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憲法や安全保障と並んで、「格差社会」という政治的テーマがあるのに 二極化・格差社会の真相
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/376039
2025/08/12 日刊ゲンダイ
選挙戦でもほとんど語られなかったが格差は今なお拡大の一途をたどる…(C)日刊ゲンダイ
朝日新聞が先の参院選当選者の政策や政治姿勢の分析を載せている(7月30日付朝刊)。東大・谷口将紀研究室との共同調査に基づくものだ。
対象は全部で14項目。「憲法・外交・安全保障」などの3領域で、中国は日本にとってどんな存在か、消費税率、企業・団体献金等の各論に対する各政党の考え方の傾向を図示している。
たとえば憲法を「変える必要がある」と最も強く訴えたのは日本保守党で、参政、自民、維新、国民民主などがこれに続く。対極の「変える必要はない」は共産、れいわ、社民で、それらより15%ほど弱めで立憲民主。中間地点に公明党、といった具合だ。
これはこれで有用なデータだろう。だが格差社会に関わる項目がない。ということは、その元凶たる新自由主義を各党がどう捉えているかの分析もあり得ない道理だ。
もはや格差の問題は解決したので対策はいらなくなった、という話なら結構。しかし現実は、階層間の格差は今なお拡大の一途をたどり、下層に追いやられた人々は不満を募らせるばかり。体感治安の悪化、SNSによる誹謗中傷の横溢、排外思想、やたら好戦的になった集団心理など、今日の社会問題のかなりの部分は、新自由主義イデオロギーによって招かれてしまっているというのに。
確かに、格差社会に対する問題意識は選挙戦でもほとんど語られなかった。だから取り上げないという理屈なのだろうが、ならば新聞の存在意義はどこにある? 政党が触りたがらない重要事を指摘してみせてこそ、ジャーナリズムの議題設定機能ではないか。
一方で、朝日は選択的夫婦別姓や同性婚の法制化等に関する各党の主張を丁寧に分析している。それらも大事なトピックではあるにせよ、この構図はフランシス・フクヤマが言い出し、Y・バルファキス(アテネ大学教授)が「テクノ封建制」で深めた洞察を想起させるのに十分だ。左派の変質を論じて彼は、
〈今では階級闘争は、いわゆる「アイデンティティー政治」に取って代わられてしまった。人種的、性的、民族的、宗教的マイノリティーを守り、正義の回復を求める動きは、社会的にリベラルであることを示したい権力者にぴったりだ〉(関美和訳、集英社、2025年)。
なるほど、これでは左派政党が以前にも増して支持を失うのも当然だ。憲法や安全保障と並ぶ最大のテーマで、初めから白旗を揚げてしまっているのだから。
斎藤貴男 ジャーナリスト
1958年生まれ。早大卒。イギリス・バーミンガム大学で修士号(国際学MA)取得。日本工業新聞、プレジデント、週刊文春の記者などを経てフリーに。「戦争経済大国」(河出書房新社)、「日本が壊れていく」(ちくま新書)、「『明治礼賛』の正体」(岩波ブックレット)など著書多数。
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