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※紙面抜粋
※2025年8月28日 日刊ゲンダイ2面
危険な独裁者の共通項…トランプ「解任人事」と安倍政治
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/376796
2025/08/28 日刊ゲンダイ ※後段文字お越し
トランプ米大統領のやりたい放題、ゴル友の安倍元首相政治を思い出す(C)J MPA
FRBのクック理事解任を巡って大騒動になっている米国だが、トランプ流を見ていると改めて、思い出すのが安倍政治だ。NHKの会長を操るために、理事の人事から工作し、仕上げは検事総長の定年延長まで画策。2人はウマが合ったらしいが、その理由もよくわかる。
◇ ◇ ◇
民主主義の盟主である米国が、トランプ流によって破壊し続けられている。
トランプ大統領が米国の中央銀行に当たるFRB(連邦準備制度理事会)のリサ・クック理事の解任手続きに入ると公表し、大騒動となっている。
トランプは25日夜、自身の署名入りの解任状をSNSに投稿。解任理由として、クック理事に住宅ローンを巡る不正があったと主張しているが、中央銀行の独立性を脅かす異常事態だ。クック理事の担当弁護士は、解任通知は法的根拠を欠いているなどとして、提訴する意向だという。
トランプの狙いは明白である。利下げに慎重なクック理事を切ることでFRBの金融政策を「緩和」に転換させ、経済を活性化することだ。FRBの理事は正副議長を含めて計7人。現状、2人がトランプ派で、今月辞任した理事の後任には側近が入る予定だ。もし、クック理事の後釜がトランプの息のかかった人物になれば、過半数がトランプ派になるということだ。本人は「過半数の獲得は大きな意味を持つだろう。少し金利を下げれば、米国の経済に大きな違いを生むだろう」なんて言っている。
トランプはこれまでも、利下げに慎重なFRBのパウエル議長を批判。「彼はもっと前に利下げをすべきだった。ひどい仕事をしている」などとディスり、解任を示唆したこともあったが、具体的に手を突っ込んできたのは初めてのことだ。何が何でも利下げを成し遂げるつもりなのだろう。
しかし、「物価の番人」であるFRBは米国内のインフレを退治するために、この3年間で着々と金利を上げてきた。先月末のFOMC(連邦公開市場委員会)でも5会合連続となる金利据え置きを決定。利下げに踏み切れば、米国の物価は高騰しかねないわけだ。それで米国民は納得するのか。
ドルの信認が揺らぎかねない
そもそも、パウエル議長は5会合連続で金利据え置きを決めた理由として、トランプ関税がインフレに与える影響を慎重に見極める考えを示している。トランプは自らの肝いり政策である「関税」にケチをつけられたことに怒っているのかもしれないが、いずれにせよ「物価の番人」が大統領の意のままに操られることになれば、苦しむのは米国民だろう。もちろん、悪影響は米国だけにとどまらない。
慶大名誉教授の金子勝氏(財政学)はこう言った。
「クック理事解任の報道を受け、FRBが目先で利下げするとの観測が広がり、米国の短期債の利回りが低下。その一方、FRBの物価対応への不安から30年債の利回りが上昇(債券価格は下落)しています。これは、中長期的に米国のインフレが悪化すると、投資家が懸念していることを示しています。また、ブルームバーグの集計によると、外国人投資家が保有する米国債の割合は2012年の52%のピークから低下しており、現在は発行残高の33%に落ちています。つまり、米国そのものとドルへの信認が揺らいでいるということ。ドルの信認が崩れれば、世界中のマネーは行き場を失い国際金融市場は大混乱を来すでしょう。米国だけでなく、全世界が不安定化する恐れがあります」
一体どこが「MAGA(メーク・アメリカ・グレート・アゲイン)」なのか。
安倍元首相も中央銀行の乗っ取りに手を染めた
安倍元首相にベッタリだった黒田東彦前日銀銀総裁(C)日刊ゲンダイ
それにしても、こうしたトランプのやりたい放題には既視感がある。思い出すのは、日本の「物価の番人」である日銀を「子会社」と言い放った安倍元首相のやり口だ。
安倍は2012年末にアベノミクスを掲げて日銀による大規模な金融緩和を実施。緩和派の黒田東彦総裁を抜擢し、日銀が国債を買い支える事実上の「財政ファイナンス」に手を染めたことで副作用は拡大の一途をたどった。こうした流れに対し、日銀内部からも反対の声が上がったが“安倍シンパ”によって封殺されている。
日銀が今年7月に公開した15年1〜6月の金融政策決定会合の議事録によれば、複数の審議委員から金融緩和の副作用を懸念する声が噴出。修正を求める意見が出たが、アベ友の黒田やリフレ派の委員によって退けられたのだった。
トランプの狙いも全く同じだろう。息のかかった理事をFRBに送り込むことで、利下げを強行させようというわけだ。
「トランプ大統領のやっていることは安倍元首相の真似事に他ならない。中央銀行を乗っ取り、操ろうというわけです。しかし、中央銀行の独立性を破壊してしまえば、物価をコントロールできなくなるなど、悪影響は計り知れません。日本では安倍元首相のせいで日銀が柔軟性を失い、完全にマヒしてしまった。今日の円安物価高もアベノミクスの弊害です。米国も同じ道を行くのか。FRBが独立性を失ってドルの信認が揺らげば、ダメージは全世界に波及するでしょう」(金子勝氏=前出)
メディアや捜査機関にも介入
安倍がやったのは日銀の乗っ取りだけじゃない。メディアや検察にも手を突っ込み、民主主義そのものを破壊してきたのだ。NHKでは、安倍と近しい関係にある大学教授らが経営委員に送り込まれ、新会長に「政府が右と言うことを左と言うわけにはいかない」などと政権寄りの発言で批判を浴びた籾井勝人氏が就いた。
極め付きは、永田町で「官邸の守護神」と言われていた黒川弘務・元東京高検検事長の定年延長問題である。検察官の定年ルールを変えてまで「守護神」を検事総長につけようと画策したのである。
こうして、日本の民主主義は破壊し尽くされてきたわけだが、やはりトランプも安倍と同じことをやっている。
トランプは就任初日、メキシコ湾の名称を「アメリカ湾」に変更する大統領令に署名。それでも、メキシコ湾という名称を使い続けたAP通信に大統領執務室での「取材禁止」を通告した。
政権発足直後の今年1月には、トランプが絡んだ2件の連邦刑事事件の捜査に関わった司法省職員が10人以上解雇された。トランプ政権は目下、捜査を指揮していたジャック・スミス前特別検察官に対する正式な調査まで開始している。
中立性、独立性が重要な中央銀行にメディア、捜査機関に介入する──、今回のトランプの「解任人事」とアベ政治の根っこは全く同じということだ。安倍ソックリのトランプにひれ伏してしまえば、民主主義はオシマイだろう。
政治評論家の本澤二郎氏はこう言う。
「トランプ大統領と安倍元首相は頻繁にゴルフを共にし、ウマが合ったと言われていますが、その理由は明白です。反中国、反共産主義といった思想信条が同じという点はもちろんですが、最大の共通項は独裁的な気質です。気に入らない人物は徹底的に攻撃して排除する。そうしたやり方も酷似しています。安倍元首相のせいで日本の民主主義はほとんど崩壊してしまった。各国がトランプ大統領に媚びへつらうようなことになれば、国際社会も危機に瀕するでしょう。ただ、米国や欧州のメディアは日本と違って気骨がある。その点だけは救いがあると言えます」
サッサと降ろさないと、世界はどんどんキナ臭くなっていく。
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