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※2025年5月22日 日刊ゲンダイ1面 紙面クリック拡大 文字お越し
※紙面抜粋
※2025年5月22日 日刊ゲンダイ2面
あれだけ農業通、大臣経験者がいる自民党で、未経験軽量大臣にピンチヒッター(C)共同通信社
放言農相辞任を巡るドタバタで石破政権の末期症状が露呈したが、小泉新大臣という人事にも仰天だ。あれだけ農業通、大臣経験者がいる自民党で、未経験の軽量大臣にピンチヒッターが務まるのか。
しかも、その思想は親父譲りの新自由主義で、農家への補填、減反廃止に逆行するもの。安易な大規模農業株式会社化や外資参入という火事場泥棒を許す懸念も。
◇ ◇ ◇
政権の末期症状が露呈した。石破首相が21日、江藤農相を事実上更迭した。続投させる考えを表明してわずか1日。また対応が後手に回り、方針転換に追い込まれた。
米価高騰に庶民生活が苦しむ中、江藤は「コメは買ったことがない」と言い放ち、「家に売るほどある」と謎の自慢。「ウケを狙って強めに言った」と釈明したが、ちっとも笑えず、消費者の反感を招いただけだ。
20日の参院農水委員会では「(地元の)宮崎ではたくさんいただくと、『売るほどある』とよく言う。宮崎弁的な言い方でもあった」などと言い訳。地元・宮崎県民も「そんな方言はない」とカンカンで、失言に失言を重ねて火に油を注ぎまくる無反省ぶり。石破の遅きに失した更迭の決断に、自民党内からも批判の声が上がっている。
コメ放言の農相辞任を巡るドタバタには石破政権の危機管理の脆弱さが強くにじむが、後任に小泉進次郎元環境相を充てる人事にも仰天だ。その場しのぎのゴマカシをまざまざと見せつけた。
江藤は派閥の領袖を務めた父・隆美氏の代から農水族。「コメは買ったことがない。支援者がたくさんくださるので売るほどある」との放言には、生産者や農業団体との距離の近さがのぞく。「支援者」最優先の政治姿勢が垣間見え、うがった見方をすれば利益供与の疑いすら感じるほどだ。要するに消費者は置き去りなのである。
そこは機を見るに敏な進次郎のこと。早速、消費者目線をアピールだ。21日官邸で石破と面談した後、記者団に「パックご飯も買う」と強調。「消費者目線でコメ政策を進めていると思ってもらえるように、政策で(国民に)お返ししたい」と畳みかけたが、しょせんは4代世襲のボンボン議員である。庶民気取りは鼻白む。毎度おなじみ、吹けば飛ぶような軽い「ポエム」にだまされてはいけない。
相性最悪の危険なミスキャスト
進次郎の実績と経験不足は自民党内の誰もが認めるところだ。閣僚経験は菅内閣時代の環境相のみ。記憶に残るのは19年9月、就任直後に出席した気候行動サミットで飛び出した「セクシー」発言だけだ。「おぼろげながら浮かんできた」という「46%」の温室効果ガス排出削減目標など、独特の語り口は「進次郎構文」と呼ばれ、“ネット民”の格好のネタにされている。環境相時代の「功績」はレジ袋の有料化しか思いつかない。
自民党内には江藤を除いても、石破や林官房長官、森山幹事長を含め、農相経験者が8人いる。農政に通じた議員だって数多い。備蓄米放出後もコメの価格は思い通りに下がらず、それどころか、再び値上がりに転じた。この状況を打開するのに、農相未経験で軽量級の進次郎に大事なピンチヒッターが務まるのか。
「スピード感を持って対応できるように全力を尽くしたい」なんて言うはやすしで、自ら名乗った「コメ担当大臣」は任が重すぎる。
さらに危ういのは進次郎の思想だ。昨年の総裁選出馬の際に「労働市場改革」と称して「解雇規制の緩和」など新自由主義ムキ出しの政策を訴え、当初は本命視されたものの、急失速を招いたのは記憶に新しい。高千穂大教授の五野井郁夫氏(国際政治学)はこう言う。
「コメ価格の抑制をはじめ、農水行政と『稼ぐが勝ち』の新自由主義は本来、相いれないものです。食料安全保障の観点からも国民への供給を最優先すべきであり、まさに今、そのことが問われています。価格高騰に苦しむ国民感情を逆なでしたコメ放言のダメージを解消するため、無能を承知で『人気者』を抜擢。コメ行政に世間の注目が集まる今、いやでも応でも農相のメディア露出は増える。夏の参院選をにらみ、今から選挙目当ての“客寄せパンダ”を登用した起死回生の人事のつもりなのでしょうが、進次郎氏の思想と農相ポストの相性は極めて悪い。危険なミスキャストです」
JAマネー155兆円を外資に差し出すのか
コメ農家の所得補償に意欲を示した矢先に…(C)日刊ゲンダイ
父・純一郎元首相は竹中平蔵氏とタッグを組み、製造業の派遣解禁など強烈な新自由主義政策を推し進め、格差・貧困社会を生み出し、庶民生活をぶっ壊した。進次郎は親父に輪をかけた新自由主義者にみえる。彼の思想には2004年からの渡米経験が多大な影響を及ぼしているに違いない。
関東学院六浦小から関東学院大までエスカレーター式に進学。大学卒業直前に突然、米名門校・コロンビア大大学院への進学を志した。父は当時、現職の首相。週刊新潮(21年8月12.19日号)によると、ブッシュ政権下で要職にあった人物のツテを頼って得たアドバイスは「父の跡を継ぎ、首相になる可能性があること」を強調するように──。
この助言が奏功したのか、進次郎は超難関大への留学を果たし、06年5月には政治学の修士号を取得。翌月から米ワシントンの「戦略国際問題研究所」(CSIS)の非常勤研究員となった。CSISは日本外交に絶大な影響力を持つ「ジャパンハンドラー」の巣窟として知られ、進次郎は今年のゴールデンウイークにもCSISを訪問。関税交渉について講演し、トランプ大統領が掲げる「MAGA」(メーク・アメリカ・グレート・アゲイン)に引っかけ、こうヨイショしてみせた。
「日米同盟を『メーク・アライアンス・グレート・オールウェイズ(MAGA=同盟関係を常に偉大に)』にする機会にできると確信している」
進次郎は親父譲りの新自由主義者であり、筋金入りの米国至上主義者でもあるのだ。
その本性をロコツに表したのが、第2次安倍政権時代の15年10月から約2年間任された自民の農林部会長時代である。
トランプ関税交渉にも誤ったメッセージ
進次郎は「農協改革」を提唱し、父の二番煎じでJA全農に「抵抗勢力」のレッテルを貼り、農林中金やJAバンクなど金融部門の切り離しを目指した。モメにモメた挙げ句、「改革」とやらは頓挫したが、党と政府に承認された「農業競争力強化プログラム」には「稼ぐが勝ち」の進次郎カラーが色濃く反映されている。
戦略的輸出体制の整備や農地の大規模集約化など「稼げる農業」に向けた項目がズラリ。進次郎の新自由主義的性格が至るところに顔を出すのだ。
「JAマネーの運用資金は信用(銀行)と共済(保険)を合わせて155兆円。切り離しを手ぐすね引いて待っているのは、第一に米国の金融保険業界です」と言うのは、東大大学院教授の鈴木宣弘氏(農業経済学)だ。こう続ける。
「米価高騰の犯人捜しで『農協悪玉論』も展開される中、農相ポストに就いた途端に進次郎氏の『農協改革』への野心が再燃しかねません。農林部会長時代から協同組合であるJA全農の株式会社化を唱え、改革が行き過ぎると農協は解体されてしまう。日本の農政の現場を担うJAに米国のグローバル穀物資本が参入し、のみ込まれる恐れすらあるのです。『令和のコメ騒動』を機に、コメ農家の惨状に対する世間の関心が高まり、支援の機運も醸成され、石破首相もようやく生産拡大・減反廃止に向け、米価下落時の所得補償に積極姿勢を示した矢先です。コメ農家支援の流れに反するような人事は理解に苦しみます」
時あたかもトランプ関税を巡る日米交渉で、米国産のコメ輸入拡大案が日本政府内で検討されているさなかだ。父の代から対米従属路線の進次郎農相の下、米価高騰を逆手に取り、安易なコメ市場開放という火事場泥棒を許す懸念もある。
「日本側が対米関税交渉において成果を目指すなら、進次郎氏の農相就任は誤ったメッセージを送るようなものです」(五野井郁夫氏=前出)
まさに「亡国人事」と言うほかない。
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