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多党化する日本政治 機能不全に陥らぬ知恵を/毎日新聞
2025/7/22
https://mainichi.jp/articles/20250722/ddm/005/070/081000c
日本の政治が大きな転換点を迎えた。自民、公明両党が参院選で大敗し、過半数割れとなった。自民が衆参両院で少数与党の状況に陥ったのは、1955年の結党以来初めての異常事態だ。
石破茂政権は、昨年の衆院選、今年6月の東京都議選に続いて、大型選挙で3連敗となった。本来であれば、石破首相は自ら身を引くのが筋だ。
にもかかわらず、首相は参院選から一夜明けた記者会見で、自民が参院でも比較第1党にとどまったことを理由に挙げ、続投する意向を正式表明した。
「過半数維持」という自ら設定した勝敗ラインも超えられなかった以上、続投は国民の理解を得られまい。
理解得られぬ首相続投
先の衆院選で石破政権が少数与党となって以降、新たな政治のあり方として期待された「熟議の国会」は機能してこなかった。 首相は衆院で過半数を確保するための数合わせを優先し、野党と個別の密室協議に奔走した。開かれた国会で議論を深めようとする姿勢は乏しかった。
トランプ米政権との関税交渉や物価高、厳しい安全保障環境など課題は山積している。国政の停滞は許されない。
少数与党状況を打開するには、自公連立を維持しつつ政策ごとに一部野党の協力を取りつける「部分連合」を継続するか、連立の枠組みを拡大するほかない。
連立拡大について、首相は「現時点で考えていない」と述べた。そもそも野党にとっては、選挙で大敗した連立政権に協力すれば、支持者の離反を招くリスクがある。首相が居座り続けた場合、連立の拡大は難しくなる。
後任の自民総裁を選出して体制を刷新し、政権の安定に向けた新たな取り組みを模索すべきではないか。
参院選を受け、日本政治は、単独では政権を担えない政党が乱立する「多党化の時代」を本格的に迎えた。
象徴的なのは、自公政治からの決別を望む層を取り込んだ国民民主、参政両党の躍進だ。
こうした政党は交流サイト(SNS)を駆使し、若い世代などの支持を広げた。参院選の投票率は選挙区で58・51%となり、前回2022年を6ポイント強上回った。
一方で、立憲民主党や日本維新の会、共産党などは横ばいか議席を減らす結果となった。自公と同様、既成の政治勢力とみなされたためではないか。とりわけ野党第1党の立憲が振るわず、結集の軸になり得ていない。
多党化状況で懸念されるのは、政治が混乱し、重要政策の遂行が滞ることだ。
各党が短期的な「成果」にこだわるあまり、少子高齢化時代の社会保障制度改革や、国を支える財政の健全化など、負担を伴う長期的課題が先送りされかねない。
野党が負う責任は重い
実際に、石破政権が少数与党となった先の国会では、予算や法律の成立と引き換えに、高校授業料無償化や「年収の壁」引き上げなど、一部野党の要求をのまざるを得なかった。
衆参両院で過半数の勢力がなくなった今、野党各党が国政に負う責任は一層重くなる。数の上で、政治的な方針決定を事実上左右する力を持つからだ。
政策の優先順位を見極めつつ、バランスの取れた合意形成を目指して真摯(しんし)に議論する姿勢が欠かせない。
野党は選挙戦で、消費税の減税や廃止、ガソリン税の暫定税率撤廃などを訴えた。だが、これまでのように財源確保の責任を与党に丸投げするようでは、国民への責任を果たすことにはならない。
長期的な課題について、党利党略にとらわれず、超党派で協議する場を設けることも重要だ。折り合える方向性が見いだせれば、将来的な政権の枠組みにつながる可能性もある。
12年には、旧民主党政権と自公が、消費税増税を含む「税と社会保障の一体改革」で合意した。超党派の取り組みとして参考にすべきだ。
多党化は、多様化する民意の反映でもある。託された国民の声を生かす政策協議の仕組みを作ることができれば、信頼を回復する好機にもなり得る。
政治が機能不全に陥らないための知恵を、与野党双方が出し合う時である。
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