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曲折あり、思いがけず高市氏が自民党総裁に選出された。
それもあり、先月末に書いたままUPしていなかった記事を下記投稿する。
(以下、9/28(日)記)
10/4(土)に投開票の自民党総裁選で、絶対的有利とも言われた小泉進次郎氏が所謂「ステマ問題」で失速し、高市早苗氏選出の目も出て来た。
高市氏は、次期首相候補の一人として常に名前が挙がって来た。故安倍首の強い国家像を打ち出し、安全保障や憲法改正を前面に掲げる姿勢は、一部保守層には「待望の女性宰相」として映る。
筆者も、公明党はじめ利権諸団体に影響される度合いが一番低いという意味で高市氏を支持する立場だが高市首相の目が出て来たため、あえて懸念点を述べてみたい。
◆冷戦頭のままの安全保障観◆
高市氏は繰り返し「自由主義陣営と専制主義陣営の対立」という構図を強調してきた。ウクライナ戦争等を引き合いに出し、ロシアを主敵に定めるべきと主張するようにも映る。しかしその語り口は、まるで1980年代の冷戦下から時が止まったかのようだ。
だが現実はもっと複雑である。トランプ大統領は、中国に対し孫子が謳う「戦わずして敵の兵を屈するは・・・」というスタンスで拡大中国包囲網を形成しようとするのがメイン・ストラテジーだ。
現在プーチンは、BRICS、グローバル・サウス側に舵を切っているが、これはかつて西側に裏切られたというレゼントメントが大きく、中国の経済的衰退とともにトランプとの蜜月関係は戻って来ると筆者は見ている。
実際、筆者の見立てのようになるかは分からないが、高市氏には国際情勢の潮流(見えざる裏の潮流)をも見据えた柔軟な対応を期待したい。
◆緊急事態条項という「統治の白紙委任」◆
もう一つの懸念は、憲法に緊急事態条項を加えようとする姿勢だ。高市氏は災害やパンデミックを口実に「迅速な意思決定が必要」と強調するが、その実態は内閣への権限集中であり、立法府の統制を迂回する仕組みである。
緊急事態条項は、権力が乱用される危険を孕む。ナチス・ドイツのワイマール憲法第48条はその典型であり、「一時的措置」が常態化し、独裁を招いた。日本国憲法はその反省に立ち、あえて緊急権を置かなかった。にもかかわらず、高市氏らは「国民を守るため」と美名を掲げ、再び危険な扉を開こうとしている。
現行制度下でも災害対策基本法や新型インフルエンザ特措法に基づき、政府は十分な対処権限を持つ。問題は制度の不備ではなく、政治の指導力や調整力にある。権限不足を口実に憲法を書き換える発想自体が、権力者本位の発想といわざるを得ない。
筆者は、高市氏の「スパイ防止法」推進の姿勢に賛成だ。その上で憲法への「緊急事態条項」挿入には反対する。
英米法では、憲法には「緊急事態条項」は無い。それは個別の一般法の中にこそ記述されている。この違いは何かと言えば、最後の砦として憲法があるという事である。たとえば。コロナの次にエボラ出血熱が日本で蔓延したとしよう。その場合にロックダウン等の発令も想定される。その際、憲法で緊急事態条項を定めていれば、政府の意向で市民生活は全面的に制約される可能性がある。しかし、憲法ではなく個別法に緊急事態の対処が定められていれば、仮に行き過ぎがあった場合に憲法(具体的には最高裁か)が牽制し得るという点で、憲法に書かれるのに比べ大きく異なる。
この論点は、緊急事態条項を強く推している国民民主党代表の玉木氏にも見解を伺いたい所だ。
高市氏は今回、終戦記念日の靖国参拝を明言しない等、前回の総裁選での主張に比べ良くも悪くも現実路線への柔軟路線を示している。(本来堂々参拝すべきと筆者は考えるが)
実際に、高市首相誕生となるかは、現時点で何とも言えない。だが仮にそうなった場合にも、懸念すべき点は続けて進言して行きたいと筆者は考える。
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