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※紙面抜粋

※2026年5月29日 日刊ゲンダイ2面
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墓穴の国会答弁で状況一変 「中傷動画疑惑」で飛び交う高市退陣、議員辞職説
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/388285
2026/05/29 日刊ゲンダイ ※後段文字お越し

国会から逃げ回り、記者会見を拒否し、懇談すらやらない高市首相の地金が出るのは時間の問題(C)日刊ゲンダイ
おそらく、息を吐くように嘘をつき続け、疑惑から逃げ切った安倍元首相を参考にしているのだろうが、そうは問屋が卸さない。国会から逃げ回り、記者会見を拒否し、懇談すらやらない首相の後ろ暗さはもはや歴然。囁かれ始めた補正予算審議が命取りになる可能性。
◇ ◇ ◇
少しずつ少しずつ高市首相の化けの皮が剥がれてきている。昨秋の自民党総裁選、年明けの真冬の総選挙をめぐり、公設第1秘書が中心となった中傷動画バラまき疑惑を国会で厳しく追及され、あからさまにイライラいらいら。語気を荒らげてヒートアップしている。答弁に窮している裏返しだ。
28日の参院厚労委員会の質疑は見ものだった。立憲民主党の石橋通宏議員が事前通告の上、週刊文春による一連の報道内容の真偽について質問。文春砲によって表沙汰になったのは、渦中の秘書と動画作成や拡散を担った起業家がSNSで交わした67通のやりとりだ。高市はムキになり、長々とこう答えた。
「内閣総理大臣としての信頼にも関わることでございます。内閣のメンバーを分断したり、高市早苗事務所の秘書との間を分断したり、事務所崩壊に至るぐらいのことが平気で書かれていて、こういう公の場で取り上げられています。ハッキリ申し上げますけれども、私は30年以上衆院議員を務めてきて、これまでの衆院選においても、3回立候補した総裁選においても、決して特定候補、例えば対立候補を批判したり、人格を否定したり、そういったことはありません。それが私の主義であり、矜持です。事務所も私の哲学に従ってしっかり活動をしてくれています。ご指摘の記事にあったようなやりとりは確認もできなかったし、そのような記録もないということは申し上げております」
「秘書に怒られた」浪花節
威勢はいいものの、真正面から答えず、「確認できない」「記録もない」と逃げを打つ。石橋に「全て捏造であると断言されているということでよろしいですね」と念押しされると、総裁選のステマ問題を持ち出して「同じ党の中で他の候補者を批判するようなことで、党のイメージを下げて何にもいいことないじゃないですか」と論点をずらし、「ないものはないと申し上げるほかなくて、存在できないことや確認できないことを私自身が証明できない限り、まるであったかのように印象付けられるのは大変心外」と居直った。
文春の取材に応じた起業家の説明によれば、総裁選の投開票日に「痕跡を消し」、衆院選でも同様の手法を駆使したとのこと。万全の手はずで、「ない」のは当然なのだ。「答弁が事実と違うことが判明した時の総理の責任は極めて重い。責任を取られるということでよろしいですね」と畳みかけられた高市は「代議士が決して望まない戦い方、やり方を私どもがやるはずがないでしょうと。反対に秘書から怒られましたよ。信じてないんですか、と怒られましたよ」と浪花節で応戦。墓穴を掘り下げたと言っていい。
聞かれていないことをまくし立ててゴマカすやり口は、高市が政治の師と仰ぐ安倍元首相の常套手段だった。息を吐くようにウソをつき続け、何だかんだで疑惑から逃げ切った先達にならおうということなのだろうが、そうは問屋が卸さない。高市は着実に追い込まれている。因縁のある立憲の杉尾秀哉議員の追及も大きかった。26日の参院内閣委員会で語尾上がりのイラつき答弁を重ねた高市に対し、こう釘を刺した。
「この疑惑が事実であれば何でもアリですよね。民主主義の根幹に関わります、総理辞任どころか、議員辞職にもつながりかねない重大な問題だと思います、逃れようと思っても逃れられないということは申し上げます」
汚い手が使えないから首長選は連敗

息を吐くように嘘をつき続けた安倍元首相は118回も虚偽答弁。ついには謝罪(写真)に追い込まれた(C)日刊ゲンダイ
遡ること3年前。経済安保相だった高市は、放送法の政治的公平をめぐる総務相時代の「テレビ朝日に公平な番組なんてある?」などの発言が記載された行政文書を「捏造」と言い張った。参院予算委員会で杉尾に根拠を求められると、答弁台に資料を放り投げ、両手をドンとつき、「ワタクシが信用できない、答弁が信用できないんだったら、もう質問なさらないでください」と言い捨てた。このところ、やたらに目を細めて口角を上げ、絵本の読み聞かせ口調で愛されキャラに徹していたが、地金が出るのは時間の問題だ。
法大大学院教授の白鳥浩氏(現代政治分析)はこう言う。
「高市首相が説明から逃げれば逃げるほど、モリカケ桜問題で立ち往生した安倍元首相の姿と重なっていく。党内基盤の弱さで踏ん張りがきかず、遠からず世論からもソッポを向かれるのではないか。首相が〈挑戦しない国に未来はありません〉などと訴えかけた自民党の動画は衆院選公示前に公開され、SNS広告配信による効果で投開票日までに1.6億回も再生された。人口をはるかに上回っています。この手法自体に賛否両論ある中、文春砲が中傷動画の手口をつまびらかに報じた。あの選挙結果はつくられた民意だったのではないか。民主主義の根幹である選挙が歪められたのではないか。高市政権の正当性に疑念の目が向けられている。違法性のある世論誘導が生んだ圧勝だとしたら、主要な首長選で自民が推す候補者が連敗を重ねるのもうなずけます」
そもそも、高市が新年度予算案の審議を犠牲にして真冬の総選挙に打って出たのは、ひた隠しにしてきた統一教会(現・世界平和統一家庭連合)との癒着が暴かれたからだ。街頭演説で「高市内閣はヘロヘロだった。予算委員長だって野党だし、大臣がいくら手を挙げても、私にばっかり当たる」と愚痴り、野党重鎮との年齢はさほど変わらないのに「オッサンが小娘をいびる構図」をでっち上げ、有権者の同情を引いた。結果、思惑通りにバカ勝ち。少数与党から一転、自民単独で3分の2を占める巨大勢力に大化けした。そうしたら、高市は国会から逃げる逃げる。参院予算委での集中審議を拒否。記者から質問を浴びせられる会見は激減。ぶら下がり取材も極力避け、内閣記者クラブ限定での対応ですら、全社で質問は一度だけ。高市の後ろ暗さは歴然だ。
いつか倒れる「山崩し」の棒
しかし、因果なもので、高市の唯一かつ最強の後ろ盾である米国のトランプ大統領が仕掛けた対イラン軍事作戦の煽りで原油の供給不安が拡大。円安物価高に拍車がかかり、今年度補正予算案の編成を余儀なくされた。
「与野党から補正予算案の策定を求める声が高まる中でも、総理は首を縦に振ろうとしなかったのは、予算委で集中砲火を浴びるのを回避したいがためだった、暮らしより保身、との批判は免れない」(与党関係者)
その予感は的中し、補正予算案の審議が命取りになる可能性は大。6月3日に国会提出される運びだ。
政治ジャーナリストの角谷浩一氏はこう言う。
「高市首相を取り巻く状況は、『山崩し』のようなもの。砂山のてっぺんに立てた棒が首相です。少しずつ砂が削り取られていきますから、いずれ棒は倒れる。首相の総裁任期は、石破前首相の残り期間を引き継いでいることから、来年9月まで。粘っても任期いっぱい、下手をこけば1年持たないとの見立てが広がっている。党内新議連の『国力研究会』は高市応援団と解説されていますが、実態はポスト高市を見据えたグループに過ぎない。スムーズに政権移行するための足場です。首相の役割は総選挙の投開票日に終わった。体を張って守ろうとする仲間は見当たらない。あの調子で暴走し、果てに自爆するのを高みの見物しているんです」
総裁選の決選投票で高市は小泉防衛相を29票差で制したが、議員票に限っては4票上回っただけだった。状況一変で先が読めない展開になってきた。
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