<■461行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可> 尖閣諸島に対する我が国の実効支配の取り組み強化を サンデー正論 2025/6/8 8:00 https://www.sankei.com/article/20250608-JSMUHUOKMBPUDN3UDTQ3EC2F2I/?422509 日本固有の領土である尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺で2025年5月3日、中国海警局艦船の艦載ヘリコプターが領空侵犯した。 中国ヘリによる領空侵犯は初めてだ。 にもかかわらず政府内から出てくるのは直前に日本の民間機による尖閣周辺での飛行が事態を誘発したとの見方で、領空防衛のための具体策は示されていない。 安倍晋三政権で首相秘書官を務めた島田和久元防衛事務次官はシンクタンク「国家基本問題研究所」で行われた研究会で、尖閣の実効支配に向けた取り組みの強化を求めた。 ■見送られた公務員の常駐 安倍氏は平成24(2012)年12月に政権に復帰すると、尖閣諸島の警備警戒態勢について 「あるべき姿に戻せ」 と指示した。 民主党政権下では 「過度に中国側との軋轢を恐れる余り、当然行われるべき警戒、警備の手法に極度の縛りが掛けられていた」 からだ。 同時に、尖閣諸島の実効支配と安定的な維持管理をするため、尖閣諸島への公務員の常駐を打ち出した。 平成24年衆院選と翌平成25年参院選の際、自民党が公表した政策にも盛り込まれた。 首相に返り咲いてからも国会答弁で公務員の常駐は 「選択肢の1つ」 と明言した。 安倍首相は平成25年7月24日、米シンクタンク戦略国際問題研究所(CSIS)上級副所長マイケル・グリーン氏と昼食を共にした。『宿命の子 安倍晋三政権クロニクル』(文芸春秋)の著者である元朝日新聞主筆の船橋洋一氏も参加した席で、安倍首相 「米国が認めるのであれば、それ(公務員常駐)も合わせてやるのが一番の抑止力になる」 (『宿命の子』) と述べた。 翌平成26年4月の日米首脳会談後の共同記者会見で、オバマ大統領は、尖閣への日米安保条約5条(武力攻撃に対する共同行動)適用を米大統領として初めて、明言した。 日本側としては成果だったが、続くオバマ発言は島田氏らにとって 「想定外」 だった。 「米国は尖閣諸島の領有権に関する最終的な決定については特定の立場を取っていません」 「(中略)平和的に解決すること、つまり状況を悪化させることなく、大袈裟な表現は使わず、挑発的行動は取らず、日本と中国が協力できる方法を見つけることが重要であると(会談で)強調した」 オバマ政権は 「対中関与政策の真っただ中」(島田氏) であり、安倍首相は公務員常駐に踏み切れば、オバマ政権は中国ではなく日本を非難しかねないとして思いとどまった。 2017年1月にトランプ大統領が登場した。 安倍首相はトランプ大統領に領有権を認めさせることはできないか考えたものの 「トランプの場合、オバマと違った不可測性がある」 「同盟そのものを守ることが先決だ」 「ここは無理をしないことにした」 (『宿命の子』)。 ■習近平主席への働きかけ 安倍首相が公務員常駐の代わりに取り組んだのが、海保増強と中国の習近平国家主席に対する戦略的コミュニケーションだった。 「共産党独裁政権ではトップの判断が重要だ」 「習主席に日本の意思を伝えられるのは自分しかいない」 (島田氏) と考えたからだ。 中国側は平成25年12月の安倍首相の靖国神社参拝に反発し、首脳会談に応じようとしなかった。 だが、中国側も安倍首相と会談するしかないと方針転換した。 日本国内の 「親中派」 とだけ会談しても、日本との懸案解決には繋がらない。 安倍首相を無視し続けることは困難と悟ったのだ。 習主席に強く進言したのは李克強首相だった。 平成26年11月に北京で会談したのを皮切りに、令和元年12月まで両首脳は10回会談した。 平成28年9月の20カ国・地域(G20)首脳会議の際に行われた会談で、安倍首相は尖閣防衛に対する 「私の意思を見誤らないように」 と明確に伝えた。 想定問答には入っていなかった発言で、安倍首相は通訳にしっかりと訳するよう指示した。 島田氏は平成25年1月に起きた中国海軍艦艇による射撃管制用レーダーの照射、同年5月に沖縄県付近の接続水域を潜航した潜水艦の存在を公表したのはいずれも安倍首相の判断だったと明らかにした。 防衛省は日本側の探知能力を知られたくないとして慎重だったが、安倍首相は 「外交的に抗議をしても、習主席には届かない」 「公にすることで日本の断固たる決意を伝える」 「戦略的コミュニケーションの判断があったでしょう」 「同時に、日本国民に知ってもらう重要性も認識していた」 (島田氏)。 その後、安倍首相は習主席を国賓として招聘した。 両国政府は、新しい両国関係を定義する 「第5の政治文書」 を作ることで検討に入った。 焦点の尖閣諸島については 「静かな海にする」 ことを盛り込む方向で調整していた。 艦船を尖閣周辺には侵入させないということを中国側に認めさせるのが日本側の狙いだった。 習主席の訪日には保守派を中心に強い反対があったが、安倍首相は文書を取り交わしたら 「静かな海」 にする、即ち 「諍(いさか)いのない海」 にするということで、中国側も艦船を入れづらくなる。 そのうち中国国内も騒がなくなっていくのではないかとの期待を込めた。 結局、新型コロナウイルスの感染拡大で訪日は中止となり、 「第5の文書」 が交わされることはなかった。 中国はその後、海警局艦船の装備を強化するなど日中の対立は高まった。 ■「領空」という課題 今回のヘリによる領空侵犯について、島田氏は 「日本側の対応を見て、やっても大丈夫との認識に至った計画的なものだろう」 「日米安保条約第5条適用は尖閣が日本の『施政下』にあることが大前提だ」 「中国は『施政下』にあることが揺らいでいることを誇示しようとしている」 「一番の課題はヘリからの離着陸が繰り返される事態になった時、どう有効に対処するかだ」 と指摘する。 島田氏が懸念するのは日本側が先に動いたことで中国の行動を 「誘引」 したとの見解が、日本政府内から出ていることだ。 岩屋毅外相は2025年5月13日の記者会見で 「航行の安全を図る目的で、関係省庁から運航者に安全性を考慮すべきだと伝えた」 と述べた。 中国を 「過度に刺激しないよう飛行の自粛を求めていた」 (共同通信の報道) というのだ。 安倍政権では尖閣防衛の能力は高まった一方で、実効支配のための公務員常駐は見送られ、宿題として残っている。 領海は海保を中心に必死に守っているが、次は領空という新たな課題を抱えることになった。 自民党の部会では 「無人機等による対領空侵犯措置を本格的に検討に入るべきではないのか」 (木原稔前防衛相) などの意見が出てきている。 これらの声を早急に政策として反映すべきだろう。 島田氏は安倍首相の取り組みを振り返りながら、現状に警鐘を鳴らすのだった。 「官僚組織は過去のやり方からなかなか前に踏み出せない」 「そこをどうするか」 「それには政治の胆力が必要だ」 「安倍首相は尖閣防衛のやり方を民主党政権とは抜本的に変え海保や自衛隊を増強した」 「併せて、中国側に『島を守る決意を見誤るな』と伝えた」 「意思もあって能力もある」 「それを相手に理解させる」 「それで初めて抑止力になる」 (肩書は当時)「腐っている」のは誰か 中国は準備周到 石破・岩屋コンビで尖閣は守れない 櫻井よしこ 美しき勁き国へ 2025/6/2 1:00 https://www.sankei.com/article/20250602-DYXPL5VR6FMRRIQAES22TFBROE/ あだむ書房から上梓された『石破茂語録』は一読の価値がある。 「私たちの愛する日本は、偽りの神々に仕える人々に牛耳られたのでしょうか」 「組織は頭から腐ると申します」 「上の者が不正を愛すれば、その下を、自分に忠実な、保身と忖度のため不正をも敢えて厭わない人々で固めるでしょう」 本書の初版は安倍晋三政権の末期の令和2年5月であり、安倍氏を念頭に置いた発言だとみられる。 今年2025年5月3日、中国海警局のヘリコプターが尖閣諸島(沖縄県石垣市)領空を侵犯した。 石破政権の対応を見れば腐り始めている組織の頭が石破氏で、岩屋毅外相らも同様だと実感する。 事件を時系列で見ると、まず、わが国の民間機が尖閣への飛行を計画し、海上保安庁が複数回、中止を要請した。 だが民間機は2025年5月3日午前11時半に新石垣空港を飛び立ち、午後0時18分に尖閣上空の領空に入った。 中国機の妨害を恐れた海上保安庁が警告した結果、民間機は引き返した。 他方、ヘリ搭載の海警船2303は0時18分ぴったりにわが国領海に侵入、ヘリは2303から午後0時21分に飛び立ち、36分まで15分間、領空侵犯した。 航空自衛隊のF15戦闘機が那覇基地を飛び立ったが、尖閣上空に到着した時には中国機は既に海警船に戻っていた。 中国側が民間機の飛行予定など詳細な情報を把握した上で待ち構え、民間機を領空侵犯の口実にして対応し、中国こそが尖閣を領有する国だとの認知戦に弾みを付けたと言える。 シンクタンク「国家基本問題研究所」研究員の中川真紀氏は、尖閣対応を巡る中国側の準備の周到さを指摘する。 一例が昨年2024年6月施行の 「海警機構行政法執行手続き規定」 である。 不法出入国者などを最大60日間拘束可能とする内容で、尖閣諸島周辺で活動する日本漁船や調査船にとどまらず、船主、同乗者も拘束する法的根拠となる。 2023年11月末に習近平国家主席が尖閣諸島を担当する東海海区指揮部を視察し、海上権益の保護、法執行能力を高めよと指示して以来、尖閣対応策は軍事的、法的に急速に厳格化した。 海警所属の船は1千トン以上に限っても2023年度末までにわが国の倍以上の159隻に増えた。 コーストガード仕様から軍艦仕様に替わり、海軍フリゲート艦などが配備された。 驚くのは 「海警には軍として訓練された部隊が配属され、人間も装備も軍そのものとなった」 (中川氏) ことだ。 中国海警はコーストガードであり、軍隊とは異なるが故に、日本側も海上保安庁が対応する。 海保は海上保安庁法25条で 「職員が軍隊として組織され、訓練され、又は軍隊の機能を営むこと」 を認めない。 現実を知っても海保は自ら変わろうとはしない。 この海保の表層的対応、それを改変できないわが国の政治を大いに利用しているのが中国だ。 人民解放軍(PLA)が台湾侵攻に備えて総統府など台湾中枢部を攻撃する訓練の一環として、攻撃対象そっくりの模擬標的を同寸大で作り実弾で破壊していることは周知である。 私たちは尖閣諸島に関しても同じ訓練が行われていることを知っておくべきだ。 彼らは魚釣島に似た地形の島で、ボートを使った着上陸訓練を行っている。 危険水位はここまで急速に上がっている。 その中で発生したのが2025年5月3日の領空侵犯だった。 国基研企画委員の織田邦男元空将は、空の主権は絶対的だと強調する。 15分間もの領空侵犯など許してはならない。 直ちに排除するか、最悪の場合、撃墜しなければならない。 にもかかわらず、石破首相、岩屋外相の対応には度し難いものがある。 「不測の事態を防ぐ観点から、(中略)関係省庁から(民間機の運航者に)飛行の安全性を考慮すべきだと伝えた」 事件後10日目の2025年5月13日に岩屋氏が記者会見で同件に触れた。 尖閣の領有権を主張する中国を過度に刺激しないよう、民間機側に自粛を求めていたことを明らかにしたのだ。 今後、同様の飛行計画が申請された場合、同様に飛行の自粛を求めるのかと問われたが、岩屋氏は直接答えず、こう語った。 「引き続き、強い関心をもって注視し、緊張感をもって情報収集に努める」 10日間も放置した末の 「強い関心」 や 「緊張感」 とは一体何なのか。 国益なきおざなり回答は中国への阿りか。 さらに救い難いのが石破首相である。 今日に至るまで明確な発信はない。 安倍氏は習氏に対してきちんと尖閣の領有権は日本にある、中国が手を出せば必ず対処すると毅然と伝え続けた。 冒頭の石破氏の語録は、安倍氏を念頭に 「偽りの神々に仕える人」 「組織は頭から腐る」 と批判したとみられる。 しかし、今その言葉通りの事象が自らに起きているのではないか。 石破内閣の対中政策こそ 「腐っている」。 尖閣の危機は台湾の危機であることを、当事者のわが国よりも鮮明に自覚しているのが米国である。 ワシントンでは中国への対応策として日米豪比による太平洋防衛協定締結を求める声がある。 4カ国が最大の軍事的努力を重ねて中国の侵略を抑止するというのだが、その中で決定的な役割を担うのがわが国である。 台湾有事、日本有事、さらには日米同盟有事を乗りきれるか否かがわが国の対応と能力にかかっている。 2027年の台湾侵攻が現実味を帯びる今、石破・岩屋チームの下でわが国は大丈夫か。 懸念は限りなく深い。 <正論>尖閣の久場・大正島で訓練復活を 麗澤大学特別教授、元空将・織田邦男 2025/5/27 8:00 https://www.sankei.com/article/20250527-XQILRUXDGNNB3DZZZJ3PEEYC4U/ ■尖閣周辺への領空侵犯 2025年5月3日、尖閣諸島周辺の日本の領海に侵入した中国海警局の船(以下「海警」)から離陸したヘリコプター1機が約15分間、日本の領空を侵犯した。 中国機による領空侵犯は昨年2024年8月のY9型情報収集機による長崎・男女群島沖の領空侵犯に次いで4度目で、尖閣諸島周辺では3度目である。 劉勁松中国外務省アジア局長は 「日本の右翼勢力が民間航空機を操縦し尖閣諸島の領空に侵入した」 とし、在中国日本大使館の横地晃首席公使に 「即時、違法な権益侵害行為を停止し、同様の事件の再発防止措置を講じるよう」 申し入れを行った。 また 「中国は国家の領土、主権、海洋権益を断固として守る」 と強調したという。 尖閣諸島は日本固有の領土であり、その上空は飛行禁止空域でもない。 飛行した日本人男性が語るように 「合法的な飛行」 であり、彼は平成27(2015)年にも尖閣上空を飛行している。 筆者も現役時代、訓練で複数回、尖閣上空を飛行したことがある。 現在の状況は知らないが、当時は航法訓練で尖閣上空を普通に飛んでいた。 政府は事前に飛行自粛を求め、海保は偶発衝突を回避するため引き返すよう無線で警告したという。 メディアも当該飛行をあたかも違法行為かのように報道する。 いつから日本人が日本の空を自由に飛べなくなったのか。 中国の 「サラミスライス戦術」 が如何に功を奏しているかが分かる。 同戦術は、サラミを少しずつスライスするように、軍事行動を徐々にエスカレートさせて現状変更をもたらすものだ。 目的は海警ヘリによる飛行という既成事実作りであろう。 尖閣上空を日本の民間機が飛んだからといって、海警ヘリを飛ばす軍事的合理性はない。 ヘリは速度が遅く武装もないため民間機への対処行動は取れないし、無線による警告なら、海警からできるからだ。 ■中国の思惑は 中国は民間機の飛行を口実に、新たな一歩を踏み出した。 今後、日本政府の反応を見ながら、 「警戒飛行」 という名の領空侵犯を常態化させ、海警ヘリから戦闘機へとエスカレートさせていく可能性がある。 張暁剛中国国防省報道官の 「中国海警による警告や退去措置は、自国の法律と主張に基づいた対応」 との主張からも窺える。 中国の目指すところは、尖閣諸島の実効支配である。 2012年以降、海警による領海侵犯は常態化し、接続水域への侵入は、ほぼ一年を通して行われている。 2016年のG20サミットの際、安倍晋三首相は習近平国家主席に 「(海警の領海侵入は)極めて遺憾であり、一方的に緊張をエスカレートする行動はやめるべきだ」 「私の意思を見誤らないように」 と直接強く抗議した。 安倍氏亡き後、 「安倍効果」 は最早霧消した。 領海の次は領空だ。 中国官用機や海警による尖閣周辺の領空、領海への侵入が常態化すれば、尖閣は中国が実効支配をしていることになる。 それは 「日本の施政下にない」 ことを意味する。 そうなれば尖閣は日米安保条約第5条(日本の施政下にある領域に対する武力攻撃が対象)の適用対象から外れ、北方領土や竹島のように米国はそっぽを向くことになる。 日本政府は 「サラミスライス戦術」 を甘く見てはならない。 「遺憾砲」 と 「スクランブル」 だけでは、事態は悪化する一方だ。 日本も実効支配を死守する次の一手が求められる。 石破茂首相は首相就任前、漁船の避難場所設置や気象観測実施などを通じて、実効支配のレベルを引き上げるべきだと述べた。 自衛隊の常駐についても言及したことがある。 だが、首相になってからは口を噤む。 昨年2024年12月、石破首相は尖閣周辺での中国船領海侵入への対応について 「現時点では具体的な予定はない」 と答弁した。 ■日米同盟強化策として 現時点での政府の不作為は禍根を残す。 筆者は尖閣諸島上空での日米共同訓練を提案したい。 尖閣諸島の久場島と大正島は、日米地位協定上、今尚米軍専用射爆撃場である。 1979年以降、訓練は実施されていないようだが、これを復活させる。 大正島は国有化されたが、久場島は未だに私有地であり、日本政府は借地料を払い続けている。 使用しないのは税金の無駄遣いだ。 ちなみに航空自衛隊はグアムまで行って射爆撃訓練を実施している。 国内でも実施できれば精強化に貢献する。 久場島、大正島を米軍専用施設から日米共用施設に改定し、ここで日米共同訓練を実施すれば、実効支配のレベルは間違いなく上がる。 準備の必要はなく、明日にでも実行できる。 日米共同訓練なので政治的リスクも比較的少ない。 トランプ政権と直ちに協議し、日米同盟強化策として実行に移すべきだ。 「遺憾砲」 を繰り返すだけでは 「サラミスライス戦術」 を後押ししているようなものである。 やがて実効支配を失うことになるだろう。 そうなってからでは手遅れだ。 今が次の一手を打つラストチャンスなのである。 中国ヘリの尖閣領空侵犯直後、空自戦闘機がスクランブル 海保と自衛隊の動きを可視化 2025/5/10 13:30 https://www.sankei.com/article/20250511-OZFWKB6QYJDMVLYO3LLIHBUTXI/ 尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺で2025年5月3日、中国海警局の船からヘリコプターが飛び立ち日本の領空を侵犯した問題で、海上保安庁はヘリによる領空侵犯よりも前に現場周辺へ航空機を派遣し、また航空自衛隊は事後に素早く緊急発進(スクランブル)で対応していたことが、放送型自動従属監視(ADS-B)のデータから明らかになった。 一方、中国海警局側はヘリの領空侵犯に連動して船が領海に侵入していたことも、船舶自動識別装置(AIS)の記録などから浮かび上がった。 ■海保と空自が連携して対応 防衛省と海保によると、中国のヘリは2025年5月3日午後0時21分頃から午後0時36分頃にかけて領空を侵犯した。 航空機の位置情報を提供するWEBサイト「フライトレーダー24」などのデータを基に産経新聞が分析したところ、領空侵犯よりも1時間以上前の午前10時53分46秒、第11管区海上保安部の中型ジェット「ファルコン2000」(ちゅらたか2号)が那覇基地(那覇市)を離陸。 より尖閣諸島に近い下地島空港(宮古島市)周辺で、少なくとも領空侵犯直前の午後0時5分7秒まで上空を飛行していたことがわかった。 その後の飛行経路は不明だが、午後4時20分48秒に那覇基地に戻った。 海保関係者は、 「海警船から飛行し領空侵犯したヘリには、海上警備として巡視船から退去警告を出した」 「その後は、防衛省と連携の枠組みに基づき対応が行われた」 と話す。 一方、フライトレーダー24には、中国ヘリの領空侵犯が続いていた午後0時30分4秒、沖縄本島の南西沖に航空自衛隊のF15戦闘機とみられるコールサインなしの航空機が出現し、現場海域と那覇基地のおよそ中間地点に達するまでの13分間、西進するデータも記録されている。 中国のヘリは、スクランブルしたF15戦闘機が現場へ到着する前に海警船に着艦していたとみられるが、統合幕僚監部の広報担当者は、 「(領空侵犯の時間帯に)間に合うか間に合わないかはスクランブルにおいて関係ない」 「対領空侵犯措置の要領に基づいて対応する」 と話す。 戦闘機以外にも様々な手段を講じるといい、航空自衛隊の関係者は 「領空保全のためにやれることは全部やる」 としている。 F15は午後2時32分6秒に尖閣諸島の魚釣島から約290キロ西の久米島(久米島町)沖で再びフライトレーダー24の記録に現れた。 中国機の領空侵犯が終わった後も2時間ほど、警戒監視を行っていた可能性がある。 ■連動する領海侵入と領空侵犯 中国ヘリの領空侵犯は、中国海警船の領海侵入と連動していた。 AISの情報を提供するサイト「ヴェセルファインダー」のデータや海保の発表によると、海警船4隻のうち、ヘリ搭載の「海警2303」が午後0時18分頃、また「海警2501」が20分頃に日本の領海に侵入。 21分ごろには「海警2204」の領海侵入と、ヘリによる領空侵犯が同時に発生した。 27分頃には、残る「海警2301」が領海に入った。 その後、36分頃にヘリが領空を出ると、52分頃に海警2204、58分頃に海警2303が領海を退去した。 海警2501は午後1時2分、海警2301は3分に相次いで領海から接続水域へ戻った。 海警2303は2025年4月中旬に中国へ一時帰港した後、尖閣周辺に現れていた。 しかし2025年4月30日に再び中国浙江省台州市の沖約75キロ地点に戻り、尖閣へ折り返す特異な行動をとっていた。 この時にヘリが搭載された可能性もある。 中国機による領空侵犯は戦闘機や無人機を含め、今回で4度目。 尖閣諸島周辺では3度目となる。 防衛省統合幕僚監部はX(旧ツイッター)で、 「2025年5月2日〜6日、東シナ海において領空侵犯の恐れがあったため、空自西部航空方面隊の戦闘機が緊急発進し、対応しました」 と発表した。 2025年5月3日の領空侵犯の前後にも中国機へのスクランブルが行われていたとみられ、日中の間で緊張が高まっている。 (データアナリスト 西山諒) <5月3日のタイムライン> 午前10時53分46秒 海保機ファルコン2000が那覇基地を離陸 午前11時27分ごろ 海保機ファルコン2000が下地島空港周辺に到着 午後0時5分7秒 海保機ファルコン2000はこの時間まで周回飛行、しばらくデータ途切れる 午後0時18分23秒〜34秒 民間機が尖閣諸島・魚釣島周辺の領空に入る 午後0時18分ごろ 海警2303が南小島南東の領海に侵入 午後0時21分ごろ 海警2303に搭載のヘリが領空侵犯 午後0時23分24秒〜24分45秒 民間機が領空を出る 午後0時30分4秒 F15戦闘機が沖縄本島南西沖に出現 午後0時36分ごろ 海警2303の甲板にヘリが戻り領空侵犯終了 午後0時43分20秒 F15戦闘機が現場と那覇の中間地点でデータから消える 午後0時58分ごろ 海警2303が南小島南東の領海から退去 午後2時32分6秒 F15戦闘機が久米島沖で再度出現、那覇方面へ東進 <主張>中国ヘリが侵犯 対領空措置の改善を急げ 社説 2025/5/8 5:00 https://www.sankei.com/article/20250508-FFROHGTDKZM5HFBU3L5GMWG4KM/ 石破茂首相と政府は平和ボケで事の重大性を分かっていないようだ。 中国ヘリによる領空侵犯が孕む危うさに気付き、態勢強化を図らなければ国を守り抜くことは難しい。 沖縄県・尖閣諸島周辺で2025年5月3日、領海に侵入した中国海警局船からヘリコプター1機が飛び立ち領空を侵犯し、航空自衛隊のF15戦闘機が緊急発進(スクランブル)した。 当時、日本の小型民間機が周辺を飛んでいた。 外務省の船越健裕事務次官が中国の呉江浩駐日大使に厳重抗議し再発防止を求めた。 一方、中国外務省は駐北京の日本大使館の公使を呼び、日本の民間機が 「中国の領空に不法に侵入した」 と抗議した。 尖閣諸島は日本固有の領土である。 中国は共産党機関紙「人民日報」(昭和28年1月8日付)が、日本の琉球諸島を構成する島々に尖閣諸島を挙げたのを思い出すべきで、海警局には尖閣海域で法執行する権利はない。 領空侵犯は許されず、尖閣海域から出ていくべきだ。 石破政権の対応が中途半端なのは情けない。 今回の事件は昨夏2024年夏の中国軍機による長崎県・男女群島沖での領空侵犯に匹敵するか、またはそれ以上の問題だ。 石破首相や岩屋毅外相は怒りの声を上げるべきなのにそうしていない。 態勢強化の指示も出していない。 腰が引けた姿勢では空も海も島も守れまい。 今回の領空侵犯は、高速で飛ぶ空自ジェット戦闘機によって低速のヘリや小型ドローン(無人機)に対処する難しさを示した。 鶏を割くに牛刀を用いるようなもので、侵犯が続けば空自は奔命に疲れるだけだ。 このままでは、中国のヘリやドローンが我が物顔で飛びかねない。 中国ヘリが尖閣諸島に容易に着陸し、占拠できる状態を放置してはならない。 領空侵犯対応は2つの面で改善すべきだ。 第1は、比較的低速のプロペラ機の戦闘機や、ヘリ、ドローンで対処する態勢の構築だ。 第2は対応の主体の拡大だ。 領空侵犯は自衛隊だけの任務で、尖閣諸島近傍にいる海上保安庁や沖縄県警には権限、任務が与えられていない。 眼前の脅威への備えを講じるのは国民に対する政府の義務だ。 石破首相や国家安全保障局(NSS)は指導力を発揮し、できるだけ早期に効果的な態勢を確立してもらいたい。 中国ヘリ尖閣領空侵犯直前、日本の小型機接近 操縦の京都在住81歳男性「合法的な飛行」 2025/5/7 12:13 https://www.sankei.com/article/20250507-POQWDJDEAZHLVNXRB3VNWVIYYE/ 尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺で2025年5月3日、中国海警局の船からヘリコプターが飛び立ち日本の領空を侵犯した問題で、直前に京都市在住の会社役員の男性(81)が操縦する小型機が周辺を飛行していたことが2025年5月7日、海上保安、航空関係者への取材で分かった。 男性は産経新聞に対し 「取材には応じられないが、合法的な飛行だ」 と語った。 中国外務省は 「日本の右翼分子が操縦する民間機が釣魚島(尖閣諸島の中国側名称)の領空に侵入したため、警告、駆逐した」 と主張していた。 関係者の話を総合すると、小型機は男性が所有し、大阪・八尾空港を定置場としているビーチクラフトA36(6人乗り)。 2025年5月3日午前11時半頃新石垣空港を離陸し、午後0時20分頃、尖閣諸島の魚釣島の南約20キロの上空まで接近した。 第11管区海上保安本部(那覇)によると、中国海警局のヘリはこの頃飛び立った。 尖閣諸島は日本固有の領土で、上空は飛行禁止空域でもないが、海保は偶発衝突を回避するため引き返すよう無線で警告し、小型機は尖閣を離れた。 飛行ルートを通告していたかどうかについて、国交省那覇空港事務所は 「個別の航空機の飛行計画は公表できない」 としている。 同機は平成27年にも尖閣諸島上空を飛行した。 この小型機は、令和元年12月に佐賀空港近くの上空で中国・春秋航空の旅客機と異常接近(ニアミス)したとして国交省が重大インシデントに認定。 運輸安全委員会は令和4年、小型機が管制機関に無線の周波数を合わせていなかったのが原因だが、衝突や接触の危険性はなかったとする調査報告書を公表していた。 中国ヘリが尖閣周辺で領空侵犯の記事が反響を呼んでいます、「パンダ外交」推進でいいのか 2025/5/4 11:43 https://www.sankei.com/article/20250504-DRVPTKTKHJDKLIFYGQIUMYHSY4/ 尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺の領海を2025年5月3日、航行していた中国海警局の船からヘリコプター1機が飛び立って日本の領空を侵犯したというニュースが、産経ニュースで反響を呼んでいる。 尖閣周辺での中国海警船の航行は常態化しているが、2025年4月下旬に訪中した日中友好議員連盟はジャイアントパンダの貸与を要請した。 日中間の懸案が山積する中で 「パンダ外交」 推進でいいのか。 尖閣諸島周辺では2025年5月4日も、中国海警局の船4隻が領海外側にある接続水域を航行しているのを海上保安庁の巡視船が確認。 尖閣周辺で中国当局の船が確認されるのは167日連続となった。 2025年5月3日に起きた海警局船からヘリが飛び立ち、領空を侵犯するという前例のない動きに、専門家は警戒を呼び掛ける。 日本固有の領土である尖閣諸島周辺での中国船の航行が止まらない中、日中友好議員連盟は2025年4月に中国を訪問した。 ジャイアントパンダの貸与を要請した議連の森山裕会長(自民党幹事長)は 「両国の国民感情が良好とは言い難い中、日中関係を改善基調に乗せる上で人的交流と相互理解が不可欠だ」 と強調した。 中国による 「パンダ外交」 に前のめりとなる姿勢には、保守派の論客から批判の声も上がっている。 尖閣、中国機の領空侵入で「新たなフェーズに」 示威行為の転換点となる可能性も 2025/5/3 22:34 https://www.sankei.com/article/20250503-5YBN7W7N4NKGNA6KABP5NGDTQA/ 尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺で2025年5月3日午後、領海に侵入した中国海警局の船4隻のうち1隻からヘリコプター1機が飛び立ち、領空を侵犯した。 前例のない動きで、専門家は 「新たなフェーズ(段階)に入ったと言える」 と警戒。 中国側による示威行為の転換点となる可能性もある。 第11管区海上保安本部(那覇)によると、ヘリは「海警2303」の飛行甲板から飛び立ち、約15分間に渡って領空内を飛行した。 今年2025年3月24日には、通常4隻で船団を組んでいる中国海警船が一時2倍の8隻態勢となるなど、中国側はサラミを薄く切るように活動レベルを引き上げ、圧力を強める 「サラミスライス戦術」 を展開しており、今回もその一環とみられる。 11管で領海警備担当次長を務めた元海保幹部の遠山純司氏は 「このような事態は従前から想定されていたが、今後とも政府として如何なる事態にも対処していく必要がある」 と指摘する。 海警局は2013(平成25)年、海保と同じ法執行機関として再編・設立されたが、2018(平成30)年に中央軍事委員会の指揮下にある人民武装警察部隊に組み入れられ、近年は中国海軍のフリゲート艦を白く塗り替えて改修した転用船の配備も目立つ。 巡視船の甲板を貫通する能力を持つとされる76ミリ砲の搭載が確認されるなど海警船の武装化が進んでいる。 一方、海上保安庁では現在、中国海警船や台湾有事の住民避難などを想定し、令和11年度の就役を目指し、過去最大の多目的巡視船を建造する計画を進めている。 総トン数約3万トンで、現在保有する最大級の大型巡視船(約6500トン)の4倍強。 ヘリは最大3機の格納、2機同時の運用ができる。 機関砲などは搭載しないが、遠山氏は 「洋上の警備上の拠点にもなり得る」 と話した。 沖縄・尖閣諸島周辺の日本領空に中国海警局船からヘリ離陸、一時領空侵入 2025/5/3 18:30 https://www.sankei.com/article/20250503-PLD7VBFVQBM3ZJBHBSUMXDLQFQ/ 2025年5月3日午後0時20分頃から、沖縄県・尖閣諸島周辺の領海に中国海警局の船4隻が相次いで侵入し、その後、うち1隻からヘリコプター1機が飛び立ち領空に入った。 約15分後、領空の外側に退去した。 第11管区海上保安本部(那覇)が詳しい状況を調べている。 11管によると、4隻は午後1時頃までに、領海外側にある接続水域に出たことを海上保安庁の巡視船が確認した。 中国当局の船が尖閣周辺で領海侵入したのは2025年4月7日以来で、今年2025年で11日目。 4隻はいずれも機関砲を搭載。 領海から出るよう巡視船が要求した。 接続水域を含め、尖閣周辺で中国当局の船が確認されるのは166日連続。
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