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衆院議員の定数をとにかく1割削減する。具体的な方法は与野党で話し合うが、1年たってもまとまらなかったら、小選挙区25、比例区20を自動的に削減する――。
自民党と日本維新の会が今の臨時国会での成立をめざす定数削減法案の内容について合意した。乱暴な「結論ありき」というほかない。民主主義の土俵をつくる選挙制度改革では、党派を超えた幅広い合意が不可欠だ。強引に推し進めることは許されない。
定数削減は高市政権と連立を組む条件として維新が強く求めた。自民が企業・団体献金の廃止をのめないため、改革姿勢を印象づけるための論点のすり替えだった。
そもそも、日本の議員定数が多いとは言い切れない。議院内閣制のモデル、英国の人口は日本の半分より多いくらいだが、下院の定数は650と、衆院の465より多い。与党議員が閣僚などとして政府に入る仕組み上も、一定数の議員の存在が必要となる。
維新は既得権に切り込む改革には、政治家がまず「身を切る」姿勢を示すことが大事だという。企業・団体献金の見直しや政党交付金の減額など、身を切る手法はほかにいくらでもあるはずだ。
人口が減っているのだから、議員数だけそのままというのはおかしいとの声も維新内から聞かれる。現行の選挙制度が決まった1994年からの人口減少率は1・7%。当初の500からすでに35減らした定数を、さらに1割削減する根拠にはならない。
定数のあり方を、選挙制度改革と併せて検討するという規定はもっともである。現行の小選挙区比例代表並立制は政権交代可能な二大政党制を念頭に導入されたが、現状はほど遠い。国民の価値観が多様化するなか、時代にふさわしい代表選びの形を考え直すことには意味がある。
ただ、1年で結論が出なければ、有無をいわさず小選挙区25、比例区20を削減するというのは、定数削減に慎重な党に対する脅しではないか。
当初、比例区のみで50削減を主張していた維新が、小選挙区との組み合わせに転換したのは、小選挙区と比例区のバランスを重視する野党の意見を踏まえたものだという。野党にも耳を傾けるというのなら、期限を切って主張を強いることはやめるべきだ。
国会議員は国民の「代表」である。いたずらに減らせば、民意を国政に届けるパイプを細らせることにもなる。議員の現状の仕事ぶりに不満があっても、定数削減がいま最優先の課題なのか。冷静な視線を向ける必要がある。</b
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〈社説〉衆院定数削減 民意を切り捨てる愚かさ(東京新聞)(本当の目的は護憲政党の消滅では?)
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拙稿
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