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国債の長短金利差を見て景気後退を判断する
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/1761.html
投稿者 中川隆 日時 2022 年 3 月 24 日 12:30:42: 3bF/xW6Ehzs4I koaQ7Jey
 

(回答先: 政策金利 投稿者 中川隆 日時 2021 年 4 月 05 日 13:17:23)

国債の長短金利差を見て景気後退を判断する

ガンドラック氏: 金利を見て景気後退の確率を占う方法を債券投資家が説明する
2022年3月22日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/21733


債券投資家のジェフリー・ガンドラック氏がCNBCのインタビューで、国債の金利を眺めながら今後の景気後退について語っているので紹介したい。

日本では個人投資家が債券市場に投資をする方法は少ないため債券はマイナーな資産だと見なされているが、物価高騰で株価暴落が予想される中、債券市場で利益を上げる方法を知っておくべきだろう。

インフレと国債の金利

アメリカではかなり高いインフレ率が続いており、結果として金利が上がっている。

2月の米国インフレ率は7.9%、今後更なる物価高騰へ
中央銀行がインフレ抑制のため利上げを開始したからである。

3月FOMC会合結果は利上げ開始、政策金利は年内に2%以上となり株価暴落へ
だが金利と言っても色々ある。利上げとは中央銀行が政策金利を上げることで、政策金利は国債の金利に影響を与える。

国債の金利にも色々ある。国債とは投資家が政府にお金を貸すという行為を証券化したものだが、どのくらいの期間お金を貸すのかによって、2年物、5年物、10年物、30年物など色々な期間がある。

2年物国債は今後の政策金利の動向に左右される。政策金利(アメリカでは銀行間の短期貸し借りの金利)が上がったにもかかわらず2年物国債の金利が低ければ、銀行などは2年物国債を買わずに政策金利を2年間得続けようとするだろう。

だから2年物国債は今後2年間の政策金利の市場予想に連動して推移することになる。市場を驚かせたくないパウエル議長が連続利上げを表明したのは、2年物国債の織り込みに従うためである。

一方で10年物や30年物など長期・超長期の国債の金利は、政策金利だけではなく今後のインフレ率や経済成長率に左右される。まずこの違いを覚えておいてもらいたい。

アメリカ国債をトレードする

この期間の違う様々な国債を売買することは、株式市場に逆風の吹く現在のインフレ相場で手堅い利益を得られる数少ない方法である。

物価高騰が酷くなれば、景気が良くない状況下でも中央銀行は利上げを強いられる。利上げは住宅ローンや自動車ローンの金利上昇を通して消費を抑制するので、利上げによって景気が落ち込んでゆくにもかかわらず、中央銀行はインフレ抑制のために利上げを止められなくなる。

この状況で国債の金利がどうなるかと言えば、政策金利に連動する2年物の金利は利上げを織り込んで上昇せざるを得ないが、景気はどんどん落ち込んでゆくので、長期的な景気動向を織り込む10年物や30年物の金利は2年物に比べて相対的に頭打ちすることになる。

よって、例えば10年物国債の金利から2年物国債の金利を引いた差、これを長短金利差と言うのだが、長短金利差がどんどん下がってくる。長短金利差のチャートは次のようになっている。


長短金利差に賭けるスタグフレーショントレード

要するに、利上げのやり過ぎによる景気後退に掛けたければ、2年物国債の上昇と10年物国債の下落に同時に賭けてその差を得れば良いのである。

筆者が長短金利差の下落に賭けるトレードに言及したのは去年の秋のことである。その後2月にも言及している。

長期金利とテーパリングの関係、今後の推移予想 (2021/9/5)
急速にスタグフレーションを織り込む金融市場 (2022/2/6)
上のチャートを見て分かる通り、このトレードは現在、筆者にとって株の空売りとコモディティの買いのクロストレードと同じくらい莫大な利益を上げている。

ウクライナ危機でコモディティ価格高騰、小麦を一部利確してシルバー買い
中央銀行が急激な利上げに追い込まれるのは分かりきっていたのに、他の投資家は何故同じことをしなかったのだろうか? 筆者にとってこれは市場にお金が落ちていたようなものである。

長短金利差の今後の推移

さて、前置きが長くなったが世界有数の債券の専門家であるガンドラック氏がこの長短金利差に言及している。彼は次のように述べている。

2年物と10年物の金利差が0.5%以下の時、景気後退が心配される。金利差がゼロになる時、非常に大きな景気後退が心配される。

今の長短金利差は0.18%なので、その間くらいだろうか。だが筆者は最終的にこの長短金利差はマイナスまで軽く行ってしまうと考えている。

それはインフレの状況下で大きな景気後退が来ることを意味する。ガンドラック氏が特に懸念するのは、イールドカーブ(国債の期間の短いものから長いものまでの金利を並べた曲線)がフラット(つまり長短金利差が開いていない)である中で中央銀行が利上げを開始しなければならないことである。

今の利上げサイクルはイールドカーブが非常にフラットな状態で始まる。

通常、金融市場の状況が何回かの利上げに耐えられるほど良いと考えられるのは、イールドカーブが今よりも急勾配になっている時だ。

市場が景気に強気ならば、景気動向に反応する長期の金利が上がってイールドカーブは急勾配になるはずである。その時ならば市場も実体経済も利上げに耐えられると主張することも出来るかもしれない。

だがガンドラック氏は次のように述べる。

金利の絶対値からインフレ率を引いた実質金利を考えると、現在の金利差はかなり小さい。

現在、アメリカのインフレ率は金利水準よりもかなり高い。

これは、例えば住宅価格がかなりの速度で上昇する中で、アメリカの消費者にとってそれを指を加えて見送るのか、それとも2%や3%の金利でローンを組んでその上昇に乗るのかの選択を意味する。

12月のアメリカの住宅価格は18.8%上昇、サブプライムバブルを大きく上回る
逆に住宅を買わなければ、高騰してゆく家賃を今後払ってゆくということになる。アメリカ国民はこの金利とインフレ率の水準では住宅を買うしかないのである。

「緩和的」な利上げ

よってこの金利水準は、利上げが行われているにもかかわらず、インフレ率に比べて緩和的だということになる。金利がインフレ率よりも低いので、人々はどんどんお金を借りてものを買おうとするだろう。

そしてガンドラック氏の指摘するのは、金融政策がこれだけ緩和的であるにもかかわらず、長短金利差が大きな景気後退を織り込みつつあるということである。

これはコロナで傷んだ経済を現金給付や量的緩和によって数字の上では無理矢理持ち直させたが、実際のところは実体経済は満身創痍だということを意味する。借金で短期的に経済を持ち上げることのマイナス効果についてコロナ初期に記事を書いているのだが、読者は覚えているだろうか。

新型コロナで借金が実体経済に影響を与える仕組みを分かりやすく説明する
結論

結局、政府が借金を増やして現金給付を行った結果、物価高騰という更なる人災を引き起こす結果となった。そしてそれは大きな景気後退を引き起こすことを長短金利差は示唆している。


このチャートはまだまだ下がる。

上記のように投資家はどのような状況でも次の経済状況を予測しそれに賭けることで利益を上げることができる。

だが有権者はそれで良いのだろうか? 何故現金給付や紙幣印刷を行う政治家が支持されるのか、筆者には全く分からないのである。

ガンドラック氏: 12才児よりも愚かな中央銀行の存在意義が分からない


https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/21733  

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コメント
1. 中川隆[-12731] koaQ7Jey 2023年3月10日 22:07:36 : OLZ9mKZ96c : Ly9WTTZ6OGg4ZlE=[2] 報告
米国の長短金利差-1%の意味

債券市場はアメリカ経済のハードランディングを予想
2023年3月10日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/34448

2023年の株式市場の動向については様々な専門家が様々な見通しを示している。

ジョージ・ソロス氏や、彼が設立したクォンタム・ファンドを長年率いていたスタンレー・ドラッケンミラー氏は、米国株を買い増しているようだ。

ジョージ・ソロス氏、米国株を大幅買い増し、株高を予想か
ドラッケンミラー氏も米国株買い増し、Amazon.comは全株売却
一方、リーマンショックを予想したジョン・ポールソン氏や去年末のインフレ率急落を予想したジェフリー・ガンドラック氏らは株価に弱気のようだ。

ポールソン氏の2023年株価予想: 倒産が急増し株価は下落する
ガンドラック氏: 年末年始の株価上昇は幻想だった
だがもう1人、意見を聞いていない重要人物がいる。債券市場である。

債券市場の景気見通し

個人投資家の多くには馴染みの薄い債券市場だが、Fed(連邦準備制度)の利上げが2022年の株価を下落させたように金利の水準が株価にとって非常に重要であるだけでなく、1ヶ月物から30年物の国債の金利を眺めるだけでもそれは投資家に多くのことを語ってくれる。

例えば以下は2年物国債の金利である。2年物国債の金利は基本的に今後2年間の政策金利の水準を織り込んで推移する。


現在の政策金利はおよそ4.5%であり、今後5.5%まで上がることが予想されている。

2年物国債の金利はインフレ全体の数字が急落したことから一時下がっていたが、サービスのインフレが止まっていないという最近のデータを受けて再び上昇している。

基本的に金利が上昇すれば株式市場は下落しているが、パニックになっている様子はなく、金利がこれだけ上がってもまだ持ちこたえていると言って良いだろう。

債券市場のソフトランディングに対する意見

金利上昇は大した問題にならないのだろうか? ソフトランディングは可能なのだろうか。こうした問題に対して、債券市場はかなり雄弁に語ってくれる。

例えば2年物国債を、より期間の長い10年物国債の金利と比べてみよう。10年物国債の金利(いわゆる長期金利)は次のように推移している。


2つのチャートを比べてみると、10年物国債の金利は2年物国債の金利ほど上がっていないことが分かる。

長短金利逆転の拡大

これは何を意味しているか。10年物国債の金利から2年物国債の金利を引いたものを一般に長短金利差という。そして長短金利差は今後の景気見通しを占う上でよく用いられる指標である。

一般に長期金利が下がる場合、経済が弱まることを意味している。長期金利は理論的にはインフレ率と経済成長率を織り込んで推移する。経済が弱ければ一般に金利が低くなるからである。

だが一方で、今のように経済が弱くなってもインフレ退治のために金利を上げなければならない状況では、長期金利が高くても単に今後10年の金利が高くなることを意味しているかもしれない。

そこで用いられるのが長短金利差である。直近の政策金利が高くなることは2年物国債の金利に織り込まれる。だがその高金利によってより長期の経済が停滞する場合、10年物国債の金利は2年物国債の金利よりも低くなる。(つまり長短金利差がマイナスになる。)

2022年に大きな利益を出した筆者のトレードは、株価の下落を予想したことのほかに、この長短金利差がマイナスになることを予想した取引だった。

長短金利逆転を予測できた理由と今後の不況と株価暴落について
そしてその後長短金利差がどうなっているかと言えば、インフレ率急落も気にせず下がり続けている。


ほぼマイナス1%である。

長短金利差-1%の意味

長短金利差がここまで下がったことは40年前の物価高騰時代である1970年代以降例がない。

そして1970年代にはアメリカ経済はかなり厳しい景気後退に陥り、米国株はほとんど半値まで暴落している。

ドラッケンミラー氏: 株式市場は40年前の物価高騰時代より酷い惨状に
当時の利上げによるインフレ退治の結果が大量の失業者を生んだことは、それを断行したポール・ボルカー議長が以下の記事で語っている。

ポール・ボルカー氏、1980年のインフレ打倒がどれだけ厳しかったかを語る
長短金利の逆転は、今のアメリカの利上げがそういう事態を生むことを予想しているのである。

結論

現在市場が懸念しているサービスのインフレ(そしてそのコストとなっている賃金のインフレ)が止まるかどうかは、当たり前だが結局のところ賃金が下がってアメリカの消費者が苦しむかどうかにかかっている。

だからインフレが落ち着くとすれば、ソフトランディングはほとんど定義上あり得ない。サービスのインフレが落ち着くためには、賃金が下がらなければならない。これはほとんど同語反復である。

サービスのインフレだけひとりで上がり続けるのか
現在の株式市場の水準はソフトランディングにならなければ維持できない。S&P 500のチャートは以下のように推移している。


長短金利差のチャートとこの米国株のチャート、どちらかが完全に間違っている。そして株式市場と債券市場の意見が異なる場合、正しいのは大体の場合より理性的な債券市場である。

金利は今のところ高止まりしているが、株価が大きく下がるならば、結局金利も下がってゆくだろう。そうなればドルも下がることになる。

それが結局のところ筆者の2023年の相場予想である。読者はどう考えるだろうか。

2023年の株価予想: 米国株と日本株の空売りを開始、ソフトランディングは有り得ない


https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/34448

2. 保守や右翼には馬鹿し[156] lduO54LiiUWXg4LJgs2Ubo6tgrU 2023年5月02日 04:56:52 : 0ALmhqIzDs : MHJRbC5FR2xqbnc=[2] 報告
サマーズ氏: スタグフレーションの危険あり、高確率で景気後退へ
2023年5月1日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/36324

アメリカの元財務長官で経済学者のラリー・サマーズ氏がBloombergのインタビューで、終盤に差し掛かっているアメリカの利上げと実体経済の先行きについて語っている。

サマーズ氏の注目する経済指標

最近はGDPなど大きな経済データの発表もあり、サマーズ氏は今どの経済指標に注目しているかを聞かれている。

ますます弱ってゆくアメリカGDP、2023年第1四半期は予想以上の減速
だがサマーズ氏にとっての最重要指標はGDPではないようだ。彼は次のように述べている。

自分はECI(訳注:雇用費用指数)に注目してきた。理由は、労働市場がインフレの進行に関して鍵となっていること、四半期ごとにしか発表されないこと、そしてボーナスや労働力の構成の変化などの調整も考慮する、賃金インフレに関する最良の数字だからだ。

ECIの上昇率は4.8%程度で、年間の上昇も四半期の上昇もかなり強かった。賃金インフレが減速している証拠はあまりない。

ECIは前期比年率で4.7%となっている。グラフは次のようになっており、一度減速してからやや持ち直した形だ。


賃金はサービス業の主なコストになるので、インフレにとって重要である。だが少なくとも賃金は高止まりしていることは間違いない。

高止まりするインフレと悪化する銀行危機

だが一方で、アメリカ経済は全面的に強いわけではない。シリコンバレー銀行の破綻に始まる銀行危機は確実に悪化している。

数日前にここでも株価の暴落を報じたファーストリパブリック銀行は、預金流出を止めることができず、5月1日に正式に破綻した。残存資産はJPモルガンに売られることになる。

ファーストリパブリック銀行の株価、2日で6割暴落、銀行危機は悪化へ
アメリカ経済は現在かなりいびつである。GDPが消費の大幅な増加と投資の大幅な減少の結果減速となったこともそうだが、利上げでダメージを受けている部門と「まだ」ダメージを受けていない部門の差が大きい。

ますます弱ってゆくアメリカGDP、2023年第1四半期は予想以上の減速
だが不動産価格が上昇に転じている問題も含め、物価の部分が減速しないのであれば中央銀行は高金利を継続する必要がある。

下落し続けていたアメリカの住宅価格が上昇に転じる、インフレ再燃か
しかしそうすれば、地方銀行のように既にかなりダメージを受けている部門は更に深刻な危機に陥ることになる。

サマーズ氏は次のように述べている。

スタグフレーションの問題が多少持ち上がってきているようだ。

インフレは基本的に目標を大幅に超えており、1年半のあいだわたしが言い続けているように、それ相応の経済の減速がなければインフレ率は目標まで戻らない。

どれだけ経済が痛んでもインフレ率だけ高止まりする状況がインフレのもっとも恐ろしいところである。アメリカ経済はそれに近づいている。

スタグフレーションに突入へ

だが物価上昇と景気後退が同時に来るスタグフレーションなど、ここの読者にとってはニュースでも何でもない。それは去年の始めの段階で筆者が予想していたことである。

2022年のスタグフレーションに投資する方法 (2022/1/20)
そして債券市場は筆者の予想通りそれを去年の春から織り込み始め、今なお長短金利を逆転させ続けている。

長短金利逆転を予測できた理由と今後の不況と株価暴落について (2022/4/4)
通常長期金利が短期金利よりも高くなる債券市場で、今のように短期のほうが金利が高くなるのは、短期的な利上げによって長期的には経済が減速すると債券市場が予想するからである。

10年物国債の金利から2年物国債の金利を引いた長短金利差は以下のように推移している。


ちなみに歴史的には長短金利差の逆転が起こった後にはほとんど例外なく景気後退が起きている。

アメリカの金融政策見通し

この状況でFed(連邦準備制度)はどうするべきだろうか。米国時間で5月3日には金融政策決定会合であるFOMC会合を控えており、サマーズ氏は次のように言っている。

これはFedが経済の減速を目指すべきだということを意味するわけではない。だがFedがインフレ抑制のために必要なことをするならば、経済減速は起こりそうだ。

今後12ヶ月でそうなる可能性はかなり高い。恐らく70%ほどだろう。

また、3日のFOMC会合については次のように言っている。

Fedは5月には利上げをするべきだ。だが銀行の問題を考えれば6月にどうするかは議論があるだろう。

結論

このように、ほとんどの専門家がアメリカ経済について弱気な見方をしている。瀕死の銀行たちを引きずり回しながらも高金利を続けなければならないのだから当然である。

世界最大のヘッジファンド: 銀行危機は世界経済全体に波及して物価高騰か倒産危機で終わる
ガンドラック氏: 銀行危機後に中小企業はお金が借りられなくなっている
だが株式市場を短期的な動きだけ見れば、そのようなことは気にしていないように見える。


だが経験のある投資家であれば筆者の言いたいことがあるだろう。見飽きた映画ではないか。中央銀行がアグレッシブな利上げを行ない、何処かで何かが破綻して、明らかに経済は景気後退に向かっているが、株式市場はそれを無視している。

あまりにも見飽きた映画ではないか。直近では2018年がそうだった。だがそんなことは歴史上何度でも起きている。

2018年当時の記事が残っているので、株式市場がダンスを楽しんでいる間に当時の利上げによる世界同時株安のことを思い出しておくのも良いだろう。

バブルの頂点で日経平均は上昇、空売りを淡々と継続 (2018/9/20)
世界同時株安を予想できた理由と株価下落の原因 (2018/10/28)

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/36324

3. 2023年7月07日 19:08:00 : VvwVFCfjfo : R1VIZnNuY0pOc0U=[1] 報告
<■63行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可>
アメリカの深い景気後退をなおも予想する金融市場
2023年7月5日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/38060

アメリカでは利上げによる景気後退が不可避のものとされ、数ヶ月前には銀行の破綻も騒がれた一方、株式投資家は数ヶ月前の話を覚えておく記憶力がないので、市場にはアメリカ経済には何の問題もないかのような雰囲気が漂いつつある。

景気後退を予想し続ける債券市場

だがそれは株式市場に限った話である。もう1つの重要な市場である債券市場はまったく別のシグナルを発し続けている。

それが何かと言えば、10年物国債の金利から2年物国債の金利を引いた長短金利差である。

金利は通常、期間が長いほど高くなる。一般的にはお金を1週間貸すよりは10年貸す方が、期間内に倒産する可能性が上がると考えられるからである。

だがこの長短金利差が逆転する場合がある。例えば今のように、インフレでFed(連邦準備制度)が利上げを強いられ、政策金利の影響を受けやすい短期金利は鋭く上がる一方で、今の利上げによって将来の景気見通しが悪化し、長期金利が下がるか、短期金利ほど上がらない場合である。

長短金利が逆転するとき、歴史的にはほぼ確実に景気後退が起きている。だが今の状況はと言えば、以下のチャートのように長短金利差は単に逆転するだけではなくそのまま-1%まで行っている。


注目したいのは、3月に一度跳ね上がった長短金利差が再び下落して下値を更新していることである。

長短金利差の再下落

3月に跳ね上がったのは、シリコンバレー銀行の破綻に始まる銀行危機でFedが利下げするのではないかとの観測が強まり、短期金利が下がったからである。

世界最大のヘッジファンド: シリコンバレー銀行破綻はドミノ倒しのように伝染する
だがその後、住宅価格の上昇などで更なる利上げが必要なのではないかとの観測から、短期金利は再び上がり、しかし長期金利はそれほど上がらず、長短金利差は下落していったということである。

アメリカの4月住宅価格が再び上昇、インフレ継続で利上げ再開か
長短金利差が下落している以上、債券市場は現在の利上げによって将来景気が落ち込むとの見方を崩していない。むしろ、長短金利差が下値を更新したということは、今後の景気後退が更に深くなることを予想している。

これは一見してS&P 500などの主要株価指数の動きと矛盾している。S&P 500のチャートは以下のように推移している。


長短金利差は少数派ではない

だがここで思い出してほしいのが、先進国の主要株価指数が反発している一方で、各国の小型株指数や新興国株、ジャンク債など、よりリスクが高いと考えられている資産クラスは2022年の価格下落から回復していないという事実である。以下の記事で説明している。

米国株はいまだにダウントレンドの中にある
例えば上海総合指数のチャートの長期下落トレンドは、むしろアメリカの長短金利差のグラフに近いと言って良いだろう。


また、同じアメリカでも小型株指数Russell 2000は下落から回復していない。


むしろ2022年の下落から反発している先進国の主要指数は世界の金融市場で少数派であり、そこだけが生き残っている姿は2018年の世界同時株安を彷彿させる。

2023年の米国株は2018年世界同時株安のダブルトップに似ている
長短金利差は筆者のこの見方に同意しているようである。

結論

ちなみに2018年においても、先進国の主要株価指数は一時的に反発する一方で、新興国株式などと同様に長短金利差は下がり続けていた。以下は2018年の長短金利差のグラフである。


ただ、長短金利差は底値を打って反発を始めてからが本番であり、景気後退はその後に来る。ガンドラック氏が以下ように指摘していたことを思い出したい。

ガンドラック氏: シリコンバレー銀行破綻でアメリカの景気後退が近づいた
過去何十年にわたるすべての景気後退では、長短金利差の逆転が縮小してから数ヶ月で経済は景気後退に陥っている。

逆に言えば、長短金利差が下落を続けている限り景気後退はまだだということである。

筆者は来年前半だと予想しているが、どうなるだろうか。

世界最大のヘッジファンド: アメリカ経済は結局強いのか弱いのか?


https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/38060

4. 2023年8月01日 00:44:55 : p69NIjMyj2 : a1FzOHpPWEtVZjY=[1] 報告
<■76行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可>
ガンドラック氏、アメリカの景気後退について語る
2023年7月31日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/38522

DoubleLine Capitalのジェフリー・ガンドラック氏が、CNBCのインタビューでアメリカ経済と景気後退について語っている。

景気後退と長短金利逆転

前回の記事ではガンドラック氏のインフレ率に関する予想を紹介した。

ガンドラック氏: インフレ率が下がり過ぎてデフレになる可能性
去年からのアメリカのインフレ率下落予想を的中させたガンドラック氏は、引き続きインフレ率を下落方向で予想している。

だが経済成長率はどうだろうか。債券市場のエキスパートであるガンドラック氏が注目するのは、やはり景気後退の前触れとされる長短金利差の逆転である。

長短金利差とは10年物国債の金利から2年物国債の金利を引いたものである。債券の金利は通常期間が長いものほど高くなるが、利上げの行き過ぎで景気後退に陥ると債券市場が予想する場合、短期金利は政策金利に釣られて高くなる一方で、長期金利は景気減速を織り込んで低くなる。

これが長期金利が短期金利を下回るところまで進んだ(つまり長短金利差がマイナスになった)場合、過去の相場ではほとんど確実に景気後退が起こっている。

アメリカでは2022年からの利上げによって長短金利差は既にマイナスになっているが、長短金利差についてガンドラック氏は次のように述べている。

長短金利はいまだに逆転したままだ。シリコンバレー銀行などの地方銀行危機のあと逆転は解消されかかった。逆転の解消は景気後退の兆候で、金融市場は懸念を表明していた。

長短金利差のチャートは次のようになっている。


長短金利の逆転は、今年一度戻りかけた。だがガンドラック氏はこの起こりかけた長短金利逆転の解消こそが景気後退のサインだと言っている。

何故ならば、歴史的には景気後退は長短金利がまず逆転し、その後それが解消に向かった後のタイミングで起こるからである。

逆に言えば、景気後退は長短金利逆転が解消されるまで来ない。

ガンドラック氏は次のように続けている。

だが銀行危機が落ち着くとそれは元に戻った。長短金利逆転の解消は注目しておくべきサインだが、それはまだ起きていない。

いまだ残っているコロナ後の現金給付

だが、それは何故なのか。ガンドラック氏はコロナ後に行われ、物価高騰を引き起こした現金給付の影響がまだ残っていると指摘する。彼はM2(市中に存在する現金と預金の総量、マネーサプライ)を取り上げて次のように言っている。

多くのエコノミストが正当にも言及しているが、M2が前年比でマイナスになっている。だからそれを見れば、インフレ率は大きく下落してくると考える。

だがもう1つ注意を払わなければならないのは、2020年と2021年の現金給付の影響がいまだに残っているということだ。

利上げと量的引き締めによってマネーサプライが下落してきていることは確かである。実質マネーサプライのグラフは次のようになっている。


コロナ後の現金給付によって急騰し、世界的なインフレを引き起こしたマネーサプライは同じ速さで急減少しているものの、コロナ前の水準と比べるとまだまだ多い。

スタンレー・ドラッケンミラー氏が次のように言っていたことを思い出したい。

ドラッケンミラー氏: それでも米国経済はハードランディングする
エド・ハイマン氏はマネーサプライが史上最速の速さで縮小していることを指摘した。

だが話はそれほど簡単じゃない。マネーサプライは数年前と比べると30%後半から40%ほど拡大している。だから積み上がっているお金の量はそれでも極めて多いということだ。

実は増加しているマネタリーベース

更に、ガンドラック氏が指摘するのは企業や個人の銀行口座にある預金の状況を現すマネーサプライではなく、銀行が中央銀行の口座に保有する預金の量を表すマネタリーベースである。

彼はこう述べている。

M2は前年比でマイナスだが、マネタリーベースはいまだに膨大だ。当時の緩和の資金はいまだに残っている。

アメリカのマネタリーベースのチャートは次のようになっている。


マネタリーベースは量的緩和や量的引き締めで操作される。アメリカは利上げとともに量的引き締めをやっているので、マネタリーベースは下がっているはずなのだが、今年の3月から上昇に転じている。

今年の3月に何があったか? シリコンバレー銀行の破綻に始まる銀行危機である。

シリコンバレー銀行の決算書から破綻の理由を解説する
銀行を救うためにFed(連邦準備制度)が銀行に資金を注入したことから、量的引き締めの効果は打ち消されている。

パウエル議長は、銀行危機を受けて実質的に量的引き締めを撤回したわけである。

やはりこれは緩和再開によるインフレ第2波を示唆しているのではないか?

サマーズ氏: パウエル議長のインフレ退治が本気かどうか疑う理由
ポジャール氏: アメリカは量的緩和を再開しドルは暴落する


そしてドルはどうなるだろうか。ガンドラック氏はドルの動向にも言及しているので、そちらもまた新しい記事で取り上げたい。
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/38522

5. 2023年8月08日 19:31:35 : 808oKCj2Ac : aDFLeEFOcWk0bTI=[6] 報告
【アナリスト解説】景気後退は起きる?日銀YCC修正の解説も
つばめ投資顧問の長期投資大学
2023/07/29
https://www.youtube.com/watch?v=1I4bcA3O83w
6. 中川隆[-12378] koaQ7Jey 2023年8月11日 02:38:32 : eyus6nJeNw : RkhGUGtPQVpKQ2s=[4] 報告
<■98行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可>
今のところアメリカのソフトランディングを織り込む金融市場
2023年8月10日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/38805

コロナ後の現金給付によってインフレが起こり、アメリカは利上げで対抗することとなった。リーマンショック前以来の高金利にアメリカ経済は耐えられないと思われたが、今のところアメリカ経済はそれほどの減速にはなっていない。

ソフトランディング期待

特に最近、金融市場はそれを織り込んでいるように見える。

先月のGDP統計とFOMC会合の前に筆者は次のように書いておいた。

アメリカの金融引き締め、7月の利上げが最後になるか (2023/7/19)
仮にパウエル氏とGDP統計の両方が「インフレは減速したが経済は減速していない」相場を止めない場合、あと数ヶ月ほどこの相場が続く可能性はある。

実際にFOMC会合とGDP統計の両方がこの見通しを妨害しなかったため、実際に金融市場はそのように反応している。一番良い例は以下のように推移している市場の期待インフレ率である。


期待インフレ率はまさに上記の記事のすぐ後に急反発した。リーマンショック時の例を挙げるまでもなく、市場がハードランディングを予想するときには期待インフレ率は下がることになるので、期待インフレ率の上昇はまさにソフトランディングを織り込む動きと言える。

長短金利差の上昇

期待インフレ率と長期金利の上昇という最近の動きは、利上げが収まって長期的には経済が回復してゆくというソフトランディング期待に相応しい動きである。

一方で、長期金利の上昇にともなう当然の結果として起こることがもう1つある。長短金利差の上昇である。

10年物国債から2年物国債の金利を引いた長短金利差のチャートは次のように推移している。


長短金利差は今年の前半に急反発した後再び下落していたが、最近になってやや上昇している。

現在長短金利差はマイナスになっているが、これは通常のことではない。債券の金利は通常期間が長いほど高くなるので、長短金利差はプラスになるのが普通である。

だが例外がある。中央銀行の利上げが強すぎ、短期的には利上げのために金利が上がるが、長期的には高金利によって経済が死んでゆくと市場が予想する場合、長期金利の方が低くなり長短金利が逆転する。

長短金利差の意味するもの

この長短金利の逆転は市場参加者にはほとんど確実な景気後退の前触れとして知られている。少なくとも歴史上は長短金利逆転の後はほぼ確実に景気後退が起こっている。

だがこれまでそうなっているからといって、これからもそうなるとは限らない。長短金利差が意味するものをしっかり考えてみる必要があるだろう。

まず考えるべきはジェフリー・ガンドラック氏が指摘していたように、景気後退は長短金利差がマイナスまで落ち込み、その後上昇を始めた後に来るということである。2000年のドットコムバブル崩壊および2008年のリーマンショック前後の長短金利差の動きに注目したい。灰色部分が景気後退の期間である。


何故こうなるかと言えば、中央銀行が景気後退を察知し、利下げを始めて短期金利が下がり始めるが、結局危機を救うには間に合わず景気後退に陥るというシナリオが、これら2回の危機においては踏襲されているからである。

市場が織り込む夢のようなシナリオ

だから現在の長短金利差の上昇と、当時の長短金利差の上昇は意味合いが違う。現状では大幅な利下げは織り込まれておらず、短期金利はまだそれほど下落していないからである。2年物国債の金利は以下のように推移している。


現在の市場が織り込むシナリオはハッピーエンドである。Fed(連邦準備制度)は現在の金利水準をほぼ維持する(2年物国債金利の高止まりがそれを示唆している)が、経済はそのまま回復してゆく(期待インフレ率と長期金利の上昇)。

だがFedの利上げが本当にインフレを抑えられているのであれば、今後数ヶ月のインフレ統計がこの状況に一石を投じるはずである。

インフレ率がこのまま2%まで下がってそこで止まるという予想に対するジェフリー・ガンドラック氏の言葉を思い出したい。

ガンドラック氏: インフレ率が下がり過ぎてデフレになる可能性
何故2%で止まるのか? そこに何か魔法でもあるのか?

インフレ率が去年の9%から2%まで急降下するのであれば、インフレ率はそのままマイナスまで行ってしまうだろう。

本当にインフレ対策が作用しているのであれば、そのシナリオが今後数ヶ月のコアインフレ率と賃金インフレに表れる可能性が高い。

そして何度も言ったように、賃金が減速するのであればいずれ個人消費が減速し、最終的にはGDPが減速してくる。

インフレかハードランディングか

今後数ヶ月のデータでインフレのダウントレンドが確定すれば、市場は利下げを織り込み始めるだろう。

だが賃金が消費に影響を与え、消費がGDPに影響を与えるまでにはまだ時間がある。それが来る前に利下げが織り込まれ始めた場合、ハードランディングよりもむしろインフレ第2波に繋がる可能性がある。

ジョン・ポールソン氏、インフレ第2波で金価格高騰を予想
長短金利差の再上昇は普通ならばハードランディングに備えるべき状況である。だが今の状況から考えれば、少なくとも賃金および消費の減速が来るまでは金利低下からインフレ再来のシナリオを警戒すべきだろう。

新たなGDPの発表はあと3ヶ月ほど無いので、少なくともそれまでハードランディングが織り込まれる可能性は限られている。しかし消費の減速が来たときには、ハードランディングを懸念すべき状況が始まる。

ドラッケンミラー氏: それでも米国経済はハードランディングする
結論

前回の記事では低金利とドル安と言ったが、「金利」の意味するところは考える必要がある。

米国の金利低下・ドル安トレンドが数ヶ月以内に確定する可能性
利下げ織り込みなら真っ先に低下するのは短期金利だが、その時長期金利が同じだけ下がるかどうかは分からない。長短金利差は再上昇で動くだろうからである。ドルについてはそのように動く長期金利から、期待インフレ率を引いた実質金利期待に左右されることになる。

そして消費の減速が来るまでは、金利とドルの他にコモディティにも注目すべきだろう。市場がハードランディングを織り込み始めるまでは、コモディティには追い風である。

ガンドラック氏: ドル安は始まった、金利は下がり、コモディティは上がる
ウラン投資のポテンシャル: 気候変動と原子力発電

いずれにせよ各回のインフレデータを厳密に予想することは出来ないが、インフレ抑制トレンドが本物であれば、これから数ヶ月金利とドルとコモディティに注意すべきである。どれに一番恩恵が行くかは要検討だろう。
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/38805

7. 中川隆[-12367] koaQ7Jey 2023年8月22日 23:16:12 : ndiUbIOqO2 : QnFTdXJFU1R5SC4=[1] 報告
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金利高騰による株価下落で米国経済ハードランディングの確率高まる
2023年8月22日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/39134

アメリカでは長期金利が上昇し、それが原因で株価が下落している。だが問題はそれだけではなく、この動きがアメリカ経済のハードランディングが近づいていることを示しているということである。

コロナインフレ後の長期金利

コロナ後の現金給付によって発生した物価高騰により、Fed(連邦準備制度)は2022年から大幅な利上げを強いられてきた。だが政策金利がゼロから5.25%まで上がり、ようやく利上げ停止から利下げ観測も出てきたタイミングで、長期金利が再び上がり始めている。

ガンドラック氏: アメリカの利下げはいつあるか
アメリカの長期金利は次のように推移している。


だが長期金利、つまり10年物国債の金利は上がっているものの、2年物国債の金利は今後の利下げを織り込んでピークを下回っていることを指摘しておいた。

米国株下落の原因: 利下げ織り込みでも止まらない長期金利急騰
この状況で懸念すべきことは何か、ここの読者ならば分かるだろう。長短金利差の上昇である。

長短金利差の上昇

長短金利差とは、10年物国債の金利から2年物国債の金利を引いたものである。債券は通常、期間が長いほど金利が高くなるので、長短金利差はプラスになるのが普通である。

だが急激な利上げが行われ、経済がそれに耐えられないと市場が判断するとき、政策金利に影響される短期金利の方が将来の景気に影響される長期金利より高くなる。この時に長短金利は逆転し金利差はマイナスになるのだが、アメリカの長短金利差は去年からずっと逆転している。

経験ある投資家なら知っていることだが、長短金利差の逆転は歴史上ほとんど例外なく景気後退の前触れである。

だがもう少し詳しく言えば、債券投資家ジェフリー・ガンドラック氏が指摘していたように、景気後退になるのは長短金利差が一度マイナスまで下落し、そこから再び上昇に向かっていった後のことである。

だから景気後退を警戒すべきタイミングは、長短金利差の再上昇があった後だということになる。

長短金利差の再上昇と景気後退

だが何故そうなるのか。長短金利差が再上昇するシナリオには大まかに言って2パターンがある。当たり前だが、短期金利が下落する場合と、長期金利が上昇する場合である。

それぞれの場合を考えたい。まず短期金利の下落によって長短金利差が再上昇してから景気後退が起こる場合だが、短期金利は今後の政策金利の市場予想を反映して動くので、経済状況の悪化によって市場が利下げを予想しなければならない状況になっているということである。

この場合は長期金利も下がるだろうが、それよりも短期金利の下落が速い場合、それほど急激に利下げをしなければならないほど経済の状況が悪いことを示している。だからその後に景気後退が起きるのである。

次に長期金利の上昇によって長短金利差が再上昇する場合だが、長短金利差が逆転した時点で金融引き締めがやり過ぎなのだから、その状況から更に金利が上がれば勿論経済は死ぬだろう。

これがまさに今の状況であり、だから以下の記事に書いたように、期待インフレ率低下(デフレの織り込み)と長期金利上昇が組み合わさっている現状が良くないのである。

米国株下落の原因: 米国債から資金流出の兆候
結論

ただ、長期金利が上がる後者の場合の方が実際に景気後退入りするまでの時間はかかるだろう。短期金利がそれほど下がっていない時点で、金融市場はまだ余裕をかましている。だがそこからいずれ短期金利も下落し、上記の2つのシナリオのうち前者にシフトする時が来る。だからこれから注目すべきは2年物国債の金利である。

更に実体経済側の指標で言えば、個人消費とGDPに注意すべきだろう。賃金が減速し、個人消費が減速して来るならば、個人消費に頼っているGDPがようやく減速してくる。

景気後退懸念のなか加速した第2四半期アメリカGDP成長率
だがやはり金融引き締めの影響が回り回って実体経済に来るまでにはまだ時間がかかっている。2021年の恒大集団のデフォルトの問題が2023年に佳境となっているのと同じことである。

サマーズ氏: 中国がアメリカを追い抜く話はバブル期の日本神話と同じ
巨大なバブルは崩壊に時間がかかる。中国の2021年からから2023年を見て、アメリカの2023年から2025年を考えるべきである。

今の中国経済のバブル崩壊は2年後の米国経済の姿を表している

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/39134

8. 2023年9月27日 02:50:54 : rixK5l7oGM : WlBHM1VBWkFFQU0=[2] 報告
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ガンドラック氏、長短金利差から米国の景気後退入りのタイミングを予想
2023年9月26日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/40195

DoubleLine Capitalのジェフリー・ガンドラック氏が自社のウェブキャストでアメリカ経済の景気後退とインフレについて語っているので紹介したい。

長短金利の逆転

ガンドラック氏が注目しているのは、10年物国債の金利から2年物国債の金利を引いた長短金利差である。

長短金利差はここの読者にはお馴染みだろうが、景気後退を予想するための確度の高い指標である。

金利は通常期間が長いほど高くなるが、債券市場が利上げの行き過ぎによる景気後退を予想すると、政策金利に影響されやすい短期金利が上がり、景気見通しに影響されやすい長期金利が下がることで、長短金利差が逆転する。

そしてその長短金利差が今どうなっているかと言えば、ガンドラック氏は次のように述べている。

長短金利はしばらくの間逆転し続けている。

歴史的には、長短金利が逆転した後、ほとんど例外なく景気後退が起きている。それは金融関係者には良く知られた事実である。

だが問題は景気後退入りのタイミングである。ガンドラック氏は次のように述べている。

長短金利が逆転し、金利差がゼロを下回った時には、警告としては受け取るべきだが数週間や数ヶ月で景気後退になるという短期的な警告ではない。長短金利はそのまましばらくの間逆転し続ける。

そして景気後退はまだ起こらない。

だがその瞬間はいずれ訪れる。歴史的にはどうなっているのか。長短金利差の長期チャートは次のようになっている。灰色の期間が景気後退である。


これを踏まえてガンドラック氏は次のように説明している。

だが本当にシグナルを発するのは、長短金利差が数ヶ月か数四半期逆転し続けたあと急速に逆転が解消され、金利差がゼロ以上に戻る時だ。

上のチャートを見ると、大抵の場合長短金利差がマイナスになり、その後プラスに戻ってから景気後退入りしていることが分かる。

それは中央銀行が利下げを考え始め、短期金利が下がり始めるタイミングである。景気後退入りがほとんど明らかになり、中央銀行は慌てて利下げを検討するがもう手遅れだという状態に毎回なるわけである。

9月FOMC会合結果はタカ派、引き締めを止めるべきタイミングを理解していないパウエル議長
ガンドラック氏は次のように続ける。

長短金利差がゼロ以上に戻る時、経済は本当に景気後退寸前だ。

アメリカ経済の景気後退入り

問題はこれからどうなるかである。ガンドラック氏は長短金利差が長らく逆転していることを考え、次のように述べている。

アメリカ経済は2024年前半に景気後退に陥ると予想している。

今は2023年の第4四半期に入りつつあり、今の経済の強さを考えれば今年中に景気後退になることは考えづらいが、来年の第2四半期までには景気後退になるだろう。

筆者も逆転解消がそろそろだろうと思う。最近、市場では長期金利の上昇が話題になっている。以下の記事で説明した通り、筆者はこれを米国債からの資金流出の兆候であると考えている。

米国株下落の原因: 利下げ織り込みでも止まらない長期金利急騰
逆に政策金利に影響される短期金利の方はあくまでも政策金利の見通しに固定されているので、長期金利ほどは上がらない。

この状況は長短金利差をプラスに押し戻しやすい。

また、それは同時に景気後退で長期金利低下よりも短期金利低下に賭ける方が合理的であることも意味している。

ガンドラック氏は長期金利低下を予想し続けているが、景気後退に賭けるならば短期金利だろうというのが筆者の見方である。

いずれにせよ来年までにはまだ3ヶ月もある。その間はエネルギー価格上昇などで稼ぐほかないのである。

ガンドラック氏: 原油価格上昇はインフレを押し上げる

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/40195

9. 中川隆[-12311] koaQ7Jey 2023年10月06日 00:09:10 : wyzUItjFJY : QjF1LjQwcWp1MUU=[14] 報告
<■54行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可>
ガンドラック氏: 景気後退が急激に近づいたことを警告する長短金利差の急変化
2023年10月5日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/40384

DoubleLine Capitalのジェフリー・ガンドラック氏が最近の金融市場の動向がアメリカ経済の景気後退の到来を示唆しているとTwitterで指摘している。

長短金利の逆転

ガンドラック氏は次のように言っている。

長短金利の逆転が急激に解消されつつある。

長短金利の逆転とは、アメリカで2年物国債の金利が10年物国債の金利よりも高くなっていることを指す。

通常、債券は期間が長いほど金利が高くなる。だから長期金利から短期金利を引いた長短金利差はプラスになっているのが普通である。

だが強すぎる利上げにより将来的に景気後退が来ると債券市場が織り込むと、政策金利に左右されやすい短期金利は高いままだが、将来の景気に左右されやすい長期の金利がそれよりも低くなる。そして長短金利差がマイナスになる。

長短金利の逆転は、歴史上ほとんど例外なく景気後退の前触れとなってきた。そして今どうなっているかと言えば、アメリカで長短金利は逆転している。ガンドラック氏は次のように述べている。

長短金利差は数ヶ月前まで-1.08%だった。今は-0.35%だ。

長短金利逆転の解消

ガンドラック氏が今指摘しているのは、長らくマイナスとなっていた長短金利差が上昇に転じていることである。長短金利差のチャートは次のようになっている。


長短金利差がマイナスになれば、その後ほぼ例外なく景気後退が起きる。だが実際には、過去の例では景気後退が起きるのは長短金利差がマイナスになり、そしてプラスに戻った後である。

例えば2008年のリーマンショックにおいては長短金利差のチャートは次のようになっている。灰色の期間が景気後退である。


以下は2001年のインターネットバブル崩壊時の長短金利差である。


両方とも長短金利差がマイナスである間は景気後退にならず、それが解消された後に景気後退になっている。

結論

ということで、長らくマイナスになっていた長短金利差がプラスに近付きつつあることは、景気後退が本当に近づいたサインなのである。ガンドラック氏は次のように述べている。

これは景気後退に気をつけ始めるシグナルどころか、景気後退に向けての直接的な警告だ。

もうすぐ雇用統計も発表される。遂に上昇トレンドに乗りつつある失業率について、ガンドラック氏は次のように述べている。

失業率があと0.2%か0.3%ほどでも上がれば、それも景気後退の警告だ。

シートベルトを締めておくことだ。

失業率のチャートは次のようになっている。


だが、長短金利差については筆者は最近、1970年代の物価高騰時代において長短金利差がマイナスのまま景気後退に突入していることが気にかかっている。

それは当時、景気後退に突入してもなおインフレ退治のために政策金利を高く保たなければならなかった(だから連動する短期金利が長期金利に比べて高いままとなった)ことを意味している。

そうなれば、最近下落している株式市場にとっては更に悪いニュースである。

2024年の米国株予想: 株価は最大で50%下落する
株式市場の方の予想はそれほど難しくない。だが債券市場の方はガンドラック氏が言うよりも複雑なことになるかもしれない。

インフレ政策が引き起こした40年来のインフレ相場であり、中央銀行も破綻しかねない状況なのだから、より多くの可能性に備えておくべきだろう。

世界最大のヘッジファンド: 中央銀行でもインフレで破綻する可能性

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/40384

10. 中川隆[-11960] koaQ7Jey 2023年12月19日 20:59:17 : Uygs8C3FA2 : TGx2UEJieExzWEE=[1] 報告
<▽43行くらい>
ガンドラック氏、米国株の下落タイミングを予想
2023年12月19日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/42636

引き続き、DoubleLine Capitalのジェフリー・ガンドラック氏のCNBCによるインタビューである。今回は現在盛り上がっている株式市場が下落に転じるタイミングについて予想している箇所を取り上げたい。

株高は続くのか

Fed(連邦準備制度)がFOMC会合で来年3回の利下げを示唆して以来、株式市場は調子がいい。

12月FOMC会合結果でドル円が急落した理由
ガンドラック氏はそれが年末まで続くのではないかと予想している。

ガンドラック氏: 米国の利下げは株価にプラス
だが一方で、ガンドラック氏は来年第2四半期までの景気後退をメインシナリオとしている。

ガンドラック氏: インフレが下がる限り景気後退は絶対に起きる
景気後退になれば1株当たり利益が下がり、株価は下がらざるを得ない。だからガンドラック氏は株価がここから反転して下落することを予想している。

ガンドラック氏の予想する下落タイミング

だが投資家にとっての問題は下落のタイミングである。それを予想するためにガンドラック氏が持ち出すのは、長期金利から短期金利を引いた長短金利差である。

金利は通常長期の方が短期より高くなるが、債券市場が政策金利の高過ぎで将来の景気後退を見込む場合に長期金利が短期金利より低くなり、長短金利差がマイナスになる。

アメリカでは長短金利が長らく逆転したままとなっているが、これについてガンドラック氏は次のように言っている。

長短金利の逆転が解消され、投資家が反射的に債券を買い始めると、それは通常リスク資産の天井だ。

長短金利差は現在どうなっているのか? チャートを見てみよう。


長短金利差は長らくマイナスのままである。

ガンドラック氏はこの長短金利差が再びプラスに転じるときが株式市場の最期だと言っている。

景気後退と株価下落

それは何故だろうか? 長短金利の逆転が解消されるのは、例えば中央銀行が再び利下げをしなければならないほど経済が悪くなり、短期金利が長期金利よりも急激に下がってゆくような状況である。

そのような状況においては金利が下落するにもかかわらず株価は下がってゆく。リーマンショックの時が良い例である。

リーマンショック時における米国株、政策金利、住宅価格の推移
ガンドラック氏はそういう状況を予想しているのだろう。彼は次のように予想している。

株式を持ち続けるのも良いが、いつかは方向転換しなければならない。しかもかなり急激に方向転換しなければならなくなるだろう。

インフレは上に行き過ぎ、そして下に行き過ぎる。経済も下に行き過ぎるだろう。失業率は上がらなければならない。

https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/42636

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