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※2025年10月30日 日刊ゲンダイ1面 紙面クリック拡大

※紙面抜粋

※2025年10月30日 日刊ゲンダイ2面
テレビが囃す危うい熱狂…日米「新黄金時代」の代償は国民生活に
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/379619
2025/10/30 日刊ゲンダイ ※後段文字お越し

従属関係の象徴(代表撮影)
 警戒から一転、猫なで声ですり寄り、「パーフェクト」と舞い上がる危うさ。それを礼賛の大メディア。天皇まで利用され、この調子だと、何から何までトランプペースでむしりとられていくのだろう。防衛装備品移転の規制を外し、軍拡と米軍との一体化。新時代とは完全隷属に他ならない。
  ◇  ◇  ◇
 高市首相の正体があらわになった3日間だった。アジア歴訪中の米国のトランプ大統領が2泊3日のスケジュールで日本へ立ち寄り。29日、APEC(アジア太平洋経済協力会議)首脳会議が開かれる韓国南東部の慶州へと飛び立ったが、テレビはその一挙一動を生中継。29日の新聞も関連報道で埋め尽くされた。各紙の朝刊1面トップは、こんな感じでジャックされた。
〈首相「日米 新黄金時代を」 首脳会談 防衛費や経済安保協議〉(朝日新聞)
〈日米 抑止力強化確認 首相、防衛費増を伝達〉(毎日新聞)
〈日米同盟「黄金時代を」 首相、防衛費増を伝達〉(読売新聞)
〈日米同盟強化一致 首相「新たな黄金時代を」〉(産経新聞)
 この国の外交・安全保障の基軸とされる日米安保をトランプに気持ち良く是とさせるため、高市は初の首脳会談で防衛費のさらなる増額を自己申告したのである。これに先立ち、防衛費を2027年度にGDP比2%に引き上げる目標を今年度中に前倒し、安保関連3文書の改定も前倒しする方針を表明していた。トランプ政権が水面下でNATO(北大西洋条約機構)の加盟国と同様に防衛費をGDP比3.5%に増額するよう要求していたことから、それに沿った内容を示したとみられている。「日米同盟の新たな黄金時代を共につくり上げていきたい」とほほ笑みかける高市に対し、トランプは「日本の新たな(防衛)装備品の注文に感謝したい。われわれはこれまで以上に巨額の貿易を行うだろう」とご機嫌だった。「黄金時代」はトランプが2期目の大統領就任演説で語った「米国の黄金時代がいま始まる」のパクリだ。
頭の片隅にもない9条
 経済安全保障をめぐっては、米中対立の要因のひとつとなっているレアアース(希土類)などの重要鉱物の供給確保のための枠組みづくりや、トランプ関税15%と引き換えに5500億ドル(約80兆円)の対米投資で妥結した関税合意の着実な履行に向けた2つの共同文書に署名した。あわせて、約4000億ドル(約60兆円)の「日米間の投資に関する共同ファクトシート」も発表した。官民を挙げてのトランプ大歓待だった。
 スッタモンダで憲政史上初の女性首相となった高市は外交手腕が疑問視された上、日米首脳会談に向けた準備期間が極端に短かった。強きを助け弱きをくじくトランプは、何をねじ込んでくるか分かったものではない。それで、とことん歓心を買う策に打って出たというわけだ。
 政治の師と仰ぐ安倍元首相の「レガシー」も最大限活用。会談冒頭で「安倍氏からはよく大統領のダイナミックな外交について話を聞いていた」とトランプを持ち上げ、「これは安倍昭恵夫人から」と言って安倍愛用のゴルフクラブを贈呈。トランプが17年に来日した際に一緒にラウンドした男子ゴルフの松山英樹選手が使用したキャリーバッグ、金沢産金箔を施したトランプの名前入りゴルフボールのセットもプレゼントした。
 立正大名誉教授の金子勝氏(憲法)はこう言う。
「現下の日米関係を象徴したのが、米軍横須賀基地の訪問でした。高市氏は大統領専用ヘリ『マリーンワン』に相乗りし、米空母にも乗り込んで有頂天になったのか、トランプ氏から米兵に〈この女性は勝者だ〉と紹介されると、〈イェーイ!〉と右手を突き上げ、ぴょんぴょん跳びはねた。媚を売る高市氏を小娘扱いするトランプ氏という構図で、従属的な関係が際立った。高市氏には一国のリーダーとしてのプライドはみじんも感じられませんでした。高市氏の頭の中に憲法は入っていないこともありありと分かった。9条の平和主義が片隅にでもあれば、かようにためらいもなく軍拡路線を突き進むことはできない。自民党内での基盤の弱さから、トランプ氏と良好な関係を構築し政治的推進力にしたいのでしょうが、最低限の威厳は保つべきでした」 
財源の裏付けなく赤字国債で手当て

天皇陛下まで政治利用(C)ロイター=共同
 高市周辺はそんな首相外交を「関係構築できたという点で100点満点だ」と絶賛し、自民党総裁選で争った小林政調会長も「パーフェクトに近い会談だ」と評価したというから永田町の感覚は末恐ろしい。猫なで声ですり寄り、文字通り舞い上がる危うさを目の当たりにしながら、一部の大手メディアもそれを礼賛している。高市の自己評価は当然のごとく高く、一連の日程終了後、報道陣に「幅広い分野での率直な議論を通じ、大きな成果をあげることができた」と誇っていたが、トランプと会見する労をとった天皇は「グレートマン」と指さされていた。この調子だと、何から何までトランプペースでむしりとられていくのだろう。
 高市がトランプに誓った「黄金時代」の代償は、間違いなく国民生活につけまわされる。そもそも、22年末に岸田政権が安保3文書の改定で決めた防衛費のGDP比2%への引き上げだって、財源の裏付けはない。国有財産の売却益など一時的な収入や税収上振れの決算剰余金を財源に充て、不足分を法人税、たばこ税、所得税の増税でまかなう計画を立てたものの、世論の反発を懸念して所得増税の開始時期は結論が先送りされている。高市が論功行賞で入閣させた片山さつき財務相は26日のNHK番組で、「必要であればきっちり手当てするのが当然だ。国家の存立そのものが防衛だ」とし、赤字国債発行による手当てを否定しなかった。国債は言うまでもなく借金で、それを背負わされるのは将来世代だ。
要注目の日中首脳会談
 政治ジャーナリストの角谷浩一氏はこう言う。
「高市氏はモノをハッキリ言う姿勢を売りにしていますが、対米外交を見る限り、肝心なことは言えていない。トランプ氏から突っ込まれないようにメニューをそろえ、先手を打ってしのいだだけ。『世界の真ん中で咲き誇る日本外交』は安倍氏の二番煎じですし、『安倍晋三』の名刺がなければ、にっちもさっちもいかない。にもかかわらず、公明党が連立政権から離脱したことでタガが外れ、就任から10日足らずで軍拡に邁進している。日本維新の会と連立を組んだからといって、少数与党の立場は変わらないのに、国会を乗り切れるのか。野党の追及に対応できるのか」
 高市は防衛装備移転3原則の骨抜きにも前のめりだ。維新と交わした連立合意文書で装備品移転の5類型を撤廃すると明記。「救難、輸送、警戒、監視、掃海」の5類型に限って輸出が認められている現在の運用を改めよとしている。紛争当事国に売却や提供が可能になれば、米軍との一体化は加速する。
 高市が幕を開けようとする新時代は、米国への完全隷属に他ならない。「51番目の州」が近づいていく。
 APECに出席するため、30日訪韓する高市は31日、中国の習近平国家主席と会談予定。どんなノリで臨むのか。台湾海峡の平和と安定が必要だと訴え、沖縄県・尖閣諸島周辺を含む東シナ海での中国の活動活発化やレアアースに関する輸出管理に懸念を伝える構えだという。岩盤保守層の期待は高まるが、どうなるか。 
 
 
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