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※2025年5月26日 日刊ゲンダイ2面
いきなり主役で威勢の良いことばかり息巻くが(C)共同通信社
父親の郵政民営化も振り返ってみれば、むなしい熱狂。仮想敵をつくり、ワンフレーズで国民をケムに巻く親父譲りには危うさばかりがつきまとう。短期決戦のパフォーマンスで選挙を勝ち抜く算段だろうが、有権者は二度も三度も騙されない。
◇ ◇ ◇
今月20日、自民党総務会が郵政民営化関連法の改正案をひっそりと了承した。中身はというと、「郵政民営化やめます」という内容だ。まず、「できるだけ早期に処分する」と決まっていた日本郵政が保有するゆうちょ銀株、かんぽ生命保険株を当分の間、持ち続ける。国による郵便局支援も明確化する。日経新聞は「2005年に成立した郵政民営化法の趣旨に逆行する内容」と書いていたが、その通りだ。小泉純一郎元首相が選挙を劇場化し、大騒ぎして結実させた「郵政民営化」は混乱と不祥事の挙げ句、「元の木阿弥」となったのである。
それにしても、このタイミングは奇遇ではないか。折しも、息子の小泉進次郎が、舌禍で更迭された江藤拓農相の後任に就任、「小泉劇場の再来」とばかりに暴れまわっているからだ。
備蓄米を随意契約で出荷させ、早ければ6月頭に店頭価格5キロ2000円で並ぶようにする。こう息巻いた小泉は親父よろしく、TV受けするネタと画を用意。楽天の三木谷社長と会談したり、スーパーを視察したりして、画を撮らせ、そのたびに「ようやく政治が動いたという結果を出す」などと威勢のいいセリフをポンポン言う。
親父さながらのパフォーマンスで、これには小沢一郎がXでこう噛みついたほどだ。
<石破自民党が狙うのは小泉劇場型政治の再現。かつての郵政民営化みたいな茶番劇を画策、主演俳優を決めたということ。争点を一点に絞り、敵を作り、腐敗も失言も裏金も物価高も全部忘れさせる狙い。(中略)国民が再び劇場型政治に騙されれば、今度こそ日本はおしまい>
小沢に言われるまでもなく、ワンフレーズの劇場型政治には気を付けた方がいい。これが小泉の親父から国民が学んだ「歴史の教訓」なのである。
ヒトラーも利用した劇場型の洗脳方法
劇場型政治は白か黒か、と問題を単純化させ、敵をつくり、攻撃する。それに大衆は熱狂し、芝居に夢中になっているうちに他のことは忘れてしまう。その際、有効なのが「ワンフレーズ」と「映像」だ。ヒトラーは「我が闘争」の5章で、こんなことを書いている。
<フィルムを含めたあらゆる形式の像が、疑いもなくもっと大きな効果をもつ。ここでは人間はもはや知性をはたらかす必要はない。眺めたり、せいぜいまったく短い文章で読んだりすることで満足している。それゆえ多くのものは、相当に長い文章を読むよりも、むしろ具象的な表現を受け入れる用意ができている>
小泉親子は、その具現者のようだ。「5キロ2000円」と叫び、「私は闘う」と訴える。それをTVが追っかけ、「映像」を垂れ流す。ついつい、聴衆は洗脳されてしまいそうになるが、ここは一歩立ち止まって、中身の検証が必要なのである。
さもないと、郵政民営化のときのように国民の虎の子を外資に売り渡すようなことにもなりかねない。今度のコメ問題も自民党農水族、JAグループ、コメを売りたい米国、農業の株式会社化を狙う外資など、さまざまな登場人物が跋扈する。果たして国民の味方は誰なのか
「小泉大臣が出てきて5キロ2000円にする、と言えば、みんながオッとなる。しかし、小泉さんの言うとおりになるのか、そんなうまい話があるのか。その小泉さんのバックには誰がいるのか。この辺を見極めないと、郵貯マネーを米国に差し出したのと同じことになりかねません」(経済評論家・斎藤満氏)
コメが安くなりそうだからと言って、ヌカ喜びはまだ早い。
小泉パフォーマンスは一瞬の幻で終わりそう
父・純一郎元首相も劇場型政治を展開(C)日刊ゲンダイ
まず、小泉が豪語するように、本当に来月頭にはコメの値段が下がるのか。本当にできれば大したもんだが、怪しい話だ。なにしろ、備蓄米の在庫は今や60万トン程度しかないとみられている。そのうち、食用で卸せるのは30万トン程度、毎月10万トンずつ出せば、夏には底を突いてしまう。
小泉は「どんどん出す」と息まいているが、そもそも在庫がないのである。
「地方への輸送費用も国が負担するそうですから、備蓄米を随意契約でスーパーやネット販売業者などの小売りに直接、安く卸せば、それなりに値段は下がるでしょうが、その備蓄米はすぐに底を突いてしまう。そもそもコメが足りないのですから、一時的、部分的な話で終わってしまいます。秋には今年の新米が出てきますが、田植えの段階でもう値段が決まっている。集荷業者に卸すのが60キロ2万6000円程度ですから、店頭に並ぶときは5キロ4200〜4300円になるでしょう。つまり、価格は今と大して変わらない。よくJA(全農)が自民党の農林族と組んで、価格をつり上げているような言い方がされていますが、それも違います。農家はJA以外の集荷業者と直接取引をするケースが増えていて、今や、JAが彼らに買い負けているのです。JAには価格を維持することはもちろん、調整する力、=シェアがないのです。小泉大臣の号令一下、JAを脅せば、価格が下がるような状況ではありません」(東大大学院教授・鈴木宣弘氏=農業経済学)
品薄を見越し高値で仕入れた業者が安く売るか
コメの値段が下がっても備蓄米だけ。それもすぐに底を突くから、一瞬で終わりそう。それが専門家の見立てなのだが、「いや、それも簡単ではないだろう」というのが業界関係者だ。
「備蓄米を安く卸してもらっても精米して、小袋に詰めなおさなければならない。トラックの手配、精米工場の確保など小売りがすぐにできる話じゃない。現場感覚では来月頭なんて無理でしょう」
大臣に秘策があるなら聞いてみたいものだ。
安い備蓄米を出すことで異常につり上がっているコメ価格に風穴をあけることも期待薄だ。他の業者はJAに競り勝つために高値で仕込んでいるからだ。安く売れば、大損である。
「今、株式市場が注目している銘柄が2つある。東証スタンダードに上場している木徳神糧と東証プライムのヤマタネです。木徳のビジネスは業務用、家庭用白米・玄米の卸売りで2025年12月期の純利益は前期比で62.4%増、ヤマタネはコメ卸売りが業務の5割で、今年3月期決算では直近の予想と比べ営業利益が17%も増えた。おコメさまさまで、木徳の株価はちょっと前まで3000円台だったのに、いまや1万円超え、ヤマタネは1000円を割ったこともあったのに4500円を超えています。こうした企業が品薄下でコメの価格を簡単に下げるとは思えない。コシヒカリなどの高級ブランドが下がる要素はありません」(JA関係者)
小泉大臣の言動は、ハッタリとは言わないが、芝居がかっているのは間違いない。
選挙前のアドバルーン、見せ金みたいなものなのだ。
小泉大臣就任の裏に米国の意向が見える
大体、コメ高騰の根本原因は品薄だ。自民党が長年推し進めてきた減反政策の失敗だ。これを転換し、コメ農家が利益を出せるようにしなければならない。
そのためには戸別所得補償が不可欠だが、これまで財務省は農業予算を削り、食料安全保障をないがしろにし、ポンコツのミサイルを爆買いしてきた。今頃になって石破政権は「農政改革会合」を復活させるなどと言い出したが、選挙前の「やるやる詐欺」は自民党の得意技だ。
その一方で、「当面のコメ不足に対応するため」とか何とかの理屈で、米国の言うままに輸入量を増やしかねない。
「小泉純一郎元首相の背後には米国のネオコンがいました。息子の農相就任の影に米国がちらつくのは私だけでしょうか。米国にとって、巨大商社のようなJAは目の上のたんこぶ。JA解体と農作物の市場開放をセットにし、関税交渉と絡めてくるのだとしたら、農林部会長として農協改革に挑戦した小泉大臣の就任は米国の意向にも沿う人事です」(斎藤満氏=前出)
小泉劇場はかくも怪しく危なっかしい。TVを利用したプロパガンダに騙されてはいけない。
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