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https://www.nichibenren.or.jp/document/statement/year/2025/250307.html
刑事デジタル法案について、市民のプライバシーの権利や防御権を保護・実現するための修正を求める会長声明
政府は、2025年(令和7年)2月28日、情報通信技術の進展等に対応するための刑事訴訟法等の一部を改正する法律案(以下「刑事デジタル法案」という。)を閣議決定し、国会に提出した。
当連合会は、2024年(令和6年)3月14日、「電磁的記録提供命令の創設を含む刑事訴訟法等の改正に当たり、プライバシーの権利等を保護するための修正を求める意見書」を公表し、情報通信技術の進展等に対応するための刑事法の整備に関する刑事訴訟法等の改正に当たっては、捜査機関による電磁的記録の収集に関し、プライバシーの権利を始めとする市民の権利を保護するため、改正案の内容を修正することを求めた。
しかし、閣議決定された刑事デジタル法案は、刑罰によって電磁的記録の提供を強制する電磁的記録提供命令を創設する一方で、犯罪と関連しない市民のプライバシー情報や企業・団体の秘密情報を捜査機関が収集し、蓄積することへの歯止めを欠いたものである。今日、広く利用されているスマートフォンやクラウドストレージには、膨大な量のプライバシー情報や秘密情報が保管されており、その情報が捜査機関によって収集され、蓄積される危険性は、通信傍受によって音声等の通話が傍受される危険性をはるかに上回る。そうであるにもかかわらず、刑事デジタル法案は、電磁的記録の収集について、通信傍受法(犯罪捜査のための通信傍受に関する法律)に規定されているような要件や手続すら定めておらず、犯罪と関連しない情報の取得を防止する仕組みも、消去する仕組みも設けられていない。このままでは、捜査機関によって私的領域が侵され、市民のプライバシーの権利等が侵害される危険性は極めて大きく、かつ現実的であると言わざるを得ない。
また、当連合会は、2023年(令和5年)7月13日、「市民の権利を保護・実現する刑事手続のIT化を求める意見書」を公表し、刑事手続のIT化を市民の権利を保護・実現する観点から進め、オンラインの活用による電子データの授受を含む接見交通権の拡充や、証拠開示のデジタル化による防御権及び迅速な裁判を受ける権利の実現を図ることを求めた。
しかし、刑事デジタル法案は、捜査機関の利便に資する多くの制度を創設する一方で、被疑者・被告人の立場に置かれた市民がオンラインで弁護人と接見し、電子化された書類を授受する権利を認めていないなど、防御権を著しく軽視しており、バランスを欠いたものと言わざるを得ない。
当連合会は、刑事デジタル法案が基本的人権の観点から看過できない問題を含んでいることを踏まえ、国会において、プライバシーの権利等を保護するとともに、オンラインで弁護人と接見し、電子化された書類を授受する権利等を実現するための修正を行うことを強く求めるものである。
2025年(令和7年)3月7日
日本弁護士連合会
会長 渕上 玲子
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