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お粗末な米国公衆トイレ事情
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/1569.html
投稿者 中川隆 日時 2021 年 3 月 12 日 09:47:44: 3bF/xW6Ehzs4I koaQ7Jey
 

(回答先: アメリカ人の家計は火の車だった のしかかる住宅、医療、教育費 投稿者 中川隆 日時 2020 年 7 月 18 日 19:00:25)

コロナでわかったお粗末な米国公衆トイレ事情
斎藤 彰 (ジャーナリスト、元読売新聞アメリカ総局長)
https://wedge.ismedia.jp/articles/-/22411


 グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン4社の「GAFA」に象徴される最先端IT分野で世界をリードし続けるアメリカ―。だが今、人間生活の根本的ウェルビーイングともいうべき公衆トイレの嘆かわしい実態が主要メディアで指摘され始めている。


 「アメリカは用足す人々のための態勢になっていない America is Not Made for People Who Pee」―高級紙として知られるニューヨーク・タイムズ紙は去る6日、著名コラムニストによるこんな見出しの異例ともいうべきコラムを掲載した。

 東京支局長など世界各国の特派員も務めたベテラン記者のニコラス・クリストフ氏が各国と比較したアメリカの公衆トイレ事情をバッサリ切り捨て、バイデン大統領に抜本的改善策をアピール、具体的に以下のように論じた:

 「2000年以上も前のギリシア・ローマ時代の公衆トイレといえば、穴の開いたベンチに座り用を足す程度で、隣との境もなく、終わるとスポンジのついた棒切れで汚れをふき取る程度の原始的なものだった。それでも数だけは今日のアメリカより上回っていた」

 「アメリカの事情は改められなければならない。日本には清潔で誰でも利用でき、ペーパーもきちんと用意された、世界一洗練された公衆トイレがあるし、他のほとんどの先進工業国もアメリカ以上に膀胱にやさしい bladder-friendly 状態にある。より貧しいインドや中国でも公衆トイレのネットワークが管理されており、用意のないのはアメリカだけだ」

 「ホームレス生活を強いられているマックス・マッケンタイアー(37)によると、(コロナ禍以来)ほとんどの雑貨店やストアでは客以外はトイレ使用を断られ、やむなく空き地や駐車場の隅で放尿せざるを得なくなるという。しかし都会では、ホームレスにかぎらず、1日中外に出ているタクシー運転手、配達人、観光客たちは絶えず、人間の根本的要求には無頓着な地域でしかるべき場所を探し回ることになる。そして人通りの少ない場所で男女を問わず威厳をかなぐり捨てしゃがみ込むシーンに出くわすことは珍しくない」

 「ミズーリ州ファーガソンではウォルター・ライスさん家族が市立公園を散策中、公園内にトイレがないので4歳と2歳の男児を木陰に連れていき放尿させたが、警官に現行犯逮捕され、9時間拘留された。オクラホマ州ピードモントでは、3歳の児童が公衆の面前で用足ししたとして2500ドルの罰金を科せられた。女性が似た状況で逮捕や罰金を科せられたケースは多くはないが、レイブン・ドレイクさん(37)は『道路脇などで初めて座り込まざるをえなくなった経験をしたときは、自分の尊厳を傷つけられる思いだった。やがて時間がたつにつれて人間性そのものさえ疑う気になった』と告白している」

 「アメリカの各都市ではこれまで、十分な数の公衆トイレ設置の試みが何度か行われてきたが、コストがかかりすぎるとか、麻薬常習者、売春婦のたまり場になるといった理由で放置されてきた。しかし、民主、共和の党派を問わず、これまで政治家たちは、わが国に公衆トイレが絶対的に不足しているという根本的問題についての認識を欠いてきた。バイデン新政権は老朽化した道路、橋梁などの大規模インフラ整備に着手する予定だが、それのみならず、人間の膀胱、大腸問題とも真面目に向き合うべきだ」

独特の臭気が立ち込めるニューヨークの地下鉄
 もともとアメリカに公衆トイレがなかったわけではない。The Journal of Social History などの過去の文献によると、19世紀後半から20世紀前半までは各州政府が「市民のプライバシー保護、健康への気遣い」から公園など要所要所に緊急避難場所≠ニして設置する一方、個人経営のストアは「トイレあります」を売り文句に客を呼び寄せてきた。しかし、その後、自治体側は維持・管理費がかさみ過ぎることなどを理由に次第に撤退していくことになった。

 今日、ニューヨーク・セントラルパークは例外としても、サンフランシスコ中心部のユニオン・スクエア、ワシントンDCのフランクリン・スクエアなど、サラリーマンが昼時ランチ・バッグ片手にくつろぐ公園にはその施設はない。

 ニューヨークの地下鉄停車駅、ワシントン都心部とバージニア州、メリーランド州近郊を走るメトロの各駅などにも公衆トイレはどこにもなく、とくに冬場に寒気をしのいで乗り込んだ乗客はつらい思いをさせられることになる。放尿が常習化し、独特の臭気が立ち込めるニューヨークの地下鉄は、はるか前から日本の観光客にはオフリミットだった。

 それでもこうしたトイレ事情はこれまで、大きな社会問題として俎上に上ることはあまりなかった。ところが、昨年初めから始まったコロナ危機以来、米国市民の関心がいやが応にも高まってきた。感染拡大予防策の一環として「3蜜」回避が叫ばれ、レストランやバーに代わり、テイクアウトによる屋外での飲食需要が急増するにつれ施設不足の深刻さが露呈してきたためだ。

アメリカにおける『トイレの政治学』
 同年12月、英国有力誌「The Economist」は早速、決定的不足状態にあるアメリカの公衆トイレ事情について、以下のような鋭い批判記事を掲載した:

 「アメリカにおける『トイレの政治学』にはそれなりの歴史がある。1950年代から60年代にかけて、とくに南部における『白人オンリー』のトイレをめぐり人種差別撤廃運動が広がり、70年代には、ハーバード大学キャンパスなどで有料トイレが貧困者差別だとしてやり玉に上がった。その一方で、9・11テロなどをきっかけとして政府関連公共ビル内の無料トイレはほとんどなくなった。この問題をさらに深刻化させたのが、コロナ危機だ」

 「トイレ・アクセスの否定は、人体に直接悪影響を及ぼす。水分を長時間体内にためることで尿管炎症を起こし、排便を我慢しすぎることで便秘、痔の原因となる。外での就労時間が長いタクシー運転手や、男性にくらべトイレ使用頻度の高い女性にとってゆゆしき問題だ。公衆トイレは設置、維持に金がかかり、また、好ましからざる人間行動の引き金になることも確かだ。しかし、コロナ危機で急増するホームレスや屋外での需要拡大にかんがみ、生理要求を保証することは、投票権ほどではないかもしれないが、多くの市民にとってどんなに救いになることか」

 また、米大手調査機関 Pew Research のニュースレター(2020年7月23日)は、コロナ危機を契機に公共図書館、ガソリンスタンド、集会所などが感染拡大を恐れ一斉に「トイレ使用禁止」措置を打ち出すに及んで、事態がいよいよ深刻化したとして、@シアトルでは小売店、ホームセンターなども含め数千カ所でトイレが閉鎖された。A他の都市でもスターバックス、マクドナルドなどのチェーン店で「お客様限定」の措置が打ち出され、ホームレスや貧困者が締め出されている。Bメリーランド州などの州では放尿で現行犯逮捕された場合、罰金チケットをもらうだけでなく、「性的犯罪者」扱いされるケースも報告されている。Cニューヨーク市内では街のあちこちで放尿者が急増、公衆衛生上の大きな問題となっている――などと報じている。

 さらに以前なら、都会を練り歩く観光客が緊急事態に直面した場合、近くのホテルに駆け込むことができた。しかし、今や宿泊客のみに発行される専用カードなしにはトイレのドアが開かないシステムが圧倒的に増え始めており、部外者は路上で右往左往させられることになる。

トイレの水に目くじらを立てたトランプ氏
 アメリカでは20世紀後半から、富裕層が都会での犯罪増加を逃れ、郊外で安心安全な生活を享受するための、塀で囲まれたゲート・コミュニティ=igated community)があちこちに出現してきた。重厚な門扉の詰め所に立つ守衛に用件を告げ車に乗ったまま中に入ると、居住区に至る側道に季節の花が咲き乱れ、チリひとつない掃き清められた小径がその先に続く。都会の騒音や悪臭とは完全に遮断された別世界であり、ゴーイング・マイ・ウェーの典型といえよう。

 しかし反面、こうしたアメリカ人たちがおろそかにしてきたのが、公共の福祉・安寧にほかならない。「我関せず」の姿勢が、世界の先進国の中でもお粗末極まりないアメリカの公衆トイレ事情の遠因ともなっている。そしてそれは、トランプ前大統領が在任中、唱導した、諸外国への影響を顧みることなく自国利益のみを最優先にした「アメリカ・ファースト」主義とも無縁ではないだろう。

 トランプ氏は、多くの国民が医療保険の恩恵に浴することを目指したオバマ政権時代の公的保険制度「オバマケア」にも強硬に反対し続けてきた。今日いまだに、国民皆保険制度が完備していないのは、先進国の中ではアメリカのみだ。

 その彼は在任中の一昨年12月、記者団を前に「国民は使用後トイレを1回でなく10回も15回も流している People are flushing toilets 10,times, 15 times as opposed to once。結果的に水を無駄使いしている」と語り、大きな話題となったことがある。

 プールにジャクージにサウナ風呂……自ら普段、フロリダの広大な別邸で水も使い放題の豪奢極める暮らしを続けてきた身にありながら、庶民がたまにトイレの水を1〜2度流すことに目くじらを立てる世界一超大国最高指導者の、あまりにも突飛であさましい発言ゆえのホット・ニュースだった。しかし、大統領として1度足りとも、コロナ危機の最中に深刻化した公衆トイレ不足問題に言及したことはなかった。

 アメリカ的利己主義の弊害は、残念ながら挙げるときりがない。  

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