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※2025年11月17日 日刊ゲンダイ1面 紙面クリック拡大

※紙面抜粋

※2025年11月17日 日刊ゲンダイ2面
「厳しい安全保障環境」の真贋 軍事国家へ“マッチポンプ”の恐ろしさ
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/380392
2025/11/17 日刊ゲンダイ ※後段文字お越し

発言撤回せず(C)日刊ゲンダイ
高市国会答弁に中国が猛反発しているが、これは向こうの外交戦術として、わざわざ刺激し、その一方で軍拡邁進という手法の方が問題だ。
戦争補正、武器輸出、非核三原則の見直し、日本版CIAなど「戦争できる国」にしゃかりきの首相は危うい日中関係を利用するのか。
◇ ◇ ◇
高まる緊張の先には何があるのか。
高市首相が7日の衆院予算委員会で、台湾有事が集団的自衛権を行使できる「存立危機事態」になり得ると答弁したことに対し、中国側が猛反発している。
中国の薛剣・駐大阪総領事が8日、X(旧ツイッター)に「汚い首は斬ってやる」などと過激な発言を投稿(現在は削除済み)。その後も13日に中国の外務次官が日本の駐中国大使を呼び出して発言の撤回を求め、応じなければ報復する可能性を示唆すると、翌日には日本の外務次官が中国の駐日大使を呼び出し、抗議する応酬が続いた。
さらに、中国外務省は日本への渡航を当面の間、自粛するよう中国国民に注意喚起。16日は中国教育省も日本への留学は慎重に検討するよう呼びかけた。「日本に滞在する中国人のリスクが高まっている」というのだ。中国国際航空などは日本発着便のキャンセルに無料で対応するという。
駐大阪総領事の投稿はいただけないし、高市が発言を撤回しなければ、中国側は対抗措置をさらにエスカレートさせる可能性もある。それは中国の外交戦術として、問題はわざわざ中国を刺激して、その一方で軍拡に邁進する手法の方だ。
日本政府はこれまで、台湾有事への軍事的対応については決して具体的に明言しない「あいまい戦略」を取ってきた。米国でさえそうだ。
総理が国の危機を招いてどうする
「存立危機事態」をめぐる閣僚の答弁にしても、「個別具体的な状況に即し情報を総合して判断する」というお決まりのフレーズを引き出すことで、過去の政権と同じ認識を踏襲していることを確認する儀式のようなものだったのに、軽々と踏み越えた高市の答弁には、質問した立憲民主党の岡田克也元外相の方が驚いた顔をしていたものだ。岡田だって、こんな基本中の基本の質問で失言を引き出すつもりはなかっただろう。
いったい、何のための午前3時の勉強会だったのか。それとも、高市はあえて中国を挑発するような発言をしてみせたのか。
立憲民主党の小沢一郎衆院議員が15日に事務所の公式Xにこう投稿していた。
<トップの相手国への攻撃的な一言で批判の応酬となり、国民感情も悪化、輸出入も減少、渡航自粛勧告から大使館撤退、最終的に紛争に至り、国民に多大なる犠牲が出る、そういうことは十分あり得る>
<高市総理にはそうした認識・覚悟があってのことだろうか。総理自身が国の危機を招いてどうするのか>
元外務省国際情報局長の孫崎享氏が言う。
「中国にとって、台湾問題は絶対に譲れない核心です。2005年の全国人民代表大会で『反国家分裂法』も議決している。田中角栄の時代から、台湾問題は中国の一部だというスタンスで日本政府も対応してきたのに、そこをやすやすと踏み越えて、自衛隊を派遣することを示唆した高市首相の発言に過敏に反応するのは当然でしょう。中国を最大の敵対国とみなしている米国は、日本や台湾、フィリピンなど近隣国との紛争を起こしてそれを長期化し、米国本土は無傷なままで敵対国の国力を弱体化させたいと考えている。それが戦後米国の基本路線です。その思惑に乗っかって威勢のいいことを言うのは、タカ派の首相とその支持者にとっては気持ちがいいかもしれませんが、台湾問題で深入りすれば、火遊びで済まなくなる。中国の脅威を煽って軍事国家路線を進める“マッチポンプ”は非常に危険です」
勇ましいことを言えば支持層に受けるという浅薄な考え

火遊びでは済まない(C)ロイター
高市は防衛費増額を今年度中に前倒しで実現すると言っている。殺傷能力のある武器の輸出の拡大にも前のめりだ。
国家安全保障戦略など安保関連3文書の改定に伴って、非核三原則の見直しも検討しているという。核兵器を「持ち込ませず」の概念が、米国の核抑止力の実効性を低下させかねないとの理由からだという。実現すれば、戦後の安保政策の一大転換だ。
「10月31日に初めて中国の習主席と首脳会談を行った高市首相は、台湾問題について中国の意向を尊重することに同意していたはずです。それなのに、翌日に台湾代表と会談し、国会答弁で『中国が台湾を侵攻すれば自衛隊を派遣する』と示唆した。まったく外交を分かっていないとしか思えません。だからこそ、あの安倍元首相も、高市氏を外相や防衛相には就けなかったのでしょう。殺傷兵器の輸出解禁を目指し、スパイを養成する日本版CIAの設立にも意欲的な高市首相は、タカ派を売りにしていた安倍元首相以上に危うい。安倍氏でさえ、台湾問題への言及は抑制的だったのに、高市氏はデッドラインを分かっていないから恐ろしい。勇ましいことを言えば自民党支持層に受けると思っているフシがあることがたいへん危険です」(政治評論家・本澤二郎氏)
共同通信社が15、16日に行った全国電話世論調査によると、高市内閣の支持率は69.9%で、前回10月調査から5.5ポイント上昇。不支持率は16.5%だった。
防衛力強化に向けた防衛費の増額方針には「賛成」が60.4%で、「反対」は34.7%だった。「台湾有事」で集団的自衛権を行使するとの考えについても、「どちらかといえば」を合わせると「賛成」が44.8%で、「反対」の44.2%を上回った。
自民党支持層というのか、外国人排斥層に高市発言が受けていることは否定はできないのかもしれない。
国民は本気で戦争をする気があるのか
「高市首相のタカ派路線に賛同する人が増えている印象ですが、集団的自衛権の行使が他国と戦争をすることだと本当に分かって支持しているのでしょうか。高市氏は防衛費増額を前倒しする戦争予算を組もうとしている。彼女が言う積極財政とは、血税を武器弾薬につぎ込むということですよ。借金だらけの国家財政で歯止めをなくしたら、いずれは増税という形で国民にツケが回される。それでも中国とやり合うことを支持する人が増えているのは危険な兆候です。安保3文書の改定など一連の軍拡路線は、中国への憎悪を煽ることを車輪にして進められていく懸念があります」(本澤二郎氏=前出)
台湾が親日的だからといって、有事に日本が参戦する理由になるだろうか。
政権が中国への憎悪を煽ることは、国民をミスリードしかねない。望まない戦争に巻き込まれても、兵力やカネを供出するのは国民なのである。台湾防衛のために、日本の国土や国民が犠牲になってもいいのか。われわれは真剣に考える必要がある。
高市は「日本を取り巻く安全保障環境は近年になく厳しくなっている」と言うが、厳しい環境をつくり出しているのは高市自身なのだ。
「日本と中国の軍事力を比較したら、高市首相がやっていることは、素手の中学生が武装した暴力団を相手に威嚇しているようなものです。カタギには手を出さないと甘く考えているのかもしれませんが、あまりにやり過ぎればガツンとやられますよ。メンツを大事にする中国をなめてはいけない。現実を受け入れて、戦争を招き入れないように国民を守るのが政権の役目です」(孫崎享氏=前出)
本気で中国と戦争をする覚悟があるのか? 高市の軍拡路線を支持する国民の覚悟も問われる局面だ。
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