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(評伝)唐十郎さん 「命を刻みながら書いていた」緻密な字で埋め尽くされた原稿 紅テントで戦後演劇に革命(東京新聞)
http://www.asyura2.com/21/idletalk42/msg/304.html
投稿者 蒲田の富士山 日時 2024 年 5 月 05 日 19:58:55: OoIP2Z8mrhxx6 ipeTY4LMlXiObY5S
 

2024年5月5日 19時27分

https://www.tokyo-np.co.jp/article/325354

 アングラ演劇の旗手で、作家でもあった劇作家、演出家、俳優の唐十郎(から・じゅうろう、本名大鶴義英=おおつる・よしひで)さんが4日、急性硬膜下血腫のため東京都内の病院で亡くなった。84歳。東京都出身。

   ◇

◆混沌の下町が原点、現代の偽善を演劇のパワーで一刀両断に
 唐十郎さんが生まれ育ったのは東京・下谷万年町(現在の台東区)の八軒長屋。終戦後、近くの上野駅に出没する男娼(だんしょう)たちが住み着き、わい雑で混沌(こんとん)とした独特の雰囲気を持つこの下町が、唐さんの原点である。
 明治大学在学中、実存主義の哲学者サルトルに傾倒。卒業後、既成演劇に反旗を翻し、サルトルの評論「シチュアシオン(状況)」にちなんで旗揚げした状況劇場は、1960年代後半、羽田闘争、東大・日大闘争など吹き荒れた反権力の風に乗って若者たちの熱狂的な支持を受けた。実験精神に富んだ劇場の代名詞ともいえる紅(あか)テント公演は、劇作家の寺山修司さんとの対話から生まれている。「サーカスが話題になった時に、ひらめいた。役者と観客が同じ平面で交流できるのが最高の魅力」と明かしていた。
 詩情あふれる劇的言語、わい雑なエネルギー、自由奔放に広がる想像力…。現代の偽善を一刀両断にし、仮面の下に隠された素顔に鋭く迫った紅テント公演は、背景がさっと開き、舞台空間が広がって役者たちが外に飛び出していく場面でクライマックスを迎える。現実と虚構が表裏一体となった世界が、唐演劇の真骨頂だった。
 旗揚げ当初、資金稼ぎのため、妻だった俳優・李礼仙(後に李麗仙)さんと金粉ショーのダンサーとして全国のキャバレーを巡回した。皮膚呼吸ができにくく、心臓に負担がかかるつらい仕事を、師と仰いでいた舞踏家・土方(ひじかた)巽さんの口利きで3年間も続けた。
 1973年、演出家の蜷川幸雄さんのために「盲導犬」という戯曲を書き下ろした。どんなことがあっても服従しない「幻の犬」を探す盲人青年の物語で、「こんな服従ばかりしている世の中には絶対に服従しない」という唐さん自身の高らかな決意表明でもあった。手渡された原稿を見た蜷川さんは「数ミリほどの大きさの字が息を詰めながら彫刻刀で刻んだように見えた。唐は命を刻みながら書いていた」と述懐している。
 観客の度肝を抜くような大胆な演出、演技の一方で、小さく緻密な字で埋め尽くされた原稿。作家、演出家、役者の三位一体で戦後演劇に大きな足跡を記した唐さん自身も、現実と虚構がない交ぜになったような不可思議さを秘めていた。(元東京新聞記者・安田信博)

【関連記事】新宿ゴールデン街近くの神社に唐十郎ゆかりの紅テント「挫折した若者が夢を託した」野外演劇、今も
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コメント
1. 蒲田の富士山[2315] ipeTY4LMlXiObY5S 2024年5月05日 20:17:08 : v4ouBbv322 : RzlSZjdjZUU3SlE=[6] 報告
紅テント、黒テント、だなんて、聞いたことがある、その名前だけ知ってる程度なのだけど、この記事を執筆された元東京新聞記者の安田信博さんは、私よりも年配の人なのかもしれない。
でも、昔、よく投稿されていた「愚民党」さんは、私よりも少し歳下だけど、なんか、こういう関連の仕事をされていたようだ。
寺山修司さんだったけ?
2. 蒲田の富士山[2322] ipeTY4LMlXiObY5S 2024年5月07日 07:49:46 : v4ouBbv322 : RzlSZjdjZUU3SlE=[13] 報告
<△24行くらい>
<コラム 筆洗>俳優の吉行和子さんが長年所属した「民藝」を1969年に退団…(東京新聞)
2024年5月7日 07時02分

https://www.tokyo-np.co.jp/article/325554?rct=hissen

 俳優の吉行和子さんが長年所属した「民藝」を1969年に退団したのはある芝居が原因という。もらった台本は手書き。読んでも筋が分からない。それでも不思議な世界が広がっていた。
 書いた劇作家も演出家も新しい演劇を提唱し、「民藝」を敵視する人物。吉行さんは出演のために退団を決意する。宇野重吉さんの説得に対し「それでもやめます」。
 役者をそこまで魅了した作品は、鈴木忠志さん演出の『少女仮面』である。書いたのは当時のアングラ演劇運動の旗手で劇作家の唐十郎さん。4日に亡くなった。84歳。
 街角で芝居を演じ、警察が来ると消える「路頭劇」。新宿・花園神社の紅(あか)テント公演。資金を稼ぐための金粉ショー。今では信じられぬ伝説の数々に新しさを常に求め、時代を動かそうとした情熱と危なっかしさを思う。
 「唐の演劇は『くやしさ』と『自由さ』に支えられている」。沢木耕太郎さんが書いていた。当時の若者の抱えた「くやしさ」と憧れた「自由さ」。唐さんの作品はそこに共鳴したのだろう。その芝居のすごみと魅力はあの時代の花園神社で当時の若者とともに見なければ分からないかもしれぬ。
 早くから評価していたのはライバルだった寺山修司さん。寺山さんの「天井桟敷」と、唐さんの「状況劇場」の乱闘騒ぎも伝説の一つだが、唐さん、寺山さんと同じ5月4日を幕切れに選んだか。

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