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【世界経済のゆくえ】楽観的な日本経済のゆくえ 投稿者 あっしら 日時 2002 年 6 月 26 日 20:57:51:


日本経済の行く末に関しては、暗いタイトルを付けたものばかりを書き込んできた。
暗い見通しは、それこそ「日本の経済的ファンダメンタルズによるもの」ではなく、“日本政府のこの間及び志向している政策によるもの”である。

経済は、自然現象のように考察することができるが、政策(人為)である程度まで制御できるものである。だからこそ、歴史的現実の経済を考察し、そこから経済論理を読みとる営為に意義がある。
(自然科学も同じで、それによって、自然に対する目的的働きかけを効率よく実現できることに最大の意義がある。もちろん、“知る”という目的だけの営為にも意味があるが...)

金本位制から管理通貨制度への移行は、政策が有する経済的変動に対する制御力をより高め、制限選挙から普通選挙制への移行は、政策に対する国民意識の影響力を高めた。
(完全競争的状況から寡占的状況への変化も、政策が持つ制御力を高めた。経済事象の“見通し”が良くなり、制御対象が少なくなったことを意味するからである)

日本経済が今後どうなるかは、世界経済システムの影響を強く受けるとは言え、自然的他動的変化ではなく、究極的には国民意識という主体的な動きに負うところが大である。

手を施しても対応できないものや、手を施してもどうしようもないものであれば、これまでも、そして、今も、経済に関する書き込みを行ったりはしない。


■ 日本は世界一と言ってもいいほど恵まれた「近代経済システム」国家

一人当たりGDPはおよそ3万7千ドル(約450万円)と世界最高水準であり、経常収支の黒字も10兆円(813億ドル)と世界最大規模である。

一人当たりGDPがおよそ3万7千ドル(約450万円)ということは、夫婦であれば900万円、親子4人であれば、1,800万円の付加価値(労働価値)を1年間に生み出していると言うことである。
さらに言えば、就業人口は6千万人程度だから、6千万人で1億2千7百万人が世界最高水準の付加価値となるような労働成果を上げていることになる。就業者一人当たりでは、900万円を超える付加価値生産を行っている。

日本は、農漁業を含めてほとんどの産業が、その活動条件として原油や鉱物資源などの輸入物資に頼っている。必要な物資を輸入するためには、その物資を輸出する経済主体が求める通貨を保有していなければならない。そのような通貨も、70年までのように国際的借り入れに依存することなく、輸出を通じて自前で調達できるようになったどころか、“稼ぎ過ぎ”という非難を浴びるまでになった。
(輸入物資は、それを生産した国の国民(経済主体)の労働価値であり、それに日本国民が働きかけ(労働)をした“純粋な”成果がGDPである。国内の中間財に投じられた労働価値も、最終財には含まれない)


このような経済基盤を持つ国民経済に支えられた日本が、「長期大不況」に喘ぎ、財政破綻を危惧するようになり、350万人が失業し、経済的苦境による自殺者が2万人以上に達し、2万5千人ものホームレスが出現しているという現実に陥っている。

結論的に言えば、「これだけ恵まれた経済条件に支えられている日本が現在抱えている経済問題を解決できないのなら、他の国はより悲劇的な災厄に耐えるしかない」のである。
西欧先進諸国は、失業率が10%前後という苦境を長期に渡って継続している。飢え死にする国民を抱える国家もあれば、就学年齢児童が働くことで家族が何とかしのいでいる国民を抱える国家もある。


■ 日本経済が抱えている問題点

絶対的水準では問題ないことはわかるが、10年も続いている閉塞的経済状況は辛いものだし、ここ5年ほどのマイナス成長傾向は、絶対的水準も将来にわたって保証されるものではないという不安感を生み出している。
そして、追い打ちをかけるかたちでの「財政危機=公的債務の巨額化」は、増税を予測させるだけではなく、“国家破産”までを夢想させている。

「デフレ不況」という閉塞的経済状況に対する解消策としては、「超低金利・超金融緩和政策」・「不良債権処理」・「規制緩和政策」・「民営化政策」・「資産デフレ解消」などが掲げられている。

「不良債権処理」はともかく、他の“すべて”が現在の「デフレ不況」をさらに悪化させるものである。(「不良債権処理」も、迅速なかたちであれば、「デフレ不況」をさらに悪化させる)
個別経済主体(企業)も破綻が続出し、破綻にいたらない企業も、「製造拠点移転」や「給与抑制」で生き残りと利益拡大を追求している。このような個別経済主体の動きも、これまた、「デフレ不況」をさらに悪化させることになる。

政府も個別企業もよってたかって、自国国民経済をよりいっそう酷いものにする政策や行動を採っているのである。
そして、本当かどうかはわからないが、そのような政策を推し進めると公言している小泉首相に短期間とはいえ80%もの支持が寄せられた。

逆説的に言えば、誤った政策や行動がこれだけ採られても、破滅的な状況に陥っていない日本経済は立派なものである。
それには、大手企業ができるだけ人員削減をしないようにしてきたこと、30兆円規模の財政赤字で需要を支えてきたこと、「構造改革」に対する根強い反対勢力が与党内にいることといった要因が考えられる。

しかし、大手企業も、上場企業全体ベースで赤字という現実(02年3月期)を迎えて、本格的な「製造拠点移転」・「人員削減」・「給与抑制」に動いているし、30兆円という新規発行国債のタガがはまっていることから財政支出でさらに落ち込んだ需要を支えることはできないし、「構造改革」の遅れが経済的苦境を継続させているという誤った認識から、「構造改革」が推進されてしまう可能性が高く、これからさらに、「デフレ不況」が悪化すると思われる。

悪化に拍車を掛けるのは、現在志向されている「税制改正」である。低中所得者負担増で財政危機から逃れようとする「税制改正」は、さらに国民経済を悪化させ、税収自体も減少させるため、よりいっそう財政危機を深化させる結果になる。

日本は、まさに「ハメルンの笛吹き男」の話のように、心地よいと感じてしまう音色に導かれて破滅への道を歩み続け、さらに、その歩みを速めようとしているのである。

せっかく楽観的なタイトルにしたのに、これでは悲観的な見通しになってしまうかもしれない。
楽観論に戻るために、まず、問題点を整理する。


● 物価(GDPデフレータ)が下落するデフレ状況が続き、実質経済成長率までマイナスに落ち込んでいる。


● 政府債務が600兆円を超え、税収も予算を達成できない状況で、「国債サイクル」が維持できない可能性がある。


日本が抱える問題は、この二つに集約できるだろう。
そしてこの二つは、不即不離の関係にある。
一方だけを解消して片方はそのままだとか、一方を解消しないで片方は解消できるといった関係にはない。

より絞り込めば、「デフレ不況」を解消する道は、「財政破綻」を解消させる道でもあるということになる。
「デフレ不況」を解消しないで、「財政破綻」を解消させることはできない。

(「財政破綻」を解消させたとしても、「財政危機」は継続することになる。それほど、日本の「財政危機」は根深い)


■ 「デフレ不況」の解消

閉塞状況と先行き不安感にさいなまれている日本が、取り組まなければならないのは「デフレ不況」の解消である。

95年からその兆しが見え、98年から本格した「デフレ不況」を解消するために、官僚・政治家・経済学者といった多くの人が知恵を絞ってきたはずである。
そして、その結果の一部が政策となったはずである。

しかし、畏れ多くも、緩やかな「不良債権処理」以外は、「デフレ不況」をさらに悪化させるものとして切り捨てた。

「デフレ不況」の悪化を防ぐ役割を果たしことは間違いない国債増発による財政支出拡大は、“財政破綻”が危惧されるなかで不可能視されるようになった。
(“財政破綻”の予測は、利息付き借り入れがどんなに苛酷なものかを如実に示すものである。この問題は別に書き込みをする予定)

たんなる「不況」ではなく「デフレ不況」であるから、この問題も、「デフレ」と「不況」に分けて考えることができ、それらも不即不離の関係にある。

「デフレ」だから「不況」になり、「不況」が悪化するから「デフレ」も深化するという関係である。この二つは、「デフレ不況」と「財政破綻」の関係よりも不即不離の関係が強いが、経済事象として対象が限定的で制御しやすいのは「デフレ」である。
好不況というのは国民経済全体の問題であり、それにやみくもに突っ込んでいくのは得策ではない。

「デフレ」についても、消費財やサービスの価格低下と土地(不動産)や株式など資産価格の低下に分けることができる。

この二つは、労働成果財と非労働成果財と区分するのがもっとも的確だろう。
米からパソコンそして外食から風俗までの労働成果財と、土地や証券といった非労働成果財である。(土地を整地したり建物を建てることは労働成果財であるが、土地そのものは天賦(自然)の財である)

日本政府は、90年の「バブル崩壊」以降、非労働成果財(資産)の価格低下傾向現象である「資産デフレ」を問題視してきた。それは、「不良債権問題」と“逆資産効果”に結びつけられて語られた。

書きながらうんざりしているのだが、「デフレ」を「資産デフレ」に結びつけることで、さらに「デフレ不況」に拍車を掛ける政策を採ったのである。

100兆円を超える国債による財政拡大のうちどれだけが「資産デフレ」の悪化を防ぐための土地取得に向けられたかわからないが、その分は、はっきり言って、税金をドブに捨てたでは済まず、税金が「デフレ不況」の悪化に使われたのである。

内容は参考書き込みリストの該当書き込みを参照して欲しいが、バブルで膨らんだ資産価格をできるだけ早く下落させて、反転に向かわせる政策を採っていれば、98年以降の「デフレ不況」を迎えなくて済んだ可能性が高いのである。

土地を使って経済活動(労働)して得られる収益に見合う価格以下まで地価が下がれば地価の下落は終わる。(不動産価格は、地価の下落と建設費の下落という二重の影響を受けているが、商業施設などは、そこで得られる収益に見合う価格に規定される)

低金利であれば金融収益が低いので、土地(不動産)価格が相対的に高くても行われるはずである。(1億円を定期預金にして得られる利息と1億円で事業を行って得られる利益の比較から)

将来の値上がり期待で取り引きされたのが「バブル時代」(以前もそうであったが抑制的だった)である。「バブル崩壊」が起きた(直)後に、値上がり期待で土地取り引きが行われると考えること自体が愚かなのである。

「不良債権問題」は、貸し手(銀行)と借り手の責任を明確にしながら、破綻が生じたときは政府・日銀が支えるという政策で対応し、地価の下落を放置しなければならなかったのである。
銀行は担保物件を相対取引で外資に超破格値で売却したりしているが、これも、オープンな市場で売却すべきだった。

これを行わなかったために、今なお地価下落が続き「デフレ」を下押ししているのであり、600兆円という政府債務残高の巨額積み上げにもつながったのである。

株価についても同じである。政府が、年金資金や郵貯・簡保資金を注ぎ込んで買い支えしようとしたことで、適正価格への調整が遅れたばかりか、外国人に過大な利益を得る機会を与えたのである。

自由主義や市場主義を唱えている人たちが、自由主義を放棄し、市場論理を無視した経済活動をしたのが「資産デフレ対策」である。

非労働成果財の価格を支えるためには厖大な労働価値(通貨)を投じたことで、労働成果財の価格まで低下していったのである。
非労働成果財は、基本的に、余剰労働(通貨)が振り向けられるものであり、余剰労働は、労働成果財の生産活動から得られるものである。

労働成果財で活発な経済活動がなければ、非労働成果財に向けられる資金も生じないのである。

このような前置きを踏まえて、「デフレ」に対する処方箋をまとめてみたい。


● 「低中所得者の負担減と高額所得者の負担増」政策

 所得が低くなるにつれ、可処分所得で労働成果財に向けられる比率が高くなり、所得が高くなるにつれ、可処分所得で非労働成果財に向けられる比率が高くなる。

 これは、低中所得者の可処分所得が減少すれば、労働成果財の経済活動が落ち込むことを意味する。
 低中所得者の可処分所得減少は、賃下げ(残業抑制)・税金や公的保険料の負担増によって生じる。失業も可処分所得の減少をもたらす。

 89年の消費税導入や98年の消費税アップは、税金の負担増によって可処分所得を減らし、まわり回って国民経済の失速をもたらした。
 90年にバブルが崩壊し、98年から「デフレ不況」に陥った事実は実に象徴的である。

 「高額所得者の負担増」を語ると金持ちへの妬みのように捉える人もいるようだが、投機活動で儲けている人や国家援助で高額所得を得ている人(銀行幹部のこと)以外の高額所得者にとっての真の“救済策”である。
 労働成果財が売れるという順調な経済活動の持続なくして、現在の高額所得者も、高額所得所であり続けることはできない。
 誤った経済政策が採られていなければ、破綻しなくて済んだ企業経営者、高給の職を失うこともなかったサラリーマンが、この10年間におそらく10万人単位でいるだろう。
 このまま日本経済が進んでいけば、次の3年間で新たに10万人単位の“落伍者”が生まれるだろう。(今はそれなりに優雅な生活を営んでいるあなたかも...)

 もちろん、高額所得者の負担も軽くしたほうが「デフレ不況」の解消に貢献するのだが、“財政破綻”の危機にあることからご負担いただく。
 本当に危機的になると、採れるところから採るしかなくなるのだから、金持ちが最高のターゲットになる。富裕税などが課税されるようになるより、危機的状況にならない政策を選択したほうが得である。(世界的な経済状況の悪化が予測されるから、持ち逃げ先もないと考えたほうがよろしい。外国人から採るほうが“抵抗”は少ないものだ)


 現在の政府は、このような論理に真っ向から反する「税制改正」を行おうとしているのである。
(そのような政策が実行されて“破綻”の憂き目にあったら、職を探すのは当然として、それが無理だったとしても、自殺やホームレスはやめよう。政府の悪政によるものなのだから、政府にすがってそこそこの生活を維持しよう。その負担の重さで、まっとうな政府なら考えを改めるだろう)


 消費税は据え置きのままでいいと考えている。(多くの人が税金を負担しているほうが国民意識的に好ましいし、過剰消費はペナルティ対象という考えもある。仕組みについては、内税化や納税主体などで変更した方がいいと思っているものもあるがここでは省略)

● 「失業と労働空洞化を招く製造拠点移転の抑制」政策

 昨日アップした『【世界経済のゆくえ】中国は自滅の道を進むのか孤立に追い込まれるのか』(http://www.asyura.com/2002/hasan11/msg/199.html)を参照してもらいたいが、経済苦境のなかで加速させている製造拠点の海外移転は、移転を進めている企業そのものの首を絞めるものである。

 外国で生産した労働財を日本以外に輸出するのならともかく、日本で販売して利益を上げたいと考えているのなら、とんでもない倒錯的行動である。

 その企業が直接首切りをしていないとしても、関連企業が首切りをするだけでも、日本市場の購買力は落ちるのである。

 ある製品の小売価格構成が、製造人件費10%・メーカー利益30%・流通利益20%・原材料及び生産設備償却費40%だとすれば、外国で生産すれば、10%の製造人件費は外国の労働者に支払われることになる。
 その製品をこれまで日本で生産し日本で10万個売ってきたとすれば、外国で生産するようになったことで、その製品が1万個売れなくなったとしてもおかしなことではない。(現実には失業保険や公的生活扶助で少しカバーされるし、製品価格は外国製のほうが安くはなっているが...)


 日本の大手企業は、最初に書いたように日本経済のすばらしさに自信を持つべきである。
 日本で生産したものは、国民経済の論理から、日本で販売する限り、きちんと利益が得られる価格で販売できる。
 わかっていることだとは思うが、家電・カメラ・自動車などの労働財で、日本企業全体のシェアを脅かす存在はほぼいないのである。

 逆に、外国で生産したものを日本で販売すると、コストが安くなっても、思うような利益を上げられる価格で思うような量を売ることは難しくなる。
 販売価格が安くなった以上に、かつて日本でそれを生産する活動に従事して得られていた給与が失われた金額のほうが多いからである。

 そして、思うように売れなくなり、コスト低下で値下げ余地があるからと言って、価格を下げていけば、「デフレ不況」がさらに悪化し、利益を確保するためにさらに製造拠点を海外に移すという悪循環に陥る。

 もう一つ言えば、「デフレ不況」が進んで国民経済総体の可処分所得が減少していけば、これまでは、同等機能でより高品質という購買行動を採っていた日本人が、同等機能であれば品質よりも価格が安いものをという購買行動に転じる可能性が高い。
 これは、外国企業にシェアアップ機会を与えるものである。(日本企業も、低コスト化に走って見えないところで品質を下げているが...)

 外国で販売するものをその国で生産するのは理に叶っているが、日本企業が日本で販売するものを外国で生産するのは不合理な行動である。


 いったん廃棄した生産設備を再確立するのは大変だし、多くの人がせっかく身につけた労働能力を発揮する場を失うのも無駄なことである。

 企業が、日本で販売するものは基本的に日本で生産するという考えに立ち、失業者を復職を増加していけば、「デフレ」を解消する条件となる。

(かつてのように、日本の高い労働価値を何に向けるかという選択のなかで、日本はより付加価値(労働価値)の高い製品を選び、低付加価値製品は海外で生産するようにしたという時代とは異なる。日本でも、労働力が“余剰状態”になっているのである)

経済界は、現時点で法人税の在り方を論議するよりも、まずは、この問題を真剣に論議すべきである。


● 「緩やかな金利上昇」政策

 昨日も、『Re: FRBの研究者が本当に経済論理をわかっていないの? 』(http://www.asyura.com/2002/hasan11/msg/207.html)で書いたが、「量的金融緩和」はデフレ解消策にはなるが、低金利は、デフレ解消どころか、逆に、デフレ方向に向けさせる政策である。

 「低中所得者の負担減と高額所得者の負担増」政策が優先的に実行されることが条件だが、公定歩合を0.25%刻みで半年ごとに緩やかに上昇させて2%程度にする。
 その過程でも量的緩和政策を継続していけば、労働財に向けられる可処分所得の増大と相俟って、デフレ基調が解消され、ある段階になればインフレに転じる。
 そして、実質金利がマイナスになるまで、量的緩和政策と緩やかな金利上昇政策を続ける。

この政策を実施するに当たって、クルーグマン教授が言っているように、「これでインフレになる」と首相や日銀総裁が“説明”を付加して声高に宣言するのもそれなりに効果があると思われる。

「低中所得者の負担減と高額所得者の負担増」政策を伴わないまま金利上昇政策を実施しても、物価上昇が販売不振だけを招き、企業収益を悪化させたり、物価を反落させてしまうだけである。

デフレである限り、実質金利がマイナスになることはない。
名目金利が0.5%でも、インフレ率がマイナス1.5%であれば、実質金利はプラス2%である。
名目金利が2%でも、インフレ率が3%であれば、実質金利はマイナス1%である。

これは、国債の利払い負担についても言えることである。


「デフレ不況」を解消する方法で、それなりのコンセンサスを得られる範囲の政策をいろいろ考えたが、貧弱な思考力ではこれら以外に思いつかない。

物価高の日本ではデフレも悪くないから「完全雇用」さえ実現できればという考え方もあるが、“財政危機”の問題があるから無理である。

基底的な政策を実施しないままの国債発行による財政支出拡大は、プラス成長を維持するために、さらなる財政支出拡大が必要になるだけである。(30兆円のできる多くを、非労働成果財ではなく労働成果財の購入に向けて欲しい)


もっと“過激”な政策もあるが、現状では多数に受け入れないと考えている。


「銀行救済策」として、返済は予定されているがこれまで10兆円の税金を投入し、30兆円もの新規国債を発行し続けて財政支出で需要を支えている。
現在の状況がこのまま進めば、「不良債権」はさらに増大し、銀行への追加公的資金投入は避けられない。

金利上昇で生じる国債の評価損は17兆円に及ぶと推定されるが、このまま年月が経過すれば、保有国債の平均年利(現在は2.5%ほど)はさらに下降し、1.5%に近づいていく。対策が遅れれば、“金融システム”を維持するために、否応なく20兆円規模の公的資金投入が必要になる。

さらに重要な問題は、海外への「製造拠点移転」が進めば、日本が産出する労働価値の総額が減少するのみならず、日本の貿易収支が3年ほどで赤字に転じる予測があることである。

諸外国の経済状況も、悪化の方向に向かっている。

今年中に政策を立案し来年度からの実施することでもいいから、「デフレ不況」解消策をまともに行わなければ、日本が誇る有利な条件を失い、再生するチャンスも失ってしまうかもしれない。


声を大きくして言いたいのは、「日本はこれまで築いてきた経済条件を活かせば、デフレ不況を解消できる」ということである。

わずか3つの政策を実施すれば、その道が拓かれるのである。
そして、この3つの政策を求める声が高まれば、政策として実施されるようになる。

誤りもあれば不十分な説明もあると思っているので、レスで指摘していただければ幸いです。

====================================================================================

1)総体

『ささやかながら少しはましな経済状況を』
http://www.asyura.com/sora/dispute1/msg/119.html

『日本経済は「管理されたダラダラ恐慌」状況』
http://www.asyura.com/2002/hasan9/msg/134.html


2)不良債権問題

『「不良債権問題」と金融政策』
http://www.asyura.com/sora/dispute1/msg/135.html

『Re:政府はデフレ解消を願っているが政策はデフレを進めるものばかり』
http://www.asyura.com/sora/dispute1/msg/154.html


3)資産デフレ問題

『デフレの論理と「資産デフレ」罪悪説の問題点』
http://www.asyura.com/2002/bd17/msg/216.html

『「資産デフレ」の問題点と「不良債権」罪悪説』
http://www.asyura.com/2002/bd17/msg/217.html


4)金利上昇政策

『【大間違いの経済理論】 “超低金利政策”はデフレを悪化させる 《金利引き上げがインフレを誘発し「デフレ不況」から脱却するための一つ方法》』
http://www.asyura.com/sora/dispute1/msg/302.html

『Re: 2chの「★阿修羅♪ 国家破産について語ろう」』
http://www.asyura.com/sora/dispute1/msg/336.html

『原油価格の高騰は「デフレ不況」に悩む日本経済の“神風”になるか』
http://www.asyura.com/2002/hasan8/msg/955.html

『米国金利の反転と原油価格(ロスチャイルド投資顧問レポート2002/03/13)』
http://www.asyura.com/2002/hasan8/msg/145.html

『Re: FRBの研究者が本当に経済論理をわかっていないの? 』
http://www.asyura.com/2002/hasan11/msg/207.html

『「インフレターゲット論」のトンデモ』
http://www.asyura.com/sora/dispute1/msg/148.html


5)所得税改正問題

『Re:【所得税の仕組みと所得税制変更後の所得税試算】あなたの年収では?』
http://www.asyura.com/2002/hasan8/msg/505.html


6)国債問題

『【国債問題への定量的アプローチ】その1:国債発行高と国債償還の推移』
http://www.asyura.com/sora/dispute1/msg/736.html

★ このレスとして、続きが7本ぶら下がっています。


7)【世界経済のゆくえ】の前半部

【世界経済のゆくえ】世界経済にとって70年代はどういう時代だったのか
http://www.asyura.com/sora/dispute1/msg/787.html

★ このレスとして、続きが5本ぶら下がっています。


8)株価買い支え政策の問題点

『Re:「公的年金基金」と「株式投資」− PKO政策は地獄への道 −』
http://www.asyura.com/2002/hasan7/msg/966.html


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