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1969年の米国で6%のインフレを抑えるためにどれだけの利上げが必要だったか
http://www.asyura2.com/20/reki5/msg/1490.html
投稿者 中川隆 日時 2022 年 2 月 12 日 17:12:04: 3bF/xW6Ehzs4I koaQ7Jey
 

(回答先: 株価を暴落させるのはインフレではなく、インフレが引き金となる金融引き締め 投稿者 中川隆 日時 2021 年 5 月 26 日 08:31:41)

1969年の米国で6%のインフレを抑えるためにどれだけの利上げが必要だったか
2022年2月12日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/19818


アメリカやヨーロッパにおける物価高騰を抑えるために中央銀行は利上げを余儀なくされており、2022年の株式市場では今年何回の利上げが行われるのかということが問題になっている。

だが実際にどれだけの利上げが行われるのだろうか? それを考えるためには、アメリカで過去に同じ規模のインフレが起こった時にどうだったかを調べるべきだろう。

過去のアメリカのインフレ

ここの読者には言うまでもないことだが、アメリカで過去に物価が高騰したのは1980年にかけてのことである。

しかし以下の記事に書いたように、当時のインフレは3回の波に分けて襲ってきた。

現在のアメリカの物価高騰はインフレ第1波に過ぎない

この中で最大だった第3波は15%近くものインフレとなっているので、現在の7.5%のインフレと比べるにはいささか適切ではない。

1月の米国CPIは7.5%に加速、コロナが全力でインフレを支援

よって今回は当時のインフレ第1波、1969年にかけてのおよそ6.4%の物価上昇の時について書いてみよう。

当時のインフレの原因

そもそも当時のインフレの原因が何だったかと言えば、1965年から始まったベトナム戦争での戦費増加により財政赤字が拡大し、拡大した財政赤字の資金は景気刺激としてアメリカ国内に流入したことである。当時のアメリカのGDP比財政収支のチャートは次のようになっている。


現在のアメリカの財政赤字はGDPの12%なので、それに比べれば可愛いものだが、重要なのはこのタイミング(ベトナム戦争)からアメリカの財政赤字拡大トレンドが始まったということである。これが今の莫大な財政赤字の萌芽なのである。

しかも財政支出によるインフレ開始というのは現在の状況に似ている。きっかけが戦費であれ現金給付であれ、ばら撒かれた資金は経済に対してインフレ的に働く。

このインフレ要因、当時で言えばベトナム戦争が10年続いたことも、コロナが何年も続いていることと似ているだろう。

どちらの場合も政府によって恣意的にばら撒かれた資金が格差を拡大し、ばら撒きにもかかわらず豊かにならない人々が更なるばら撒きを求める。しかし問題は解決しないどころか悪化する。彼らが学ばなければならないのは、政府が本当に困っている人々に役立つ形で資金をばら撒くことはないということである。

世界最大のヘッジファンド: 政府が金融危機から守ってくれると思うな

こうして政府から降ってくる10万円を求める人々にインフレという適切なご褒美が与えられるのは今も昔も同じである。人々はたった10万円のために何十万も損をする。アメリカでは30万円以上が降り注ぎ、代わりに貯蓄の7.5%が目減りしたわけである。おめでとうと言う他ないだろう。

1969年のインフレ第1波

このように今と同じ財政支出によって起こったのが1969年にピークを迎えるインフレ第1波である。この時のインフレ率の頂点は6.4%で、現在の7.5%よりも低い。

ここからが今回の記事の本題である。当時、このインフレ率を抑えるために政策金利をどれくらい上げる必要があっただろうか? インフレ率と政策金利を並べると次のようなチャートになる。


第1波のところを見ての通り、1969年の6.4%のインフレを退治するために必要だった政策金利の水準は9%である。

当時の金利水準が元々高かったことを考慮し、利上げ幅で考えるとしても4%から9%で5%の利上げとなっている。そして、今のインフレ水準はまだピークでないにもかかわらず、当時のピークよりも高い。

現在の市場ではFed(連邦準備制度)は年内すべてのFOMC会合での利上げが必要になるとか、1回の会合で2回分の利上げが必要になるとか言われている。

サマーズ氏: インフレで政策金利は2%以上まで利上げされる可能性

しかしそれでも政策金利は1年後にようやく2%かそこらに達するに過ぎない。当時の5%利上げには遠く及ばない。それで当時よりも強力なインフレ圧力がどのように緩和されると言うのだろうか?

不況から緩和再開へ

筆者や著名投資家の推測によれば、現在の株式市場が耐えられる利上げ幅はせいぜい1%である。

サマーズ氏: 市場を急落させても4回の利上げが必要

だが少し前まで厳しいものと考えられていた、インフレ退治に1%(4回)の利上げが必要という話も今では笑い話になってしまう。

2018年のように中央銀行が降参して利上げを諦め、株安が収まるというシナリオもない。2018年には中央銀行は自主的に利上げをしていたが、今ではインフレが利上げを緩めることを許さないからである。

2018年の世界同時株安では何から順番に暴落したかを振り返る

もしその程度の利上げでインフレが収まるとすれば、その可能性は1つしかない。株価が暴落して不況になり、その結果デフレになるというシナリオである。

2022年の株式市場はインフレと金融引き締めで暴落する

1969年のインフレにおいても結局は利上げによって景気後退に陥り、その後唱えられた緩和再開こそが悪名高いニクソンショックである。

ドル紙幣は元々中央銀行に持っていけばゴールドと交換してもらえるゴールドの預かり証のようなものだったのだが、ニクソン大統領がそのゴールドとの交換を取りやめると発表したのである。

政府が国民から預かっていただけだったはずのゴールドは何処に行ったのだろう? ともかくこの時から紙幣は正真正銘ただの紙切れになったのだが、何故か人々はこの何の効力もない紙切れを未だに後生大事に持ち続けている。現金給付への支持も含めて、人々の行動は筆者には本当に謎である。

結論

ということで、1%や2%の利上げで市場が騒いでいるのはそもそも笑い話に過ぎず、その規模の利上げでも株価は暴落するだろうがインフレだけが勝手に収まることはなく、最終的には景気後退から緩和再開を経て更に規模の大きいインフレ第2波へと続いてゆくだろう。

現在のアメリカの物価高騰はインフレ第1波に過ぎない

しかし人々は何故株から逃げないのだろう? 同じく中央銀行の金融引き締めで株価が暴落した2018年終盤にも、筆者は全く同じことを思っていたのである。他人のやることは本当に理解不能である。

バブルの頂点で日経平均は上昇、空売りを淡々と継続 (2018/9/20)


https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/19818  

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コメント
1. 2022年2月12日 18:24:37 : hWN1wv8jWI : NzFSNHRrTkxkLy4=[29] 報告
コロナ蔓延でもインフレ止まらず、12月米物価上昇率は7.1%
2022年1月13日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/18620


1月12日、アメリカの最新のCPI(消費者物価指数)統計が発表された。12月のインフレ率は7.1%(前年同月比、以下同じ)となり、前月の6.9%から加速してついに7%台となった。

コロナ以後、インフレ率については前年比にすると比較対象の前年が極端に低い数字となってしまっていたため前月比年率を使ってきたが、そろそろ前年同月比に戻しても良いだろう。前月比のデータは月ごとの要因を打ち消すために恣意的な指数調整に頼っており、その不正確さが市場で問題になったこともある。出来る限り前年同月比を使ったほうが良いだろう。

インフレ率はついに7%台へ

さて、では物価上昇率のチャートを見てみよう。


コロナ後の物価の上がりようは見事である。現金給付と脱炭素がちゃんと仕事をしたということだろう。

サマーズ氏: エネルギー価格を高騰させる脱炭素政策は健全ではない

グラフをもう少し詳しく見ると、12月に入って勢いはやや鈍化したように見える。夏頃に一度チャートに踊り場が出来ていることに注目すると、この踊り場は夏のコロナ蔓延が一因となって引き起こされたものであり、アメリカで現在の波が12月頃から始まったことを考えれば、今回やや勢いが落ちているのはオミクロン株のためかもしれない。

そうであれば1月や2月のインフレ率もやや減速し、同じような踊り場が出来る可能性もある。しかし逆に言えば、コロナが収まればまた物価の高騰が始まるということでもある。どちらが良いのか分からなくなってくる状況である。

上がり続ける住宅価格

ではいつものようにCPIの内容を見てゆこう。まずは金融緩和と現金給付によってもたらされた住宅バブルを反映している(はず)の要素、家主の見なし家賃からである。

家主の見なし家賃とは、家主が賃料を払ったと仮定して算出するCPI住宅関連の要素であり、12月の数字は3.8%の上昇となっている。


ほとんど垂直上昇である。

それもそのはずで、実際にはアメリカの住宅価格は2桁上昇となっており、3.8%どころではないのである。債券投資家のジェフリー・ガンドラック氏ら専門家がこの要素が住宅市場の実体を表していないとして何度も批判している。

しかしそれでも実体を遅れて表してくるのであれば、家主の見なし家賃はこのまま上がり続けるだろう。そしてそれはコロナの波による経済の短期的な落ち込みにも影響されていないように見える。

エネルギー価格は一旦停止

次はエネルギー価格である。化石燃料の供給を無理矢理制限する脱炭素政策のために怒涛の上昇を続けていたエネルギー価格だが、12月は29.6%の上昇となり、11月の33.5%からやや減速した。


これは原油価格が冬より前に上がりきったこと、そしてオミクロン株が発見されたことで11月に下落を始めたことが原因だろう。アメリカの原油価格のチャートは次のようになっている。


原油価格はコロナの波をある程度反映する推移となっている。CPI全体の夏の踊り場も夏の原油価格の下落が一定の役割を果たしているだろう。

結論

だが原油価格は回復している。今後物価はどうなるだろうか。現在7.1%の物価の今後の推移がアメリカの利上げを左右し、アメリカの利上げが世界の株式市場の命運を握っている。

2022年の株式市場はインフレと金融引き締めで暴落する


まず今短期的に経済を抑えているコロナには波があるので、アメリカでは春前には状況は今よりは良くなっているだろう。

更に物価全体、そして原油価格に影響を与えるのが、金融政策の水準である。そしてアメリカの中央銀行が今どうしているかと言えば、インフレ率が7.1%の高さにある中で、金利を0%から0.75%に上げるかどうかを話し合っている。

12月FOMC会合結果: 利上げ3回示唆でタカ派に転換も株価は上昇


それでインフレが止まるわけがないのである。1970年代の物価高騰では政策金利をインフレ率より上に上げなければインフレは止まらなかった。

何度も言うが0.75%は低金利である。しかしその低金利でさえ株式市場を殺してしまうかもしれない。

マイナード氏: 来年の利上げは株価にとって危険


アメリカ経済は完全に終わっている。中央銀行はいずれ利上げの更なる加速を表明し、株式市場は下落するだろう。慌てた中央銀行が緩和を再開し、ドルが暴落するところまでを専門家は既に織り込んでいるのである。

サマーズ氏: 中央銀行と市場はインフレを過小評価、政策金利は2.5%以上まで上がる
世界最大のヘッジファンド: ドルとユーロと円は暴落する


https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/18620

2. 2022年2月24日 10:56:43 : fCdzHcj1RA : eHVuQXh4bXYxNUE=[3] 報告
12月のアメリカの住宅価格は18.8%上昇、サブプライムバブルを大きく上回る
2022年2月23日 GLOBALMACRORESEARCH
https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/20231


これまでは逐次報じることはしていなかったが、インフレの世界で気にしなければならない経済データといえば住宅価格だろう。12月分のケース・シラー米国住宅価格指数が発表され、前年同月比で18.8%の上昇となった。

アメリカの住宅バブル

ほとんど20%に達している。それがどれくらいのインフレかを実感するために少し長めの期間でチャートを見てみよう。


これを見て気付く読者は気付くと思うのだが、リーマン・ショックを引き起こした2007年までの住宅バブル以上のバブルが今アメリカで起こっているのである。

現在の物価高騰全般の原因は現金給付と低金利だが、住宅価格については低金利の影響が大きいだろう。インフレを警戒して去年末に利上げを始めたイギリスと違い、アメリカではまだ利上げを行なっておらず、したがって7.5%のインフレが起こっている状況で政策金利はゼロである。

イギリスがいち早く利上げ実行 早期インフレ撃退なるか (2021/12/19)
一方で住宅市場に影響を与えるのは長期金利である。長期金利をもとに住宅ローン金利が決定され、住宅ローン金利が低ければ購入者がローンを組みやすくなる。

ローンを組むということは、お金を持っていなくとも住宅を買えるということである。しかしコストがかかる。コストとは住宅ローンの金利である。

だがこの金利がコストにならない場合がある。購入した住宅の価値が金利を上回るペースで上がる場合である。

現在、アメリカの住宅価格は年間18.8%のペースで上がっており、住宅だけでなく食料品やガソリン代なども上がってる中、アメリカ国民はこれからインフレになることを実感しつつある。

こうした住宅価格の高騰がこれからも続くならば、仮にローン金利が10%でも買った住宅の価値が年に18.8%上昇すれば元が取れてしまう。しかもローンとはお金を借りることだから、お金を持っていなくても買えてしまうのである。

ではローン金利の基盤となる長期金利が今どの水準かと言うと、次のような水準で推移している。


年間18.8%価格上昇するものを手に入れるためのコストは年間2%である。あるいは逆に住宅を買わずに賃貸で住み続ければ、家賃が18.8%上昇することになる。

アメリカに住んでいて住宅を買わない理由があるだろうか?

結論

一部の人はいまだに時間が経てばインフレが落ち着くと何の根拠もなく主張しているが、そんな訳がないということが分かってもらえたと思う。

インフレとは自然に悪化するものである。これからものの値段が上がるなら、先に買えるものは先に買っておこうとするだろう。食料品は難しいが、先に買ってそのまま持っておける現物資産といえばまず不動産である。

だからインフレが更なるインフレの原因になり、状況はどんどん悪化してゆく。

資本主義経済は金利上昇という自制機能を備えているが、金利がマクロ経済について何も知らない役人に操作されている間はインフレは悪化し続けるだろう。だからジェフリー・ガンドラック氏は政策金利を撤廃して市場に短期金利を決めさせろと言っているのである。

ガンドラック氏: 12才児よりも愚かな中央銀行の存在意義が分からない
筆者は実際のところそれが将来起きると予想している。だが物価高騰が本当に1970年代のレベルに達するまでそれは起きないだろう。手遅れにならなければ何もしないのが役人と政治家だからである。彼らの存在意義は何なのだろうか。

ハイエク: 政府から通貨発行の独占権を剥奪せよ


https://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/20231

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