<■536行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可> <主張>参院選公示 日本の針路示す論戦を 国際情勢から目を背けるな 社説 2025/7/3 5:00 https://www.sankei.com/article/20250703-H4KHWGKZA5JJXFWM7EIPWDFR3A/ 参院選の公示を迎えた。 2025年7月20日の投開票日までに日本の針路を指し示す論戦が行われることを期待したい。 今次参院選の特徴は、その後の政権の構成に直結する重要選挙だという点だ。 衆院では昨年2024年の総選挙で、自民党、公明党の与党が過半数割れとなり、少数与党政権となっている。 更に、石破茂内閣の支持率は低迷を続けているためだ。 石破首相は参院選の勝敗基準を、非改選を含めた過半数を維持する、与党50議席という最低ラインに設定せざるを得ない状況だ。 ■与野党は枠組みを示せ 参院でも与党が過半数割れになれば、政権交代や連立の枠組みの変更もあり得よう。 与党に加え野党各党も、国家の舵取りに当たる覚悟が求められている。 有権者に対し、具体的な政策を語ってほしい。 先の通常国会で与党は令和7年度予算を成立させるため、日本維新の会など野党側の主張を取り入れたが、場当たり的な対応が目立った。 長期的な視点で政策を立案、遂行する態勢の構築が欠かせない。 石破首相や与党は、今の少数与党政権を続けるのか、連立の枠組みを変更する考えがあるのかについて語ってもらいたい。 立憲民主党の野田佳彦代表、維新の吉村洋文代表、国民民主党の玉木雄一郎代表らも、与党から連立参加の申し出があれば受け入れるのか、参院でも自公が過半数割れすれば野党が結束して政権交代を目指すのかを明らかにしてほしい。 これらは有権者にとって重要な判断材料になり得る。 何も語らず一任せよ、という態度を取るなら不誠実極まりない。 参院選の大きな争点は物価高対策になっている。 2025年7月2日に行われた日本記者クラブ主催の与野党8党首による討論会でも中心的な議題となった。 与党が主に給付を訴えているのに対し、野党側は消費税の減税や廃止を掲げている。 有権者の関心が高いテーマだが、それだけの論戦では不十分だ。 賃上げが重要なのは言うまでもない。 そのために日本経済の持続的成長の処方箋をもっと競い合わなければならない。 米価高騰の問題もある。 備蓄米だけでなくブランド米も含めたコメ全体の店頭価格の抑制は道半ばだ。 事実上の生産調整を続けている農政の見直しも論点になっている。 コメ政策は有権者の関心事である。 他にも忘れてはならない課題がある。 厳しい国際情勢への対応だ。 まず、日本の独立と繁栄の基盤となる安全保障である。 日本が原油の大半を依存する中東では、イランとイスラエルが停戦した。 だが、イランの核開発放棄は見通せず、戦火の再燃もあり得る。 ロシアのウクライナ侵略は続いている。 ■憲法改正も重要争点に 米国が 「世界の警察官」 役を放棄して久しい。 米国は同盟国に大幅な防衛努力を求めている。 中国、北朝鮮、ロシアという核武装した専制国家に囲まれた日本は、安穏としていては平和を享受できない時代だ。 台湾有事や朝鮮半島有事の抑止へ、どのように防衛力を充実させていくのか具体的方向性を語ってほしい。 それを避ける政党、候補者は無責任である。 もう1つは日米関税協議だ。 トランプ米大統領は一段と強硬になっている。 「我々が決める30%、35%といった関税を払ってもらう」 と述べ、2025年7月9日を期限とする 「相互関税」 の上乗せ分の一時停止については延長に否定的な考えを示した。 関税措置が是正されるどころか強まるようなら、日本経済に甚大な影響が出る。 国益を守るために、どのような戦略を描きトランプ氏と対峙するのか、各党は見解を示すべきだ。 憲法改正も置き去りにしてはならない。 憲法への自衛隊明記に加え、戦力の不保持を謳う第9条2項を削除し、 「軍」 の保持を認める必要がある。 今後の震災などに備え、緊急事態条項創設も欠かせない。 安定的な皇位継承に向けた皇族数確保は日本の根幹に関わる。 男系継承という最重要原則を踏まえた立法府の総意形成が急がれる。 各党の考えに静かに耳を傾けたい。 選択的夫婦別姓制度は、片方の親との強制的別姓となる子供の立場を考えず、家族の一体感を損ね社会を動揺させる危うい主張と言える。 冷静な論議を求めたい。参院選の争点は「政治とカネ」ではない リベラル派は決して自民に投票せず、保守票減らす 阿比留瑠比の極言御免 2025/7/3 1:00 https://www.sankei.com/article/20250703-B2PBTZ3JDJJ6PIPLD3D6UJXV5U/?outputType=theme_election2025 「普通だったら、去年2024年の衆院選であんな結果(惨敗)になったら、揺り戻しがあって参院選にはプラスに働くんだけどな」 「でも、それがなさそうだ」 「やっぱり、政治とカネの問題が尾を引いているんだろうな」 最近、自民党関係者がこう話しているのを知り、愕然とした。 未だにそんな認識なのか、そんな自民に国民が求めているものすら把握できない状況では、2025年7月20日投開票の参院選でも苦戦するだろうと改選議員らに同情を覚えたほどである。 確かに政治とカネの問題の後遺症はまだ残っているだろう。 しかし、それはもはや国民にとって最優先課題ではない。 ■生活とカネ 各種世論調査で政治とカネの問題について 「考慮」 するかと聞かれたら、 「しない」 と答えるのも変なので 「する」 と答えるかもしれないが、優先順位は高くあるまい。 食料品をはじめとする諸物価高騰の折、政治とカネより 「生活とカネ」 への有効な対策が必要とされている。 ■「何としても消費税を守り抜く」 森山裕幹事長が2025年6月29日、奈良県五條市での講演で、こう強調したのにも呆れた。 多くの野党が物価高対策として参院選公約に消費税減税を盛り込んだことに対抗する意図は分かるが、何としても守り抜くべきは国民の生命、財産、自由であるべきではないか。 森山氏の言葉を聞いて、頭に浮かんだのは 「国破れて消費税あり」 という駄句である。 森山氏の言い方では、消費税が更に上がる未来しか想像できない。 かと思うと、石破茂首相は2025年6月30日のテレビ朝日番組で、選択的夫婦別姓制度の導入を巡り、法案の採決時に党議拘束を外す案について 「1つの考え方だと思っている」 と選択肢として含みを残した。 夫婦別姓法案で党議拘束を外した場合、自民内の別姓賛成派が野党案に賛成に回って成立する可能性がある。 このため、森山氏はこれまで党議拘束をかける方針を示してきたし、首相自身も党議拘束外しには慎重な姿勢を見せていた。 ここにきてまたブレたのも、もともと夫婦別姓賛成派だった首相の本音が垣間見えたということか。 元々石破政権の主要メンバーは党内のリベラル派で、ともすればリベラル政策に傾きがちとなる。 だが、自民がいくらリベラル派にすり寄って褒められても、リベラル派は決して自民には票を投じない。 それまで自民を支持してきた保守票を減らすというマイナス効果しか生まない。 自民の党員が減り始めた時も、きっかけは 「LGBT理解増進法」 を無理やり成立させたことだったのに、当時の岸田文雄政権の執行部は 「政治とカネ」 の問題が原因だとすり替えた経緯がある。 ■敗戦ムード 参院選改選組の佐藤正久元外務副大臣は2025年6月30日のX(旧ツイッター)で、読売新聞の 「参政党急伸で自民に危機感 保守層の離反懸念、首相周辺『これだけの支持は脅威』」 との見出しの記事を引き、こう記した。 「離反を招いたのは自民党自身が原因なのに」 「その責任者が言う言葉ではない」 「分かってないのかな?」 「自民党がリベラル政策をやってもリベラル票は来ない、保守票は逃げる」 現場の悲鳴のような声が首相や執行部にはまるで届かないとしか思えない。 閣僚経験者の1人は言う。 「もう敗戦ムードが濃厚じゃないか」 「過半数は大きく割り込むだろう」 衆院選、東京都議選、参院選と3連敗しても、首相は責任を取らずまだ続けるつもりなのだろうか。 (論説委員兼政治部編集委員) 石破首相に刺さる無数のブーメラン 何も感じていないのか、責任追及せぬ自民の存在意義は 阿比留瑠比の極言御免 2025/6/26 1:00 https://www.sankei.com/article/20250626-NMDREKTHWBP5PP356KYT55EBTI/ 若い頃の大言壮語や絵空事のような理想論は、後で振り返ると恥ずかしいものだが、石破茂首相は今、どんな心境だろうか。 過去から飛んで返ってくる無数のブーメランが突き刺さっても、何も感じないのか。 ■麻生氏に辞任要求 2025年6月24日には、安倍晋三政権の内閣官房参与で、安倍氏の外交政策スピーチライターを務めた谷口智彦氏が自身のフェイスブックに 「発言の主は、16年前の石破茂氏」 と綴っているのが目にとまった。 石破首相が東京都議会選挙の自民党敗北を受けて、平成21年7月13日のブログに投稿した次の文章を紹介したものである。 《「都議選もあくまで一つの地方選挙であり、国政に直接影響するものではない」というのは理屈としては全くそのとおりなのですが、現実は国政に対する批判がダイレクトに出たことを真摯に受け止め、もちろん内閣の一員である私も含めて深く反省し、何を改めるべきかを示さなくてはなりません。そうでなければ落選した都議候補にあまりに申し訳がないというものです》 当時、麻生太郎内閣の農林水産相だった首相は麻生氏に対し、都議選敗北の責任を取って辞任するよう求めたのだった。 現職閣僚が首相に辞めるよう迫るのは筋が通らない話だが、 「国政に対する批判がダイレクトに出た」 ことを深く反省してのことだろう。 ところが、僅か21議席しか獲得できずに大敗した今回の都議選について記者団に問われた首相は、自身の進退には全く触れずにこう述べた。 「この結果の分析はすぐにできるわけではないが、どのような訴えが届かなかったのかをきちんと分析をして、今後に生かしていかねばならない」 ■大敗の責任すり替え 首相は、今回の都議選結果に現れた 「国政に対する批判」 も無視している。 このどんな結果になろうと自分は悪くないという独特の 「石破理論」 は昨年2024年10月の衆院選の際もそうで、少数与党に転落するという惨敗を自民党の在り方の問題にすり替え、こう語った。 「自民党は反省が足りないとご叱責を賜った」 「身内の論理、党内の理屈は一切排除し、政治とカネについて抜本的な改革を行っていく」 今回の都議選の大敗に関しても、自民党内には政治とカネの問題が主因だという見方があるが、そうではないと考える。 税収の上振れが何年も続いても頑なに減税は拒絶し、経済成長の方策は企業に大幅賃上げを求めるだけという石破内閣の無策ぶりや、後手後手の流入外国人への対応など、石破政治そのものに 「ノー」 が突き付けられているのではないか。 2025年4月10日の当欄でも紹介したが、大事なことなので再掲する。 首相は平成19年7月の参院選で当時の安倍首相率いる自民党が大敗した際には、夕刊フジのインタビュー記事でこう明言していた。 「責任を取るべき人が取らないのは組織ではない」 「その責任を追及する声が上がらない組織は病んでいる」 「このまま追及する声がないようなら、そんな党は存在意義がない」 「私だったら即座に辞めて、落ちた人のところに謝って回る」 安倍、麻生両氏に選挙敗北の引責辞任を求めておきながら、自分はいくら選挙で負けても責任を取ることは決して考えない。 そんなトップが平気な顔で首相を続けていることに対し、厳しく責任を追及する声がほとんど聞こえてこない自民党に、存在意義はあるのだろうか。 (論説委員兼政治部編集委員) 自民議員は石破首相の「過去の覚悟」に学べ もう楽にしてあげた方がいい 阿比留瑠比の極言御免 2025/4/10 1:00 https://www.sankei.com/article/20250410-GKJLNIYC4JOSPDF3LH6W2EVSVE/ 石破茂首相が昨年2024年10月の衆院選で惨敗を喫したにもかかわらず居座りを決め込んだ際には、自民党の少なくない議員が 「令和7年度予算が成立するまでの暫定政権だ」 との見立てを示した。 政権選択選挙に負けた首相は本来、直ちに辞任すべきだが、少数与党になってしまった以上、予算成立までは首相に責任を負ってもらう。 そして、その後に新しい党総裁を選び直すというストーリーである。 ところが、その予算が成立して1週間以上が経っても、 「石破降ろし」 の風は吹かず、党内は凪に近い。 保守系有志議員グループ 「保守団結の会」 が2025年4月3日に開いた会合では、石破首相に退陣を求める声が出たというが、まださざ波しか立っていない。 トランプ米大統領による 「関税ショック」 で毒気を抜かれた部分もあろうが、あまりに活力がない。 このままずるずると首相の責任も問わずに2025年夏の参院選を迎える気なのか。 そこでふと、もしかしたら石破首相自身は、こんな元気のない党の現状に飽き足らず、内心は不満なのではないかと考えてみた。 過去のスクラップ記事を読み返し、首相がこれまでにどれほど勇気と確信に満ちた発言をしてきたかを確かめた結果である。 ■安倍おろしの急先鋒にも 石破首相は平成19年7月の参院選で当時の安倍晋三首相率いる自民が大敗した局面では、安倍降ろしの急先鋒となった。 同年8月2日付の夕刊フジのインタビュー記事では、こう明言していた。 「使命は国民が与えるもの」 「参院選で『あんたとの約束は解消だ』と国民は言っている」 「責任を取るべき人が取らないのは組織ではない」 「その責任を追及する声が上がらない組織は病んでいる」 「このまま追及する声がないようなら、そんな党は存在意義がない」 まるで18年前の石破首相の口から、現在の自民への叱責の言葉が浴びせかけられているようではないか。 自民は過去の首相に、存在意義まで問われていることを自覚すべきだろう。 石破首相はまた、インタビューの中で多くの自民議員が落選したことに触れ、こんな憤りを示した。 「私だったら即座に辞めて、落ちた人のところに謝って回る」 「でも(安倍)総理は落ちた人の気持ちが分からない」 「(中略)選挙で奥さんともども土下座して、落選した人の気持ちは分からない」 ■信なくば立たずは当然 本来、政権選択選挙ではない参院選で敗れた安倍氏をこれほどまで非難し、政権選択選挙そのものである衆院選で無残に負けて続投した石破首相の心境はいかばかりか。 自民議員は首相の苦しい胸のうちを忖度し、首相に代わって 「即座に辞めるべきだ」 と唱和すべきだろう。 石破首相は19年8月11日付の産経新聞のインタビューでは、選挙の持つ意味の重大さをこう指摘していた。 「(安倍)首相が地位に恋々としているとは思わない」 「強い使命感があるのだろう」 「ただ、選挙で民意が示された以上、無視することがあってはならない」 信なくば立たずは、当然のことである。 それが分かっていながら、自身に強く 「ノー」 を突き付けた民意を無視し続けるのはさぞ辛かろう。 もう石破首相を楽にしてあげた方がいい。 自民所属議員は、こうした過去からの石破首相の覚悟を込めた厳しい戒めをどう受け止めるか。 あだや疎かにしてはなるまい。 今こそ首相の信念が込められた言葉に学び、実践していくべきではないか。(論説委員兼政治部編集委員) 給付金より消費税の恒久減税をするべきだ。 減税は国民の可処分所得を増やし、景気を良くして経済成長に結び付け、結果的に税収増まで狙うものだ。 経済成長による税収増は安定財源にならない、などというピント外れな考えではずっとこの先景気は良くならない。 どうしても当面の財源が不安と言うならば、法人税を上げればいい。 法人税を下げておいて消費税を上げるなどという過去の政策は本末転倒で最悪だ。 ピンぼけの自民参院選公約 15年も先の話にどう責任を持つつもりか 阿比留瑠比の極言御免 2025/6/12 1:00 https://www.sankei.com/article/20250612-TO77WSU2IFISPG536CTCDVROFI/ 「国民の納得と共感を得られる政治を実践する」 とは、石破茂首相の昨年2024年10月の所信表明演説だが、納得と共感を得るにはピントがずれ過ぎてはいないか。 首相が2025年6月9日、令和22(2040)年に平均所得を5割以上増やし、名目の国内総生産(GDP)は1千兆円を目指すことを自民党の夏の参院選の最重点公約として明記するよう党執行部に指示した件である。 来年のことを言えば鬼が笑うというが、15年も先の話にどう責任を持つつもりだろうか。 まさかそれまで、ずっと首相を続けるつもりではあるまいが…。 仮に平均所得を5割以上増やせたとしても、物価上昇率がそれ以上に高ければ元も子もない。 いきなりGDP1千兆円と打ち上げられても、それが国民生活にどんな意味を持つのかにわかには理解し難い。 これでは、物価高対策として消費税減税を掲げる野党各党の主張の方がよほど分かりやすい。 筆者は2025年4月3日の当欄で、国民に期待や高揚感を抱かせようとしない首相について 「参院選も負ける気満々なのではないか」 と書いたが、いよいよ参院選が間近に迫った今になっても、国民が欲する言葉は聞こえてこない。 かと思うと自民、公明両党は2025年6月10日、物価高対策として給付を実施することで一致した。 自民は参院選公約にこの給付実施を盛り込むという。 2025年4月上旬に1度浮上したものの、報道各社の世論調査で評判が悪かったので1度は立ち消えになっていたものを、背に腹は代えられぬとばかりに復活させたのである。 「物価高の中、税収が上振れすれば、何らかの形で国民に還元する方法を取らなければならない」 自民の坂本哲志国対委員長はこう述べた。 一見もっともらしいが、国民民主党の玉木雄一郎代表は2025年6月10日のX(旧ツイッター)投稿で、このやり方の欺瞞性を明らかにしている。 玉木氏は、令和2年度以降の5年間、毎年生じている 「上振れ」 の平均額が約5兆5000億円に及ぶこと、そしてその間、政府が毎年給付金を配っていることを 「ご都合主義ではないか」 と指摘する。 現在の自民執行部は、森山裕幹事長が 「消費税を下げるような公約は、どんなことがあってもできない」 と断言するように消費税率引き下げにアレルギー反応を示しているが、次の玉木氏の言葉は的を射ている。 「(財務省が安定財源にならないという)一時的な上振れだからと言って、一時的な現金給付を5年連続で続け、それを6年連続にしようとしているのでしょうか」 「『取り過ぎた税金』は、与党の都合で好き勝手に使っていいお金ではなく、納税者に還元すべきお金です」 「何より、取って配れば無駄な事務負担も発生します」 「シンプルに減税すべきです」 毎年5・5兆円も税を取り過ぎておいて、減税は断固拒否する。 その上で参院選公約にまるで与党が恩恵を施すかのように給付実施を書き込み、選挙対策に利用するというのである。 「物価上昇を上回る賃上げを実現することで、国民に安心感を持ってもらう」 首相はこう語っているが、大規模な経済対策も減税もなしにただ、民間企業に大幅な賃上げを要請だけされても、企業側もたまったものではあるまい。 首相は 「日本の財政状況はギリシャより悪い」 などという与太話にかまけずに、もっと民の釜戸のありように目を凝らすべきだろう。 (論説委員兼政治部編集委員) 「危険、軽率、最悪、不適切…」米通信コラム、「日本財政ギリシャ以下」の首相発言を酷評 2025/5/23 16:12 https://www.sankei.com/article/20250523-KONJZ4CACNG7FOOGKTUJUF4ABM/ 米ブルームバーグ通信は2025年5月22日、コラムニストのガロウド・リーディー氏の論考を配信し、日本の財政状況はギリシャよりも悪いと国会答弁した石破茂首相について、 「日本国債に新たに圧力をかけかねない発言を軽々しくするのは危険極まりない」 などと酷評し、 「今は軽率さが許される時ではない」 と訴えた。 ■タイミングは「最悪」 首相は2025年5月19日の参院予算委員会で 「わが国の財政状況は間違いなく、極めてよろしくない」 「ギリシャよりもよろしくないという状況だ」 と強調した上で、 「税収は増えているが、社会保障費も増えている」 「減税して財源は国債で賄うとの考えに賛同できない」 と述べた。 ガロウド氏は、首相の発言について 「最悪のタイミング」 と断じ、大規模金融緩和正常化のため日銀が国債の買い入れを段階的に減額している状況を挙げ 「市場参加者が既に金利上昇に神経質になっていたこともあり、首相のコメントは借り入れコストの更なる上昇を招いた」 と指摘した。 2025年5月16日には米格付け会社ムーディーズ・レーティングスが米国の信用格付けを引き下げており、ガロウド氏は 「直後というタイミングで、国債に新たに圧力をかけかねない」 と危惧した。 ■ギリシャと比較自体誤り 両国の財務指標を巡って、日本の国内総生産(GDP)比債務残高はギリシャと並び世界最大級。 一方で、ギリシャと異なり日本は自国通貨を発行できる上、国債の大半が国内で保有されている。 ガロウド氏は 「ギリシャが危機に陥ったのは、債務の多さだけが原因だったのではなく、欧州共通通貨ユーロを採用し、債務の大半を外国人投資家が保有していたからだ」 とし、 「ユーロ圏危機時のギリシャを念頭に置いていたとしても、その比較自体が誤り」 と解説した。 その上で、 「コメを買ったことがない」 と発言し更迭された江藤拓前農水相を挙げて、 「日本のメディアは江藤氏の発言ばかり取り上げるが、首相自身も極めて不適切で、遥かに重大なリスクを孕む発言を行っていた」 と報道の在り方に疑問を呈した。 <産経抄>トランプ関税ショックに弥縫策では追いつかない 2025/4/12 5:00 https://www.sankei.com/article/20250412-5NHBO3JLYNLMHHYRQRARK5UF4M/ 平成28年頃、当時の安倍晋三首相に 「なぜ財務省は、消費増税にばかり拘るのか」 と意見を聞いたことがある。 財務省は、経済成長による税収増は 「安定財源にならない」 と言うが、増税で景気が後退すれば元も子もないだろうにとかねて疑問だったからである。 ▼安倍氏はあっさりと答えた。 「財務省は経済が分かっていないから」。 それはどういう意味かと問うと、安倍氏は続けた。 「財務省、特に(予算編成を司る主流派の)主計局あたりは、集めた税を再分配することしかやっていないから、生きた経済を分かっていない」 「彼らにはその必要がないからね」 ▼目から鱗が落ちる思いだった。 確かに財務省設置法は、任務として 「健全な財政の確保、適正かつ公平な課税の実現、国庫の適正な管理」 などを掲げるが、経済成長や景気浮揚などは所管外である。 安倍氏の指摘通り、そんなことは本来彼らの仕事ではないのだった。 ▼現在、トランプ米大統領による関税ショックや物価高を受け、政治課題として減税や現金給付が議論されている。 自民党内からは食料品の消費税減税を求める声も出ているが、財務副大臣を務めた森山裕幹事長は否定的だとされる。 公明党の斉藤鉄夫代表は 「減税を前提とした現金給付」 を主張する。 ▼野党第一党の立憲民主党は消費税減税に関する賛否が分かれるが、財務相経験者の野田佳彦代表は一貫して否定的な立場を取ってきた。 日本維新の会の吉村洋文代表は 「2年限定で食料品の消費税をゼロに」 と訴える。 国民の暮らしに直結する重要テーマであり、侃々諤々の議論がなされて当然だろう。 ▼ただ、トランプ劇場は始まったばかりである。 単なる弥縫策では追いつくまい。 与野党で高まる消費減税論に神経とがらす財務省 「一度減税すると戻せない」 2025/4/11 21:21 https://www.sankei.com/article/20250411-Q64RJ6WIURO5BB65OZ7OFG6MGI/ トランプ米政権の関税措置や物価高の対策として消費税減税や現金給付を求める与野党の動きに財務省は神経を尖らせている。 特に消費税は社会保障の貴重な財源のため手を付けることには慎重だ。 手取りを増やす施策を実施するなら 「現金給付で収めたい」 という思惑も透けてみえる。 加藤勝信財務相は2025年4月11日の閣議後記者会見で 「消費税の引き下げを図ることは適当ではないと石破茂首相が国会で答弁している」 と述べ、減税に否定的な考えを示した。 消費税は景気や人口構成の変化に左右されにくく社会保障の安定財源となっている。 令和7年度の税収見込みは24・9兆円に上る。 財務省幹部は 「消費税は1度減税すると元に戻すのが難しい」 と語る。 実現するにしても来年度2026年度になると想定される。 法改正に加え、レジの改修など事業者の対応も不可欠だ。 一方、現金給付なら迅速に国民に届けることができる。 自民党内では一律5万円を給付する案が浮上する。 新型コロナウイルス禍の際に家計支援策として実施した一律10万円の特別定額給付金は、総額12・8兆円の予算を計上。 5万円の給付を実施する場合、6兆円規模が必要となる。 参院選を前に与野党から歳出圧力が一段と高まることも予想され、国債の増発懸念もくすぶる。 財政健全化とのバランスも重要で悩ましい展開が続く。 立民で「消費減税派」が台頭 国民民主や維新でも 参院選見据え野党がアピール合戦 2025/4/11 21:18 https://www.sankei.com/article/20250411-G3WMBXYOAZNTVOJEIQRS6QQ524/ 物価高対策やトランプ米大統領の関税措置に対応するため、野党で消費税減税論が勢いを増している。 立憲民主党が2025年4月11日開いた参院選に向けた経済政策を協議する党会合では、消費税減税を求める声が相次いだ。 日本維新の会も同日、官邸に食料品の消費税ゼロを要請するなど、参院選を見据えた野党による 「アピール合戦」 の様相を呈してきた。 「党内の議論を虚心坦懐に見ている状況だ」 立民の野田佳彦代表は2025年4月11日の記者会見で、 「消費税減税派」 が台頭する党内情勢についてこう語った。 野田氏は自身の首相時代に、消費税10%への増税に道筋をつけた筋金入りの 「財政規律派」。 その野田氏率いる立民内でも消費税減税を求める声が日増しに高まっており、同日の党会合では消費税の5%への引き下げや、食料品の税率をゼロにすべきとの意見が多く出た。 出席したベテランは 「財政規律派は何も分かっていない」 と吐き捨てた。 また、維新も同日、前原誠司共同代表らが林芳正官房長官と官邸で面会し、食料品の消費税ゼロなどを柱とする経済対策を申し入れた。 野党から消費税減税の大合唱が起こるのは、有権者の関心が高い消費税減税を掲げることで参院選を有利に戦いたいからだ。 国民民主党幹部は 「まるで『減税合戦』だな」 と漏らした。 「最後に決めるのは…」首相、消費減税の可否打ち出せず 執行部否定的、参院選控え板挟み 2025/4/11 21:12 https://www.sankei.com/article/20250411-YHEQ2L2ZNFJMHCMZ2ZY4GNYXFY/ 石破茂首相(自民党総裁)は、夏の参院選を控え、党内で強まる消費税減税の圧力と党執行部の減税反対論の間で減税の可否を打ち出せずにいる。 参院選の投開票は約3カ月後に想定され、消費税減税を打ち出し政権浮揚を図りたいところだが、執行部の多くは財源確保を理由に否定的で首相は板挟みの状況だ。 ■発言は二転三転 「確かに賃金は着実に上昇している」 「それでも給料が上がっていない人がいっぱいいる」 首相は経済対策の必要性について周囲にこう語気を強めた。 首相は2025年3月28日の参院予算委員会で、消費税減税の実施について 「一概に否定するつもりはない」 と説明。 諸外国の税率の下げ幅や実施期間などを検証する意向を示した。 その後、党内の反発を受け 「適当ではない」 と否定するなど発言を二転三転させてきたものの、 「本音はやりたいはずだ」(首相側近) と見る向きもある。 その背景には政権が掲げる 「物価上昇を上回る賃上げ」 を実現できていない現状がある。 コメやガソリンの価格上昇も続く中で、首相の胸の内には物価高対策として食料品の消費税率引き下げも選択肢に残っているのではないかというのだ。 ■与党から減税圧力 参院選が近づくにつれ、与党内から減税圧力が大きくなってきたことも理由の1つだ。 自民の松山政司参院幹事長は 「今月2025年4月から4千品目を超える物価も上昇する」 「きめ細かな対応を検討してほしい」 と言及。 公明党の斉藤鉄夫代表も 「減税を前提とした現金還付が必要だ」 と要求する。 ただ、自民執行部内では現金給付や消費税減税に否定的な意見が大勢だ。 「政権の屋台骨」 である森山裕幹事長や元財務相の鈴木俊一総務会長がその代表格で、 「バラマキと批判される」(党重鎮) と警戒する向きも強い。 与党内は決して一枚岩とは言えない。 だが、参院選で野党側は消費税減税などを公約として打ち出すことが想定され、自民が消費税減税に否定的な態度を貫けば有権者の支持がますます野党に流れかねない。 党内の慎重論は根強いが、政府高官はこう話す。 「党内で反対があったとしても、最後に決めることができるのは首相だ」 与党が物価高対策で消費減税検討 首相、近く補正予算編成を指示 「つなぎ」で現金給付へ 2025/4/11 20:46 https://www.sankei.com/article/20250411-IFGKWMAFUFJMJOXWKCKFZEYBBA/ 自民、公明の与党は、物価高を受けた経済対策として、食料品を対象にした時限的な消費税減税の検討に入った。 減税実現には法改正などで時間がかかるため、 「つなぎ」 の措置として国民一律の現金給付も行う方針で、政府に要求する。 また、石破茂首相は現金給付を含む経済対策を講じるため、令和7年度補正予算案の編成を近く指示する方向で調整に入ったことが判明した。 政府・与党は今国会での補正予算案の成立を図る。 経済対策には、トランプ米政権による自動車への25%の追加関税措置で打撃を受ける自動車業界への新たな助成も盛り込む方向だ。 一方、消費税減税について、公明の斉藤鉄夫代表は2025年4月11日の記者会見で改めて必要性を提起した。 消費税や所得税も含め 「あらゆる税目を対象に検討しなければならない」 と述べた。 減税の実施時期については 「来年度2026年度からが常識的だ」 と語った。 自民でも食料品の消費税減税を打ち出すべきだとの主張が、夏に参院選を控える参院側だけでなく、執行部の一部に出ている。 自民幹部の1人は減税の景気浮揚効果を検討する考えを示した。 ただ、自民執行部には消費税減税に否定的な意見が多い。 森山裕幹事長は2025年4月11日、記者団に、消費税は社会保障費の財源であることから 「下げる話だけでは国民に迷惑をかけてしまう」 と語った。 現金給付の金額に関しては自民内には3万〜5万円程度、公明内で10万円程度とする案が出ている。 財源について斉藤氏は2025年4月11日の記者会見で 「緊急的措置と考えれば赤字国債を検討することもあり得る」 と言及した。 公明・斉藤鉄夫代表、消費減税も選択肢 高関税・物価高対策で 2025/4/11 11:56 https://www.sankei.com/article/20250411-S56KPYBOBZIDBMCOPARFPES3BM/ 公明党の斉藤鉄夫代表は2025年4月11日の記者会見で、米政権の高関税措置や物価高を受けた経済対策として提起した減税について、消費税や所得税が対象となる可能性を排除しなかった。 「関税に関わる危機は経済界全体に関わる」 「あらゆる選択肢を俎上に載せて検討している」 と述べた。 減税と併せて検討している現金給付の財源に関しては 「緊急的措置と考えれば赤字国債を検討することもあり得る」 と言及した。 「恒久減税」のときが来た 消費が刺激され、働き手も活気づく 田村秀男の経済正解 2024/12/17 12:00 https://www.sankei.com/article/20241217-FS2GLBD2HNPTLETY7E7CXBFIKI/ 自民、公明両党は国民民主党の要求に応じて、所得税非課税枠 「年収103万円」 の壁について178万円を目指して来年2025年から引き上げると同時に、ガソリン税に上乗せされる旧暫定税率の廃止も受け入れた。 これまでの 「デフレ30年」 に埋没した恒久減税がようやく日の目を見る。 「増税メガネ」 で曇らせては台無しになりかねない。 増税メガネとは、社会保障や防衛費の財源を増税に求める財務省に従順な印象が強かった岸田文雄前首相につけられた渾名(あだな)だが、増税メガネ的発想は、平成バブル崩壊後の日本経済 「失われた30年」 を覆ってきた。 岸田氏に限らない。 石破茂首相だって 「財源はどうしますか」 という財務官僚の問いに極めて弱く、増税論に屈しやすい。 国民民主の非課税枠178万円への引き上げ案について、林芳正官房長官は真っ先に7兆〜8兆円の税収減になると言い、財源を問題視したが、財政の差し引き計算だけのトンデモ議論である。 7兆〜8兆円は家計の手取り増になるので消費が刺激される。 働き手も活気づき、景気拡大と共に税収が増えていく。 米国ではトランプ次期大統領が大型減税を打ち出すが、財源を問題視する向きはいない。 ■徹底抗戦する財務官僚 所得の恒久減税は非課税枠の引き上げや税額控除、定率減税制度などが含まれる。 財務官僚は毎年度の財政を左右する恒久減税には徹底抗戦するが、1回きりで済む減税などバラマキ型財政支出には強くは抗わないので、政治家はそれに乗じる。 バラマキ型減税は期間限定の定額減税や定額給付金がある。 第2次安倍晋三政権当時の新型コロナウイルス不況対策の国民1人当たり一律10万円の特別給付金、岸田前政権が実施した今年2024年度限りの定額減税である。 ウイルス感染の爆発的拡大や、物価高騰で国民生活がおしなべて直撃される。 このため、経済活動の急激な落ち込みを防ぐ効果はある。 だが、デフレから脱し、経済を持続的に拡大させるためには、恒久減税こそが相応しい。 気付いた政治リーダーもいたのだが、試みは挫折を繰り返した。 1997年当時、橋本龍太郎政権は財務省に先導されて、財政健全化に向け、消費税増税と緊縮財政に踏み切ったのが運の尽きで、デフレ不況を招いた。 橋本氏は増税による大失敗を悔い、99年からの所得税と住民税の恒久減税を打ち出したが、98年の参院選で敗退し、橋本氏は失意のまま辞職した。 次の小渕恵三政権は恒久的減税として所得税・住民税の定率減税を導入したが、小泉純一郎政権は2006年に減額税率を半減、翌年には全廃した。 以来、恒久減税論議は政策選択の俎上から消えた。 2008年9月のリーマン・ショックに直面した麻生太郎政権はバラマキ型の定額給付金支給に踏み切った。 ■増税でデフレ圧力高まる悪循環 消費者も企業の行動も足元の状況よりも、将来の予見に強く左右される。 景気が停滞する中での一時的な減税であれば、家計は将来に備えて貯蓄し、消費を抑制する。 デフレ圧力に押される経済は冷えたままなので税収は増えず、政府債務だけが膨らんでいく。 財務省はそこに付け込んで消費税増税を仕掛け、与党多数派を抱き込み、政権を包囲する。 増税で益々デフレ圧力が高まる。 慌てた政権と与党はバラマキ主体の大型補正予算を組むが、カンフル剤効果に終わり、政府債務増の悪循環が続く。 財源不足を理由に、増税に走ってしまう。 グラフは慢性デフレが始まった1997年から最近までの消費者物価、実質賃金と一般政府(中央・地方政府と社会保障基金)の純債務の国内総生産(GDP)比率の推移である。 注目すべきは、消費税増税である。 その名目は財源確保と財政の健全化だが、政府債務GDP比は1997年4月の消費税増税後、上昇を続け、2014年4月、19年10月からの追加増税でも高水準にとどまったままだった。 消費者物価は2021年までは消費税増税時に押し上げられるが、実質賃金は多少の凸凹はあるものの下落トレンドが続いている。 消費税増税という恒久増税がもたらしてきたのはまさに、死屍(しし)累々なのだ。 グラフでは、2022年以降の物価高騰以降、政府債務のGDP比が急速に下がっていることが読み取れる。 消費者物価上昇率は2023年初めに4・3%に達した後、徐々に下がりこの2024年10月は2・3%である。 コスト高に押されたインフレであり、消費税などの税収を大幅に増やし、名目GDPを拡大させるが、需要は依然として弱い。 この機を捉える恒久減税はまさに理にかなうのだ。 (編集委員)
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