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これはおどろいた！
愛知県立大学の倉橋正直教授（中国近現代史）の最新刊「日本の阿片王ー二反長音蔵とその時代」（協栄書房）の内容だ（朝日新聞が１０月２１日付けでこの学者と本を紹介している）
大日本帝国は日清戦争後，台湾でアヘンの専売体制を敷キ，国家管理を行ったという。で、何をしたのか。アヘンを国家てキ管理のもと栽培し，モルヒネを作り戦場の必需品である鎮静剤として利用する。その一方で，アヘンを吸うことを週刊としている中国人に麻薬として販売視ていたというのだ。で、これが文字どおり「濡れ手に粟（あわ）」というほど利益を上げており，日中戦争を財政的に支え「決して裏面史などではなく，日本の中国侵略の根幹をなした」というのである。台湾では原料を輸入していただけのところ，音蔵という日本人が台湾総督府に掛け合い，ケシ栽培を成功させた。第一次大戦でモルヒネ需要の高まりにつれ，内務省がケシ栽培の講習会を主催し，音蔵はそこに招かれエキスパートになり，その後朝鮮半島や中国大陸でも極めて熱心に指導に当たり、彼が残した記録を整理して当時の日本政府の財政メカニズムを明らかにしたものだ。これは、日本の東アジアへの侵略ないし、いわゆる進出の性格を考察する場合、極めて重要な資料になると思われる。
高杉晋作は中国大陸で、大英帝国のアヘン販売アヘン戦争を見て西洋列強に対し苛烈な批判をしていたが、大日本帝国は、イギリスが中国でやっていたこと、彼らがいかに、中国人の身体を麻薬で破壊していた実態を完全に知りぬいている。
モルヒネを作ることは問題がないとしても、アヘン中毒に七転八倒して苦しんでいた中国のことを知りながら、一方で財政補強のため麻薬を売っていたとなると、人道的倫理的に極めて深刻な問題があるといわざるをえないだろう。しかも売っていた相手には基本的日本人は含まれていないという事実は見のがせない。
大日本帝国政府はイギリス帝国主義の方法論を研究して採用している。イギリスのやっていたことを、そのまま踏襲している。大日本国帝国政府は八紘一宇だの五族協和だの美辞麗句を並べ立てていた看板は偽りありだった、偽りの側面が小さくなかったといわざるをえない証拠を補強する新研究と今回なっている。
八紘一宇だ、五族協和だ、といった政府のスローガンを真に受けて、大日本帝国政府は美しい正義の哲学を持っていたと信じることができる政治的にナイーブな人々がいるのである。小林よしのりの編集する雑誌の最新号で、田原総一郎と対談をしているが、小林はそのなかで、みずから、これはロマンチシズムかもしれないが、と認めているように、大日本帝国政府を賛美する人々は、マンガの中の美しい日本を見て幻惑されている、ロマンチストなのである。戦前の苛烈なに日本国内体制を経験したことがないだけに、ロマンにいっそう磨きがかかるわけである（その点、田原も古小林をそのように批判しているが）。ロマンに自己陶酔するのでなく、戦前の日本政府が実際、いったい何をやっていたのか、地に足をつけ、あくまで実証的・実務的に検証し、実体的な認識をする必要がある。
日本政府の販売したアヘンにより、台湾人中国人朝鮮人が数十万から１００万人単位で中毒化し、あるいは身体を壊し、財産を失い（彼らの財布のカネは朝薬代として日本政府の侵略費用に移転した）、中毒死し、その家族を不幸のどん底におとしいれてきたのであろう。この研究で、八紘一宇、五族協和のスローガンが日本を美化荘厳化、栄光化するための、上っ面な宣伝だった、欺瞞だった可能性がいっそう高まったといえる。また、天皇の名のもとに国策としてアヘン販売で政府がカネを儲けているということは、天皇の名のもとに、台湾人中国人朝鮮人が収奪され身体破壊され殺されたことを意味するのであり、権威を与えることを拒絶しなかった天皇自身にも責任はおよぶものである。天皇はすくなくとも間接的に麻薬の売人だったことになるのだ。しかし、最新研究では彼は相当積極的に政策判断にたちいっていることが判明しており、つまり、日本政府が軍用のモルヒネをどのように調達し、財政の流れがどうなっていたか、「英明なる天皇」が十分認識していないはずはなく、つまり、アヘンが販売されていたことは、当然把握している可能性が絶大に高いのである。あなたが崇敬する「陛下」の犯罪、日本の（現人）「神」の犯罪なのである。
実証的な研究に基づく、実態の把握が必要だ。旧日本政府の東アジア進出が美談で輪を閉じる壮大なロマンの物語を編む人々。
ロマンに色を塗りたくって生きる人間は事実に直面する実力は著しく欠くのであり、未来を確実に生きる礎をもたないものなのである。
日本政府の指導下で、アヘンを買い、吸い、人間でなくなっていった台湾人中国人朝鮮人のことを想像力をはたらかして深く思え。それを深く思えぬなら、ある意味で現在の北朝鮮を非難する資格はない。
現在の北朝鮮も国家政策としてコカインを栽培し、日本にやくざを通じて（海上で取り引き）日本の十代を含めた若い世代に対し販売し、国家財政の一つの柱としているからである。わたしのひたしい女性の友人（２３歳）の妹が１９歳で、昨年末死んだ。コカイン中毒だった。地方の生活だがやくざを通じてコカインをかっていたそうだが、北朝鮮から流入していた可能性が高い。彼女が高校出たてで１８歳のときにアメリカを初めての海外旅行としておとずれたときわたしが見せ聞かせた米国の、20才ブリトニー＝スピアズと並ぶ（ヒスパニック系）歌姫クリスティーナ＝アギレラ（当時この歌姫も１８）のビデオとCD（プリンスの最新ビデオも見せた。わたしは幅広く音楽をきいている）を自分も喜喜としてみやげに買い、帰国後いつもアギレラになりきって田舎でビデオにあわせて、CDにあわせて歌いおどっていたそうである（姉はプリンスのファンになった）。その後１年もしないうちにコカインで中毒死し、すべての青春の夢がそこで絶たれた。彼女はそのCDにはいっていた第６番目の曲、reflectionがとても好きだったという（とてもいい曲だ）。今もアメリカにいるその２３歳の姉はその曲を聞くたびに泣き崩れるのであり、彼女自身も、ショックでアルコール中毒に陥り苦しみつつある。
戦前の日本政府が販売したアヘンで、いくつの青春が、青春の夢が絶たれたのだろう。いくつの家族がこわれて泣き崩れていったのだろう。彼氏や彼女からうまれていたであろう未来の子供たちの命もあらかじめすべて失われていったのである。
北朝鮮が国家政策として栽培し製作したコカインが日本国内に深く広く行き渡り日本の若い肉体を滅ぼしている。北朝鮮は旧日本政府がやっていたことをモデルとしてコピーしているのだろうか。
国家の不正儀と非倫理によって殺されていった人々の痛みへの想像力をもたず、その欺瞞的犯罪的国家の宣伝文句にロマンティックに酔うことができるひとびとは、死屍累々たるひとびとの号泣が枕辺できこえてこないめでたくも幸せすぎる人々なのである。
題名には必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。