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※紙面抜粋
親父は郵政、息子はJA…正体剥き出し、小泉進次郎農相のセコさと危うさ
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/373617
2025/06/21 日刊ゲンダイ ※後段文字お越し
20日夜も都議選応援の小泉進次郎農相(C)日刊ゲンダイ
連日、何かしらの話題を提供しないと気が済まないらしい。劇場演出にシャカリキだが、価格下落を強調するために統計手法を変える場当たり。短絡的なJA潰しの軽挙妄動。バックにいるのは誰なのか。
◇ ◇ ◇
来月3日公示、20日投開票が固まった参院選向けのパフォーマンスとしても、ちょっとやり過ぎじゃないか。連日のテレビジャックで得意満面の小泉進次郎農相のことである。
先月21日の大臣就任から1カ月。テレビ画面で進次郎の顔を見ない日は一日もなかったと言っていい。毎日のように何かしらの話題を提供しないと気が済まないらしい。
この1週間だけでも、
●日曜…福島県まで赴き、農業、漁業、林業の生産者らと意見交換。
●月曜…前日の農家の声を受けて「作況指数」の公表取りやめ。
●火曜…経団連で筒井会長らと懇談会。
●水曜…随意契約の備蓄米の放出対象に弁当店などの中食や外食、給食業者を追加。
●木曜…コメ店頭価格に民間2社の分析データの指標を新設。
●金曜…全国農業協同組合中央会(JA全中)の山野会長らと面会。経済同友会の新浪代表幹事と面会。
とにもかくにも、親父譲りの「小泉劇場」を演出、その合間に都議選の応援と客寄せパンダにもシャカリキなのだが、進次郎の目下の狙いは、石破首相が国会の党首討論で啖呵を切ったコメ価格「5キロ3000円台」の実現だ。そのために、統計手法を変更する場当たりまでやってみせた。
コメ店頭価格に民間2社の分析データの指標を新設するのは、まさに、価格下落を強調したいからだ。農水省は全国のスーパー約1000店舗のデータに基づき、コメ5キロ当たりの販売価格を公表しているが、小規模店も多く、大手スーパーに随意契約で放出した備蓄米の価格が反映されにくいのだという。最新のコメ店頭価格は3週連続下落したものの、前週比48円安と下落幅はわずか。進次郎はこれに不満らしく、新たな指標は「こんなに下がった」とアピールするためというセコさなのだ。
世界の農家の主流は家族経営
一連のコメ高騰問題で「仮想敵」に仕立て上げたJAに対しても進次郎は容赦ない。
20日のJA全中との面会では、コメの集荷に当たって農協が代金を前払いする「概算金」の制度を廃止し、一括で買い取るよう求めた。さらに、JA全中がシステム開発失敗の損失穴埋めのために、東京・大手町の「JAビル」内の所有フロアを売却する件でもチクリ。面会前日、「どこの農家さんでも、東京のど真ん中に農協がビルを持っていることを求めている人は誰もいないと思う」と嫌みを言っていた。
10年前の自民党農林部会長時に手をつけようとし頓挫した「農協改革」を再びということか。あの時は、父の二番煎じでJAに「抵抗勢力」のレッテルを貼り、農林中央金庫やJAバンクなど金融部門の切り離しを目指した。短絡的なJA潰しの軽挙妄動にも見える。
経団連訪問と同友会代表幹事との面会の目的はズバリ、農業への企業参入の促進だ。進次郎は「農業に前向きな変化をもたらすため、経済界の今まで以上の参入が不可欠だ」と強調。経団連は今後、農水省と共同で、農地の大区画化やデジタル技術を活用した流通網の可視化などの検討を進めるという。
民主党政権時代の農相で、弁護士の山田正彦氏が言う。
「小泉さんの動きに、農業を大規模経営や企業型の経営に持っていきたいという狙いが見て取れますが、私は断固反対です。企業経営で確かに生産量は増えるでしょう。採算も取れるかもしれないが、農業というのは気候変動などで非常にリスクが高い。だから、世界を見渡しても、主流は家族経営の小規模農家なのです。リスクを家族で収拾できるからです。いま農水大臣がやるべきは、減反をやめて増産すること。農家やJAから聞き取りをすると、今年は昨年より2%しか増産していませんが、実際は10%増産させなければ来年もコメ不足になる。コメを作りたい農家に、もっと作らせてあげればいいのです」
農政改革が郵政「改悪」の二の舞いになる恐れ
郵政民営化は破綻(C)共同通信社
10年前の農林部会長の野望がゾンビのように蘇っている……と言えば、進次郎は就任早々、農林中金法改正にも言及していた。
実は農林中金は、先月22日に発表した2025年3月期の連結決算で1兆円を超える大赤字を出したのだ。含み損を抱える外国債券などを処理したことが要因で、赤字転落はリーマン・ショック時以来、16年ぶりだった。その翌日、記者会見でこの件について質問された進次郎はこう言った。
「(農林中金について)私は部会長時代からも、『農家の皆さんに融資をしない』『これが増えないなら意味がない』と言ってきた。投資一本やりではなく、農林中金には積極的な融資をしてもらいたい。それが不十分だとすると、やはり法改正も含めて考える必要がある」
こうした思考のバックにいるのは誰なのか。
「財務省はかつて郵貯が旧郵政省の流れで総務省の所管になっていたことに不満を持っていた(民営化で現在は金融庁が監督)。農林中金も組合員の相互扶助を目的とした系統金融機関であるため農水省が所管しているので、財務省は気に食わないと思っている」(霞が関関係者)
父・小泉純一郎元首相の郵政民営化を彷彿とさせるという見方も根強い。郵便・郵貯・簡保の3事業一体で経営が成り立っていた郵政事業をバラバラにした民営化は、米国の「年次改革要望書」に従って300兆円の郵貯マネーを外資に売り渡す行為といわれた。
07年に民営化されたので、あれから18年。日本郵政グループがどうなったかといえば、郵便局は詐欺まがいの保険契約や過剰ノルマ、不正と犯罪の温床だ。最近も酒気帯びの点呼が適切に実施されていなかったことが問題になった。一方で、郵便局網の維持費として年650億円規模の公的支援を行う「郵政支援法案」が自公と国民民主3党の議員立法で提出されるなど、民営化に逆行する動きも顕著。つまり、郵政民営化は破綻したということだ。
所得補償で農家を支援が先決
金融ジャーナリストの森岡英樹氏が言う。
「郵政民営化はそもそも、全国で利用できるユニバーサルサービスを続けながら、民営化で効率を上げなければならないという二律背反です。政治に振り回され、無理難題を押し付けられた結果が、最近の不祥事続発なのです。無理を強いられるから、内部のガバナンスがおかしくなる。郵政民営化は『改革』ではなく『改悪』でした」
そうなると、コメ価格の下落の旗振りにとどまらず、農政全体の改革を進次郎にやらせていいものか。あまりに危険だ。
「海外では、郵便も農業も国が補助金を出して支えている。ユニバーサルサービスや食料安全保障の観点から考えれば、税金投入があってしかるべきだと思います。『改革』はカッコいいですが、もう少し長い目で見てあげないと。小泉大臣が農政改革に手を付けたら、郵政の二の舞いでメチャクチャにされてしまうのではないかという懸念が出るのは当然でしょう」(森岡英樹氏=前出)
まずは、転作するコメ農家に補助金を積んで減反を促す制度をやめ、農家が安心してコメ作りをできるように所得補償で支援することが先決じゃないか。劇場の舞台でスポットライトを浴びることしか頭にない進次郎に、中長期的な設計図は描けない。
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