http://www.asyura2.com/25/senkyo298/msg/498.html
| Tweet |

台湾問題を巡る戦後史と厳しい現実 日本外交と政治の正体
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/380567
2025/11/20 日刊ゲンダイ ※後段文字お越し

「日本国政府は、この中華人民共和国政府の立場を十分理解し、尊重する」 毛沢東・中国主席〈左〉と握手する田中角栄首相=1972年9月28日(C)UPI=共同
高市首相の台湾有事を巡る発言に対して中国政府が批判の声を強める今、戦後史を振り返りたい。
1945年11月、第2次大戦後の日本が負うべき賠償の調査について、ポーレー氏を委員長とする賠償委員会が来日。その後、次の声明を公表した(ポーレー報告)。
「賠償のため、最低限の経済を維持するために必要でないものの全てを日本は賠償する」(※最低限とは日本が侵略した国々よりも高くない水準を意味する)
さらに51年のサンフランシスコ平和条約では、「日本国は、戦争中に生じさせた損害および苦痛に対して、連合国に賠償を支払うべきことが承認される」とも規定された。
つまり、日本は戦後賠償を支払うのが当然で、そのためには日本の経済はぎりぎりの水準でやむを得ない、というのが当時の国際感覚だったのである。そして、その日本が最大の被害を与えたのは中国。仮に正当な損害賠償を支払うとなれば、その額は天文学的な数字だったに違いない。
72年9月。当時の田中角栄首相は日中国交回復のために訪中した。田中首相は死すら覚悟していたのかもしれない。通常、こうした訪問の際は成功を期して前夜に夕食会が開かれるが、成功の見込みも乏しく、お通夜のように暗い雰囲気だったという。
予想通り、会談は難航したものの、最終的に日中共同声明の発出にこぎつけた。そして「中華人民共和国政府は、中日両国国民の友好のために、日本国に対する戦争賠償の請求を放棄することを宣言する」とされた。中国は「友好のため」に賠償を放棄したのである。
中国が唯一、望んだのは台湾問題だった。台湾に関しては「中華人民共和国政府は、台湾が中華人民共和国の領土の不可分の一部であることを重ねて表明する。日本国政府は、この中華人民共和国政府の立場を十分理解し、尊重する」とされた。
これを受け、日本はそれまで存続していた日華条約を直ちに破棄した。
それから時代は変わり、米国、日本に台湾の独立を支援する動きが出た。
2005年、全国人民代表大会は反国家分裂法を採択。「台湾独立を企てる分裂勢力が台湾を中国から分裂させるという事実を引き起こした場合、国は非平和的手段やその他の必要な措置をとる」となった。
24年5月、呉駐日中国大使は「日本が中国分裂を企てる戦車に縛られてしまえば、日本の民衆が火の中に連れ込まれることになる」と発言したが、それは単なる脅しではない。日本の政治家はこうした歴史的な経緯や厳しい現実を一体どこまで認識しているのだろうか。

孫崎享 外交評論家
1943年、旧満州生まれ。東大法学部在学中に外務公務員上級職甲種試験(外交官採用試験)に合格。66年外務省入省。英国や米国、ソ連、イラク勤務などを経て、国際情報局長、駐イラン大使、防衛大教授を歴任。93年、「日本外交 現場からの証言――握手と微笑とイエスでいいか」で山本七平賞を受賞。「日米同盟の正体」「戦後史の正体」「小説外務省―尖閣問題の正体」など著書多数。
|
|
▲上へ ★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK298掲示板 次へ 前へ
|
|
最新投稿・コメント全文リスト コメント投稿はメルマガで即時配信 スレ建て依頼スレ
▲上へ ★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK298掲示板 次へ 前へ
|
|
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。