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※2025年5月31日 日刊ゲンダイ2面 紙面クリック拡大 後段文字お越し
※紙面抜粋
小泉進次郎農相は連日のパフォーマンス(C)共同通信社
小泉劇場ばかりが注目されているが、それもこれも、コメ高騰を放置してきた無策の反動、マッチポンプみたいな話だ。コメ以外の高騰は収まらず、一時しのぎの手取り増でゴマカす裏にインフレ増税の悪だくみ。
◇ ◇ ◇
さながら備蓄米狂騒曲。“小泉劇場”で指揮を執る農相は世間の注目を一身に集め上機嫌だが、雑音や不協和音も入り交じり、最後まで美しい曲を演奏できるだろうか。
政府が随意契約で放出した備蓄米の流通が本格化している。インターネットの通販サイトは即完売となる人気ぶり。31日から店頭販売も始まった。
当初、来月2日に宮城県仙台市、神奈川県川崎市、千葉県松戸市の系列ホームセンターでの販売を予定していたアイリスオーヤマは、仙台と松戸について、日程を31日に前倒しした。競うように、イトーヨーカ堂も東京都大田区の店舗で31日から販売を開始。他店舗は来月1日からだという。販売価格は両社とも5キロで税込み2160円。「いち早く顧客に届けたい」ということだが、店頭販売第1号にはメディアも押し寄せ取材してくれるから、いい宣伝になる。
連日、テレビジャックしている進次郎は、30日は備蓄米を保管している神奈川県内の倉庫の視察に出向いていた。「古古古米」となる2021年産米に、味や品質への懸念があるのを意識し、「非常にいい状態で問題なく提供できるという現場の言葉には心強く思った」とアピールに余念がなかった。
一方で、玄米を精米する工場やコメを運ぶ運送会社からは悲鳴が上がる。通常の銘柄米に競争入札の備蓄米、随意契約の備蓄米。仕事の発注が膨れ上がりパンク状態だ。
大手先行で不公平感のあった随意契約も、30日から中小スーパーや米穀店向けの申し込み受け付けが始まった。こちらは21年産米なので店頭価格が1800円程度となる。ただ、前日のオンライン説明会に参加した米穀店からは「申し込みは10トンから。そんな量を扱えない。うちには無理」と落胆の声も。複数の店での共同購入も認めるというが、対応できるのだろうか。結局、大手だけが喜ぶ結果になりはしないか。
参院選向け一点突破
21日の農相交代から怒涛のスピードで備蓄米が消費者の手元に届くことになり、世論は「進次郎すごい」と喝采ムードが広がる。確かに、江藤拓前農相では遅々として進まなかった。農水省の30日の発表によれば、3月に実施された1、2回目の入札で落札された備蓄米のうち、今月11日時点で小売店に届いているのは全体の12.9%にとどまっている。
もっとも、南海トラフ地震の臨時情報が発表され、買いだめが起きた昨夏の「令和の米騒動」の時に、備蓄米を放出していれば、ここまでの事態にはならなかっただろう。当時の岸田政権の坂本哲志農相は「新米の流通で徐々に品薄は回復する」と言い張り、石破政権になっても小里泰弘農相、そして江藤と「備蓄米は緊急事態に備えるものだ」と動かなかった。
石破政権の“代名詞”になりつつある「後手」だ。半年以上、コメの価格がどんどんつり上がっていくのに何もせず、国民の不満が頂点に達し、そこへ颯爽と現れたのが進次郎というわけ。つまり、コメ高騰を放置してきた無策の反動であり、マッチポンプみたいな話なのだ。政治評論家の野上忠興氏が言う。
「2000円っていったって、安いのは古い備蓄米だけです。まき餌みたいなもので、進次郎氏は古古古米を試食してみたり、備蓄米の倉庫を視察してみたりとパフォーマンスに邁進中。もっとも、進次郎氏が一人で暴走しているわけではなく、任命した石破首相の指示の下に動いている。つまり、参院選前に支持率を回復したい石破首相と、評判ガタ落ちだった過去を払拭して将来の首相候補として挽回したい進次郎氏の利害が一致しているわけです。そこへ、視聴率が取れるからとテレビも追いかけ回し、さらに劇場化する。しかし、参院選を乗り切るため『とにかくコメで一点突破』ということなのでしょうが、物価全体は高いままです。物価対策はどこへ行ったのか、石破政権はまともなメスを入れていない。メディアもそういうことをもっと報じるべきでしょう」
小手先の石破首相に「民のかまど」は見えていない
物価上昇は加速(C)日刊ゲンダイ
物価対策が放置されているのは、30日に総務省が発表した5月の東京都区部の消費者物価指数でもクッキリだ。変動の大きい生鮮食品を除くコアCPIは前年比3.6%上昇し、23年1月以来、2年4カ月ぶりの高い伸びとなった。前月の3.4%から伸び率も拡大した。
コメ類が93.7%の上昇と目が飛び出るが、コメにつられて他の食品も驚くほど上がっている。外食のすしは8.3%、おにぎりは16.9%上昇。原材料費の価格高騰でチョコレートが28%、コーヒー豆が21.1%上昇。生鮮食品を除く食料全体は6.9%の上昇で前月の6.4%を上回った。
狂乱物価高は青天井。30日は帝国データバンクが6月の食品の値上げ動向をリポートしていたが、値上げ品目は1932で、前年6月の623から実に3倍超に激増している。
経済評論家の斎藤満氏はこう言う。
「物価は下がるどころか、ますます上昇しているのが実感です。この3カ月の動きを『瞬間風速』で見ても、コアCPIが6%、コアコア(生鮮食品に加えエネルギーも除く)でも5%という非常に高い上昇ペースになっています。サービス価格も上がっていますし、このままでは、日銀が見込んでいるような物価が落ち着く状況にはならず、むしろ物価高は加速するでしょう。キャベツなどの葉物野菜の値段が下がっても、埋没してしまうほど他のものが上がっている状況です。コメは、備蓄米だけ値段を下げても、肝心のブランド米は下がらない。それどころか、うちの近所の米屋さんでは『ゆめぴりか』の24年産米がもう終わってしまって、新米が来るまで入荷しませんと言ってましたよ」
コメ値下げも目くらましに利用
政権発足当初から効果的な物価高対策が望まれてきたのに、8カ月経っても石破首相は何もやらず、消費税減税は拒否、現金給付もしない。で、打ち出したのは、7〜9月の夏の間の電気・ガス料金の支援だ。3カ月で3000円というショボさ。やらないよりはマシという程度の話である。
そういえば、少数与党政権が国民民主党を取り込むために手をつけた「年収の壁」見直しもゴマカシだった。スッタモンダの末、所得税の課税最低限が103万円から160万円に引き上げられたが、それで増えた手取りはチョボチョボ。減税額は年2万〜3万円程度にすぎないという一時しのぎだから、物価高対策になんかなりゃしない。その裏で、物価高にともなって勝手に税収が増える「インフレ増税」に政府はニンマリ。コメの値下げ狂騒は、国民の目くらましにも利用されている。
「電気・ガス代の支援やガソリン補助金のような小手先の対策では、物価が広範囲に上がってきている現状に対応できません。事実上のインフレ増税なのは間違いなく、物価上昇により支払う消費税は確実に増えています。さらに、物価上昇で名目賃金が水膨れしたことにより、所得区分が上がり、税率や社会保険料負担が増えている人がいる。これもインフレ増税です。年収の壁を少し引き上げただけでは、そうした負担はカバーできません。インフレを抑制するために、根本的な物価高対策が必要なのですが、利上げもやらない、政治生命をかけてでも消費税減税はやらないでは、どうにもなりません」(斎藤満氏=前出)
自民党税制調査会の「インナー」と呼ばれる幹部である森山幹事長頼みの石破政権では、庶民生活は二の次。石破に「民のかまど」は見えていない。
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