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※紙面抜粋
※2025年5月30日 日刊ゲンダイ2面
トランプ暴挙を黙認する石破政権の危うさ…狂気の大学弾圧、「明日は我が身」という懸念
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/372570
2025/05/30 日刊ゲンダイ ※後段文字お越し
目に余る関税措置(C)AP=共同
裁判所も違法と断じた関税断行のトランプ大統領が今度は留学生への言論弾圧と大学潰し。あまりの無法に言葉もないが、これに抗議、批判もできない石破政権や大メディア、大学の情けなさ。学術会議潰しを見ていると、日本の大学自治も風前のともしびだ。
◇ ◇ ◇
ガキの使いだか知らないが、赤沢経済再生担当相が4回目の日米関税交渉に臨むとか言って米国に出発した29日、米国際貿易裁判所はトランプ大統領が発動した「相互関税」など一連の関税措置に対して違法と判断し、一部差し止めを命じた。いわゆる「トランプ関税」が大統領の権限を逸脱しているかどうかが争われた訴訟だ。
トランプ側はこれを不服として上訴を申し立てたが、トランプの専横が目に余るのは関税問題だけではない。今度は学問の府を標的に言論弾圧を強めている。
まずは5月22日(現地時間)、ハーバード大に対して留学生受け入れ機関としての認可を取り消すと発表。新規に留学生を受け入れることはできず、在籍生も他校に転学しなければ在留資格を失うことになる。
もちろん大学側は取り消し措置を違憲だと訴え、米連邦地裁が一時差し止めを決定。するとトランプは、26日にハーバード大への約30億ドル(約4300億円)の補助金を取りやめると言い出した。さらに27日には、米連邦政府がハーバード大と締結しているすべての契約を打ち切るよう関係機関に指示したという。同時に、各国の米大使館に対しても、学生ビザ申請面接の新規予約を停止するよう通達を出した。
こんな暴挙、無法が許されるのかと思うが、トランプは対決姿勢を強める一方だ。
28日、ワシントンDC臨時連邦検事長の就任式に出席した際にも、ハーバード大の外国人学生比率を現在の31%から半分の15%に減らすべきだと主張。「外国人留学生のせいでハーバードや他の大学に行きたくても行けない米国人がいる」というのだ。それは国籍ではなく学力の問題ではないのか? 「ハーバード大は我々に彼ら(外国人留学生)の名簿を見せなければならない」とも言っていた。露骨な介入、弾圧である。
知の逆流現象が始まる
そして、これはハーバード大だけでなく、全米の大学に対する牽制でもある。トランプは、イスラエルの侵攻激化に対する抗議デモが各大学で広がることを「反ユダヤ主義だ」と非難し、大学側に取り締まり強化を求めた。また、東海岸の名門校「アイビーリーグ」を中心とする全米50校にDEI(多様性、公平性、包摂性)重視策の見直しも要求。これが総額90億ドル(約1.3兆円)近い補助金継続の条件になると脅しをかけてきた。
徹底抗戦するハーバードを見せしめにして締め付けを強め、「逆らうとハーバードと同じ目に遭うぞ」と威圧しているのである。
「関税問題もハーバード大への圧力も根は同じです。トランプ大統領は、『留学生のせいで大学に行けない』『貿易で搾取され、損させられてきた』などと訴えて米国民の被害者意識をかき立て、中国をはじめとする他国を敵視してファシズム化している。同時に、知的エリート層への反感も利用している。トランプ関税を発動し、外国人留学生を排斥して名門大を屈服させることで、ラストベルト地帯を中心とする白人労働者の支持を固めようとしているのでしょう。ただ、これは米国にとって自殺行為です。世界中から優秀な人材が集まって交流し、高水準の研究成果で世界をリードしていけることが米国の強みだった。かつてはナチスの迫害によって多くの研究者や知識人が欧州から逃れ、米国が“知の王国”になったのに、逆流現象が始まっています。科学技術を潰しにかかればイノベーションは停滞し、GAFAのように米国発のIT産業が世界を牽引することも難しくなる。世界全体にとっても、研究・学問の漂流は大きな悪影響があります」(慶大名誉教授の金子勝氏=財政学)
学術研究の政治からの独立は民主主義の根幹
対岸の火事ではない(C)ロイター
ハーバード大には約6800人の留学生が在籍している。日本人の学生や研究者も300人近くいる。これから留学予定の人も含め、トランプの強権に翻弄されて、この先どうなるか分からない不安にさらされている。
東大や京大、阪大などが米国内での学業や研究が困難になった留学生の受け入れを発表したが、格下大学に喜んで移籍する留学生がどれだけいるだろうか。
2024年の世界大学ランキングでハーバード大はオックスフォード、スタンフォードなどに次ぐ4位。日本でトップの東大は、前年から10ランクアップしても29位で、精華大(中国.12位)やシンガポール国立大(19位)に水をあけられている。京大も13ランクアップしたが、それでも55位だ。
もちろん困っている留学生の受け入れは大事だが、大学自治の原則や言論の自由に挑戦するトランプの反知性主義に抗議、批判の声明を出すことが先決ではないのか。暴挙を傍観して対症療法でお茶を濁すのでは、学問の府の名折れというものだろう。
政治も同じだ。石破政権は、この由々しき事態を黙認したまま関税交渉で媚びへつらうつもりか。日頃、ハーバード大学ケネディ行政大学院修了の学歴を鼻にかけている自民党の茂木前幹事長も何も言わないし、28日には麻生最高顧問、岸田前首相とメシを食って遊んでいた。
もっとも、日本政府がトランプの言論弾圧に何も言えないのは当然かもしれない。同様のことが進行中だからだ。
「戻す」と言えばいいだけ
日本を代表する学者組織の「日本学術会議」を特殊法人化する法案が28日、参院で審議入りした。
この法案では、現行法で学術会議が職務を「独立して」行うと定めた文言が削除されているほか、選定助言委員会、運営助言委員会、日本学術会議評価委員会、監事という4つの外部機関が新設される。評価委員会は学術会議内ではなく内閣府に設置され、その委員を首相が任命する。政府が人事や運営に介入できる仕組みが幾重にもちりばめられた内容だ。
「国庫の負担とする」と定められていた必要経費も、「予算の範囲内において、会議に対し、その業務の財源に充てるため、必要と認める金額を補助することができる」に変わる。補助「できる」ということは、財政難などを理由に補助しないことも可能だ。政府の方針に異を唱えれば、予算をつけないという脅しにも見える。
「大学自治を攻撃し、壊しにかかっている。動機は違っていても、トランプ大統領の大学弾圧と本質的には同じで、学問を支配下に置こうとしているのです。国立大学を法人化して予算を減らしたのもその一環で、研究者は企業の寄付講座に頼らざるを得なくなってくる。そうなると、科学者が戦争協力したことへの反省から『軍事目的の科学研究は行わない』とした学術会議の基本方針も崩れかねない。学問が企業や政治の意向に依存することになっていいのでしょうか」(金子勝氏=前出)
古くは地動説を唱えたガリレオ・ガリレイの例もある。学問・研究に政治が介入し、弾圧して何らいいことがなかったのは歴史の教訓だ。
「学術研究の政治からの独立は、民主主義の根幹をなすものです。そもそも学術会議の議論は、20年に菅元首相が6人を任命拒否したことで始まった。本来あるべき政治の姿を説いてきたのが石破首相なのだから、学術会議を支配下に置くようなことはやめて、『元に戻す』と言えばいいだけの話でしょう。学問の自由を弾圧する国は、滅びへの道を歩んでいくしかありません」(ジャーナリスト・山田厚俊氏)
このまま行けば、来月早々にも法案が成立する。今月16日には、首相が学術会議の会員を任命拒否できるという法解釈に至った文書の一部を国が黒塗りとしたことに対し、東京地裁が開示命令を出した。国は控訴しているが、この問題を放置したまま学術会議法人化法案が成立していいはずがない。日本の大学自治も風前のともしびだ。トランプによる狂気の大学弾圧は「明日は我が身」なのである。
ただ、我が国では参院選が控えている。有権者が今から反対の声を上げれば、事態が変わる可能性は十分ある。
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