http://www.asyura2.com/25/senkyo297/msg/270.html
Tweet |
(6)米価高騰の犯人捜しで展開される「農協悪玉論」には裏がある 令和のコメ騒動の深層
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/370535
2025/04/15 日刊ゲンダイ ※後段文字お越し
すべてはこの人から始まった(C)日刊ゲンダイ
米価高騰の犯人捜しでは「農協悪玉論」も展開されている。農協がコメを隠して価格をつり上げているかのような見方があるが、実態は違う。農協は今、コメが集まらず困っているのだ。
コメ流通全体における農協の集荷率は4割程度になっていたが、今年はさらに3割を切るようなレベルまで落ちてきている。
なぜか。農協は通常、共同販売を行う。例えば、まず農家にコメ60キロあたり概算金1万8000円を払い、販売完了後に5000円の追加払いをして精算する形だ。
今はコメ不足の深刻化で、農家の庭先に直接買いに来る業者が増えている。そうした人々が現金2万2000円で買います、と言えば、とりあえず農協よりも高いから、そちらに売ってしまいがちになる。本当は農協の方が最終的に2万3000円で高くなるのだが。
それから、農協と農水省が米価高騰を維持するため、生産を抑制しようとしているから、値が下がらないとの見方もある。これも実態と違う。長年、農水省と農協が米価つり上げのために減反してきたというが、本当か。
かんぽ生命と同じ形のJA共済叩き
現実を見ると、今回の高騰直前まで米価は毎年下がり続け、30年前の半値以下になってしまっていた。稲作所得は年間1万円、時給にすると10円という水準まで落ち込んでいた。どう見ても米価がつり上げられ、農家に不当な利益がもたらされてきたとは言えない。
農協悪玉論で得する人たちがいる。一番は米国の金融保険業界だ。振り返れば、どうしても日本の郵貯マネー350兆円の運用資金が欲しくて、「対等な競争条件」(イコールフッティング)の名目で解体(民営化)を迫り、小泉政権による強硬的な郵政民営化政策が始まった。さらに、安倍政権下の2013年4月には、民営化したかんぽ生命はがん保険に参入しないと宣言させられた。
その3カ月後、郵便局での米国A社のがん保険の委託販売の拡大方針が決まり、全国2万局へ広がっていった。それだけでは終わらない。19年、かんぽ生命の過剰ノルマによる利用者無視の営業問題が浮上したが、その少し前、日本郵政がA社に2700億円を出資した。当時は日本郵政がA社を「吸収合併」するかのように言われたが、実質は「ひさしを貸して母屋を取られる」出資だったのである。
顧客に不利益となる保険の乗り換え契約などが次々と発覚し、かんぽ生命が叩かれているさなか、「かんぽの商品は営業自粛だが、A社のがん保険のノルマは3倍になった」との郵便局員からの指摘が、事態の裏側をよく物語っている。
こうして郵貯マネーの奪取にめどが立ったから、次に喉から手が出るほど欲しいのは、信用と共済を併せて運用資金155兆円のJAマネーだ。そして案の定、矛先がJA共済に向けられてきた。かんぽ生命とまったく同じ形でJA共済の契約の取り方が不当との報道が行われ始めた。「手口」が分かりやす過ぎる。「農協悪玉論」には裏があることも忘れてはならない。 (つづく)
■【プレミアム会員限定】鈴木宣弘オンライン講座 動画公開中
https://www.nikkan-gendai.com/articles/columns/4587
鈴木宣弘 東京大学教授
1958年、三重県生まれ。82年東大農学部卒。農水省、九州大学教授を経て、06年から東大教授。専門は農業経済学。「食の戦争」(文芸春秋)、「悪夢の食卓」(角川書店)など著書多数。
▲上へ ★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK297掲示板 次へ 前へ
最新投稿・コメント全文リスト コメント投稿はメルマガで即時配信 スレ建て依頼スレ
▲上へ ★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK297掲示板 次へ 前へ

すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。