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※紙面抜粋

※2026年2月9日 日刊ゲンダイ1面 紙面クリック拡大
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積み上げてきた平和国家、一瞬にして瓦解 歴史に刻まれるであろう2.8総選挙の暗黒とこの国の行く末(上)
https://www.nikkan-gendai.com/?p=news_detail&id=383942
2026/2/9 日刊ゲンダイ ※後段文字お越し

我が世の春、到来 (C)日刊ゲンダイ
目的のためには手段を選ばず、平然と嘘をつき、白紙委任を求めた首相に全権委任した有権者。これで積み上げてきた「平和国家」の理念は木っ端みじんにされるだろう。
危険な政治家に危険な権力を与えた国民は今後、どんな代償を背負わされるのか。
◇ ◇ ◇
高市首相が仕掛けた世紀のジコチュー総選挙──。8日、投開票が行われたが、その結果は打ちのめされるような衝撃だった。自民が単独で衆院3分の2を突破する316議席を獲得し、日本維新の会と合わせて、与党勢力は352議席に達した。一方、中道改革連合は公示前勢力167議席から、半減以下の49議席に。前回選挙で少数与党に転落した自民党が一夜にして、大政翼賛会かと見まがう勢力と化したのである。こうなると、高市が「国論を二分する」国づくりを加速させるのは間違いない。それは「普通の国」という詭弁にすり替えられた「戦争する国」である。戦後80年かけて積み上げてきた平和国家の理念は、この選挙で木っ端みじんに打ち砕かれてしまったのだ。雪景色に包まれた暗黒の日曜日は今後、歴史に刻まれることになるだろう。
国民の選択とはいえ、マトモな識者は天を仰ぐ悪夢の結末

悪夢が始まる (C)共同通信社
午後8時の投票締め切りと同時に報じられた高市圧勝──。中道の大物議員は次々に落選し、開票速報ボードは自民一色になっていく。
この光景を評論家の佐高信氏は「日本が崖から落ちるように感じた。それも内政干渉のトランプに背中を押されて」と言ったが、よくわかる。今度の選挙では国民の高市人気とは裏腹に、識者の間では「絶対に勝たせてはいけない」という声が強かった。なにしろ、前言を平然と翻し、予算案を放置した身勝手解散である。「国論を二分する」中身も語らず、高市早苗の信任選挙と位置づけ、「勝ったらどんどん進めさせてもらう」といわんばかりだった独裁手法。そのくせ、党首討論から逃げる姑息。マーケットが警鐘を鳴らした積極財政の危うさ。選挙期間中に炸裂した統一教会(現・世界平和統一家庭連合)との疑惑。高市の不安を挙げていけばきりがない。
「そのうえ、例の円安ホクホク発言でしょう。あれは日本を破産させます、という話です。本来だったら、財界が怒り、自民党の保守本流の政治家と組んで、高市潰しに出なければおかしい。ところが、最後は世界中がおかしいと思っているトランプ大統領に支援されて圧勝なんて、悪夢以外のなにものでもありません」(佐高信氏=前出)
はしゃぐ高市は今や、我が世の春である。ヒトラーも1933年、内閣発足2日後に議会を解散し、その後、全権委任法案を可決、議会を形骸化させているが、高市奇襲選挙にも似たようなにおいが付きまとう。もともと極右の政治家が中国を敵視し、軍拡・武器輸出全面解禁、インテリジェンス強化という監視強化、憲法改正まで打ち出しているのだからなおさらだ。この選挙で、日本が戦後80年かけて築き上げてきた平和国家の理想、理念は完全に消えてしまった。
国民の熱狂とは裏腹に戦後を懸命に生きてきた識者の間に去来しているのは打ちのめされるような虚無である。ノンフィクション作家の保阪正康氏はこう言った。
「私たちは戦後、侵略戦争を反省し、きちんとした民主主義を受け入れるということで、本当に純粋な精神で国際社会に復帰したのです。その精神を忘れたかのように憲法改正やスパイ防止法の話が超短期決戦の選挙戦の最中に出てきて、あれよあれよで圧勝です。この選挙結果には当然、中国をはじめ東南アジアの国々は警戒していますよ。政治が不作法なやり方をしようとするとき、有権者はきちんと判断しなければいけないのに、その判断の余裕すらなくなっているのだとしたら、それは日本人全体の責任になります」
この選挙結果の代償はあまりにも大きい。
スネ傷汚染議員であふれかえる国会議事堂

大臣に返り咲く日は近い (C)日刊ゲンダイ
1年3カ月前の衆院選、半年前の参院選で鉄槌を食らったスネ傷たっぷりの自民議員があろうことか軒並み当選した。裏金をつくった連中、反日カルトの統一教会と癒着したやからだ。この国の政治の中心であり、立法機関である国会議事堂は薄汚れた代議士であふれかえることになる。絶望的な光景だ。
裏金やカルトに関与した52人中49人が当選。落ちたのは「歩くヘイト」と呼ばれる杉田水脈元衆院議員(大阪5区)、教団内部文書「TM特別報告」で〈祝福家庭〉と紹介されていた柳本顕元衆院議員(大阪3区)らだけだ。
高市が「傷物」と太鼓判を押す萩生田光一幹事長代行は公示前、「政治資金収支報告書の訂正もしたし政倫審(政治倫理審査会)でも説明もしたので、一区切りだと思っている」と強調していた。「禊は済んだ」の大合唱が聞こえてきそうだ。
立正大名誉教授の金子勝氏(憲法)はこう言う。
「高市首相についても『政治とカネ』の問題や統一教会との関わりが報じられました。それでも有権者は新たな材料とみなさなかった。背景には国民性が垣間見えます。島国であるがゆえに、日本人はトコトン追い詰めることを好まない。奇襲と言える衆院解散を打った首相はそうした特性をうまいこと利用した上、〈専門知識を持つ人材にはもう一度働くチャンスを与えてほしい〉と浪花節で訴えたのも効果的だったのでしょう」
高市とスネ傷の面々は裏表の関係だ。公認せず、永田町への道を断てば、疑惑まみれの高市自身との整合性がとれない。そうして高市は都合の悪い情報は「怪文書」「出所不明」とやり返し、シラを切る。選挙戦終盤の街頭演説では「私を潰したい人は、いろんなことをやってきます。テレビや週刊誌は〈まあ、なんてことを言っているんだろう〉っていうぐらい本当にあの手この手で攻めてくる」と被害者ヅラしていた。
法大大学院教授の白鳥浩氏(現代政治分析)はこう指摘する。
「旧安倍派を中心とする裏金議員が大量当選したことで、『平成の政治改革』の積み残しは雲散霧消が必至。企業・団体献金の禁止をはじめとする政治改革は終わった話にされるでしょう。萩生田氏の幹事長代行への抜擢は批判にさらされましたが、この選挙で勝った顔ぶれは程度の差こそあれ、復権していく。それが高市首相の党内基盤強化の近道ですから、必然の流れです」
裏金発覚からたった3年で元通り、もとい焼け太り。道理が通らない。
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