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田中宇の国際ニュース解説 無料版 2025年11月1日 https://tanakanews.com/
■要約
トランプ米大統領のアジア歴訪の主目的は、流布されている貿易や投資といった経済面ではなく、秘め事の多い地政学や安保関連の案件であり、経済重視は目くらまし策だ。これは、アジア諸国を、衰退する英国系覇権から、リクード系が米露を従える**米露イスラエル同盟**が割り込んできた新しい三つ巴の世界体制に適合させるための戦略である。
最重要な安保・諜報関連の対話は、トランプと習近平が直接会ってひそひそ話をするしかない。たとえば、習が米露イスラエルに協力する(ガザ虐殺でイスラエルを非難しないなど)替わりに、中国の利権を尊重するといった話が主眼だ。習近平がリクード系の提案を拒否すれば、シリアやアラブの春で発動された**リクード系の高度な政権転覆技能**が中共に向けられる恐れがある。
トランプは日韓に対してもロシアや北朝鮮との和解を求めた可能性がある。日本は高市政権の下で親露・親イスラエル化を進めることで、英国系リベラル派を排除し、トランプ化する米国(米露イスラエル同盟)に従属する動きを見せている。この結果、東アジアの冷戦型対立は解消に向かい、在韓米軍はいずれ撤収し、台湾もゆっくり中共の傘下に入っていく流れとなる。
■本文
トランプ米大統領の10月末のアジア歴訪の主目的は、貿易や投資など経済面だったような感じが流布されている。だが私には、トランプの経済重視が目くらまし策に見える。
経済の大枠の話は秘密が少ない。直接に会う首脳会談でなくても、電話会談や、閣僚間の交渉でも進められる。だが、秘め事が多い地政学や安保、諜報関連の話はそうでない。電話会談は通常、双方の国の政府側近など100人ずつぐらいが傍聴している。
傍聴を禁じても、こっそり傍受することが可能だ。米政府内には、まだ英国系の傀儡勢力がたくさん入り込んでいる。中共の上層部にも、以前のトウ小平の集団指導体制を好み、習近平の独裁を密かに憎んでいる勢力が残っている。
米中とも、最重要な安保諜報関連の対話は、電話会談や閣僚級でなく、トランプと習近平が直接会ってひそひそ話をするしかない。経済の大枠の話は秘め事でないから電話や閣僚でやれる。
https://responsiblestatecraft.org/trump-biden-china/
Can Trump finally break with Biden's failed China policy?
トランプ政権は、米諜報界を英国系から乗っ取ったリクード系が作った。リクード系(と、彼らを米中枢に誘い込んだ多極派)は、戦後ずっと米覇権を握ってきた英国系を壊滅させたい。米国では、すでに民主党を中心とする英国系がほぼ無力化されている。欧州の英国系(英仏独EU、NATO)は、不合理なロシア敵視や温暖化対策にはめ込まれて自滅しつつある。
プーチンのロシアは、トランプとリクード系の隠れた盟友だ。英欧が完全に自滅する(極右が英国系エリートを追い出して英仏独EUの政権を乗っ取る)まで、トランプは目くらましとしてのロシア敵視を続ける。
トランプは、裏でロシアと同盟している。世界は、衰退した英国系覇権(旧来の米国側)と、BRICSや中露印の非米側(グローバルサウス)という二項対立だったのが、近年そこに新参の覇権勢力として米露イスラエル(リクード系が諜報力で米露を従えている)が割り込んできて、三つ巴状態になっている。
プーチンのロシアは非米側の有力者であると同時に、リクード系の勢力でもあり、両属的な存在だ。印度も同様だ。この手の話は、関係諸国の首脳以外に知られない方が良い秘密だらけだ。
https://tanakanews.com/251008liberal.htm
リベラル世界体制の終わり
トランプの今のアジア戦略は、中共や日韓やASEANといったアジア諸国を、この新しい三つ巴状態に適合させるという地政学的な案件が主たる目標だろう。経済でなく、地政学や安保がトランプのアジア歴訪の主目的だ。
トランプと習近平の首脳会談の主眼は、たとえば、習近平が米露イスラエルに協力する(ガザ虐殺でイスラエルを非難しないとか)替わりに、トランプやリクード系は西アジアやアフリカなどでの中国の利権を尊重する(儲けが続くようにしてやる)といった話でないか。
https://www.jpost.com/international/islamic-terrorism/article-872034
The Trump-Xi Summit Imperative: Why Trump and Xi Must Sign the Death Warrant for Global Terrorism
習近平は2023年春にイランとサウジの和解を仲裁したが、その延長で今後もしサウジがイスラエルと和解したら、その流れでイスラエルとイランとの和解を仲裁するとか。もしくは逆に、米イスラエルがイランを再攻撃しても黙っているとか。
パキスタンやアフガニスタンの今後の話をした可能性もある。米国はこの地域から出ていく方向だ。かつて米軍の不沈空母として機能していたインド洋のディエゴガルシア基地などチャゴス諸島も、旧宗主国の英国が手放してモーリシャスに返還される。その後のチャゴス諸島には中国軍が基地を作りそうだ。
https://www.politico.eu/article/uk-minister-china-chagos-island-david-lammy-deal/
UK warned of threat from China when Chagos deal expires
トランプの後ろにいるリクード系は、政権転覆の技能が高い。特に、独裁体制の諸国を劇的に政権転覆するのがうまい。リクード系は昨年末、シリアのアサド政権を傀儡のアルカイダ系に2週間で転覆させた。2011年からの「アラブの春」も、敵対してくるオバマ大統領をへこますためのリクード系の仕業だった。
アジアの独裁体制の筆頭は、習近平の中国共産党だ。米諜報界は英国系の時代から、中共を政権転覆するための技能の蓄積があり、リクード系はそれを居抜きで獲得している。
習近平がトランプの言うことを聞かず、たとえばパレスチナ国家の建設に固執したりしたら、リクード系の政権転覆技能が動き出す。
習近平が決断を先延ばしにしている間に、人民解放軍の幹部とかがリクード系に誘導されて隠然と反逆的な動きをして、それに気づいた習近平があわてて9人の将軍たちを処分した。習近平はリクード系の恐ろしさを思い知り、トランプの提案を了承した。とか。9人の処分は事実、背景考察は妄想ですが。
https://www.gatestoneinstitute.org/21996/xi-losing-control-of-china
Has Xi Jinping Lost Control Of China's Military... And China Itself?
トランプは今回、中国だけでなく日韓に対しても、地政学的な話をしたはずだ。トランプは日韓に対して、ロシアや北朝鮮との和解を求めた可能性がある。トランプが日本に、サハリンからのガス輸入を止めろと言ったが日本は拒否したという話は、目くらましとして行われた。
https://www.rt.com/news/627118-japan-contnue-russian-lng/
Japan defies US on Russian LNG imports
北朝鮮は安保的に最近ロシアの傘下に入っており、露朝は一体的だ。トランプは実質的にロシアの盟友になっており、日韓にもロシアとの和解を進めさせれば、日韓は米露イスラエル同盟の仲間になる。
高市政権になった後、日本政府はロシアに対して平和条約締結の交渉を再開したいと申し入れている。日本政府は石破政権の時にもロシアに和解交渉の再開を申し入れているが、その時は、まず日本が対露制裁を解除するのが先だと言われて断られている。ロシアは今回、もう少し前向きに日本の申し入れを歓迎している。
https://www.rt.com/russia/626936-moscow-welcome-tokyo-peace-treaty/
Moscow welcomes Tokyo’s intent to sign peace treaty - Kremlin
高市は、北朝鮮との国交正常化にも意欲を見せている(英国系の意に沿って北朝鮮と和解しないために日本側が固執していた拉致問題は雲散霧消していく)。
また高市は、以前から声高に親イスラエルであり、イスラエルは高市の首相就任を歓迎している。親露や親イスラエルは、安倍晋三の遺志を継ぐ者として当然と言える(安倍と同様に、中国を敵視するふりをして親密にする)。
https://www.ynetnews.com/article/hyfpf3p0xl
Israel welcomes Japan’s new PM Takaichi, hailing 'historic' opportunity
高市は、対英従属的なリベラル傾向の自民党の従来の主流派と異なり、トランプら米露イスラエル同盟から信頼されうる。
自民党の主力が、英国系のリベラル派から、トランプ系の高市に交代したことは、トランプ化した米国に日本が従属し続けるために必要な、タイミングの良い動きだった。そもそも、この交代を誘発したのはトランプだった可能性もある。
昨年来、トランプのニ期目が安定してガザ戦争が一段落するまでの時間稼ぎとして石破政権を置いたことすら、トランプの思惑かもしれない。日本は米諜報界が自由に動かせる(日本も大喜びで従う)のだから、これらは十分に有り得る。
日本人(権威筋やマスコミと、その軽信者たち)が超間抜けなのは、英国系が潰れ、米国がリクード系の国に替わったことを知ろうともせず、英国系の歪曲情報だけ見て自分たちの親分の交代に気づかないことだ。自分の頭で考えようとしない小役人気質。
https://tanakanews.com/251023hegset.htm
ジャーナリズム要らない
韓国はロシアとの空路の直行便を再開しようとしている。日韓は、トランプに誘導されて、ロシアや北朝鮮と和解していく。東アジアの冷戦型の国際対立が解消され、在韓米軍はいずれ撤収していく。朝鮮半島は、近代以前のような中国の影響圏に戻る。
日本はおそらく、豪州NZとともに、米国の地域覇権下に残る。在日米軍の枠組みは、思いやり予算とともに、日本から米国への財政支援策としてしばらく残される。
ロシアはウクライナ戦争の長期化に備えている。ウクライナ戦争の構図が続き、英欧がもっと自滅させられ、英国系の国際影響力(覇権の残滓)がなくなるまでは、旧来の世界体制への軽信が維持される。
その間に、日本や豪州の権力や権威筋の機構の中で、英国系やリベラル派が希釈・排除されていく。日本人は変わり身がうまいので、リベラル派がいつの間にか保守派になっていく。
https://www.zerohedge.com/geopolitical/russia-moves-year-round-military-draft-anticipating-years-more-ukraine
Russia Moves To Year-Round Military Draft, Anticipating Extended Ukraine Fight
アジアの安保というと従来は、台湾問題や南シナ海紛争といった英国系覇権が中共を敵視する中国包囲網の話だったが、最近のトランプはその手のことから離れている。
英国系はトランプの敵であり、米民主党や英欧EUの衰退とともに、すでに英覇権(いわゆる米国覇権といわれているもの)は実質的に存在しない「死に体」だ。
トランプは、高関税など守銭奴的な経済利権の話をして人々に衝撃を与え、そのことばかりが問題にされるが、実のところ経済面は、地政学や安保の話に目が向かないようにするための目くらましだ。
台湾はゆっくり中共の傘下に入っていく流れだし、南シナ海紛争はASEANと中共の間で和解してすでに終わっている。それらが終わっていないかのように騒ぐのが、近年の英国系の手口だった。
https://www.moonofalabama.org/2025/10/how-will-japan-handle-its-550-billion-trump-problem.html
How Can Japan Handle Its $550 Billion Trump Problem?
トランプは今回、日韓に来る前にマレーシアを訪れ、東南アジア諸国と交流した。そのときトランプが東南アジアに求めたことの一つが、イスラエルが戦争してきたガザの停戦監視のため、ガザに平和維持軍を派兵してくれないかということだった。
派兵を依頼する本命の対象は人口が多いインドネシアでないかと思うが、トランプはまずシンガポールに派兵を依頼した。シンガポールは驚いている。
パキスタンがサウジアラビアからカネをもらう代わりにガザ停戦監視に派兵する構想もある。これらの話は、イスラエルがイスラム世界を取り込んでいく(敵視を現実主義に変えていく)リクード系の策略になっている。長くなってきたので、この話は次回に書く。
https://www.ynetnews.com/article/symjm0jywl
US turns to Asia after Arab states reject Gaza stabilization force
この記事はウェブサイトにも載せました。
https://tanakanews.com/251101asia.htm
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