★阿修羅♪ > 国際35 > 582.html
▲コメTop ▼コメBtm 次へ 前へ ★阿修羅♪
米国債下落には即座に反応したトランプ政権、“暴走”を阻止できるのは「債券自警団」だけ/ダイヤモンド・オンライン
http://www.asyura2.com/24/kokusai35/msg/582.html
投稿者 仁王像 日時 2025 年 5 月 11 日 05:16:13: jdZgmZ21Prm8E kG2JpJGc
 

米国債下落には即座に反応したトランプ政権、“暴走”を阻止できるのは「債券自警団」だけ/ダイヤモンド・オンライン
野口悠紀雄 による
https://www.msn.com/ja-jp/news/other/%E7%B1%B3%E5%9B%BD%E5%82%B5%E4%B8%8B%E8%90%BD%E3%81%AB%E3%81%AF%E5%8D%B3%E5%BA%A7%E3%81%AB%E5%8F%8D%E5%BF%9C%E3%81%97%E3%81%9F%E3%83%88%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%97%E6%94%BF%E6%A8%A9-%E6%9A%B4%E8%B5%B0-%E3%82%92%E9%98%BB%E6%AD%A2%E3%81%A7%E3%81%8D%E3%82%8B%E3%81%AE%E3%81%AF-%E5%82%B5%E5%88%B8%E8%87%AA%E8%AD%A6%E5%9B%A3-%E3%81%A0%E3%81%91/ar-AA1EuIp6?ocid=msedgdhp&pc=U531&cvid=a55166eb17e24afeb1412e36f0e3f45a&ei=15

「債券自警団」は最後の砦!?

相互関税上乗せに「ノー」

 トランプ関税政策の見直し交渉が始まったが、5月2日に行われた赤沢経済再生相とベッセント財務長官らの2度目の閣僚級交渉も、アメリカ側はすでに発動済みの自動車や鉄鋼・アルミニウムへの関税は協議の対象外にする姿勢を示している。

 関税交渉一つを取っても、トランプ政権の無謀な政策をやめさせるのはなかなか容易なことではなさそうだ。

 唯一、可能性があるとすれば、債券市場だ。

「債券自警団(Bond Vigilantes)」の活動は、政府や中央銀行が無謀な経済政策を行おうとする場合に、投資家が国債を売却することだ。このため長期金利が上昇し、政府に市場からの「警告」を発することになる。

 この言葉は1990年代にアメリカで広まった。当時、アメリカの債務比率は上昇しており、そのため93年に就任したクリントン大統領は、政治的には不人気である増税・支出削減策を実行せざるを得なかった。

 最近、この言葉がトランプ政権による政策への批判として、再び注目されることになっている。

 トランプ政権が、「相互関税(Reciprocal Tariffs)政策」を発表したが、全ての貿易相手国への一律10%関税以外の、日本などへの上乗せ関税は9日に発動したものの、半日で90日間の実施猶予を設けた。これは債券自警団の警告にトランプ政権が反応した結果だと解釈される。

 トランプ大統領のパウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長「更迭」発言が即座に撤回されたのも、債券市場が大きく反応したからだ。

「債券自警団」が、トランプ政策への最後の砦と言っていい。

債券市場反応し発動半日で「停止」

FRB議長“解任”も「ノー」で発言撤回

 相互関税の上乗せ関税の発動停止までの経緯を詳しく見ると、次の通りだ。

 4月2日午後4時(米東部時間)、トランプ政権は相互関税政策を発表した。

 これは、全ての輸入品に対して、一律10%の税率の基本関税を課すものだ。また、アメリカの関税水準と釣り合っていない国に対しては、最大で50%超の上乗せ関税を課すとした。

 一律関税は4月5日に発効した。これを受けて、全世界的に株価が下落した。それにもかかわらず、トランプ大統領は強気を崩さなかった。

 そして、上乗せ分が4月9日午前0時1分から発効した。

 しかし、4月7日(月曜日)から債券市場が反応しており、10年国債利回りが、4.25%から4.48%へと0.23ポイント上昇した。そして、ドルが主要通貨に対して売られドルが急落した。

 この反応を受けて、トランプ政権は9日午後、「発効したばかりの上乗せ部分に関しては、90日間の実施猶予を設ける」と発表した。

 この結果、市場の混乱は収まった。

 異例の速さで政策が修正されたことは、金融市場からの圧力が極めて強いものだったことを示している。つまり、債券自警団が復活したのだ。

 もう一つの例は、FRB議長解任騒動だ。トランプ氏は4月上旬ごろから、「パウエルFRB議長を解任する」と発言していた。この背景には、パウエル氏がインフレ抑制のために利上げスタンスを維持していたことへの不満があった。

 4月21日には、トランプ氏はSNSへの投稿で、かなり強烈な表現でパウエル氏を批判し、解任の可能性に言及した。

 これらの発言直後に、金融市場では、まず10年国債利回りが急上昇、そしてドルが売られ、金など安全資産への資金移動が生じた。また、株価も下落した。つまり、金融政策の独立性が失われるとの懸念から、4月7日ごろと同じような警告を市場が発したのだ。

 トランプ氏は、22日には「そのような計画はない」と、全く逆の発言に転じた。その結果、市場も落ち着きを取り戻した。

株式自警団は機能せず

株価下落には強気姿勢崩さず

 ここで重要なのは、トランプ政権は、株価の下落に対しては強気だったことだ。

 今年の2月、トランプ氏は友好的な隣国であるはずのカナダとメキシコに対して25%関税を課す意向を示した。

 すると株価は急落した。しかし、ホワイトハウスに警鐘を鳴らすほどの効果はなかった。トランプ政権は引き下がらず、むしろつけ上がった。

 自動車への25%関税(日本時間4月3日発動)のときもそうだった。株価は下落したが、トランプ政権は動じなかった。

 このように株価下落ではひるまなかったトランプ氏が、債券下落には即座に反応したのだ。

 その意味で、金利上昇は「経済の地雷原」だといえる。トランプ氏といえども、そこを踏まぬよう最大限に警戒せざるを得ないのだ。

なぜ米金利上昇でドル安?

資金引き揚げは米国への信認低下

 相互関税とFRB議長解任発言後の市場の反応は、「トリプル安」と呼ばれることが多い。株価、債券価格、ドル価値の三つが下落したからだ。

 しかし重要なのは、これらのうち債券価格とドル価値の低下だ。

 通常は、アメリカ国債の利回りが上昇すると、他国との金利差が拡大し、資金がアメリカに流入して、ドル高になる。ところが、今回は逆にドル安になった。

 これは、資金がアメリカから逃げ出したことを意味する。

 相互関税によってアメリカの消費者が重い負担を負うことになり、経済が疲弊する。また、FRB議長の解任によって、金融政策の独立性が損なわれる。その結果、インフレ、信用低下、制度への不信感の強まりなどが同時に生じる。こうした懸念が高まり、投資家はアメリカの財政健全性や政策の一貫性に懸念を抱き、アメリカ資産から資金を引き揚げる動きを強めたのだ。

 その結果、債券は売られ、株も売られ、ドルも売られた。そして、投資家はスイスフランや日本円、あるいは金などの安全資産に資金を移動させた。

 この数カ月、トランプ氏には誰もストップをかけられないと思って、私は絶望的な気持ちになっていた。しかし、トランプ氏も債券自警団には勝てないことが分かった。無謀な政策にチェックをかける仕組みがアメリカには存在していることを知って、暗黒の中に一筋の光を見た気持ちになった。

 クリントン元米大統領の政治顧問を務めていたジェームズ・カービル氏は、次のように述べたことがある。

「もし生まれ変われるものならば、私は債券市場になりたい。誰をも脅かすことができるからだ」(「債券自警団の復活か」UBS SuMi TRUST「Monthly Letter」 2023.10.12)

債券自警団が日銀を動かしたことも

YCC政策の限界を見越す

 アメリカと同じことが日本でも起きたことがある。

 例えば2022年に日本で長期金利が高騰し、これによって日本銀行は、イールドカーブコントロール(YCC)政策を放棄せざるを得なくなった。これも債券自警団の影響と解釈できる。

 日銀は、16年以降、長期金利(10年物国債利回り)を0%程度に誘導するYCCを実施していた。しかし、22年12月、YCCの許容変動幅を従来の±0.25%程度から±0.5%へ拡大した。これは長く異次元緩和策を続けてきた日銀の実質的な金融引き締め方向への政策転換と市場は受け止めた。

 22年はアメリカをはじめとする各国が急速に利上げを進めた年であり、日本との金利差が拡大。円安と輸入インフレが加速し、日本の長期金利にも上昇圧力がかかった。しかし、日銀は上限を0.25%に固定していた。

 日銀は緩和継続を強調したが、投資家(特に外国のヘッジファンド)は「この上限は持続不可能」と見なし、国債先物を売るなどしてYCCの限界に挑んだのだ。

 このときの市場の動きは、債券自警団的な性質のものだったと解釈できる。市場が日銀の政策の限界を見越して動き、実際に政策修正を引き起こしたという意味では、典型的な債券自警団の作用があったともいえる。

 ただし日本の場合、国債の大半を日銀自身が保有しており、市場の価格形成力が限定的であるため、アメリカ型の「債券自警団」がそのまま機能するとは言い難い。その意味で大きな問題だ。

(一橋大学名誉教授 野口悠紀雄)
 

  拍手はせず、拍手一覧を見る

▲上へ      ★阿修羅♪ > 国際35掲示板 次へ  前へ

フォローアップ:


★事前登録無しでコメント可能。今すぐ反映 通常 |動画・ツイッター等 |htmltag可(熟練者向)
タグCheck |タグに'だけを使っている場合のcheck |checkしない)(各説明

←ペンネーム新規登録ならチェック)
↓ペンネーム(2023/11/26から必須)

↓パスワード(必須)

(ペンネームとパスワードは初回使用で記録、次回以降にチェック。パスワードはメモすべし。)
↓画像認証
( 上画像文字を入力)
ルール確認&失敗対策
画像の URL (任意):
最新投稿・コメント全文リスト  コメント投稿はメルマガで即時配信  スレ建て依頼スレ

▲上へ      ★阿修羅♪ > 国際35掲示板 次へ  前へ

★阿修羅♪ http://www.asyura2.com/ since 1995
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。
 
▲上へ       
★阿修羅♪  
国際35掲示板  
次へ