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※紙面抜粋
※2025年6月30日 日刊ゲンダイ2面
「生活保護減額」裏側のデタラメと冷血…これも参院選の重要な争点
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/374027
2025/06/30 日刊ゲンダイ ※後段文字お越し
世間にさらされた自民党のデタラメ政治(C)共同通信社
最初に削減ありきで、データをこねくり回し、弱者を切り捨てる自民党政治の本質がここにある。安倍時代の話ではない。今も、見回せば、高額療養費カット、OTC類似薬の保険適用除外など、脈々と続く冷酷政治に参院選では審判を。
◇ ◇ ◇
安倍政権が2013〜15年に強行した生活保護費の減額(平均6.5%、最大10%)について、最高裁が27日、「違法」の判断を下し、減額決定を取り消した。
何が「違法」とされたかというと、これほどの減額なのに、その算定には合理性や根拠がなく、判断を下した厚労相に「裁量の逸脱や乱用があった」と結論付けたのである。
この判決で驚かされることは2つある。勝手な判断で生活保護費を引き下げた政治手法の横暴とデタラメがひとつ。もうひとつは、そこまでして、弱者を切るのか、という背筋が凍るような冷血だ。
この判決が参院選前に出たのは、日本の政治にとって大きなことだ。有権者は「これぞ、自民党の正体だ」と肝に銘じるべきである。
まず、算出方法のデタラメだが、原告弁護団の西山貞義弁護士はこう言った。
「そのやり方は、検事が最初から有罪と決めつけ、証拠を捏造したようなものです」
つまり、厚労相の判断が甘かったとか、瑕疵があった、というレベルではない。「故意」に生活保護世帯を地獄に突き落とした、ということだ。
発端は自民党が政権に返り咲いた12年の衆院選だ。自民党は公約の中に、生活保護費の最大10%削減を盛り込んで、大勝した。
最初に有罪を決めて後から証拠捏造
こんな公約でよくぞ、勝てたものだが、カラクリは2つある。当時、吉本所属のお笑いタレントの母親が生活保護を受けていたことが発覚、生活保護バッシングが吹き荒れた。それに便乗、あおったのが自民党の「生活保護に関するプロジェクトチーム」(座長、世耕弘成参院議員=現衆院議員)のメンメンだ。参院議員の片山さつき、今を時めく小泉農相もメンバーである。大メディアもバッシングに加担、大きな世論が沸き起こり、弱者いじめが市民権を得るという倒錯が起こった。
もうひとつは「手当より仕事を」などと、自民党は巧妙に言い換え、自立、就労促進を訴えたことだ。
物価高に苦しむ庶民に「賃上げで解決します」と訴えているのと一緒で、できもしないきれいごとでごまかしてしまう。詭弁政党、自民党は昔も今も同じなのだが、こんな目くらましに有権者はコロリとだまされ、安倍政権が誕生。公約実現が具体的に動き出したわけである。
そこで何が行われたのか。
「従来の生活保護の算定方法では10%カットなんてできません。そこで、厚労省の官僚が電卓を叩いて出してきたのが、“デフレ調整”という概念です。物価下落に合わせて、生活保護費も削れば、目標を達成できる。そう考えたのでしょうが物価連動は従来、否定されてきた考え方です。そこで、厚労省は有識者による生活保護基準部会には諮らず、資料の中に潜り込ませた。有識者が気づき、おかしいということになりましたが、黙殺、最後は厚労相の判断で、最大10%削減を断行したのが経緯です」(西山貞義弁護士=前出)
つまり、最初に10%削減ありき、あとはつじつま合わせだったことがわかる。西山氏が「最初に有罪を決めて証拠を捏造」とまで言うのは、こうした理由だ。ここがまさしく最高裁でも断罪され、引き下げ取り消しとなったのである。
政権の中枢が関与した世紀のデタラメ
社会保障全体を切り詰めていくのが自民党政治、石破首相も同じ穴のムジナ(C)日刊ゲンダイ
それにしても、何としても生活保護を引き下げるという自民党の執念は恐ろしくなる。
東京新聞の連載、「生活保護減額訴訟」には厚労省の有識者会議、生活保護基準部会の部会長代理だった岩田正美・日本女子大名誉教授の話が出てくる。
13年10月の部会に行くと、資料が配られ、そこには引き下げについて「3年で670億円程度の財政効果」と書かれていたというのである。「最後のセーフティーネットである生活保護の基準部会に、財政削減を誇るような資料を出してくる神経はどうなのか」と岩田さんは語っていたが、本当にそうだ。その後、部会で議論して決めた数値を厚労省が勝手に操作し、減額していたことも判明。学者愚弄も甚だしい。さらに段階的に引き下げるために現場の社会福祉事務所も混乱するほどの複雑怪奇な計算法を駆使して、生活保護者を追い詰めていったのが、この間の自民党冷血政治なのである。
裁判では厚労省の職員が世耕弘成官房副長官に減額について説明した極秘資料も出てきた。当時の厚労相は田村憲久衆院議員だが、官邸の中枢がダイレクトに関与していたことがわかる。
生活保護減額の影響は、生活保護を受けている人の話にとどまらない。生活保護費を基準に最低賃金や住民税非課税基準、低所得者層への支援などが決まっていくからだ。つまり、社会保障全体の話になる。禁じ手の裏技で、社会保障全体を切り詰めていく。それこそが、姑息な自民党政治の狙いだということを知るべきだ。
とても成熟した民主国家とは思えない
理不尽な国家権力と闘ってきた西山貞義弁護士は改めて、こう言った。
「なぜ、生活保護をここまで狙い撃ちにするのか。生活保護費は社会保障全体に影響を与える。つまり、ここを引き下げれば、全体を引き下げることができる。それに加えて、生活保護を受ける人は弱者で文句を言わないと思っているからでしょう。医療費を切り詰めるために診療報酬を見直そうとすれば、医師会が黙っていない。政治権力は取りやすいところから取るのです」
もっと言うと、こうした政治姿勢は安倍政権時代の特殊な話ではなく、いまの石破政権でも脈々と受け継がれている。
石破政権は一時、高額療養費の上限引き上げをやろうとした。世論の反発で引っ込めたが、参院選が終われば、復活させてくる懸念がある。
今月13日に閣議決定された「骨太の方針」には「OTC類似薬」の保険適用の見直しの検討が明記された。難病患者やアレルギー疾患に悩む人々からは、「生きていけなくなる」との悲鳴が上がっている。こちらは1300億円の財政削減効果らしいが、これも「取りやすい弱者から取る」類いの話である。石破も安倍も同じ穴のムジナなのだ。
ジャーナリストの斎藤貴男氏にも聞いてみた。
「新自由主義が蔓延し、格差は固定化し、今や格差是正など、話題にもならないありさまです。当然、下の層の人々は不安を抱き、不満を爆発させようとしている。政治の役割はそうした不安、不満を解消させることなのに、逆に弾圧している。今度の生活保護費減額の話がいい例だと思います。生活保護費を適正化するのはいいとして、自分たちの価値観が絶対だと妄信し、まっとうな手続きも経ずに、勝手に決めて、追い詰める。そこには貧乏人のために何かをやっても、トクにならないという発想が見え隠れする。新自由主義的な資本の論理そのものです。自民党政権は生活保護を受け付けないために自治体の相談窓口にこわもての警察OBを配する水際作戦なども展開している。やっていることが卑しく、醜い。原始的な手法でとても成熟した民主主義社会とは思えません」
最高裁は国の賠償責任については認めなかったが、宇賀克也裁判長はあえて、「最低限の生活の需要を満たすことができない状態を(原告らは)強いられた」と言及、精神的損害を賠償すべきだという考え方をにじませた。それ以前に犯罪的ともいえる弱者いじめは誰が指示し、実行させたのかという検証も不可欠だ。
どうせ頬かむりの自民党は選挙で鉄槌を下し、下野させる以外ないのである。
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