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※紙面抜粋

※2026年6月5日 日刊ゲンダイ2面
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やりたい放題を許しているのは大甘報道 大メディアが高市会見批判の大笑い
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/388584
2026/06/05 日刊ゲンダイ ※後段文字お越し

やりたい放題ができると思っている(C)日刊ゲンダイ
高市政権の記者会見の少なさ、質問制限にようやく、メディアや野党から批判の声が上がりだしたが、茶番劇。本来ならば、主催者は記者側。答えない首相などボイコットすればいい。佐藤内閣で記者を引き揚げさせた毎日新聞、岸井成格氏のような硬骨漢が皆無の惨憺。
◇ ◇ ◇
これまで散々指摘されていた問題が、ようやく国会で取り上げられた。
高市首相の記者会見が異様に少ないことについて、野党議員が3日の参院本会議で「なぜ、マスコミとの対話を避けるのか」と問いただしたのだ。
実際、記者会見の少なさは歴然である。官邸が公表している記録によると、衆院選後の3月から5月末までの高市の会見はわずか20回。前任の石破茂が同じ期間に37回開いているのと比べると極端に少ない。
メディアが取材要請しても、高市サイドが断るという。
典型的だったのが2月下旬、衆院選で当選した自民党全議員315人に、約3万円分のカタログギフト(総額1000万円)を配布していたことが発覚した時の対応だ。取材要請に対して「Xや国会で説明した」と応じなかった。
聞かれたくないことがテーマになりそうな時は、絶対に会見に応じないのが高市のやり方である。
異様なのは、会見に応じても「質問数」を制限していることだ。
例えば、補正予算案の説明をした5月25日。質問できたのは、幹事社だったテレビ朝日の記者1人だけだった。記者は冒頭「質問は全社で一度ということなので」と、「質問制限」があることを明かしている。
4月7日にあった2026年度予算が成立した時の会見でも、質問を許されたのは幹事社の記者1人だけ。司会者が「では、これで終わります」と打ち切った言葉を、朝日新聞が「1点だけ」とさえぎり、かろうじて質問者は2人になった。
記者会見の少なさといい、質問制限といい、なぜ、こんな前代未聞の事態になっているのか。もちろん、高市サイドに問題があるのは間違いないが、弱腰姿勢の大手メディアにも、問題があるのではないか。
どうかしているのは、高市サイドが強要している「質問制限」を受け入れていることだ。
なぜ、「質問制限など受け入れられない!」と突っぱねないのか。
相手が質問制限してくるなら、記者の方から会見をボイコットしたっていいくらいである。テレビ中継されている場面で、記者団が「我々は質問制限には応じられない」と高市に突きつけ、その場から去ったら、さすがに国民も事態の異常さに気づくのではないか。
古い話だが、佐藤栄作首相の退陣会見(1972年)では、記者がボイコットしている。
「偏向的な新聞は大嫌いだ。帰ってくれ!」と言い放った首相に対し、毎日新聞の岸井成格記者が、「出よう」と呼びかけ、記者は全員、退室。残された佐藤首相が一人、テレビカメラに向かって退陣会見することになった。
いま、大手メディアには、岸井記者のような硬骨漢は、一人もいないのだろうか。
なぜ「中傷動画」疑惑を徹底追及しない
現場の記者がこの調子では、大手メディアの報道が政権に対して大甘になるのも当然である。
信じられないのは、「週刊文春」がスクープした、いわゆる「中傷動画」疑惑についても、ほとんど報じようとしないことだ。
「中傷動画」疑惑とは、昨年10月の総裁選と、今年2月の衆院選の時、高市陣営がライバル候補や野党を中傷する動画を「1日100〜200本」も作成し、SNSで拡散していたというもの。
総裁選では、小泉進次郎を<カンペで炎上!無能で炎上!>などと中傷する動画を作成。衆院選でも、中道の候補者を批判する動画を大量に流していたという。
「週刊文春」によると、一連の動画作戦は、高市の公設第1秘書である木下剛志氏が指揮を執り、動画の作成・拡散は、技術者の松井健氏が行ったという。中傷を具体的に依頼した文章など、木下秘書から松井氏に送った、67通に及ぶショートメールなども残っているという。
この「中傷動画」疑惑を見過ごせないのは、たんなるスキャンダルではなく、日本の民主主義を破壊しかねない重大な問題を含んでいるためだ。
「中傷動画疑惑は、議会制民主主義の根幹を揺るがすような話です。誹謗中傷する動画を作って、対立候補を貶めることがまかり通ったら、選挙の公正性は担保できなくなってしまう。もし、総理の公設秘書が関与していたら、高市首相は進退が問われるでしょう。それほど深刻な話なのに、なぜ大手メディアは、この問題を徹底的に追及しないのでしょうか」(立正大名誉教授・金子勝氏=憲法)
大新聞テレビは、疑惑を追及するどころか、高市が「私自身も秘書も面識のない方」と、動画作成者とされる松井氏との“接点”について、一方的に否定した答弁を垂れ流す始末だ。
しかし、どう考えても、松井氏と“接点”がないという釈明にはムリがあるのではないか。
「週刊文春」電子版が3日、木下秘書と松井氏との会話とされる音声を公開したからだ。これは決定的な証拠になるはずである。
はたして、NHKを筆頭とする大手メディアは、この会話音声をどう報じるつもりなのだろうか。
高市は、いつも通り大手メディアが忖度報道すれば、逃げ切れると思っているに違いない。
忖度報道をやめれば支持率は急落する

大手メディアと国民は乖離(C)日刊ゲンダイ
いったい大新聞テレビは、メディアの役割をどう考えているのか。
このまま、平気で記者会見を拒否する高市のわがままを許し、「質問制限」を受け入れ、大甘報道をつづけるつもりなのだろうか。
本来、いまほどメディアの役割が求められている時もないはずである。
「高市首相の大きな特徴は、政策論争を極端に嫌がることです。いま審議している補正予算案も、実質、衆参1日ずつの審議で終わらせてしまう。かつて街頭演説では『予算委員長だって野党だし、大臣が手を挙げても、私にばっかり当たる』と愚痴をこぼしていた。とにかく、国民に説明したくない、国会から逃げたいという態度です。こういう時こそ、メディアが逃がさず、しつこく説明を求める必要があります。まして高市首相は、『国論を二分する政策』を丁寧に説明もせず、押し通そうとしている。暴走を防ぐためにも、メディアは徹底的に説明を求めるべきです」(法大名誉教授・五十嵐仁氏=政治学)
そもそも、高市が国会出席を嫌がり、記者会見に応じようとしないのは、追及されたらヤバイという後ろ暗いところがあるからだろう。
「メディアの役割は、国民になりかわって、権力を監視し、問いただすことです。いま、メディアとして、高市首相に聞くべきこと、批判すべきことは山ほどあるはず。この物価高をどうするのか、ナフサは本当に足りているのか、国旗損壊罪は妥当なのか、さらにOTC類似薬や、高額療養費の問題など……。国民の多くは、当然、中傷動画疑惑の真相についても解明を望んでいるでしょう。しかし、大手メディアは、自分たちは国民のために存在していると思っているのでしょうか。国民よりも総理の顔色の方を気にしているのではないか」(金子勝氏=前出)
もし、大手メディアが忖度報道をやめたら、高市内閣の支持率もあっという間に下落するのではないか。大新聞テレビの大甘報道が、高市のやりたい放題を許しているのは間違いない。
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