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田中宇の国際ニュース解説 無料版 2025年9月11日 https://tanakanews.com/
■要約
イスラエルが国際社会を意図的に敵に回す戦略を進めている。
9月9日、イスラエルはカタールのハマス代表部を精密誘導ミサイルで攻撃した。しかし、トルコの情報提供により幹部たちは攻撃を免れた。
米国はカタールでのハマス幹部攻撃を行わないと約束していたにもかかわらず、攻撃直前には米軍のパトリオットシステムが停止されていた。この事実は、2025年9月11日付の記事「世界を敵に回すイスラエルの策」は、イスラエルが国際社会を意図的に敵に回す戦略を進めていると指摘する。9月9日、イスラエルはカタールのハマス代表部を精密誘導ミサイルで攻撃した。しかし、トルコの情報提供により幹部たちは攻撃を免れた。
米国はカタールでのハマス幹部攻撃を行わないと約束していたにもかかわらず、攻撃直前には米軍のパトリオットシステムが停止されていた。この事実は、米軍やトランプ政権上層部にイスラエル要員が深く関与し、トランプ自身がイスラエルの傀儡であることを示唆する。
イスラエルの主要目標は、ガザの徹底破壊と民族浄化、およびヨルダン川西岸併合によるパレスチナの抹消である。イスラエルは意図的に残虐な行為を続け、リベラル諸国の反イスラエル感情を煽り、これらを潰すことを狙う。
イスラエルはトランプの復帰以来、米国の諜報界を支配し、その力で敵を攻撃、米国の軍事費増大を推進している。ドーハ空爆は、国連総会でのイスラエル非難決議を誘発し、国際社会との対立を深めることでイスラエルの強さを誇示する戦略の一環だ。この攻撃により、停戦交渉の可能性は大幅に低下し、米国は愚弄され、カタールやサウジアラビアなどのアラブ諸国はイスラエルに反撃できない状況にある。
■本文
9月9日、パレスチナのハマスの在外代表部があるカタールの首都ドーハで、会議中のハマス幹部たちを狙って、イスラエルが10発の精密誘導ミサイルを撃ち込んだ。
近隣のトルコ(与党が事実上のムスリム同胞団で、同じ同胞団のハマスと親しい)の軍部はイスラエルの動きを監視しており、攻撃開始を察知してカタールのハマスに伝えた。ハマスの幹部たちは着弾の直前、標的にされたビルから逃げ、多くが無事だった。
https://multipolarra.com/hamas-doha-renseignements-turcs/
Hamas leaders survived the attack in Doha thanks to Turkish intelligence
パレスチナの統治者は2008年の選挙(ハマスが勝ったが米国が結果を認めなかった)以来、ガザはイスラム主義のハマス、西岸は元左翼のファタハで分裂統治になっている。米国はハマスと交渉する必要に迫られ、米国の要請で2012年からカタールにハマスの在外代表部が置かれている(カタールはムスリム同胞団と親しかった)。
米国とイスラエルはトランプ当選後の昨秋から、カタールにいるハマス幹部を攻撃しないとカタール政府に何度も約束していた。
https://responsiblestatecraft.org/israel-bomb-qatar/
Israel brazenly bombs Qatar, U.S. 'partner' and host of 10000 American troops
https://multipolarra.com/doha-trahison-americaine/
Doha shocked by American betrayal
イスラエル(リクード系)はトランプの返り咲き以来、米国の軍部を含む諜報界を牛耳っている。かつて諜報界を支配していたライバルの英国系(民主党など)は、911以来の25年間の暗闘を経て、今や諜報界から追い出された。
トランプが返り咲く過程で、イスラエルは米軍など諜報界の世界最高の探査力を乗っ取って活用し、世界中の敵性勢力の居場所を把握し、次々と攻撃してきた。イスラエルは、ヒズボラを潰してレバノンを傀儡化(イスラエルの傀儡である米国の傀儡)し、アサドを追い出してシリアを傀儡化した。
https://tanakanews.com/250715israel.htm
イスラエル中東覇権の隠然性
イスラエルは、ガザのハマスの居場所も知っているだろうが、戦争の目的がガザ抹消(民族浄化と市街の徹底破壊)なので、ハマスを放置してガザ戦争を続けている。
イスラエルは、意図的に残虐な人道犯罪をこれ見よがしに続けている。リベラル派や左翼を中心とした世界の人々を怒らせ、リベラル諸国が国民の怒りに流されて反イスラエルになって制裁し始めると、それへの反撃として、米イスラエルが諜報力や政治力を使ってリベラル諸国を潰しにかかる。
イスラエルの最大の目標はパレスチナ抹消(ユダヤの単独台頭を懸念した英国系がイスラエルに課した国土分割の策略であるパレスチナ建国を潰す策)であり、その副産物として、意図的に残虐にやることで敵対構造を醸成し、台頭するイスラエル(ユダヤ人業界)に英国系がすり寄って入り込んでくることを防ぎ、英国系を潰そうとしている。
https://www.ynetnews.com/article/r1ocg4jjge
Canada 'evaluating' ties with Israel after Qatar strike
これらの流れの一環として、イスラエルの今回のカタール空爆がある。イスラエルは空爆の準備を勝手に進め、トランプに伝えたのは攻撃の直前だった。イスラエルが米諜報界を支配し、その傘下にトランプがいることが見て取れる。トランプは、イスラエルの傀儡だ。
カタールには中東最大の米空軍基地があり、パトリオット迎撃ミサイルも配備されている。だがこの日、イスラエルによる攻撃の直前に、パトリオットのシステムは停止されていた。米軍やトランプ政権の上層部に、多くのイスラエル要員が入り込んでいることがわかる(911事件も同様の構図で起こされた)。
いざという時に同盟諸国が買ったパトリオットのスイッチが切られる懸念は前からあった。トルコは5年ほど前から、パトリオットでなく、ロシアのS400を買っている。
https://sputnikglobe.com/20250910/why-did-qatars-air-defenses-fail-during-israels-attack-1122767301.html
Why Did Qatar's Air Defenses Fail During Israel's Attack?
カタール政府は、攻撃されたことを怒り、イスラエルへの報復を検討していると言っている。しかし、カタールは軍事や安保を完全に米国に依存している。その米国が、今やイスラエルのおちゃらけた傀儡であり、米国の親分であるイスラエルがカタールを攻撃した。カタールが反撃や報復としてやれることは、何もない。口頭で怒ってみせる演技だけだ。
https://www.zerohedge.com/geopolitical/qatar-says-it-reserves-right-retaliate-against-barbaric-netanyahu
Qatar Says It Reserves Right To Retaliate Against 'Barbaric' Netanyahu
イスラエルのミサイルは、サウジアラビアの上空を通過してカタールを攻撃した。サウジアラビアが盟主をつとめ、カタールも加盟するGCC(ペルシャ湾岸アラブ協力会議)は、イスラエルを非難し、カタールの報復行動に賛同した。
しかしサウジ自身、軍事や安保せ全面的に米国に依存している。イスラエルは今回の攻撃直前、米国に攻撃を伝え、米国がカタールとサウジに伝えた。米国もカタールもサウジも、イスラエルに対して何もできない。
https://theuglytruth.xyz/in-striking-qatar-without-us-approval-netanyahu-has-once-again-blown-up-potus-djts-plans-for-negotiating-an-end-to-the-jenocide-in-gaza/
In striking Qatar without US approval, Netanyahu has once again blown up POTUS DJT's plans for negotiating an end to the Jenocide in Gaza
今回の攻撃後、トランプはカタールに対し、このような攻撃はもうないと約束した。しかし、その前後にイスラエルのネタニヤフは「今回ハマスの幹部を殺せなかったのだから、いずれまたカタールを攻撃し、次は幹部全員を殺す」という趣旨を発言している。トランプは道化師にされている。
https://thecradle.co/articles-id/33066
'We'll get them next time': Israel hints at more attacks on Hamas leaders in Qatar
今回の空爆で、イスラエルとハマスが交渉して停戦する可能性は大幅に低下した。空爆される直前まで、ドーハのハマス幹部たちは、最近トランプが提案してきた停戦案について検討する会議をしていた。
トランプがハマスに和平を提案し、ハマスがそれを検討していたら、そこにイスラエルがミサイルを撃ち込んで殺そうとした。イスラエルは交渉する気がない。米国は馬鹿にされている。
今後再び和平案が出てきても、それは演技だけだ。ガザを抹消するまで、殺戮と破壊を続ける。カタールがハマスを駐在させて仲裁役をしてきた構図も、これで多分終わる。
https://www.jpost.com/israel-news/politics-and-diplomacy/article-867047
Netanyahu to Qatar, other nations: Expel Hamas leaders, or Israel will act again
ガザ抹消が一段落しつつあるので、イスラエルは次の段階として、パレスチナのもう一つの地域であるヨルダン川西岸の80%をイスラエルに併合する策を進めようとしている。併合された土地に住むパレスチナは、ヨルダンへの移住を余儀なくされる。ヨルダンは以前から米イスラエルの傀儡だ。
トランプ政権は、西岸併合に反対しない姿勢を表明している。イスラエルはやりたい放題になっている。
https://news.antiwar.com/2025/09/09/huckabee-says-the-us-wont-tell-israel-not-to-annex-the-occupied-west-bank/
Huckabee Says the US Won't Tell Israel Not To Annex the Occupied West Bank
トランプは1期目から、イスラエルが西岸とガザでパレスチナ国家せ正常に機能させたら、サウジなどアラブ諸国がイスラエルと正式に国交正常化するという「アブラハム合意」を提案して仲裁してきた。
しかし今、イスラエルはガザを抹消し、次は西岸を併合してパレスチナ抹消を完遂しようとしている。イスラエルは同時にトランプの米国を牛耳り、米国の傀儡色が強いアラブ諸国はイスラエルに楯突けなくなっている。
アブラハム合意は、イスラエルとアラブが対等さが前提だ。今のようにイスラエルが米国より強くなると、イスラエルは米国さえ牛耳っておけばアラブ諸国を服従させられるので、アブラハム合意が必要なくなる。
米国は、債券金融システムの巨大なバブルが崩壊すると国際的な政治力や軍事力も失われる。戦争省の巨額の予算も、米金融がバブル崩壊すると維持できなくなる。
トランプは以前、世界に対する米国の軍事支配を減らし、米政府の軍事費を削減すると言っていた。だが、実際に大統領に返り咲いたら全く逆で、前政権から受け継いだ軍事費の急増傾向をそのまま続けている。なぜ翻身したのか。
これも、トランプを擁立したイスラエルが米諜報界を牛耳って強くなったことと関連している。米国の軍事費の多くは、兵器開発のふりをした諜報費用として使われている。カネをかけるほど良い諜報がとれる。
イスラエルは、トランプに軍事費増加の傾向を続けさせ、イスラエルにとって役に立つ諜報をどんどん集め、敵性諸国を軍事的あるいは指導者のスキャンダル掘り起こしなど政治的なやり方で無力化していく。
米国の金融バブルが崩壊して米国債の利回りが上昇し、米政府が財政赤字を増やせなくなって軍事費が減ると、良い諜報がとれなくなってイスラエルの強さも急減する。
だからイスラエルは、手段を選ばず、米国の金融バブルを維持し、トランプやその後の政権に軍事費増加を維持させる。
以前は、世界の覇権多極化が進むほど米金融やドルがバブル崩壊すると予測されたが、イスラエルの横入りによってシナリオが書き換えられている観がある。
https://news.antiwar.com/2025/09/09/israeli-military-orders-full-evacuation-of-gaza-city/
Israeli Military Orders Full Evacuation of Gaza City
イスラエルは最近、今回のドーハ空爆の他に、ガザ市街のビル群の破壊とか、ディモナの核施設で追加の核弾頭をどんどん作っていることが衛星写真でわかるようにするなど、世界から嫌われることを意図的に複数の方面で拡大している。
イスラエルは、すでに述べたようなリベラル諸国(英国系)との敵対を誘発して潰す策を加速している。
https://news.antiwar.com/2025/09/03/satellite-photos-show-major-construction-at-site-tied-to-israels-secret-nuclear-weapons-program/
Satellite Images Show Major Construction At Israel's Nuclear Site
これは、9月下旬の国連総会でイスラエル非難決議を出させ、国連対イスラエルの世界対立を作ろうとしている策にも見える。
イスラエル非難決議が出ても、国連や国際社会は口だけで、イスラエルの強さが揺らがないとなると、イスラエルは国連や世界との戦いに負けず、トランプの米国を牛耳って強さが維持されることになる。
国連や世界との対立を意図的に強めるため、今回のタイミングでドーハ空爆が行われたと考えられる。
まだまだ書くべきことがあるが、それらは改めて書く。
https://www.middleeasteye.net/news/turkey-says-israel-should-be-suspended-un-general-assembly
Turkey Is Leading Effort To Suspend Israel From UN General Assembly
この記事はウェブサイトにも載せました。
https://tanakanews.com/250911doha.htm
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