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田中宇の国際ニュース解説 無料版 2025年9月25日 https://tanakanews.com/
■要約
トランプ派活動家リチャード・カークの射殺を機に、トランプ政権は「左翼テロとの戦い」を開始した。政権は、この事件をトランスジェンダー思想が暴力を誘発する(TIVE)という概念に基づき、アンティファなど左翼団体をテロ組織に指定している。この構図は、911後にイスラム教全体をテロの温床と見なし「テロ戦争」を正当化した策略と酷似している。
だが、このカーク射殺事件、いわば「910事件」は、24年前の911事件と同様の「ひどい茶番劇」である。犯人とされる人物や動機には多くの疑問点があり、当局による隠蔽工作の形跡も濃厚だ。この意図的に稚拙な謀略の真の目的は、左翼リベラル派にあえて「これは不当な弾圧の口実だ」と気づかせ、激怒させて蜂起させることにある。そして、その蜂起を口実に、トランプ政権が彼らを合法的に弾圧・虐殺するための法的根拠を得ることなのだ。
■本文
左翼リベラル派と相互に憎悪し合ってきたトランプ革命の若手活動家リチャード・カークが9月10日に射殺された。それ以来トランプ政権は、射殺事件について、22歳のタイラー・ロビンソンがトランスジェンダーが誘発する左翼な過激思想(TIVE)に洗脳されて起こしたもので、TIVE(transgender ideology-inspired violence and extremism)を擁立するトランスジェンダーの団体をテロリストとみなして潰すべきだという考えを流布している。
https://www.theblaze.com/columns/opinion/if-radical-islam-was-terror-why-isnt-transgender-extremism
If radical Islam was terror, why isn’t transgender extremism?
https://tanakanews.com/250916left.htm
トランプの左翼退治
米国の過激な左翼団体としては、トランプやカークなど保守派やキリスト教会をファシスト・敵とみなして攻撃・殲滅しようとするアンティファが有名だ。トランプ政権は9月24日にアンティファを、暴力で米政府を潰そうとしているテロ組織に指定した。
アンティファは、若者を誘導して左翼思想を植え付けて過激化する危険な活動家集団だと米政府は言っている。トランプは、極左団体に資金援助してきたジョージ・ソロス系の組織もテロ指定していきそうだ。
https://www.zerohedge.com/political/antifa-designated-domestic-terror-group-white-house-declares-war-radical-leftist-groups
Antifa Designated 'Domestic Terror Group' As White House Declares War On Radical Leftist Groups
米国の左翼リベラルの中には、民主党を支持し、選挙で民主党を勝たせることで自分らの思想を具現化しようとする人が多い(左翼は社会主義の思想を信奉、リベラルはもっと中道)。そのような人々はテロリストでない。
だが、左翼リベラルとトランプ派は相互に憎み合ってきた。トランプと支持者たちは、左翼リベラル全体がテロ組織なんだと言いたげな言説を半ば意図的に流布する。マスコミの大半を含む左翼リベラルは、やっぱりトランプはファシストだと言って敵視を強める。
https://modernity.news/2025/09/20/trump-to-designate-more-leftist-groups-as-terrorists/
Trump To Designate More Leftist Groups As Terrorists
この構図は対立をさらに扇動し、トランプ(や諜報界のリクード系)に扇動され過激化された左翼勢力から順番にテロリストに指定され、戦争省の軍事攻撃の対象にされて潰されていく。
トランプは全米の違法移民を捕まえて、中南米の母国に強制送還している。違法移民に寛容であるべきだ(民主党に投票してくれるから)と考える左翼リベラルはシカゴやダラスなど各地で、違法移民を捕まえる移民局の前で反対運動を展開し、過激化している。
そこにはアンティファもいるので、トランプは「テロ対策」として移民局前の反対運動を激しく潰すことができる。
https://www.zerohedge.com/political/watch-democratic-partys-revolutionary-arm-creates-chaos-outside-chicago-ice-facility
Democratic Party's Revolutionary Arm Creates Chaos Outside Chicago ICE Facility
911事件後のテロ戦争で、イスラム教徒全体がテロリストで、イスラム教がテロをもたらす危険思想であるかのような考え方が欧米などで流布された。
この誤解の意図的な流布は、イスラム世界の全体を激怒させ、過激なイスラム主義の信奉者を増やし、アルカイダやハマスやヒズボラやムスリム同胞団への支持を増やし、テロ戦争の構図を強化し長期化するための諜報界の策略だった。
実際は、テロ戦争が長引くほどイスラム世界は戦争で貧しくなって困窮したので、イスラム世界の人々は意外に決起しなかった(非米側の人々は現実的。欧米人の方が思想信条に洗脳されやすい)。
イスラム主義は下火になり、ハマスやヒズボラはイスラエルによって残虐に潰されている。イスラエルは、自分が扇動したイスラム主義を、自分で潰している。
https://tanakanews.com/911.htm
911事件関係の記事
「トランスジェンダーの思想が暴力や過激化を誘発する」というTIVEの考え方は、テロ戦争の基盤になった「イスラム教の中に、暴力や過激化を誘発する思想が含まれている」という考え方の発展形として作られている。
TIVEの考え方を作ったのは、共和党タカ派(リクード系=ネオコン)のシンクタンクであるヘリテージ財団だと言われている。
ヘリテージのお家芸は、冷戦型の対立を過激に扇動して多極化につなげる。かつてレーガンのためにソ連敵視から冷戦終結と欧州統合(欧州を強化して対米自立させるつもりが英国系に潰された)への流れを作った。
ブッシュ政権下では、過激なイスラム敵視策や稚拙なイラク占領案を作り、テロ戦争が失敗して米覇権が低下するように仕向けた。
https://www.them.us/story/trump-admin-fbi-trans-nihilistic-violent-extremists-terrorist
FBI to Categorize Trans People As "Nihilistic Violent Extremist" Threat Group, Report Says
ヘリテージは、大統領に返り咲くトランプのための戦略案として、トランプが草の根の右派(極右、キリスト教徒)を率いて左翼リベラルな米民主党や英国系の欧州エリートを潰す策「プロジェクト2025」を作った。その中で、トランスジェンダーやLGBTQが極左な暴力を誘発していると提起されている。
ヘリテージはテロ戦争の時に「イスラム教徒が全員テロリストではないが、イスラム教の中にテロを誘発する要素がある」と言って、イスラム世界での戦争(テロとの戦い)を正当化した。
同様にヘリテージは今回、トランスジェンダーが全員テロリストではないが、トランスジェンダーの思想の中にテロを誘発する要素があると言って、トランスジェンダー団体など極左組織を標的にする米国内での新たなテロ戦争(左翼テロとの戦い)を正当化している。
https://www.theblaze.com/columns/opinion/if-radical-islam-was-terror-why-isnt-transgender-extremism
If radical Islam was terror, why isn’t transgender extremism?
トランプは返り咲き後、ロジェクト2025の保守的・極右的な各種の政策を、選択的に、しだいに具現化している(金本位制はまだだけど、金相場は中共主導になって上がりっぱなしだ)。
911記念日の前日という奇遇な日である9月10日に起きたリチャード・カークの射殺を機に、射殺犯がトランスジェンダーの恋人に誘導されて極左になったという話になり、トランスジェンダーが極左のテロリズムを誘発するという、ヘリテージ製のTIVEの概念が持ち出されて適用され、トランプ傘下の戦争省が国内派兵されて極左のテロ組織と戦う構図が急に出てきた。
カーク殺害の「910」は、トランプの新たなテロ戦争にとっての911となった。911におけるイスラム教徒の役どころを910で担当するのがトランスジェンダーだ。
https://tanakanews.com/250916left.htm
トランプの左翼退治
今回の記事はここまでにするが、実はまだ、とても大事なことを書いていない。それは、今回の910が、24年前の911事件と同様の、ひどい茶番劇であることだ。
射殺犯とされたタイラー・ロビンソンは、実のところ射殺犯でない感じが強まっている。日本の安倍晋三元首相殺害と同様、真犯人は、別のところから射撃した当局系のプロだった可能性がある。
安倍の時と同様、銃弾が貫通したのかどうか謎のままになっている。銃弾が見つかってはまずいのだ。カークの遺体解剖の結果も発表されていない。射殺現場はすぐに片付けられてしまった。事件後にいろんな隠蔽工作が行われている。
ロビンソンの「トランスジェンダーな同棲相手」が極左でない、もしくは存在しない可能性も大きい。当局が発表した、2人の間のチャットのログと称する文書は捏造の臭いがぷんぷんだ。
https://x.com/AndrewKolvet/status/1969551427648569633
about the lack of an exit wound with Charlie...
910と911は、日付の奇遇さだけでなく、謀略として見た場合の(意図的な)超稚拙さでも類似性が際立っている。
911は、犯人が謎のままだ。米当局はオサマ・ビンラディンを起訴していない。オサマは犯人でない。米国の裁判所が有罪にした「犯人」は、法廷で「オレはアルカイダだ」と叫んだ(だから有罪な)ザカリアス・ムサウイだけだ。
910で始まったトランプの「左翼テロとの戦い」は、ヘリテージ財団が何年も前に発案した謀略だ。911と同様、準備期間はたっぷりあった。それなのに、このひどい超稚拙ぶりは、何なのか。
910も911も、911後のイラク侵攻も含めて、意図的にすごく稚拙に過激に展開されたとしか思えない。明白なことなのに、マスコミや権威筋は何も言わない(言うと権威を剥奪される)。
https://www.bbc.com/news/articles/c99g1e0z2ero
Read the text messages between Charlie Kirk accused and roommate
なぜ910が超稚拙に展開されたのか。その理由はおそらく、真犯人がタイラー・ロビンソンでなく、トランスジェンダーの危険思想が誘発した事件でもないのに、トランプが勝手にそう言って左翼リベラルやトランスジェンダーをテロリスト扱いして、国内派兵して殺しに来ることを、左翼リベラルの人々に気づかせるためだろう。
この謀略に気づいた左翼リベラルたちは、トランプや戦争省に反撃する正当防衛性があると考える。穏健なリベラル派までが激怒して(911後のイスラム教徒みたいに激怒させられて)武器を持って立ち上がる。その瞬間、トランプは、自国のリベラル派をガザ市民みたいに虐殺していく法的根拠を持つ。
トランプ支持者の右派たちのほとんどは、真犯人がタイラー・ロビンソンでないとは思わない。そんなことは左翼リベラルが妄想して言っている陰謀論だと思い込んで疑わない。
真犯人がタイラー・ロビンソンでないことは、次回にあらためて書く(かもしれない)。とりあえずロシアのRTの記事に全部書いてあるので、英語が読めない人はサイトを自動和訳して読んでみてください。
https://www.rt.com/news/625179-americans-question-more-about-kirk/
Americans question more about the murder of Charlie Kirk
この記事はウェブサイトにも載せました。
https://tanakanews.com/250925terror.htm
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