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※紙面抜粋
※2025年8月12日 日刊ゲンダイ2面
「石破おろし」と「三木おろし」はココが違う 自民党内ゲバの長期化と国民の辟易
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/376032
2025/08/12 日刊ゲンダイ ※後段文字お越し
両院議員総会に向かう石破首相(C)日刊ゲンダイ
注目の両院議員総会は「総裁選前倒し」の成否に関心が移ったが、そう簡単に決められないだろう。首相の続投もわからないまま、未曽有の混乱が続く前代未聞の事態とその先を専門家はどう見ているのか。この党内抗争は滅びゆく末期症状の組織の典型。
◇ ◇ ◇
昭和100年、戦後80年の夏は異例の猛暑と豪雨にさらされているが、政界の方も前代未聞の混乱が続いている。天候も民主主義も「経験したこともないこと」ばかりで、言い知れぬ不安が頭をもたげてくる。
なかでも酷いのが自民党の内ゲバだ。本来ならば、戦後80年の節目に落ち着いて歴史を振り返り、新たな不戦の誓いを出すべきところだ。庶民が苦しむ物価対策を急ぎ、狂乱の米国と向き合うべく、各国と連携し、時代の転換に備えるべきだ。
それなのに、この国では今月末に首相が誰かすらわからない。石破首相の進退も不明なら、引きずり降ろしたとして、次が誰になるのかも見通せない。あり得ないような混迷だ。
「注目された8日の自民党両院議員総会では反石破の議員から総裁選の前倒し要求が相次ぎ、総裁選挙管理委員会(逢沢一郎委員長)が党所属国会議員と都道府県連の意思を確認するとして引き取った。でも、この委員会は6人も欠員が出ていて、その穴埋めから始めなければならない。意思確認方法もハッキリせず、いつ結論が出るのかも見通せない。そうこうしているうちに、9月には党役員が任期切れを迎えるので、内閣改造・党役員人事を断行しなければならない。とはいえ、先が見えない首相に誰がついていくのか。人事で難航すれば、そこで政権は行き詰まってしまう。誰にも先が見通せないのです」(自民党関係者)
反石破のメンメンも声を荒らげているのはチンピラばかりで、「自分が自民党を立て直す」という斬新で真剣なプランを持った議員は皆無だ。
だったら、少数与党なのだから、野党が結束すればいい。そうすれば、すぐにでも不信任案は通せるのに、こちらもバラバラで、それぞれが党利党略で様子見を決め込んでいる。
かくて、「政治空白がどれだけ続くかわからない」(政治評論家・野上忠興氏)という惨状なのである。国民にしてみれば「いい加減にしてくれ」ではないか。
いつまで自己矛盾を抱えながらしがみつくのか
石破が情けないのは、ここまで来たら居直ればいいのに、いまだ猫なで声で「真摯に声を聴き、説明を尽くす」などと寝言を言っていることだ。
党内の保守派に配慮し、戦後80年談話の閣議決定は早々と断念し、それでも違う形を模索して逡巡している。かと思えば、政治とカネでは野党に擦り寄り、中途半端な規制強化で連携を探っている。
保守派に配慮し、野党にも媚を売り、どっちつかずで、立ち往生。結局、首相就任時にも露呈したジレンマを今も抱えたままなのである。
そのジレンマとは、自民党の宿痾である「政治とカネ」の問題を断ち切ることに世論の応援があるのに、党内基盤が弱いものだから、自説を引っ込め、中途半端な妥協を重ねてきた自己矛盾だ。「石破首相とは彼が自民党を出るか出ないかの時からしょっちゅう議論を重ねてきた」という元参院議員の平野貞夫氏もこう言った。
「彼には自民党を変えるという天命があったのに、自分の意志を貫けていませんね。中途半端なことを繰り返し、自己矛盾を重ねてきた印象です」
昨秋の衆院選では非公認議員にもカネを渡し、新人議員には“ウラ”で10万円の当選祝いを配った。裏金の実態解明にはとことん後ろ向きで、企業・団体献金も温存である。こうした裏切りが参院選での惨敗を招いたのに、まだ、党内の顔色をうかがい、自民党総裁=首相を続ける道を模索している。
ハッキリ言って、こうしたジレンマを一番、知っているのは石破自身のはずである。自民党の腐った体質、変えられない宿痾、改革の限界などなどだ。それらを批判してきた自分が自民党内で支持を得て、総裁にしがみついている矛盾である。それなのに、中途半端なゴマカシで政権を続けようとしているところに権力者の欺瞞がある。一部に「石破辞めるな」の声があるが、それが国民全体に広がらないのは、邪な権力欲が透けて見えるからだろう。
三木おろしと比較すると石破は茶番
気迫が違った(三木武夫元首相)/(C)日刊ゲンダイ
今の石破の状況とよく比較されるのが1976年の三木おろしだ。ロッキード事件の真相解明を掲げ、次々と証人喚問を実現。当時としては斬新な政治資金規正法改正案を出した三木武夫首相に党内が反発。引きずり降ろそうとした一件だ。三木は国民世論の後押しを背景に1年近く粘り抜いた。結局、任期満了の衆院選で負けるまで首相の座を降りなかった。
首相が粘れば辞めさせられない一例として紹介されているが、当時の三木と今の石破では気迫が違った。当時、共同通信で自民党キャップだった野上忠興氏はこう言うほどだ。
「三木さんは完全に腹をくくっていましたよ。当時は派閥全盛時代。そんな時代に田中派、大平派、福田派、船田派、水田派、椎名派が一致団結して、退陣を突きつけたんですから、今の党内抗争どころの話じゃありません。三木おろしの総勢は自民党議員277人、一方三木サイドは三木派と中曽根派だけでしたからね。番記者の間でも“勝ち目がないのに、なぜ、やるんだろう”と囁き合っていたほどです。でも、三木さんは潰すか潰されるか、俺がやらなきゃ誰がやるんだ、というド迫力で押し通した。自民党を割る覚悟もあった。そこが今の石破首相との違いです」
実際、三木は水面下で当時の民社党との連携を模索していたし、三木おろしが表面化すると「この難局処理は、40年間ひたすら議会制民主主義に捧げてきた私の政治生活の総決算だと覚悟している。中途半端に私の使命と責任を放棄することはない」と啖呵を切った。福田、大平との直接会談では「君たちどっちが首相をやるんだ」と迫り、2人が答えられないと「後釜も決めずに私に辞めろというのか」と激高した。
ま、今にして思うと、田中角栄逮捕の裏には米国も絡み、さまざまな政治的思惑があった。三木のやったことがすべて正義とは言わないが、少なくとも、そのケンカはガチンコだった。それなのに、石破はいまだ、自己矛盾の中でもがいている。反石破派をひねり潰そうともしない。それがいたずらに政局を長引かせているのだから、酷いものだ。
歴史の転換期の政争、混乱だけに長期化の予感
今後も石破は自民党内で妥協しながら、しがみつくのか。そうやって、総裁選の前倒しは回避しても、少数与党で人事刷新の展望もない中、どうするつもりなのか。
前出の平野貞夫氏は「今は大きな歴史の過渡期」とこう言った。
「トランプ大統領の出現で、米国の資本主義の限界が露呈し、米国が主導して世界が動く時代も終わりました。これまでの米国の繁栄の背景には少なからず日本の貢献があり、その原点は巣鴨プリズンにいた岸信介まで歴史をさかのぼることができる。その延長線上にあるのが自民党の裏金事件であり、統一教会事件ですから、戦後80年でくしくも米国と自民党の時代は終わったんだな、と感じています。となると、今後の自民党は、生まれ変わるか、割れるか、しかないんです。維新や国民民主は自民党の亜流だから、組んだところで、新しい時代に対応できない。石破首相にそうした歴史認識、覚悟があるかどうかが問われています。この政争は簡単に決着はつきませんよ」
野上忠興氏も「その場しのぎのゴマカシではどうにもならない」とこう言った。
「これだけ国力、経済力が落ちて、庶民は生活苦に喘ぎ、少子化、財政難にも直面しているわけですから、内ゲバなんかやっている場合じゃないんですよ。安易な連立もすぐ破綻するから、本格的な政界再編以外にないと思う。今までとは違う政治の仕組み、発想の転換が必要で、それは容易なことではない。政治混乱は長期化するとみています」
昭和100年はひとつの区切りだ。今は次の100年に向けた混乱の幕開けなのかもしれない。
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