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※紙面抜粋

※2026年4月9日 日刊ゲンダイ2面
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「歓迎」なんてよく言うよ 「停戦合意」なんてイカれた暴君の言葉遊びだ
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/386286
2026/04/09 日刊ゲンダイ ※後段文字お越し

世界を破壊(C)ロイター
この戦争は何から何まで異様だが、ハッキリしたのはトランプは完全にイカれた暴君で、この地位にとどまらせるのは極めて危険だという事実だ。ネタニヤフとのタッグはおぞましさの極致だが、彼らが勝手に始めて勝手にやめるむちゃくちゃと今後の混乱。
◇ ◇ ◇
アメリカの一方的なイラン攻撃から40日。ようやくアメリカとイランが「停戦」で合意した。停戦期間は2週間である。
トランプ米大統領は、SNSで「イランへの攻撃を2週間、停止する」「イランがホルムズ海峡の開放に同意することが条件だ」と表明し、「イラン側から10項目の提案を受け取った。これが交渉の基盤になると確信している」とも明かしている。
イラン側も「応戦しない」と表明し、「トランプ大統領がイラン提案の10項目を受け入れたため対応した」と主張している。
仲介したパキスタンの首都イスラマバードで、11日から交渉を開始するという。
ポイントは、どちらも「我が国が勝利した」と強調していることだ。
トランプ大統領は「すべての軍事目標を達成した」とSNSに投稿し、イラン側も「敵は壊滅的な敗北を喫した。イランは偉大な勝利を収めた」と声明を発表した。
それぞれ自分たちに都合がいいように「停戦合意」を解釈している格好である。
それにしても、トランプは直前まで「イランのすべての橋と発電所を4時間で破壊する」と脅していたのに、突然「停戦」とは、いったい、どういうつもりなのか。
「トランプ大統領は、一日でも早く戦争をやめたいはずです。当初、戦争は短期間で終わるとみていたようですが、イランの抵抗が予想以上に激しく、出口が見えなくなってしまった。ドロ沼の長期戦になりかねない。しかも、エネルギー輸送の要衝であるホルムズ海峡を封鎖され、アメリカ国内のガソリン価格まで高騰してしまった。アメリカ国民の不満は強く、このままでは秋の中間選挙でトランプ大統領の共和党は敗北必至です。本人は『勝利宣言』をして、少しでも早くイランから手を引きたいのがホンネでしょう。イランにしても、強硬姿勢は崩していませんが、発電所などの主要インフラを破壊されたら打撃が大きく、一時的に停戦に応じた方が得策と計算したのだと思う。アメリカもイランも、内心は戦争をやめたい。メンツを保つために『わが軍が勝利した』と主張できればいいのでしょう」(元外務省国際情報局長・孫崎享氏)
戦争継続を望むイスラエルが障害
しかし、はたしてこのまま「終戦」となるのかどうか。
過去、多くの戦争は「停戦合意」した後、決裂し、再び戦いがはじまっているからだ。
厄介なのは、アメリカもイランも「勝った」と主張していることだ。「勝利した」と訴えている手前、どちらも、そう簡単に妥協できないのではないか。
しかも、イランが提示した10項目には、アメリカ側が受け入れづらい項目も並んでいる。
さっそく、対イラン強硬派のグラム上院議員は、10項目に「高濃縮ウラン撤去」に関する具体的な記述がないことへの懸念を表明し、議会で審議すべきだと訴えている。
10項目には、「地域からの米軍撤退」や「イランによるホルムズ海峡の管理継続」も入っている。イランは、ホルムズ海峡を通過する船舶から通航料を徴収するつもりのようだ。
10項目に対してアメリカ国内では、「ベトナム戦争以来の敗北になる」と否定的な評価も多いという。
「戦争終結の最大の障害は、イスラエルでしょう。そもそも、このイラン戦争は、イスラエルに唆されてトランプ大統領がはじめたという説も根強い。イランを徹底的に叩きたいイスラエルが、戦争の継続を望んでいるのは間違いありません。トランプ大統領は、イスラエルを抑えられるのでしょうか」(孫崎享氏=前出)
アメリカとイランの「停戦」は、一筋縄ではいきそうもない。戦争が再開されたら、原油がさらに高騰し、世界経済は大混乱に陥ってしまうだろう。
イラン国民を「動物」扱いする異様

側近の木原稔官房長官も、どこまでトランプ米大統領の危険性をわかっているのか(C)日刊ゲンダイ
この戦争は、なにからなにまで異常だが、ハッキリわかったのは、トランプは完全にイカれているということだ。
「停戦合意」する前日、トランプはSNSに「今夜、(イランという)一つの文明が滅び、二度と復活することはないだろう。それは起きて欲しくないが、起きてしまうだろう」と投稿している。核兵器の使用をにおわせた形である。
記者から、発電所への攻撃は戦争犯罪にあたるのではないか--と問われた時は、「彼らは動物だ」と言い放っている。いくら敵対国だとしても、国民を「動物」扱いするのは異様だ。
さすがに、「今夜、一つの文明が滅びる」と書き込んだ投稿に対しては、国際人権団体から「ジェノサイドにあたる可能性がある」と批判の声があがっている。
民主党のペロシ元下院議長ら70人も、この発言を問題視し、「憲法修正25条」の発動による副大統領への権限移譲を主張しはじめている。
高千穂大教授の五野井郁夫氏(国際政治学)はこう言う。
「交渉相手に『予測不能で狂気じみた行動をとるかもしれない』と信じ込ませ、妥協を引き出す『狂人理論』という外交戦術がありますが、トランプ大統領の言動は度を越しています。そもそも、イランと戦争する理由はなかったはずです。イランの核開発疑惑は、イランが譲歩し、交渉が成立する可能性が高かった。なのに、協議中、だまし討ちのようにイランを爆撃し、最高指導者ハメネイ師を殺害してしまった。トランプ大統領が恐ろしいのは、『私には国際法は必要ない』と言い切っていることです。あまりにも危険です」
なぜ、仲介に動かなかったのか
「私には国際法は必要ない」と開き直っているトランプは、年明け早々、ベネズエラを急襲して大統領を拘束し、2月にはイランを攻撃している。いずれも、国際法違反なのは明らかである。
このままトランプを、アメリカの大統領に就けておいて大丈夫なのだろうか。しかも、パレスチナ住民を根絶やしにするような軍事行動をとった、イスラエルのネタニヤフ首相とタッグを組んでいる。
このまま放置していたら、世界はどこまでも破壊されてしまうのではないか。世界のリーダーがトランプと距離を取り、アメリカの議員が「憲法修正25条」の発動まで訴えているのも、懸念が大きいからだろう。
なのに、日本の高市首相は「世界中に平和と繁栄をもたらせるのは、ドナルドだけだ」と持ち上げているのだから、どうしようもない。
側近の木原官房長官も、アメリカとイランの「停戦合意」を「歓迎している」と、評価しているが、どこまでトランプの危険性をわかっているのだろうか。
高市政権が最悪なのは、イタリアのメローニ首相のように、イラン攻撃を国際法違反だと批判するわけでもなく、パキスタンのように仲介しようともしなかったことだ。
「原油を中東に頼っている日本にとって、イラン戦争は無関係ではないはずです。なぜ、パキスタンのように仲介に動かなかったのでしょうか。日本はイランとの関係が悪くない。アラグチ外相は、駐日大使をつとめたこともあり、パイプもあった。イランも日本に仲介役を期待していたはずです。日本はいくつもアドバンテージがあった。日本外交を国際社会にアピールする、またとない機会でした。なぜ、動かなかったのでしょうか」(五野井郁夫氏=前出)
トランプ政権は、あと2年以上つづく。世界はどうなってしまうのか。
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