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※紙面抜粋

※2026年6月11日 日刊ゲンダイ2面
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恐る恐るの金利1%…高市・植田コンビにインフレは止められない
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/388830
2026/06/11 日刊ゲンダイ ※後段文字お越し

インフレは猛烈な勢いで進んでいる(C)日刊ゲンダイ
異例の新聞前うち利上げとなったのは、事前に市場に織り込ませ、反応を探る狙いもあったのだろう。たった0.25%を上げるのに、政府が介入し、米国が文句をつけ、恐る恐るの植田日銀。なぜ、ここまで円安になったのか。支離滅裂の高市をやめさせなければどうにもならない。
◇ ◇ ◇
はたして「物価高」と「円安」は止まるのだろうか。ようやく日本銀行が、利上げに踏み切るようだ。
15、16日に開く金融政策決定会合で、政策金利を0.75%から1%に引き上げる公算が大きいという。利上げをすれば、昨年12月以来4会合ぶり。金利1%は1995年9月以来、31年ぶりの高水準である。
日銀の植田総裁は、4月の決定会合で利上げを見送った理由を「ただちに対応するまでの緊急度はないとの判断だった」と説明していた。
ところが、わずか1カ月で方針転換。6月3日の講演で、「全体として物価上振れのリスクの方が大きい」「利上げの是非についてしっかり議論する必要がある」と、利上げを予告している。
今回利上げに踏み切るのは、さすがに物価高を放置できなくなったためだろう。インフレは猛烈な勢いで進んでいる。
5月の企業物価指数は、とうとう前年同月比6.3%の上昇となっている。3月の2.9%、4月の5.3%と、月を追うごとに伸び率が拡大しているのだ。企業間で取引される商品の価格水準を示す企業物価指数は、消費者物価指数の先行指標とされている。いずれ、一般家庭が購入するモノに反映されるのは間違いない。
日経新聞によると、日銀関係者は「企業の価格転嫁のスピードが速まっている。タイミングを逃すと、後から大幅な利上げを迫られかねない」と話しているそうだ。
加速する物価高に植田日銀は慌てているに違いない。
「これまで植田総裁は、金利高を嫌う高市首相に気を使って利上げを見送ってきました。高市首相は、景気に水を差す利上げを極端に嫌がっていますからね。しかし、物価高騰が止まらず、さすがに植田総裁も利上げをせざるを得なくなったのでしょう。為替も1ドル=160円の円安水準がつづいています。金利を引き上げて円安を是正しないと、高騰している輸入物価も安くならない。それと、アメリカから利上げを迫られたことも大きいのでしょう。利上げ幅はたったの0.25%ですが、わざわざ事前に講演で予告したのは、市場の反応を探るためだと思う。サプライズで利上げして、もし株価が暴落したら、高市首相からどんな叱責を受けるかわかりませんからね」(金融関係者)
たかが金利1%ではインフレは止まらない

何もかもが高い…。(C)日刊ゲンダイ
しかし問題は、たった0.25%の金利引き上げで「物価高」と「円安」を止められるのか、ということだ。
すでに市場からは「もはや手遅れ」「ビハインド・ザ・カーブだ」との声が上がっている。
実際、わずか1%の金利では、実質2.8%の物価高を抑えるのは、どう考えてもムリなのではないか。物価を抑えるどころか、むしろ物価上昇を促す金利水準だからだ。
日銀が推計している、景気を刺激も抑制もしない「中立金利」は、現在1.1〜2.5%である。政策金利を1%に引き上げても「中立金利」の下限にさえ届かないのだ。要するに、まだまだ物価上昇を促す「緩和的」な金利水準ということである。
経済評論家の斎藤満氏はこう言う。
「中立金利の下限にも届かないのでは、とても金融引き締めとは言えないでしょう。実質金利はマイナスです。もし、本気で物価を抑えるなら、足元の実質的な消費者物価指数である2.8%まで金利を引き上げる必要があります」
1ドル=160円まで進んでいる「円安」も是正されない可能性が高い。
事実、3日の植田の講演後も、対ドル円相場は1ドル=160円前後の円安基調がつづいている。わずか1%の金利では、投資するには魅力に乏しいということだろう。現在、ドルの金利は3.50〜3.75%、ユーロは2.0%である。金利の高い通貨が買われ、金利の低い通貨が売られるのは当たり前である。
しかも、アメリカの中央銀行FRBも、欧州中央銀行(ECB)も、年内に利上げする可能性が高いという。
「アメリカもヨーロッパも、日本と同じように物価高に苦しんでいます。インフレを抑えるために、中央銀行が利上げに動くとみられています。植田日銀は恐る恐る0.25%の利上げをするようですが、彼らが日銀と違うのは、やるとなったら徹底してやることです。日銀が政策金利を0.25%上げても、ドルやユーロとの金利差が縮まらなければ、円安は是正できないでしょう。1ドル=160円の円安のままでは、輸入物価も高止まりしたままです」(シンクタンク研究員)
いくら高市が利上げを嫌っているとしても、どうして植田日銀は4月の決定会合で利上げしなかったのか。このままインフレが止まらなければ、いずれ金利を大幅にアップせざるを得なくなるのではないか。
国民生活は後回し
もはや「高市・植田」コンビでは、インフレを止められないことは明らかだ。
そもそも、高市は「物価高対策が最優先」などと口にしているが、本気でインフレを止めるつもりがあるのか怪しいもの。やっていることは、物価抑制とは正反対のことばかりだからだ。
「インフレ抑制策の基本は『緊縮財政』と『高金利』です。なのに“責任ある積極財政”を掲げる高市首相は、真逆のことをしている。昨年、18兆円を超える巨額の補正予算を成立させ、2026年度予算も122兆円という過去最大の規模でした。さらに、この国会で補正予算を成立させている。ここまで政府が大盤振る舞いしたら、需要が喚起され、物価を押し上げるだけです。しかも、利上げにも消極的です。高市首相は内心、インフレを歓迎しているのだと思う。インフレになれば、黙っていても税収が増えるからです。企業の売り上げも増えて、株価も上昇すると思っているのでしょう」(斎藤満氏=前出)
政府と大企業はインフレ歓迎かもしれない。しかし、ただでさえ4年以上も物価高がつづいているのに、これ以上、インフレが加速したら庶民は地獄である。
深刻なのは、食料品の値上がり幅が大きいことだ。2022〜25年の3年間に20%も上がっている。22年以降、4年連続、年間1万品を超える食料品が値上がりしているのだ。この夏(6〜8月)も、5000品目以上の食料品が値上がりする見込みである。もう、庶民は限界に違いない。
法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)はこう言う。
「高市政権の最大の問題は、企業対策を優先させていることです。本気で円安を是正しないのは、輸出大企業に有利だからでしょう。インフレを放置しているのも、その方が企業の売り上げが拡大するからだと思う。でも、本当は『国民生活をどうするか』を最優先すべきでしょう。高市政権が支離滅裂なのは、自分たちで物価を上げておきながら、『物価高対策』と称して電気代やガス代を補助していることです。なぜ、物価そのものを抑えようとしないのか。カネをばらまけば、国民はおとなしくなるとでも思っているのでしょうか」
日銀が実施している「生活意識に関するアンケート調査」によると、暮らし向きに「ゆとりがなくなった」が53.4%に達している。
一刻も早く高市政権を退陣させなければ、この物価高はどうにもならない。
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