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※2025年5月7日 日刊ゲンダイ1面 紙面クリック拡大 文字お越し
※紙面抜粋
※2025年5月7日 日刊ゲンダイ2面
トランプ大統領のSNSに投稿されたこの写真に世界がため息(C)ロイター
ジョークだとしても、とてもじゃないが、マトモに見えない教皇自画像。いよいよトランプ大統領の“危うさ”が露呈しているが、振り回される世界と日本はどう対応すべきなのか。一筋縄ではいかない脱米国外交が石破政権にできるのか。
◇ ◇ ◇
あまりニュースがなかった今年の大型連休だが、それだけにギョッとした人も多かったのではないか。トランプ大統領が2日、自身をローマ教皇に模した画像をSNSに投稿した一件である。
ふつうの人であれば、眉をひそめる。正気なのか、とア然とする。子どもの悪ふざけみたいなものだが、それを米国の大統領がやって、喜んでいる。世界中がぶったまげ、そして、怖くなったのではないか。
トランプという人間の正体が垣間見えるシーンはこれまでもいくつかあった。ゼレンスキー大統領をホワイトハウスで面罵した場面もそうだ。いきなり、世界中に相互関税を課し、しかも、いい加減な論拠で、税率を上乗せし、「関税は美しい」などと悦に入っていた時もそうだった。世界中が面食らうと同時に、不安になった。とてもじゃないが、「マトモ」に見えなかったからだ。そこにもってきて、今度は教皇自画像なのである。
イタリアの主要紙レプブリカは「幼稚」「病的な誇大妄想」と書いた。
フィリピンの枢機卿パブロ・ビルヒリオ・ダビド氏はフェイスブックで、「全く面白くない」と切り捨てた。
言うまでもないが、バチカンは次期教皇を決めるコンクラーベの真っただ中だ。死去したフランシスコ教皇の服喪期間でもある。
トランプは「誰かが教皇に扮した私の写真を作成し、インターネットに公開したものだ。私が作成したわけではない」と言い訳していたが、自分のSNSアカウントに投稿しておいて、よく言う。しかも、この画像は後に、ホワイトハウスの公式X(旧ツイッター)のアカウントでも共有された。
改めて、イカれた大統領の「オツムの中」が心配になってくるのである。
背筋が寒くなるような大統領のナルシシズム
経済評論家の荻原博子氏はこう言った。
「あの写真を見た瞬間、非常識に呆れると同時に、この人は政治家じゃないんだな、と思いました。政治家というのは、さまざまな人々に配慮するものだからです。まして、米国大統領ともなれば、自国だけでなく、世界の人々への配慮が必要です。それなのに、自分の支持者だけを対象にして、ウケ狙いとしか思えない言動をする。トランプ大統領は4日、海外で製作された映画に100%の関税を課すことをSNSに投稿していましたが、こちらもその類いでしょう。宗教や文化など、政治権力の介入を慎まなければいけない分野にも平然と手を突っ込んでくる。とても危ういことです」
ハリウッド保護関連なのか、ホワイトハウスのXでは4日、トランプがスター・ウォーズに出てくる剣、「ライトセーバー」を掲げる生成AI画像を上げていた。こちらもスター、英雄気取りで、背筋が寒くなるようなナルシシズムを感じる。この映画関税だって、海外ロケを国内ロケに切り替えれば、大幅なコスト増になる。自動車関税と同じで、米国にいいことはひとつもないのに、妄信して暴走するのはいつものパターンだ。
果たして、この男は正気なのか。世界が懸念し始めている。
「嘘は構わない」「謝罪は弱虫」がトランプ
2回目の閣僚交渉を前に握手する赤沢経済再生相とベッセント米財務長官(代表撮影・共同)
<「トランプ信者」潜入一年 私の目の前で民主主義が死んだ>の著者でジャーナリストの横田増生氏にも感想を聞いてみた。横田氏は2020年、トランプ陣営の選挙スタッフとなって潜入、選挙から議事堂襲撃までを密着したことで知られるが、今回、驚いたのはトランプのSNSだけでなく、ホワイトハウスのXでも教皇写真がアップされたことだという。
「ここが1期目と大きく違うところです。1期目はトランプ大統領の暴挙に対して、周囲が止めに入ったのです。でも、2期目は違う。誰も逆らわない。おべっかを使うイエスマンばかりです。だから、ホワイトハウスのXにも写真が載る」
そのうえで、トランプ自身については、こう言った。
「正気の沙汰じゃありません。冗談で“教皇になりたい”と発言したことがあったようですが、彼は聖書もマトモに読んだことはないと思います。父親に連れられて教会に行ったことはあるけれど、自己啓発セミナーのような宣教師だったし、聖書を掲げた写真がありますが、写っているのは裏表紙です。それでも自分を教皇に模して悦に入っている。米メディアによると、6月14日の自身の誕生日には大規模な軍事パレードをやるそうです。歴史上、こんなことをやった大統領はいません。慎むべきところを自己顕示に使う。トランプ大統領の姪であるメアリー・トランプの著書、『世界で最も危険な男』には数々のエピソードが出てきます。それによると、トランプ氏の虚勢は自信のなさの表れで、平気で嘘をつくのは実際より大きく見せたいからだと分析しています。彼の価値観では“嘘をついても構わない”“謝罪するのは弱虫だ”になる。実際、すぐばれる嘘を平気でつく。マトモな相手ではありません」
さあ、こんな相手に日本はどう対応すべきなのか。法外な関税を吹っ掛けられている日本は赤沢亮正経済再生相を交渉役に指名。その下に総合対策本部事務局を設置。そこには外務、経産、農水、国交などから40〜50人の官僚が集められ、連日、対応を協議しているが、従来通りの交渉ではどうにもならない。相手はマトモじゃないのである。
入り口にも立っていないのに「前進」とは
連休中にわかったもう一つのことは、交渉役に抜擢されて喜々としている赤沢は大嘘つきだということだ。
2回目の協議のあと、赤沢は「早期合意に向けて前進した」などと語っていたが、その後、米国が自動車、自動車部品、鉄鋼、アルミニウムに課した25%の関税については、交渉から除外すると表明していたことが判明。肝心の自動車が「門前払い」だったのに、何が前進なのか。スタート台にも立っていないくせに赤沢は6月合意に期待を示していたから、能天気にも程がある。MAGA帽をかぶらされ、舞い上がっている赤沢では不安は募るばかりである。国際ジャーナリストの春名幹男氏はこう言った。
「教皇写真を投稿したトランプ大統領を見て、本気で脱米国依存を考えなければいけない時期に来たなと感じました。自分が英雄気取りのトランプ大統領は今後も自分の非を認めないでしょう。つまり、製造業の衰退も格差の拡大も他国のせいにして関税をかけまくる。米国の衰退は国内問題ですから、関税をかけたところで復活はしない。米国の衰退は止まらないのに改めない。結果、米国はもっと衰退していくから、日本は多元的な外交戦略が必要になります」
かといって、他の超大国も信用できない。付かず離れずのしたたか外交や輸入に頼らない食料自給率の引き上げなどが急務となる。
「石破政権にそれができるかというと、心もとないですね」(春名幹男氏=前出)
前出の荻原博子さんは「スケジュールありき」の日米交渉を懸念する。
「関税交渉では今月中旬以降、閣僚協議を集中的に行うことで合意していますが、向こうの土俵には乗らず、ノラリクラリ作戦がいいんですよ。鰻のように尻尾を掴まれないように逃げるのがいい。日本は2国間交渉のトップバッターで、ここと合意できなければ焦るのはトランプ政権の方です。プーチン大統領との関係もおかしくなり、習近平・中国も独自で仲間の取り込みを始めている。日本を抱き込む必要に迫られているのは米国です。向こうの譲歩を待てばいい」
この連休中にわかったことは、いよいよ病的なトランプに媚びたらオシマイということだ。世界は石破政権に、その胆力があるかを注視している。
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