得を圧縮することにより、税金を一銭も払っていなかったという。

 ブルームバーグの納税率も増加資産の1・3%、イーロン・マスクは3・27%だった。いずれも一般世帯の税率14%からはかけ離れた低い税率だ。

 分析によると、これらの富裕層は、資産や所得が増えても、身内に分割相続したり、それを担保に借金をする形をとる。富の増加分は現金化せず、所有株の売却もしないので、課税対象となる所得が生じない。さらに銀行から低利率で借り入れをして暮らし、借金の利子は所得の控除に使う――という仕組みだという。

 さらに、これら上位富裕層25人が2018年に手にした1兆1000億j(約120兆円)の資産は、一般的な米国人労働者1430万人分の賃金に匹敵する。しかも、これら平均的な所得者の納税額は1430億j(約15兆7000万円)で、上位25人が同年に納めた税額19億j(約2080億円)の75倍にのぼっていた。

 同サイトは、この不公平な税制によって「連邦予算は、軍事支出を除いて、何十年にもわたって抑制され、国内の道路や橋は崩壊し、社会サービスは衰退し、社会保障とメディケアの支払い能力が常に問題視されている」と指摘し、富裕層の課税強化を訴えている。

 これに対してホワイトハウスは、「(政府関係者が)機密情報を許可なく開示する行為は違法」と指摘し、IRSを外局とする財務省が司法当局に捜査を要請している。

https://www.chosyu-journal.jp/kokusai/21183

9. 中川隆[-12904] koaQ7Jey 2022年9月07日 02:10:49 : lgYRj7FhLw : ZEU4YzYzbktkVXc=[2] 報告
『ダボスマン 世界経済をぶち壊した億万長者たち』 ピーター・S・グッドマン著
https://www.amazon.co.jp/%E3%83%80%E3%83%9C%E3%82%B9%E3%83%9E%E3%83%B3-%E4%B8%96%E7%95%8C%E7%B5%8C%E6%B8%88%E3%82%92%E3%81%B6%E3%81%A1%E5%A3%8A%E3%81%97%E3%81%9F%E5%84%84%E4%B8%87%E9%95%B7%E8%80%85%E3%81%9F%E3%81%A1-%E3%83%94%E3%83%BC%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%83%BB%EF%BC%B3-%E3%82%B0%E3%83%83%E3%83%89%E3%83%9E%E3%83%B3-ebook/dp/B0B3ZQ2NWV


2022年9月6日
 パンデミックによって世界で650万人以上の人命が失われ、何億という人々が貧困と飢餓に苦しんでいる。直接手を下したのはコロナウイルスだが、深刻な影響を拡大したのはダボスマンと呼ばれる者たちの行動だ。ダボスマンたちは、パンデミックから遠く離れた海岸沿いの豪邸や山間の隠れ家リゾート、高級ヨットのなかにとどまって災厄を逃れつつ、株や不動産で莫大な利益を上げ、かつてない繁栄を謳歌している。

 ダボスマンとは、例年スイスのリゾート地で開かれる世界経済フォーラム(通称ダボス会議)に集まる億万長者たちのことだ。会議は表向き、気候変動、ジェンダー間の不平等、デジタル化の未来などを討議する場だが、その舞台裏ではダボスマンたちが各国の国家元首や政府高官たちとビジネスの契約を結び、世界経済のルールをつくる。そこは地球上で最大のロビー活動の場といわれる。

 本書はアメリカ人ジャーナリストが、アマゾン創業者ジェフ・ベゾスをはじめ5人のダボスマンに焦点を当ててその生態を描き、なぜ貧富の格差はなくならないのかに迫った。

 レーガン政権が新自由主義に舵を切って以降の40年間で、アメリカ人のうちわずか1%の最富裕層が総計21兆jの富を手にし、同時に下半分の層の資産は9000億j減少した。世界的に見れば、もっとも豊かな10人の超大富豪の財産を合計するだけで、もっとも貧しい85カ国の経済規模を上回る。ダボスマンは世界各地のタックスヘイブン(租税回避地)に約7兆6000億jを秘蔵しており、その大半が未申告で各国税務当局の手が及ばない。

 こうした事実を見るだけで、ダボスマンによる世界経済の改造が歴史的な窃盗行為に等しいことがわかる。そのうえ、こうした経済的苦境や格差を道具に憎しみを煽り立て、他民族への恐怖をたきつける政党が支持を拡大し、各地の紛争は武器商人にビジネスチャンスをもたらす。

 ダボスマンの行動はウソと偽善で塗り固められている。シリコンバレーの巨大ソフトウェア企業セールスフォースの創業者であるマーク・ベニオフは2018年、自社のあるサンフランシスコでホームレス問題解決の新税を後押しし、みずからも年間1000万jを払うとのべた。ところがこの年、セールスフォースの純利益は130億jをこえていたが、連邦税の納付額はゼロだった。

 というのも、クリントン政権の時代に財務省が開けた抜け穴によって租税回避の仕組みをつくっていたからだ。彼らはタックスヘイブンに子会社を設置して、そこに自社の知的財産権を移し、この新しい海外拠点から国内のグループ内法人に法外な額の知的財産権使用料を請求して赤字にするわけだ。この抜け穴ができてから15年間で、企業への実質的な課税水準は35%から26%に急落し、米財務省は年間600億jの税収を失ったといわれる。その分、低所得者層への福祉は切り捨てられる。

 考えてみれば、彼らが利益を上げることができるのは、インターネットをはじめとする社会インフラがあってこそで、それは税金によってつくられたものだ。しかしダボスマンは、納税義務は逃れつつ各国政府からむさぼりとる。

 ダボスマンは医療や公衆衛生をぶち壊し、パンデミックを深刻化させた。世界有数の投資ファンド・ブラックストーンの創業者スティーブ・シュワルツマンは、金のなる木を医療に見出した。彼は全米規模で救急外来に医師やスタッフを派遣する二大企業の一つ、チームヘルスを支配下に収めた。投資ファンドは実質的に相手の医療業務全体を買収する。ただ、法的には医師たちが監督権限を持ち続けているよう体裁だけ整え、国による規制を回避した。投資ファンドは「利益を出せ」の一点張りで、病院を統合して病床を減らし、診療費を上げた。十分な収益を生まない医療機関は閉鎖した。コスト削減のため、防護マスクや人工呼吸器の購入を控えた。救急医療の現場では、医師たちが下すさまざまな医療的処置と、治療をできるだけ早く終わらせることにのみ利益を見出す経営側の指示とが、しばしば正面からぶつかっていたという。

 こうしてパンデミックが到来した時点で、全米の総病床数は92万4000で、40年前から150万床近くが削られていた。災厄に対する備えなどないに等しかった。そのうえ連邦政府はコロナ患者を優先し、緊急性のない手術を控えるよう指示したが、投資ファンドは大口の収入減を失うのを恐れてそれも無視した。世界最大の100万人以上の死者は、そうした状況を背景にして生まれたのに違いない。一方、2020年のシュワルツマンの報酬総額は6億jをこえ、前年の2割増しとなった。

 ダボスマンが無制限に富をむさぼることを保障するのは、連邦政府との癒着である。そのためにお抱えのロビイストや会計士、シンクタンク、広報コンサルタントを最大限に活用し、彼らに有利な法律をつくらせる。

 ダボスマンがトランプを支持したのは、トランプが法人税を35%から21%に引き下げる「減税パッケージ」を成立させたのが一因だった。だから2020年の大統領選で、ブラックストーンのシュワルツマンはトランプに4000万j以上を献金した。減税政策を止めさせないこと、成功報酬の税優遇を廃止したり規制を強化したりさせないためだ。同時に同社の最高執行責任者ジョン・グレイは、バイデンに多額の献金をした。リスクを分散させて保険をかけたわけだ。

 バイデンは当初、大規模な財政出動や法人税の引き上げを語った。だが、政権が発足すると、経済問題担当の大統領補佐官には世界最大の資産運用会社ブラックロックのブライアン・ディーズが就いた。財務長官に就任したジャネット・イエレンは、過去2年間、ヘッジファンドを含む大手企業向けの講演謝礼で700万jを稼いでいる。

 こうしてホワイトハウスの主が誰になろうと、ダボスマンの地位は不動のように見える。しかし、表題にもあるように、彼らの行為があまりにも反社会的であるために、いまや世界経済の構造的欠陥について多くの人が気づき始め、1%に対する99%のたたかいが始まり、それが各国政府を揺るがしている。現在の資本主義社会は次の制度への過渡期にあることが明らかになる。
https://www.chosyu-journal.jp/review/24361

10. 2023年10月19日 13:34:26 : tN1Obb5VKs : T0FSUDg2NmZUOUU=[6] 報告
<■91行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可>
ガンドラック氏: ウクライナ戦争はアメリカの最高のビジネス
2023年10月18日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/40696

DoubleLine Capitalのジェフリー・ガンドラック氏が、Fox Businessのインタビューでアメリカの政府債務と戦争の関係について語っている。

政治家と政府債務

多くの専門家が政府債務について語っている。最近のアメリカの金利上昇は、債券市場に米国債があふれかえっていることが原因だとされているからである。

チューダー・ジョーンズ氏: 米国債の大量発行で金利はまだまだ上がる
しかし何故政府債務は増えるのか。一時的に増えても、同様に減るケースがあってもおかしくない。だが先進国の政府債務は一様に、ほとんど常に増加してゆく。

原因は、それが政治家にとってメリットのあることだからである。政治家にメリットがあり、誰も止めなければ、永遠にそのようになってゆく。

何度も言うが、国民から税金を徴収して票田にばら撒くのが政治家の仕事である。だから政治家は補助金は出しても減税はしない。あるいは減税はしてもそれ以上の支出を増やしてゆく。

そのようなことをしていると国家はどんどん衰退してゆくのだが、国にお金がなくなっても票田への減税が進むと、他の国民への強烈な増税が不可避となる。

日本の莫大な政府債務も、日本人には多額の資産があるから大丈夫だという主張は面白い。政府の借金は徴税によって国民の資産でチャラにできるから政府は破綻しないだろう。確かに大丈夫である。

2つの票田

この状況を批判しない大半の国民をよそに、ヘッジファンドマネージャーにはこうした状況に批判的な人が多い。ガンドラック氏もその1人である。彼は次のように述べている。

多くの人がもううんざりしている。貧富の差の激しい経済で、政治献金を行なう超富裕層と、補助金で生きている貧困層が手を組んでいる。奇妙な結婚だ。

ガンドラック氏が指摘しているのは、政治献金で政治家と直接繋がっている票田と、そうでない票田がいるということである。

そしてアメリカではその貧富の差は極めて大きい。政治献金を行なう富裕層は数としては極めて少ないため、票数を集めるためにはあまり頭の良くない層を取り込んで投票させるしかない。

そのための政策が補助金政策である。ガンドラック氏は次のように述べている。

底辺の人々は降ってくるお金のために投票する。そうするべきではないが、彼らはそうする。

残念ながら、こちらの票田の人々への報酬は、お金が降ってきてリッチになった気分になることだけである。

世界最大のヘッジファンド: 量的緩和で人々はリッチになったような気がする
何故ならば、量的緩和は資産家しか裕福にせず、現金給付はインフレを引き起こすからである。だから気分はリッチになるが、実際にはどんどん貧しくなってゆく。

世界最高の経済学者サマーズ氏が説明するインフレの本当の理由
それでも彼らは補助金に投票する。お金が降ってきて努力せずに儲けられるという夢を見たいからだが、その対価はインフレである。市場経済は常にその人にふさわしい対価を与えてゆく。

政治家の債務ビジネス

一方で、政治献金する方の票田はきっちりと報酬を受け取ってゆく。何故ならば、こちらは市場経済ではなく政治を介しているからである。

彼らはどのように報酬を受け取るのか? ガンドラック氏は次のように説明している。

そして上層の人々は世界中で金儲けの仕組みを機能させているが、その1つはウクライナ戦争と呼ばれている。製品を爆発させて新しいのを買わせることほど素晴らしい商売はない。そして値段は自分で決められる。

バイデン氏とその家族がロシアのウクライナ戦争より前からウクライナ政府を補助金漬けにし、そこから利益を得ていたことは以前から報じている。

ロシアのウクライナ侵攻でバイデン大統領が犯した一番の間違い
最近、アメリカではその事実がどんどん明るみに出、バイデン氏への批判が高まっている。

ウクライナ戦争がバイデン政権において起きたことは偶然ではない。上の記事で書いたが、バイデン氏はロシアの侵攻直前に「アメリカは派兵しない」と主張することでロシアが迷いなく侵攻できるようにした。

また、ハマスのイスラエル攻撃の前には凍結していたイランの資金60億ドルを凍結解除した。ハマスはイランに支援されているので、ほとんどハマスを支援したようなものである。

結論

バイデン氏は政治家としての仕事をきちんと果たしている。ガンドラック氏はあまり大きくは言わないが、この状況をウクライナ戦争開始直後から憂慮していた。彼は次のように述べていた。

ガンドラック氏: 米国は半年以上戦争なしではいられないようだ (2022/3/7)
アメリカ国内の特定の利害グループはどうやらアメリカ国外で半年間戦争をしないことさえ耐えられないようだ。

この問題は解決され得るのか。問題は、インフレや戦争で自分を害するような政策に自分から投票するような愚かな方の票田である。

ガンドラック氏は次のように言う。

わたしの意見では、人々は目を冷まし、この二極化した不平等な経済のために投票するのを止めるべきだ。だが人々はそうしていない。

だがガンドラック氏に言いたいのだが、アメリカの状況はまだましである。アメリカの票田は、インフレも受け取っているが補助金も受け取っているからである。

ちなみに日本の補助金(例えば住民税非課税世帯向け)は高齢者に行っているが、現政権を支持しているのは実は補助金をもらっている高齢者ではない。前の選挙で誰が自民党を支持したかを見ればそれは明らかである。


出典:読売新聞
日本では補助金をもらっている高齢者はむしろ自民党に投票せず、何故か所得税と社会保険で生活費を絶賛吸い取られ中の30代および40代が自民党の支持基盤である。

日本では一番搾取されている層が票田となっている。だが言っておくが、殴られた相手に媚を売る人間は永遠に殴られ続ける。

こうした状況に憤っているのはガンドラック氏だけではない。スタンレー・ドラッケンミラー氏も政治の馬鹿馬鹿しさを批判している。だが状況は変わらない。そういうものである。

ドラッケンミラー氏、高齢者が若者から搾取する税制を痛烈批判

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/40696

11. 中川隆[-11055] koaQ7Jey 2024年3月31日 13:11:54 : 9529qE9Jts : MzhrV0VKWW4zU0k=[4] 報告
伊藤貫【真剣な雑談】 第17回「アメリカ外交の巨悪と中東の絶望!!!」[桜R6/3/30]
https://www.youtube.com/watch?v=fTXHt0irDKE

特番『伊藤貫先生登場!その1  〜 アメリカ政治の混乱、民主主義という政治イデオロギーの欠陥〜』ゲスト:国際政治アナリスト 伊藤貫氏
2024/03/30
https://www.youtube.com/watch?v=QUPANdUBvUA

12. 中川隆[-10862] koaQ7Jey 2024年4月18日 19:10:33 : ETfFzj67wY : SG1WdzIuNjhnTUU=[1] 報告
<■81行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可>
サマーズ氏、大富豪が税金を払わない方法と、それを取り締まれない理由を語る
2024年4月17日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/47393

アメリカの元財務長官で経済学者のラリー・サマーズ氏が、Washington Postによるインタビューで富裕層への課税について語っている。

富裕層への課税

バイデン政権が超富裕層への課税を考えている。所得ではなく資産に課税する資産税なども含めて富裕層への課税はこれまで何度も議論されてきた。

富裕層は数が少ないので民主主義のターゲットにされやすいからである。一方で富裕層は、特にアメリカではロビー活動を通して数の不利に対抗してきた。

この議論は今でも続いており、特に与党民主党が富裕層への課税に積極的で、野党共和党は比較的消極的である。

サマーズ氏は民主党の支持者なのだが、彼はバイデン政権の富裕層への課税の計画について微妙な意見を持っているようだ。

IRSの予算不足

まず、彼は税金がきちんと徴税されていないと主張する。彼は次のように主張している。

IRS(訳注:アメリカの国税庁)の資金不足のために、毎年1000万ドル以上稼いでいる人が確定申告をしなくても警告さえ受け取らない状況は馬鹿げている。

アメリカではIRSの予算不足が問題となっている。脱税している人に対してIRSの職員の数が足りないため、十分な取り立てを行なうことができず、普通の納税者がIRSに電話をしてもまともに連絡も取れないような状況が常態化している。

これも民主党がIRSの予算を増やそうとしている一方で、共和党が反対しているのである。

起業家の節税

そして次にサマーズ氏が問題として取り上げるのが、起業家の節税策である。

アメリカで大富豪と言えばその多くが大企業の創業者だが、起業家にとって節税をすることは比較的簡単である。

サマーズ氏は次のように言う。

200億ドルの価値のある会社を立ち上げた起業家が、その会社の株式を担保に借金をしてクルーザーを買い、株式を子供に相続させ、結局誰も税金を払わないということが簡単に出来るのは馬鹿げている。

知識のある読者ならば知っているだろうが、これはbuy, borrow, die(買って、借りて、死ね)と呼ばれる有名な節税策である。

まず株式を取得する。創業者の場合なら最初から持っていることになる。

そしてビジネスが成功すれば株の値段はどんどん上がってゆくわけだが、株式は売却時に利益が出れば税金を払うということになっているので、売却しなければ株の値上がりに税金がかかることはない。

創業者のような大株主であれば自分に給料を払うこともできるわけだが、給料には所得税がかかるのでこれもしない。

では確かに資産は株の値上がりで増えているが、増えたお金を使えないではないかということになる。

そこで「借りて」の部分が出てくるのである。株式を売却して現金を得るのではなく、値上がりしている株式を担保に借金をして現金を得るのである。

大富豪であれば低い金利で現金を借りることができる。だから意外にも、大富豪には借金をしている人が多い。現金を持っていない(持たない方が節税になる)からである。

そして死ぬ。アメリカでは相続税はほとんどないようなものなので、子供も同じ戦略を使い続けることができる。

そして誰も税金を払わない。

何故課税できないか

何故この戦略は長年そのままになっているのか。サマーズ氏は次のように述べている。

バイデン政権がそれを阻止しようとしているのは正しい。

だが献身的で思慮深い優れた人たちでさえ、しばしば行き過ぎた考えをしている。

バイデン政権の予算案で大富豪への課税として考えられているものの中で、値上がりした株式を持っているが、まだ売っていないために利益は現金としては入ってきておらず、それを担保にお金を借りてもいない人への課税は、家族経営の会社へのダメージが大きすぎ、多くの人が公平と考える範囲を逸脱している。

こうした節税への対策としてバイデン政権が考えているのは、含み益への課税である。つまり、株式を売却していない段階で発生している利益について課税するというものである。

しかしそうすると、レストランのオーナーなど、小規模経営の会社の納税が一気に増すことになる。

結論

政治家の多くは富裕層から税金をせしめてやろうと躍起になっている。だが税制というのは非常に高度な専門分野であって、素人の思いつきでは上手くいかないのである。

富裕層への課税に賛成するサマーズ氏も、バイデン政権の案には次のようにコメントしている。

申し訳ないが、そういう考えは学者による机上の空論を大人が誰も止めなかったものと形容するしかない。

何故そうなるのか。根本的には、政府と民間の人材の能力差が問題の根底にある。

税制は高度な専門分野であり、その分野の第一人者は有名な会計事務所にいて、富裕層の資産が課税によって盗まれることから守る仕事に就き、合法的に課税を防ぐ代わりに多額の報酬を受け取っている。

一方でそういう人材は政府には行かない。報酬が違いすぎるからである。また、そもそも節税の補助を一生の仕事にしているような人々は政府による課税が正当だとは思っていないので、仮に同じ給料でも政府の仕事には就かないだろう。

ハイエク氏: 現金給付や補助金はそれを受けない人に対する窃盗である
政府と会計の専門家の密かな戦争は大昔から続いてきた。興味のある人は以下の記事も読んでみてもらいたい。

アメリカに壊滅させられたスイスのプライベート・バンキング

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/47393

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