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※2025年5月19日 日刊ゲンダイ1面 紙面クリック拡大 文字お越し
※紙面抜粋
※2025年5月19日 日刊ゲンダイ2面
無為無策、石破自民党政権そのものが「国難」になりつつある(C)日刊ゲンダイ
トランプ関税の影響が出る前にGDPはマイナスに転落し、日産の工場閉鎖というデジャビュ。景気対策は待ったなしなのにコメ対策すらいまだ迷走のていたらく。
少数与党という以前に政策がない場当たり漂流政権を続けさせたらアウトだが、メディアも国民の様子見という思考停止。
◇ ◇ ◇
共同通信が17、18日に実施した全国世論調査で、石破内閣の支持率は前回4月の調査から5.2ポイント減の27.4%に下がり、過去最低を更新。不支持率は55.1%だった。毎日新聞が17、18日に行った調査でも、内閣支持率は22%と発足以降で最低だった。
支持率が最低になるのも当然で、これだけ国民生活が困窮しているというのに、物価高対策は何もせず、コメ価格の高騰さえ抑えられない。そのうえ景気対策もノープランの政権が国民から支持されるはずがないのだ。無策無能による「石破不況」がいよいよ現実味を増してきた。
16日に内閣府が発表した2025年1〜3月期のGDP速報値は、実質で前期比0.2%減、年率換算で0.7%減だった。マイナス成長は4四半期ぶりだ。一方、24年度のGDP実額は616兆9095億円と初めて600兆円を超え、名目では3.7%増である。全体の経済規模が大きくなったのは物価上昇によるもので、実体経済はまったく豊かになっていないことが分かる。
内需の柱である個人消費は伸びず、家計の節約志向は高まる一方だ。ここへきて、景気を支えてきたインバウンドにも陰りが見え始めた。3月の全国百貨店売上高によれば、訪日客の購買状況の指標となる免税売上高は前年同月比で3年ぶりのマイナス。背景には中国景気の減速があるとみられる。
ナイナイ尽くしの日本経済なのだが、問題は、1〜3月期の数字は米国のトランプ政権による関税措置の発動以前のものだということだ。「トランプ関税」の影響が本格的に出てくるのは4〜6月期以降なのである。
自動車会社は数千億円規模の減益
「いまの日本は、輸出で稼げるのは自動車だけという“一本足打法”になっています。米国との関税交渉の結果によっては自動車関税が日本経済に重くのしかかり、GDPのマイナス幅がさらに拡大する恐れがある。トヨタ自動車は、トランプ関税が4〜5月だけで営業利益を1800億円下押しするという見通しを示しましたが、ブルームバーグ・インテリジェンスの試算では通期で1兆5720億円の減益です。ホンダは約6500億円、日産は約4500億円の減益が見込まれる。自動車産業は裾野が広いため、広範な影響が出てきます。そういう不透明感が漂う中で、早くも日産の大リストラ策が出てきたのです」(慶大名誉教授の金子勝氏=財政学)
日産は13日、世界に17ある工場のうち完成車工場を7つ閉鎖すると発表。メキシコやインドの工場に加え、創業の地である神奈川県内で基幹工場として稼働してきた追浜工場(横須賀市)と子会社「日産車体」の最大拠点・湘南工場(平塚市)も閉鎖の候補に挙がっているという。
再来年度までに国内外で2万人の人員削減を行うことも発表。国内では営業や経理など事務系の社員を対象に早期退職を募る。国内では2007年以来、18年ぶりの大リストラだ。社会問題にもなった1990年代の座間工場閉鎖、“コストカッター”と呼ばれたカルロス・ゴーンの大リストラを彷彿とさせ、まるでデジャビュだが、深刻なのは、今回は日産1社だけの問題ではないということだ。
日産のような大リストラに踏み切らないまでも、業績が悪化すれば賃上げもままならない。自動車産業がダメになれば、日本は売るものが何もない。経済全体が沈み、国民生活はますます苦しくなる。
減税阻止に「政治生命をかける」に唖然
税調インナーの森山裕幹事長(右は宮沢博行税調会長)/(C)日刊ゲンダイ
景気対策も物価高対策も待ったなしなのに、何の手当てもしない政治に対し、国民の我慢も限界に近づいているのではないか。石破政権は庶民生活の苦しさを分かっていない、理解しようともしないように見える。
共同通信の世論調査では、消費税について「食料品のみ減税するべきだ」「全て減税するべきだ」「廃止するべきだ」との回答が計73.2%に上った。物価高に苦しむ多くの国民が、「せめて消費税減税を」と願っている。コメ価格高騰への政府対応に関しても「不十分だ」との回答が87.1%と圧倒的多数だった。
それなのに、自民党の森山幹事長は減税しないことに「政治生命をかける」と言うのだ。
自民党税制調査会の幹部でもある森山は、ゴリゴリの財政再建派で知られる。17日に鹿児島県屋久島町で講演した際も、「財源なき消費税の減税はあってはなりません」と言い、参院選の争点になりそうな消費税の扱いについて「政治生命をかけて対応したい」と決意を語っていた。
国民生活を守るために、財務省などの抵抗勢力に屈せず消費税を廃止することに政治生命をかけるとでも言うなら分かる。減税阻止に政治生命をかけるって、いったい何なのか。全身全霊をかけて国民の生活苦を放置するだなんて、政治家が胸を張って言うことか。
「財政再建派から見たら現状の物価高は大歓迎で、是正する気はないのでしょう。物価高によって消費税による税収が自然に増えるし、インフレで政府債務は圧縮される。新たな増税をする必要もなく、財政が健全化していくのです。金利を上げてきた他の先進国に比べて、日本の消費者物価指数は異常に高いのですが、政府はあえて放置している。しかし、そのシワ寄せは庶民が被っていることを忘れてはいけません。いわゆるインフレ税で、気づかぬうちに“ステルス増税”の負担が増えているのです。このまま行けば、不況とインフレが同時進行して、スタグフレーションの泥沼が長期化しかねない。社会が持たなくなりますよ」(金子勝氏=前出)
インフレ税は悪魔の手法
インフレによって、預金も実質的に目減りしていく。かつて財務相や官房長官を務めた故・与謝野馨氏は「政策的インフレによる財政再建は高齢者狙い撃ちのステルス型増税」「悪魔的手法だ」と批判していたものだ。
国民に気づかれぬよう増税し、その資産を奪い、政府債務を減らしていく。国民生活を犠牲にした財政再建にどれほどの意味があるというのか。
森山はじめ自民党の減税反対派は「国債を発行しすぎるとハイパーインフレになる」「円の信認が失われる」「プライマリーバランスが崩れて財政危機に陥る」などと、もっともらしいことを言って国民を脅すのだが、だったらそれをアベノミクスに対しても言ったのかという話だ。アベノミクスの異次元金融緩和が現在の物価高の主因なのは疑いようがない。今になって、無尽蔵な国債発行による財政危機をことさら喧伝するのは、ご都合主義にも程がある。
「3月末までに結論を得ると大見えを切っていた企業・団体献金の議論も、先送りされる公算が大きい。国民には負担を強いて、自分たちに入ってくるお金は守るというのは理解を得られないでしょう。2カ月遅れて国会に提出された年金改革関連法案も火事場泥棒のようなひどいものです。改革の柱だったはずの基礎年金の底上げは法案に盛り込まれず、『106万円の壁』撤廃で、労働時間が週20時間以上なら年収を問わず厚生年金に加入することになる。パート収入の人は手取りが減ってしまうのだから、実質的な負担増ですよ。なぜ、予算の使い道を見直して、国民生活を少しでも助けるような政策を打ち出せないのか。石破政権は少数与党を言い訳にしていますが、過半数はなくても最大議席を持つ与党なのだから、本気でやろうとすればできるはずなのです。それができないなら退場するしかありません」(ジャーナリスト・山田厚俊氏)
少数与党という以前に、政策が何もない漂流政権なのだ。メディアも「参院選までは様子見」の姿勢だから、場当たり対応を垂れ流すだけ。政治がこのていたらくでも、奇妙な凪状態が続いている。
だが、国民も思考停止でいいのか? 参院選までの2カ月も惜しいくらい、この国の経済状況は逼迫している。無策の場当たり政権を続けさせれば、その分だけ庶民の生活は苦しくなっていくだけだ。
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