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改憲で「緊急事態条項」の新設は無理だ 全く必要がないものだから ここがおかしい 小林節が斬る!
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/381422
2025/12/10 日刊ゲンダイ ※後段文字お越し

小林節慶応大名誉教授(C)日刊ゲンダイ
2011年3月11日に東日本大震災が発生した直後に、当時の自民党の改憲問題の責任者であった中山太郎代議士から私に電話があった。いわく、「『お試し改憲』の良い案が見つかりました。『緊急事態条項』です」。
それは、未曽有の大震災を体験した日本国民にとって、非常時に、国家の全権力を首相に集中して、「迅速に」国家の存続を守る……という仕組みを構築する案なら有権者を説得できる、という主張である。
「お試し改憲」とは、自民党の結党以来の改憲論の「本丸」は9条で、「国防軍」と「交戦権」を明記することであるが、現実に9条改憲には国民の抵抗感が大きいので、まず、「新しい人権」(環境権等)などの加憲により国民の「改憲アレルギー」を除去した上で9条を改正しようとする考えである。
その後、曲折はあったが、現在では国会における改憲論議は緊急事態条項の新設を中心に進行している。それでも、今月4日に衆院の憲法審査会で起草委員会の設置が議論されたが、結局、まとまらなかった。
しかし、私は、緊急事態条項を新設するという改憲案は実現しようがないと思う。理由は明快で、要するに「必要がない」からである。
もしも、これ以上具体的に議論が進んだ場合に、そんな無駄なことをするために800億円以上もの公費を浪費して、2〜6カ月の政治的空白を生むことの愚かしさが明らかになり、その結果として国民投票で否決されることが避けがたいので、この提案は撤回されざるを得ないからである。
つまり、戦争、大災害、パンデミック(感染症の蔓延)に対しては、既に現行憲法の下で、国民保護法、災害対策基本法、感染症対策基本法等の法令が整備されており、それが正しく執行されれば対策として十分だからである。問題があるとすれば、経験が少ないために、政治と行政がその運用に習熟していないことだけである。
だから、必要のない憲法条文を新設するために国費を浪費して政治の空白をつくる愚かしさを主権者国民が許すはずがない。
いわゆる「失われた30年」を無為に過ごした「役立たず」の政治には、国民を貧困から救済するために、今、すべきことがあるはずだ。
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小林節 慶応大名誉教授
1949年生まれ。都立新宿高を経て慶大法学部卒。法学博士、弁護士。米ハーバード大法科大学院の客員研究員などを経て慶大教授。現在は名誉教授。「朝まで生テレビ!」などに出演。憲法、英米法の論客として知られる。14年の安保関連法制の国会審議の際、衆院憲法調査査会で「集団的自衛権の行使は違憲」と発言し、その後の国民的な反対運動の象徴的存在となる。「白熱講義! 日本国憲法改正」など著書多数。新著は竹田恒泰氏との共著「憲法の真髄」(ベスト新著) 5月27日新刊発売「『人権』がわからない政治家たち」(日刊現代・講談社 1430円)
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