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高市愚策「おこめ券」配布で米価が下がるわけがない 金子勝の「天下の逆襲」
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/380459
2025/11/18 日刊ゲンダイ ※後段文字お越し

防衛費はうなぎのぼりに上昇続け、かたや物価対策は、なんと「おこめ券」である(C)共同通信社
高市政権が防衛費の増加に前のめりだ。2022年に5.4兆円だった防衛費は25年には8.7兆円まで増えたが、2年前倒しして11兆円まで上げようとしている。さらに安保3文書改定で防衛費を増やすが、トランプの要求どおり対GDP比3.5%まで引き上げれば21.3兆円に達する。防衛費は歯止めを失っている。
一方で、肝心の物価対策はどうしたのかと思えば、なんと「おこめ券」である。まるで戦時中の配給のようだ。
9月の消費者物価指数は2.9%の上昇で、8月も3.1%だった。特にひどいのは食料品の値上がりで、8%前後という高水準で推移する。積極財政で円安インフレが進むばかり。
こうした事態に高市政権が打ち出す「物価対策」も赤字国債依存だ。ガソリン税の減税も、財源は明らかではない。食料品の消費税ゼロもない。そんな中、物価高対策として出してきたのが「重点支援地方交付金」の拡充による食料品のクーポンやおこめ券を自治体に配らせる政策である。
しかし、ちょっと待て。おこめ券で米価が下がるのか。逆だろう。鈴木農相は、過去に間違いを犯し続けてきた農水官僚の考えをそのまま引き継いでいる。石破前首相が米価を下げるためにコメ増産の方針を打ち出したのに、また減反に戻すわけだ。目先で米価を上げて自民支持層のコメ農家を喜ばせる政策だ。
既に米価は4300円超で高止まりし、卸業者からは「このままだとコメが売れなくなるのではないか」との懸念が噴出している。その証拠に、安価な米国産カルローズ米の輸入が前年の159倍にまで急増。下手すれば値崩れの恐れもある。おこめ券配布は暴落を防ぐために税金で米を買い支えるためのものだ。つまり米価を「下げない」政策なのだ。
しかし、政府がお米を大量に買い上げられず、こんな人為的な価格維持は破綻が必至。米価が暴落すれば、今度は逆に農家がコメを作れなくなり、生産の安定性が失われる。農家の減少、農村の崩壊に拍車がかかる。過去の失敗の繰り返しだ。
問題の解決策は単純だ。増産を行い、米価を3000円台まで安定的に下げていく。それだけでは農家の経営見通しは立たない。そこで、米価の上下で経営が揺らがないように「直接支払い制度」を導入する。実現には1兆円程度の予算が必要になるが、バカげた国土強靱化計画や農業土木のような予算を削れば、十分に捻出可能である。必要なのは責任ある物価対策なのだ。
加えて、農水省はコメ市場の実態を把握し、それに基づいて備蓄米や輸出米をコントロール。米価の安定を図るべきだ。防衛費増よりも、まともな物価対策が実行されなければ国民生活は苦しくなるばかりである。

金子勝 慶大名誉教授
1952年6月、東京都生まれ。東京大学経済学部卒業、東京大学大学院経済学研究科博士課程修了。法政大学経済学部教授、慶應義塾大学経済学部教授などを経て現職。慶応義塾大学名誉教授。文化放送「大竹まことゴールデンラジオ」などにレギュラー出演中。近著「平成経済 衰退の本質」など著書多数。新聞、雑誌、ネットメディアにも多数寄稿している。
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