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※紙面抜粋
※2025年6月19日 日刊ゲンダイ2面
今後の進展も期待薄…関税交渉決裂は「米国に舐められている」が真相
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/373507
2025/06/19 日刊ゲンダイ ※後段文字お越し
完全に見下されている(内閣広報室提供・共同)
新聞はハッキリ書いていないが、参院選前の決着を目指し、目いっぱいのメニューを出したのに、歯牙にもかけられなかった裏に何があるのか。赤沢大臣の毎週訪米が示すように見下ろされている2国関係。媚びるためにイスラエル批判を引っ込めても相手にされない情けなさ。石破外交は破綻している
◇ ◇ ◇
メディアも野党も優し過ぎやしないか。誰にって? 米国による法外な高関税措置の見直しに向け、トランプ大統領に直談判。何ひとつ成果を出せなかった石破首相に対してである。
石破とトランプの対面会談は2月以来。カナダ西部カナナスキスでのG7サミットの合間を縫って、30分ほど話し合った。日本が最重視する自動車関税の見直しに、トランプは譲らずゼロ回答。交渉は事実上決裂し、石破は仕切り直しを余儀なくされた。
会談後、石破は「包み隠さず、互いの国益の実現のために腹蔵なく意見交換をした」とエラソーに語っていたが、その「国益」とやらをメニューにまとめ、トランプに差し出そうとしたのもまた石破政権である。
全ての輸入品に一律10%の基本関税を課し、相手国の関税率や非関税障壁を踏まえて関税を上乗せする「相互関税」に関し、トランプが詳細を発表したのは4月2日だ。同盟国・日本も有無を言わさず計24%の高関税を突きつけられた。のちに上乗せ分14%の発動は90日間停止されたものの、トランプは輸入自動車にも25%の追加関税を発動。日本の乗用車は27.5%、トラックは50%もの高関税を押し付けられた。
あれから2カ月余り。この間、関税交渉担当の赤沢経済再生相は異例のハイペースで米国の首都ワシントン詣で。5月23日の3回目以降は実に4週連続で訪米を重ねる朝貢外交で、ベッセント財務長官らとの協議を重ねては「何とぞよしなに」と言わんばかり。
目いっぱいの対米貢献メニューを広げてきたのである。
ケツ舐め忖度外交で自動車関税の撤廃断念
中国が対米輸出を規制したレアアースへの技術提供と供給網の構築。液化天然ガスやトウモロコシの輸入増加。数十億ドル分の米国製半導体の購入。北極圏を航行する砕氷船の共同建造--。いずれもトランプの「脱中国」路線を念頭に置いた貢献策ばかりをパッケージにまとめ、閣僚協議で提示。「ういやつ」と譲歩を引き出すため、精いっぱい、媚を売り続けた。
協議日程はギリギリまで決まらないことが多く、18日付の日経新聞は「米国は日本を下にみているのではないか」と経済官庁幹部の嘆きを伝えていた。これだけへりくだれば見下ろされるのも当然。トランプは相互関税の上乗せ分発動を停止した際、「75カ国以上がディール(取引)を望み、何でもしますからと電話をかけてきて、私の尻にキスをしてくる」と言ってのけた。
さすがに名指しは避けたが、石破政権の対米外交姿勢はトランプのケツの穴を舐めかねない勢いである。だからだろう。5月にトランプは石破に突然、電話協議を持ちかけると「こんな素晴らしい戦闘機がある。一度見に来ないか」「日本には一番良いものを用意するぞ」と軽口をたたき、トップセールス。これだけコケにされた日本の首相は見たことがない。
その上、急転直下でトランプが中国に歩み寄り、日本側がご機嫌取りに用意した「脱中国」の貢献策も水の泡に。肝心の自動車関税を巡っても、日本側は交渉前から「撤廃」を断念。唯一、交渉合意に至った英国でさえ「年間10万台に限り10%に下げる」との条件付き。英国の対米輸出台数は年10万台程度。ましてや日本は約140万台と10倍以上で、対米輸出総額の約3割を占める。撤廃要求はおこがましいと交渉の裏では忖度し、関税率の一定引き下げでも「良し」とする現実路線になびいていたのだ。
「TACO」にビビりっぱなしの例外的存在
絵に描いたような、はなはだしい「朝貢外交」(ホワイトハウス提供、共同)
自動車はこの国の基幹産業である。関連企業を含めて約500万人の雇用を支える屋台骨だ。自動車関税が延々と続けば、大手各社のダメージは計り知れない。トヨタは今期の営業利益が4〜5月の2カ月だけでマイナス1800億円を見込む。1年続けば単純計算で1兆円減。ホンダは年間6500億円、日産は最大4500億円減る見通し。米国依存度の高いマツダとスバルが業績予想の開示を見送ったのは、打撃の大きい証拠である。
日本経済の牽引役の帰趨を決する交渉に際し、ハナからベタ降り。それこそ「税率10%以下なら」とディールを持ちかけること自体、日本の国益を国民に黙って差し出したも同然。この弱腰でたった30分の直談判に臨んでも、石破がトランプを翻意させることなど、どだいムリだったのだ。
「今回のG7ではイスラエルとイランの衝突を巡る共同声明が発出されましたが、石破首相の態度が多くを物語っています」と言うのは、国際ジャーナリストの春名幹男氏だ。こう続けた。
「イランを『地域の不安定及び恐怖の主要な要因』と決めつける一方、イスラエルは『自国を守る権利を有する』と擁護。完全にイスラエル寄りで、トランプ氏の意向を反映した声明ですが、署名した石破首相は日本出発前に何と言ったか。イスラエルによるイランへの軍事攻撃に対し『到底許容できない』と非難していた。ところが、いざトランプ氏を目の前にすると、付和雷同。周りに流されて自らの意見を曲げてしまう。あまりにも従属的で、主体性もなければ一国のトップの指導力はみじんも感じられない。だから舐められるのです」
日米首脳会談を取材した報道陣には前もって日程を知らされず、開催が発表されたのは会談終了の約1時間20分後。首脳会談の場合、開始や終了はほぼリアルタイムで伝えられるのが通例だ。中東情勢などで多忙を極めているとはいえ、気まぐれなトランプのせいで直前まで日程が決まらなかったようだ。やはり石破は舐められている。
世論が騒ぐほど対米交渉は有利に働く
「いわゆる『トランプ関税』には正当性も合理性もないのに、日本側は機嫌をうかがうのみ。トランプ氏は欧米の有識者たちに『TACO』(タコ)呼ばわりですよ。『Trump Always Chickens Out』の略で、意味は『トランプはいつもビビってやめる』。高関税を課すなど大風呂敷を広げても、常に市場の反応に恐れをなし、二転三転するサマを皮肉られているのです。そんなタコ相手にいつもビビり、見下されている石破首相の存在は世界の例外中の例外。理不尽な相手にはもっと毅然と対峙すべきです」(春名幹男氏=前出)
トランプに歯牙にもかけられなかった石破は、情けない。グーの音も出ないはずなのに、野党もメディアも寛大だ。
野党は会談の説明責任を求めるだけで、内閣不信任案の提出は立憲民主党の野田代表に丸投げ。野田は日米交渉のさなかの「政治空白」を気にしてばかりいる。大手メディアも「合意は微妙な情勢だった」「変に妥協するよりはマシ」といった論調が目立つ。
野党もメディアも「焦る必要はない」と石破を励ますようなムードだが、世界中の誰よりも焦っていたのは石破である。参院選前にうまくまとめれば、大きな手柄としてアピールできる。トランプとの会談日程をこの時期に合わせたのもそのため。選挙直前の決着を目指したはずが、アテが外れたのだ。高千穂大教授の五野井郁夫氏(国際政治学)はこう言った。
「見通しが甘過ぎました。少数与党の石破政権は、参院選の結果次第で下野もあり得る。そんな相手と交渉を急ぐ必要はなく、米国側も様子見に決まっています。今後の進展も期待薄。時がいたずらに過ぎるほど痛手は増すのに、日本のメディアも野党もおとなし過ぎる。実は騒げば騒ぐほど、交渉は有利。米国側も駐留米軍の関係もあり、日本の対米世論を常に気にする。『世論が許してくれない』『反米政権が生まれてしまう』と訴えれば、さすがのトランプ氏もむげにはできない。石破首相への優しさは交渉決着を遅らせるだけです」
大新聞も石破外交の破綻をハッキリ書いた方がいい。それが日本の国益を守ることになる。
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