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日経平均株価爆上げで肝に銘じたい…「危険はすぐ隣りに潜む」「リスクは予知困難」 経済ニュースの核心
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/money/336564
2024/02/23 日刊ゲンダイ
危険はすぐ隣に(C)日刊ゲンダイ
「うがい、手洗い」「人混みを避ける」を励行していたが、先週、38度超と発熱し、急きょ地元の医院に行った。別室で待たされ、診察。「新型コロナウイルスに感染しました」と言われ愕然とした。
医師いわく「マスコミは報道していませんが、新型コロナの感染者は増えています」と。高薬価のゾコーバなどを処方された帰り道、公園横を通ると平日の午前中にもかかわらず小学生がたくさん遊んでいた。多分、学級か学年閉鎖だろうと納得。「リスクは予知不能」なのだ。
日経平均株価は34年ぶりの高値だが、ベテラン投資家の友人たちとリモートで話し合うと異口同音に「なぜ高いのかわからない」と言う。彼らは1989年の史上最高値時は証券会社で市場分析に従事していたが、もう70代。「失われた30年」の間に「団塊の世代」は老いて株式市場から撤退、逆に89年以降に生まれた人は30歳超となり、「貯蓄から投資へ」のプロパガンダのもと新たな投資家として台頭、高値の一翼を担っていよう。「世代交代」の大波が起きている。
この高値形成のリード役は、個人投資家ではなく海外投資家であり、彼らの主戦場はNY市場。NYダウが史上最高値を更新するたびに日経平均株価もミラー相場の上昇である。すなわち、1月から新年度入りした海外投資家は中国株を敬遠し、日本株に資金を振り向け、その投資対象は、時価総額5000億円以上、日経平均株価の構成銘柄が多い。指数寄与度の高い国際優良株を買うから日経平均株価も上昇。そこに株価指数先物の投機も加わり、株価にウネリも出ている。
さらに、証券会社の「万年強気」の営業部門と「いけいけどんどん」の自己売買部門がちょうちんをつけ、「買うから上がる、上がるから買う」のスパイラルが起きる。「危険はすぐ隣に潜んでいる」「リスクは予知困難」なのだ。
新しい個人投資家の台頭。その背景には金利もある。定期預金金利は1990年に6.0%もあり「貯蓄」で十分だったが、ゼロ金利政策で24年2月も0.005%と、インフレ率も勘案すればマイナス2%程度と「貯蓄は含み損」と「隔世の感」である。
どこで国際紛争が起き、大災害に見舞われ、自民党裏金問題で岸田内閣支持率が危険水域に低下しても、お構いなしの「強気相場」。
ただ、89年ごろは、株価が暴落すれば「株は儲かる」と勧誘した証券会社に苦情が殺到したが、いまは「投資は自己責任」と金融機関は一切責任を負わない「無責任」である。
「成功者の裏には多くの失敗者がいる」、それが株式投資。株式、投信には元本割れの「リスク資産」があり、「危険はすぐ隣に潜んでいる」のである。
中西文行 「ロータス投資研究所」代表
法政大学卒業後、岡三証券入社。システム開発部などを経て、岡三経済研究所チャーチスト、企業アナリスト業務に従事。岡三インターナショナル出向。東京大学先端技術研究所社会人聴講生、インド政府ITプロジェクト委員。SMBCフレンド証券投資情報部長を経て13年に独立。現在は「ロータス投資研究所」代表。
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