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※紙面抜粋

※2026年2月25日 日刊ゲンダイ2面
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国民生活を人質に国会形骸化 予算審議を急がせる高市自民党の言語道断
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/384546
2026/02/25 日刊ゲンダイ ※後段文字お越し

作り笑いで悪魔をみせる(C)日刊ゲンダイ
数で圧倒する高市自民党が予算審議を急がせているが、疑惑まみれの政権が国会を形骸化し、「危険法案」の成立に邁進する魂胆がミエミエだ。身勝手な選挙を棚に上げて、国民生活を人質に審議を急がせる「作り笑いの独裁首相」はあまりにも危険だ。
◇ ◇ ◇
何とも言えない「作り笑い」の裏側に、トンデモナイ思惑が潜んでいるのかもしれない。高市首相の施政方針演説など政府4演説に対する各党の代表質問が24日、衆院本会議で始まったが、身勝手すぎる発言に違和感を覚えた国民もいるのではないか。
今年の通常国会は1月23日に召集され、本来、来年度予算案は同月中にも審議入りするはずだったが、高市の唐突な解散総選挙で約1カ月も後ろ倒し。審議日程がタイトになってしまった。それもこれも全ては高市の自己チューのせい。野党の準備が整う前に打って出た抜き打ち解散で、自民大勝という結果を得たわけだが、熟議をすっ飛ばし、数で圧倒して予算審議を急がせているのだから許しがたい。
中道改革連合の小川淳也代表は24日の代表質問で「必要な審議を省略してまで、何が何でも25年度内成立に固執することはない」と指摘。ところが、高市は「国民生活に支障が生じないよう野党の皆さまにもご協力をお願いしつつ予算案を年度内に成立させていただけるよう、国会審議に対応していきたい」と、あくまで早期成立を目指す考えを示してみせた。
まるで、「国民生活が大事だと思うなら野党は協力しろ」と言わんばかり。国民生活を人質に審議を急がせるなんて、盗人猛々しいにもほどがあるだろう。
そんなに早期成立を目指すべきと思うなら、解散よりも審議を優先させるべきだったのは言うまでもない。解散するにしても、3月末の予算成立後に信を問うべきだったはずだ。
最大の問題は「単年度主義」の排除
そもそも、来年度予算案は一般会計の歳出総額が122兆円超にも上る。2年連続で過去最大の規模となっている。テキトーに審議して「ハイ、じゃあこれで行きましょう」と右から左に流せるような額ではないはずだ。
額だけじゃない。中身もそうだ。借金である国債の利払いや償還に充てる国債費は31兆円超で、30兆円を超えたのは初めてのこと。高市の「責任ある積極財政」による財政悪化懸念から長期金利が上昇傾向で、利払いが拡大したからだ。
さらに、医療や年金などの社会保障関係費は、深刻な少子高齢化で39兆円を超えた。GDP比2%への「倍増」を決めた防衛費も9兆円超と、いずれも過去最大である。
高市の経済政策に疑問符が付き、「静かなる有事」である少子高齢化は待ったなし。周辺諸国を刺激しかねない防衛費倍増と、問われるべき課題は山積している。言うまでもなく、足元で国民は猛烈な物価高に悲鳴を上げている状況だ。この重大なタイミングで、予算審議にかける時間を「短縮」しようとは、どういう了見なのか。
慶大名誉教授の金子勝氏(財政学)はこう言う。
「審議時間はもちろん大事ですが、より重要なのは予算案のどこに問題があるかを的確に把握した上で議論することです。一番の問題は、高市首相が予算の『単年度主義』をかなぐり捨てようとしていること。施政方針演説では『複数年度予算や長期的な基金による投資促進策を大胆に進める』と言った。特別会計や基金にカネを積み上げ単年度のチェックをくぐり抜けようというわけです。今後、トランプ米国の求めに応じて防衛費をGDP比3.5%に引き上げる場合、必要な財源は約24兆円。官民で行うとされる85兆円規模の対米投資でも国の歳出が必要になる可能性がある。高市首相はそれらの財源について、国会でチェックさせない状況をつくろうとしているのです。国会の形骸化に他ならず、議会制民主主義にもとる。決して許してはなりません」
「戦争できる国」に一瀉千里

改憲のキーマンとして登用された古屋圭司氏(C)日刊ゲンダイ
高市が国会審議をすっ飛ばしたい理由は他にもある。ひとつは「疑惑隠し」だ。
週刊文春の報道で、統一教会(現・世界平和統一家庭連合)から高市側にカネが流れた疑いがあることが分かっている。既に教団の内部文書「TM特別報告書」に、高市の名前が32回も登場し〈高市氏が自民党総裁になることが天の最大の願いである〉と記されていることが分かっている。その他、多くの自民議員の名前が文書に記載されていることも明らかになっている。予算委員会でこれらの疑惑を追及されたらたまらない──、だからあえてスピード審議を求めているというのだ。
「総理は昨年の臨時国会の予算委員会で野党議員からたびたび質問され『自分ばかり答弁を求められる』と不満を漏らしていたそう。とにかく、一問一答の予算委で集中的に追及されることを嫌がっている。周囲には『予算に直接関係しない質問は、予算審議の中でやらなくてもいいのでは。予算成立後でも時間がとれるはず』と漏らしているほどだといいます」(官邸事情通)
もうひとつは、自らの野心のためだ。予算成立後に、9条への自衛隊の明記などを実現する憲法改正と、男系男子による皇位継承の維持に向けた皇室典範の改正である。
「総理は、衆院選を経て野党から奪い返した衆院憲法審査会長ポストに、側近の古屋圭司前選挙対策委員長を充てました。古屋さんは党の憲法改正実現本部長を務め、改憲議論を主導させるのにうってつけの人事。皇室典範に関しては、改正議論に影響力のある衆院議長に、やはり改正意欲がある麻生副総裁の子飼いである森英介衆院議員を就けた。今国会で、一歩でも二歩でも前進させる狙いがあるのでしょう」(同前)
国民は騙されてはダメ
しかし、改憲や皇室典範の改正をいま、どれだけの国民が求めているだろうか。大手メディアの世論調査で、イの一番に国民が求めているのは、物価高対策と経済対策。改憲も皇室典範改正も、国民が喫緊の課題ではないと考えているのは明らかだ。
それでも高市は、特に敬愛する安倍元首相が成しえなかった改憲について強いこだわりを持っているのは明らかだ。今後、「1強」の下で高市は、国会を形骸化し「危険法案」の成立に邁進するに違いない。
法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)はこう言う。
「高市首相が、防衛費の拡大をはじめとした安保政策に手を付けてくるのは間違いないでしょう。加えて、日本版CIAと呼ばれる『国家情報局』の設置、戦前の治安維持法の再来であるスパイ防止法、『表現の自由』にもとる日本国国章損壊罪の制定で、国民を監視し、世論を誘導する。改憲もしかりですが、彼女の言動を見ていると、日本を『戦争できる国』につくり替えようとしているとしか思えず言語道断です。どうも、国民は高市首相に強烈なリーダーシップを感じているようですが、気を付けるべきでしょう。抜き打ち解散も予算案審議の短縮も、全ては高市首相の身勝手。国会軽視もはなはだしい状況で、気付けば日本は戦争国家になりかねない。メディアも国民も注意しなければなりません」
最終的に痛い目を見るのは国民だ。「作り笑いの独裁首相」の本性に目を凝らすべきである。
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