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一夫一妻制の起源
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投稿者 中川隆 日時 2020 年 5 月 01 日 15:22:14: 3bF/xW6Ehzs4I koaQ7Jey
 

(回答先: 民主主義の起源 投稿者 中川隆 日時 2020 年 4 月 24 日 10:43:26)

2020年01月26日
一夫一妻制の起源
https://sicambre.at.webry.info/202001/article_39.html


 有名な男優が起こした不倫事件とそれへの反応に伴い、Twitter上でも一夫一妻(一夫一婦、単雄単雌)についてそれなりに盛り上がったように見えます。「経験的に本能に反する一夫一妻制」との発言もある一方で、「人類は一夫一婦制に向いていないのか」との記事を引用して、そうした見解を否定する発言もあります。現生人類(Homo sapiens)では一夫多妻を容認している社会が歴史的に多かったと言えるでしょうが(他に多夫一妻などもありますが)、前近代の日本社会もそうだったように、一夫多妻を容認するような社会でも一夫多妻は一部にのみ見られるものであり、多くの人々は一夫一妻を維持してきました。

 この一夫一妻(単雄単雌)の起源をめぐって、上述のように一般層の認識は分かれていると言えそうですが、学界でもそれは変わらないようで、複数の仮説が提示されており、まだ決着していません(関連記事)。「人類は一夫一婦制に向いていないのか」との記事では、人類を定義する最重要の特徴とも言える常習的な直立二足歩行の定着を、配偶形態における単雄単雌の定着による雄から配偶者である雌への食料運搬で説明しています。この仮説では、人類系統における配偶形態の単雄単雌の起源は、直立二足歩行と同じくらいひじょうに古いことになります。

 化石種の配偶形態については、形態の性差(性的二形)が強く関わっている、とされます。性的二形が強いと単雄複雌、弱いというか性差がほぼないようだと単雄単雌というわけです。現代人は、単雄単雌のテナガザルほどではないとしても、ゴリラ属やチンパンジー属など他の近縁系統よりも性的二形は弱くなっています。ただ、初期人類進化史において化石記録は断片的なので、性的二形の程度については議論が分かれています。440万年前頃のアルディピテクス・ラミダス(Ardipithecus ramidus)では雌雄の体格差が小さかったと推測されており(関連記事)、現代人の祖先である可能性の高いアウストラロピテクス・アファレンシス(Australopithecus afarensis)についても、性差は現代人並だった、との見解もあります(関連記事)。

 ただ、440万年前頃のラミダスが現代人系統なのか、かなり疑問ですし(関連記事)、アファレンシスについても、性的二形は現代人よりずっと強かった、との見解の方が有力と言えるでしょう。ホモ・エレクトス(Homo erectus)の性的二形はアファレンシスと現代人の中間程度との見解が妥当だとすると(関連記事)、人類史における配偶形態の単雄単雌(一夫一妻)はホモ属以降とも考えられます。ただ、社会構造と性差との関連はそれほど明確ではない、との指摘もあります(関連記事)。その意味で、アファレンシスの時点で配偶形態はある単雄単雌にかなり傾いていた可能性もあるとは思います。

 人類の配偶形態の変遷については、その社会構造の変化の中で考察しなければならず、現時点で私には詳細かつ的確に論じるだけの準備はとてもありません。この問題に関しては、化石記録からの推測に限界がある以上、人類も含まれる類人猿(ヒト上科)社会の在り様も参考にしなければならないでしょう。現生類人猿社会から強く示唆されるのは、類人猿社会の重要な共通する特徴は非母系である、ということです。そこから、テナガザル属のような単雄単雌も、ゴリラ属のような単雄複雌も、チンパンジー属のような複雄複雌も進化してきたのではないか、と思います。

 では、人類社会はどうなのかというと、少なくとも現生人類に関しては、他の現生類人猿と比較して重要な特徴は、一つには、ゴリラ属のような家族的単位とチンパンジー属のようなやや大きな規模の集団とを両立させ、後者の中に前者が組み込まれている、ということだと思います。もう一つは、出自集団を離れて他の集団に合流しても、出自集団との関係を維持し続ける、ということです。つまり現代人の社会は基本的に、無系でも父系でも母系でもなく双系的というわけです(関連記事)。もちろん、個々の社会が父系もしくは母系に傾いていることは珍しくなく、その程度も多様です。

 このような現生人類社会の特徴がどのように形成されてきて、それが配偶形態と関わっているのか、私の現在の知見ではとても的確に推測できません。まず、ゴリラ属で時として見られるように、父系的な集団が形成され、その中で単雄単雌や単雄複雌の排他的な配偶関係が成立したのでしょう。その後、雌の出自集団とのつながりの維持と、配偶形態の単雄単雌傾向が定着していき、これは、脳容量の増加と直立二足歩行への特化により、出産がさらに困難になったことと関連しているのではないか、と考えています。その意味で、単雄複雌の排他的な配偶関係傾向の確立はホモ属以降ではないか、と考えているのですが、出自集団とのつながりが維持されるようになった時期も含めて、現時点では妄想にすぎないので、この問題は今後も調べていきます。

https://sicambre.at.webry.info/202001/article_39.html  

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