http://www.asyura2.com/25/warb26/msg/424.html
| Tweet |

(※ 画像は左からミラー大統領次席補佐官、ルビオ国務長官、コルビー国防次官)
第2次トランプ政権の国際戦略は、1945年以降の国際秩序を壊すことによって中国の弱体化を図る
DOMOTO
https://domoto-world.com/
目次
■ 1 トランプの言動と外交政策のブレーン
■ 2 トランプ政権の基本戦略
■ 3 イランと中国の結びつき
■ 4 結語:光景の裏に隠された「絹の糸」
■ 1 トランプの言動と外交政策のブレーン
「Make America Great Again」(アメリカを再び偉大に)の略称MAGAのスローガンは、「孤立主義」を示し、「モンロー主義」の現代版「ドンロー主義」は米国の裏庭西半球における支配的覇権を確保する。ここまでは「孤立主義」で説明がつく。しかし、対中国政策、NATOへの関与度の引き下げ、イランへの強い関与、国際機関からの脱退、ベネズエラ、グリーンランドの石油や鉱物資源確保への侵略的関与など、MAGAの当初の「孤立主義」から逸脱し、整合性が明確につかめない国際政治でのトランプ大統領の言動が続いている。
しかしこれは、2026年11月の中間選挙に向けてインフレで支持率が低迷しているのを好転させようと場当たり的に行っているのではなく、体系的で計算された、綿密で自己増強的な「アメリカ第一主義」によって貫かれている。
第2次トランプ政権の外交政策のブレーンとしては、マルコ・ルビオ米国務長官はかつてネオコン(新保守主義)の代表格で、中国、イラン、キューバ、ベネズエラなどの反米的な体制に対して極めて強硬な姿勢を取ってきた。ほかに軍事資源の配分を中国への集中し、同盟国への負担転嫁を主張するエルブリッジ・コルビー国防次官、米国主権の絶対化と既存の国際秩序の破壊を主張するスティーブン・ミラー大統領次席補佐官がトランプの後ろについている。
■ 2 トランプ政権の基本戦略
トランプ大統領の言動が、「場当たり的に行っているのではなく、体系的で計算された、綿密で自己増強的な『アメリカ第一主義』によって貫かれている」ことを解説した、ピエール・パフラヴィ氏による記事を紹介する。パフラヴィ氏はカナダ王立陸軍士官学校防衛研究科の教授で、この記事はオーストラリア国際問題研究所(AIIA)のサイトに寄稿された。
Beyond Isolationism: Trump, MAGA, and the Strategic Logic of Confrontation(孤立主義を超えて:トランプ、MAGA、そして対立の戦略的論理) 2026年1月13日https://www.internationalaffairs.org.au/australianoutlook/beyond-isolationism-trump-maga-and-the-strategic-logic-of-confrontation/
パフラヴィ氏の記事をベースに第2次トランプ政権の国際戦略をまとめた。
第2次トランプ政権の国際戦略には、「かつてアメリカが築き上げた国際秩序そのものを解体する(破壊する)ことで中国の台頭に対抗しようとする、綿密な戦略が隠されている」。
@第1の柱:1945年以降の国際秩序からの離脱
・構造的負債としての秩序: トランプ政権(MAGA)の視点では、ブレトン・ウッズ体制に関連づけられる戦後の国際秩序は、米国の行動を制限し、中国などのライバルに不当な利益を与えてきた「負債」と見なされている。「既存の「グローバリズム経済」は中国に不釣り合いなほど有利になっている」。
・主権の回復: 多国間機関や同盟関係 (同盟国) への義務を弱めることは、米国の戦略的自律性と主権を取り戻すための「中心的な目的」である。「多国間機関、同盟義務、世界貿易体制は、もはや戦力増強策ではなく、米国の主権と戦略的自立性を弱める構造的負債と見なされている」。
この戦略では、民主主義の輸出や地域の安定化そのものを目的とするものではなく、中国やBRICS諸国の拡大に制約を設けることを目的としているのだ。
A第2の柱:中国への対抗を中核とする戦略
・共通の糸: 地理的にバラバラに見える米国の行動(中国、ベネズエラ、イラン、グリーンランド、西半球、パナマ運河など)を繋ぐ共通の論理は、「中国の影響力の拡大を阻止すること」にある。
・選択的・取引的な関与: これは冷戦型の封じ込めや、民主主義を輸出するためのリベラルな介入主義ではない。北京の進出を阻むために、永続的な関与を避けつつ、ピンポイントで効率的な力を投影する手法である。
これはベネズエラやイランを攻撃しても「永続的な関与を避けつつ、ピンポイントで」、最も低コストで作戦を完了させる手法である。目的を達成すればその国のあとの秩序の安定には関与しない。ネオコン(新保守主義)が目標としたような民主主義が根付き、統治が安定させるような数十年がかりで天文学的支出を伴う支援政策は一切行わない。中国が長年かけて築いてきた利益拠点(国家)をピンポイントで短時間で潰し、目的を果たせば即座に撤収するという最小限の低コストな手法を使い、世界に張り巡らされた中国の経済・軍事ネットワークをズタズタにするのが、トランプ政権の最大限のコスパを狙う対中政策である。
・ベネズエラ: MAGA支持者にとって南米への介入は異例に見えるが、戦略的には「西半球において中国やBRICS諸国と深く結びつくことへの警告」というシグナルの意味合いが強い。
■ 3 イランと中国の結びつき
Bイランと中国の結びつき: 米国がイランを警戒する最大の理由は、イラン単体ではなく、イランが中国のユーラシアにおける覇権拡大の拠点になっているためである。
中国とイラン、25カ年協定調印 民主主義陣営に対抗 (2021年3月27日 日経)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM270LS0X20C21A3000000/
2021年3月に中国とイランが締結した「25年間の包括的協力協定」により、イランが中国の巨大経済圏構想「一帯一路」における重要なエネルギー供給と物流の拠点としての位置づけを強化した (中東、中央アジア、南アジアの交差点という地理的位置)。この戦略的パートナーシップ (軍事、技術、経済協力) は、「軍事面では、このパートナーシップは武器移転、共同演習、技術共有を伴い、イランの防衛力と攻撃力を強化しており、経済面では、イランを中国のエネルギー・インフラネットワークに統合している」。
米国にとって現在のイランは、単なる「中東のならず者国家」以上の存在、すなわち「中国がユーラシア大陸を支配するための最重要パズルのピース」に見えている。米国がイランを叩くのは、「一帯一路」における中国の背骨(サプライチェーン)を断ち切るためという側面が極めて強い。
Iran could emerge as a strategic pivot in a broader Eurasian alignment that dilutes U.S. influence across the Middle East and beyond.(イランは、中東全域とそれ以外の地域での米国の影響力を弱める、より広範な中国が主導するユーラシア連合における戦略的要衝として出現するだろう。)
C「戦争なき圧力」という手法 ・最大級の圧力:
イランに対して大規模な軍事攻撃を行えば、かえってイランを中国の陣営に決定的に追いやるリスクがある。2025年6月の米軍によるイランの核関連施設3カ所への空爆は、その後のイランの中国への依存度をかえって高めたようだ。そのため、トランプ政権は「戦略的曖昧さ」、「最大級の圧力」、慎重なエスカレーションを使い分け、中国への依存を弱めさせることを狙っている。これは、より巧妙な目標、すなわちテヘランに対する米国の影響力を維持することを目指している。パフラヴィ氏は米国の政策はイランの政権転覆を追求するものではないと言っている。
このアプローチは、中国中心のユーラシア圏の強化を阻止しようとするアメリカのより広範な取り組みと一致している。
■ 結論:光景の裏に隠された「絹の糸」
パフラヴィ氏はこのように述べる。トランプ政権第2期目の外交政策は、一見すると「無秩序で矛盾、気まぐれに満ちたもの」に見えるが、その根底には「中国という21世紀最大の地政学的挑戦に対抗するために、1945年以降の既存の国際秩序を壊し(解体し)、勢力均衡を再構築する」という明確で一貫した論理(「絹の糸」)が通っている。それは主要な結節点であるイランと結びついた、中国とその拡大するパートナーネットワークに「対抗する」ものである。
|
|
|
|
最新投稿・コメント全文リスト コメント投稿はメルマガで即時配信 スレ建て依頼スレ
|
|
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。