http://www.asyura2.com/25/kokusai36/msg/191.html
| Tweet |
◆事の背景◆
中国が台湾統一に向け何らかの実力行使に出るのはほぼ確実であり、本格的に乗り出すのは習近平の任期から逆算すると2027年、早ければ2026年と予想される。
国家主席としての習近平(中国共産党総書記)の現在の任期は、2023年3月から2028年3月までの5年間(第3期目)である。2018年の憲法改正により、国家主席の任期制限(連続2期10年まで)が撤廃されたため、事実上の終身制が可能となっている。実際の権力は党総書記と中央軍事委員会主席にあり、これらも任期制限はない。次回の中国共産党全国代表大会(第21回)は2027年秋頃(おそらく10月)と予想され、そこでの人事で習近平氏の4期目続投か否かが決まる。
中国共産党政権にとって台湾統一は、統治の正当性を示すための国是、党是となっている。加えて、以下の狙いがある。
●米国本土を狙う長距離弾道ミサイル搭載の原子力潜水艦を潜ませて置くために、南シナ海、東シナ海を押さえる事
●日本を含め周辺諸国を支配的関係に置くとともに、同海域の鉱物、天然ガス、漁業資源等を確保する事
●列島線を越えて太平洋への出口を確保し、米国とG2関係となり太平洋と世界を2分する事
習近平は3期目の後半に入り、形式上は権力を一極集中させている。しかし、任期という時間軸は容赦なく進む。後継を公式に示さない体制は、安定の証であると同時に、不安の温床でもある。経済失速、若年失業、地方政府債務という現実の重圧の中で、「台湾統一」は党内を再び一つにまとめ得る、ほぼ唯一の大義であるとともに、4期目続投のための事実上の必要条件となっている。
2024年に米国大統領に再選されたトランプは、対中政策を「第2次関税戦争」として再起動させた。高関税、半導体輸出制限を武器とし、一方の中国は大豆輸入制限とレアアース輸出管理強化をカードとし、米国と同盟国の急所を静かに締め上げる。現在は仮初めの手打ちをし休戦状態となっている。
日本では11月7日に高市政権が野党の「挑発?」に乗って台湾を巡る存立危機事態について具体的に踏み込んだ国会答弁を行った。これに国内左翼メディアが油を注ぎ、中国が連鎖的に過剰反応を起こし、12月6日には東シナ海では中国機による自衛隊機へのレーダー照射事案が発生した。
◆有りそうなシナリオ◆
こうした状況下で次に予想されるのは、2026年春頃から、中国が台湾周辺での軍事演習を「日常」に変える事だ。空母、駆逐艦、海警船、民兵漁船が層状に配置されて行く。
だが、ここで重要なのは、必ずしも統一=上陸侵攻ではないという点である。党内長老、実務官僚、そして人民解放軍の多くは、全面侵攻を本音では望んでいない。理由は単純だ。成功しても被害が甚大で、失敗すれば体制の正統性が揺らぐ。解放軍にとって台湾侵攻は「勝っても負けても危険な戦争」なのである。
だからこそ、選ばれるのが海上封鎖だ。
第一段階は準封鎖である。
台湾向けLNG、穀物、工業部品の輸送は遅延し、保険料は急騰する。撃沈はない。だが物流は細り、台湾社会は「まだ戦争ではない」状態で消耗していく。北京は一貫して主張する。「これは演習であり、主権行為だ」。
第二段階は選別的海上封鎖。
中国は軍事危険区域を設定し、主要港湾への接近を事実上遮断する。航路は残されているようで、実際には誰も通れない。この戦法の優れている点は、上陸侵攻と違い、国際社会の反応を分断できることである。侵攻していない以上、「撃って止める」理由が曖昧になる。
日本は否応なく前線国家となる。南西諸島周辺では中国艦艇の展開が常態化し、在日米軍基地は明確な作戦拠点として意識される。政府は存立危機事態の判断を迫られるが、国内政治は分断されたままだ。台湾有事は、準備不足の国から順に選択肢を失っていく。
第三段階は、事故としての衝突である。
台湾の補給艦、中国海軍、護衛艦が至近距離で接触し、警告射撃、ドローン撃墜が連鎖する。誰かが戦争を始めようとしたわけではない。ただ、止める理由が消えただけだ。
舞台はワシントンに移る。
トランプは第七艦隊を第一列島線内に前方展開させている。しかし彼は理念で動かない。問題は、中国艦船を攻撃するかどうかではない。封鎖を破る意思を示すかどうかである。
人民解放軍は、侵攻を望んでいない。だからこそ、トランプに最も重い選択を突きつける。撃てば戦争、撃たねば台湾は撃たれずに屈する。海上封鎖とは、静かで合法の仮面を被った戦争であり、最も残酷な形の現状変更なのである。
◆トランプの選択と日本の戦略◆
台湾有事を巡っては、米国の歴代政権に3つの選択肢がある。即ち、@台湾を中国の侵攻から守る、A台湾を中国に差し出す、B日本に中国と代理戦争をさせる、である。トランプ政権となりBの可能性はほぼ無くなったが、Aは有り得る。
トランプは、これまで「禁句」とされてきた中国との世界分割統治を意味するG2を平気で口にしている。これが本気なのか習近平を油断させレアアース確保の時間稼ぎをするための演技なのか「究極の狸オヤジ」の心は読めない。なお、トランプの半分盟友である「永遠の少年」イーロン・マスクは、テスラビジネスを念頭に、台湾を中国の特別自治区等とすれば平和裏に収まるとのお花畑発言もしている。
中露疑似同盟を分断し、レアアースを確保出来れば米国が圧倒的に有利となり、ロシア・インド等も加えて拡大中国包囲網の構築を背景に台湾を守れるが、包囲網が出来なければ台湾を見捨てるだろう。プーチンの犬と言われようとロシアの主張を大きく取り入れてウクライナ戦争の終結を図るとともに、アフリカ等のレアアース確保に奔走しているのはそのためである。
さて、日本の高市首相は10月24日、欧州主体の「有志連合」会合にゲスト参加しウクライナ支援等にノリノリで賛同する等、冷戦頭が抜けていなかったが、トランプ側から牽制が入ったのかポリティコによると12月8日、日本はG7財務相会合で、ロシアの凍結資産を活用してウクライナに融資することを拒否したと報じられた。(後に日本側は報道を否定)
台湾が中国の物になった場合には、連鎖して尖閣・沖縄、進んでは西日本が中国のターゲットとなる。
日本はどうして行くべきか? それは、中国の挑発に乗る事無く、また中国の理不尽な主張・要求に譲歩する事でもない。日本が取るべき戦略は、各国と連携しその不当性を理路整然と訴えて行くともに、日米同盟と防衛力の強化にとどまらずトランプが台湾を見捨てる選択をせぬ環境を作る事、即ち中露分断を軸とした拡大中国包囲網の構築に多角的に協力し、上策としては戦わずして中国の牙を抜く事であろう。
|
|
|
|
- (加筆最終稿)2026〜27 中国「台湾侵攻」のシナリオと日本の戦略 (SSRI 佐藤戦略総研) 佐藤鴻全 2025/12/20 14:40:28
(0)
最新投稿・コメント全文リスト コメント投稿はメルマガで即時配信 スレ建て依頼スレ
|
|
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。