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※紙面抜粋
※2025年9月9日 日刊ゲンダイ2面
どんな展開になるか、けだし見ものだ…自民党総裁選が「自民離れ」を加速させる
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/377325
2025/09/09 日刊ゲンダイ ※後段文字お越し
裏の主役はこの3人(C)日刊ゲンダイ
石破辞任で総裁選の火ぶたが切られたが、 旧態依然の派閥抗争や票読みになる予感。菅や麻生、岸田などキングメーカー気取りの暗躍とそれを実況の新聞報道。そんな実況が1カ月も続いた後、おそらく見向きもされなくなる自民党。
◇ ◇ ◇
有権者が「自民ノー」の民意を突きつけた参院選が終わってから50日。国民不在の「政治空白」はまだまだ続く。
自民党内の退陣圧力に抗しきれず、石破首相が続投を断念。退陣表明から一夜明けた8日、「ポスト石破」を選ぶ自民党総裁選の火ぶたが切られた。
8日は昨年の前回総裁選で敗れた茂木敏充前幹事長が早くも出馬を表明。旧岸田派の林芳正官房長官は派閥会長だった岸田前首相と会談し、出馬意向を伝えたとみられる。前回5位の小林鷹之元経済安保相は、自身を支援する中堅・若手議員と国会内で集まり、対応を協議。フジテレビ系の番組では「仲間とよく相談したい」と語った。
昨年も総裁の座を争ったメンバーが準備を本格化させる中、党内で「本命・対抗」と見なされているのは、前回上位の小泉進次郎農相と高市早苗前経済安保相だ。すでに号砲が鳴った総裁選は、この2人を軸に展開していくのは間違いない。
大量9人もの候補者が乱立し、自民が「ザ・マッチ」と称してお祭り騒ぎの総裁選を演出してから、まだ1年足らず。出てくるメンツまで一緒なら、振り出しに戻った感は否めない。さらに問題は、今回の総裁選の投票方式だ。国会議員票と全国の党員・党友票で争う「フルスペック型」で実施する見通しで、きょうにも正式決定する。
この場合、告示は9月22日、国会議員の投票は10月4日とする案が有力だ。首相指名選挙はさらにその先となり、衆参両院ともに少数与党下では、選出された新総裁が国会で首相に指名される保証はない。まあ、バラバラ野党が一致団結する保証はそれ以上にないとはいえ、新政権立ち上げまでの手続きにはなお時間がかかるのだ。
政権与党が国民そっちのけで権力闘争にうつつを抜かす「政治空白」はこの先、確実に1カ月以上も続く。もうウンザリである。
この先1カ月以上も空費する民意への裏切り
自民が50日も「石破おろし」にかまけていた間、国民生活は完全に置き去りだ。物価高対策として「消費税減税」を訴える野党と「2万円給付」を公約に掲げた与党の溝は埋まらず、ガソリン税の暫定税率の廃止に向けた与野党協議はちっとも前に進まない。
それどころか、自民の混乱で公明との与党協議すら滞っている。反石破派が野党間、与党間を問わず政策協議を政権続投の既成事実化と見なして猛反発。具体的な進展が妨げられてきたからだ。国民生活を度外視して自民は長々と「コップの中の醜い争い」に明け暮れてきたのである。
しかも「石破おろし」を主導したのは、政治の信頼を失墜させた裏金事件の“震源地”である旧安倍派など非主流派だ。今月3日の麻生派の研修会で、派閥を率いる麻生最高顧問が「総裁選前倒し」を公然と要求。すると麻生派が主導権を握り、現職大臣の鈴木馨祐法相をはじめ、麻生派の政務三役が相次いで前倒し実施を求めた。彼らは職を辞す覚悟しか示さず、身を置きっぱなしの「けじめ」なき倒閣運動だった。
石破続投を支持する世論が急拡大したのは、無反省な「裏金議員」と旧態依然の「派閥の論理」がはびこる自民の内ゲバに対する嫌悪感の表れだった。高千穂大教授の五野井郁夫氏(国際政治学)はこう言った。
「石破首相と反石破派はそれぞれ、自民大敗の選挙結果と続投支持の世論を否定。2度までも民意に背いたのです。とりわけ続投支持は『政争にかまけている場合か』という強い意思を物語っていた。それに逆らった以上、自民党には総裁選を通じて参院選大敗の総括に掲げた『解党的出直し』に道筋をつけなければ国民は納得しません。具体的には裏金問題のウミを出し切り、温床となった派閥の解体を徹底すべきです。しかし石破おろしで、裏金議員が復権を目指し、ボスの号令一下で派閥単位で倒閣に動く姿を嫌というほど見せつけられただけに、期待するのはムダでしょう。この先、権力闘争に1カ月以上も空費するのは民意への単なる裏切り行為です」
参院選大敗の総括を無にする力学と作法
お祭り騒ぎの演出から1年足らず(C)日刊ゲンダイ
政治空白がズレ込む10月には、今年最大級の値上げラッシュが待ち受ける。帝国データバンクによると、10月に値上げされる飲食料品は半年ぶりに3000品目を超え、通年では2年ぶりに2万品目を超す見込みだ。
庶民を苦しめる物価高対策は待ったナシなのに、国民生活はカヤの外。自民は参院選の総括で〈敗因は一言で言えば「国民に寄り添い、暮らしの安心を確実に届けることができなかった」ことである〉と痛切に反省したばかりではなかったか。
そんな誓いなど「ポスト石破」の候補はどこ吹く風。庶民の暮らしに目もくれず、キングメーカーを気取る元首相3人の顔色ばかりうかがっている。
「石破首相退任の流れを決定づけたのが麻生元首相ならば、石破首相の解散構想に怒り、最後に続投断念を説いたのが菅元首相です。2人の暗躍が石破おろしの決定打となり、ますます影響力を強める結果となりました。解散後も旧派閥をまとめる岸田前首相を含め、総理経験者3人がキングメーカー然として振る舞い、ポスト石破候補が協力を得ようと馳せ参じる。今度の総裁選も、そんな構図となるのは間違いありません。表向きは派閥の大半が解消されても、自民党が権力の地位にある限り、最高権力者を選ぶ派閥の『力学と作法』は、残り続けるのです」(立正大名誉教授・金子勝氏=憲法)
そもそも、石破おろしに走った議員たちも相応の責任と覚悟が求められるのに、石破退陣後の展望はゼロに近い。国民生活の厳しい現実に寄り添う姿勢は、みじんも感じない。
麻生が総裁選前倒しの理由として「次の衆議院選挙で勝利できる体制を整えること」を真っ先に挙げたのが象徴的で、今の自民党議員は「次の選挙」で生き残ることしか考えていないのだ。上から下まで完全に腐りきっている。
「選挙の顔」が誰なら勝てるかが最優先
「小泉・高市両氏に党内の期待が集まるのも結局は票欲しさ。選挙目当てが透けて見えます」と前置きし、前出の五野井郁夫氏はこう続ける。
「高市氏なら、参院選で参政党などに流出した『保守票』を食い止められるという淡い期待があり、小泉氏は高い知名度と発信力への期待しかない。衆参両院で少数与党に転落。野党の協力を取りつける努力がよりいっそう求められるのに、日本維新の会の吉村代表と親密な小泉氏はともかく、高市氏は野党とのパイプが乏しい。つまり、今後の政権運営の中身以前に、とにかく『次の選挙の顔』が誰であれば自分たちの選挙に有利に働き、政権を維持できるかという発想が先に立つ。むろん、党再生の解党的出直しなど二の次です。今度の総裁選が旧派閥単位の票読み、次の選挙を意識した人気投票になるのは目に見えています」
麻生や菅、岸田の暗躍とそれを実況するだけの新聞報道。それが1カ月も続いた挙げ句、裏金問題や統一教会(現・世界平和統一家庭連合)との蜜月関係で猛批判を浴びた議員が、総裁選を機に復権するようなら、「自民離れ」は加速する。世論に愛想をつかされ、恐らく見向きもされなくなるだろう。
「だからこそ、自民はメディアを巻き込み、総裁選を『一大政治ショー』に仕立て上げようと躍起になるでしょう。しかし国民生活に目を配るようなポーズもその場限りで、誰が新しいリーダーになろうが、『派閥抗争』と『政治とカネ』がうずまく旧態依然とした党の本質は変わりません。有権者には『自民離れ』の上塗りを見抜く力が試されています」(金子勝氏=前出)
結党から70年。自民の耐用年数はとうに切れている。民意が解党を求める中、どんな展開になるか、けだし見ものだ。
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